【完結】匠 VS BETA   作:MMZK

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358. 何だかまた強引なルビを付けてる気配があるわね?

 ここまでの原理説明ならばブロウクンスマッシャーとはガオガイガーの『ブロウクンマグナム』そのものなのだが、実際のところ違うのは名前だけではなく、色々と相違点がある。

 

 まずこの前腕射出機能はGSライド搭載前から実装されており、その際の名前は『ライトニングスマッシャーパンチ』だった。この名前はマジンカイザーやグレートマジンカイザーの『ターボスマッシャーパンチ』に由来している。マジンエンペラーGだと『グレートスマッシャーパンチ』になり、射出前に前腕から刃が飛び出すのだが、轟雷で高速戦闘中に素早く刃を形成することは出来なかったので刃形成機能の実装は断念している。なおよく見てみるとこのグレートスマッシャーパンチは前腕の回転方向と刃筋が90度ずれており、刃物としては役に立たなそうに見える。

 それはそうとこの轟雷のライトニングスマッシャーパンチは、ただのカイザーやエンペラーの物真似ではない。まず轟雷の腕は原子核パスタ構造材で構成される超重量弾であり、更に腕に時空勾配推進機とベルカモーターが内蔵されている。つまり、射出前に縮退炉から注ぎ込まれた電力を元手に、射出後に自ら加速して超光速で飛んで行く。光速を越えてしまえばもはや見てから避けるのは不可能であるし、しかも相手が射線を読んで避けたとしてもベルカ砲同様に追尾する。

 

 原理的に殆どベルカ砲そのものとなっているが、それも当然で、そもそもこの武装は、ベルカ砲を更に強化する為の課題から生まれたものだ。というのも、ベルカ砲では砲弾重量が大きい程威力が高まるのに原子核パスタ構造材を使った超重量弾頭を毎回生成出来ないという課題があり、これを解決するプランとして弾頭を使い捨てにせずリサイクルするというものがあった。その実現に元々関節駆動用の時空勾配推進機が内蔵されており30.5cm砲弾よりも遥かにスペースに余裕がある轟雷の前腕が好都合だったという話だ。

 無論これはこれで飛ばしている間は腕が使えなくなるという大欠点があるのだが、飛ばしたあとも移動・回転自在の制御が可能であることを考慮に入れるとむしろ腕のリーチと自由度が上がるとも言えるので、とりあえず実装はされていた。まあ残念ながらライトニングスマッシャーパンチとして使用される機会はほぼ無かったのだが。

 

 そして轟雷にGSライドを、腕にブロウクンマグナムの機能を組み込んだことで名前も組み合わせて『ブロウクンスマッシャー』となったわけだが、ライトニングスマッシャーパンチにGSライドから注ぎ込まれた破壊のGパワーが追加され、更に破壊力を上乗せされていることになる。破壊のGパワーは縮退炉出力に比べると大したことがないように思えるかもしれないが、Gパワーは元々魔法や超能力の類いである。つまり威力加算ではなく魔法のように攻撃力倍率が掛かるので、元々強力な攻撃に重ねがけすると相当タチが悪い。

 ちなみにターボスマッシャーパンチ由来なので左腕にも回転射出機構が備わっており、こちらはヘル・アンド・ヘブンの都合上守護のGパワーが注がれているため、威力よりも反射と損傷回避優先の『プロテクトスマッシャー』となる。

 あとターボスマッシャーパンチやグレートスマッシャーパンチは前腕だけが回転して拳が回転しないのだが、これだと回転が拳の威力に寄与しないので、轟雷では元々ブロウクンマグナム方式で拳ごと回転させている。

 

 結果としてブロウクンスマッシャーにも雲耀(うんよう)の太刀クラスの攻撃力が備わることになっており、大概の相手ならこの一撃で砕け散るだろう。これが直撃して爆散しなかっただけでも熾天使(セラフィム)は大分すごいと言える。

 改めて説明しておくと、雲耀(うんよう)の太刀にはまともに当たれば太陽すら爆散させる威力があるので、それと同レベルの威力を誇るブロウクンスマッシャーの頭に『恒星爆砕』とつけるのは誇張でも何でもない。轟雷本体が天体に接近する必要が無いブロウクンスマッシャーは実際にまともに当たる危険があるので、使用の際には周囲の環境に重々注意が必要である。

 

 

 

 目の前の小型恒星とその発射元をどうにかしたトピアは、次にバリアに貼り付いた攻撃端末(ビット)を処理しに掛かった。

 

トピア「サンダーボルトプレッシャーッ!!」

 

 トピアが念じると球状の電撃フィールドが広がり、バリア越しに攻撃端末(ビット)を焼き払った。

 これは放電タレットによる物理的な電撃とは全く違うものだ。轟雷に放電装備が無いわけではないが、球状に展開するような機構は無い。ボールライトニング使用時に展開されるライトニングフィールドに似ているが、これはそのボールライトニングを再設計した『サンダーボルトプレッシャー』という術式だ。魔力が乗るタイプの攻撃なので、今回は当然信仰力を混ぜている。

 サンダーボルトプレッシャーにはフィールド自体に攻撃力と相殺能力があり、何よりボールライトニングと違って動作の硬直が無いのが特徴だ。流石にこの速度域の戦闘で魔法発動のたびにいちいち隙を晒してはいられない。

 サンダーボルトプレッシャーは発動時間の長さも任意に調整出来る。つまり攻撃力のあるバリアのようなものなのだが、当然魔力を消費し続けるし、攻撃範囲を集中していない為に魔力効率が良くない。消費エネルギーあたりの防御だけなら通常のバリアの方が優れているので、サンダーボルトプレッシャーを常時ONにしておく必要は無い。

 

 ところで普通の蛇の内臓はその長い身体に割とまんべんなく存在しており、骨と筋肉だけの尻尾部分は全体の1割前後しかない。そして今回二つに分断した熾天使(セラフィム)は上下で概ね1:3ほどに分かれているので上側には心臓と肺くらいしか残っていない筈だ。大部分の内臓がはじけ飛んだ下側にあった筈だが、ここまでダメージを与えてもこの世界から出られないということは、頭と翼と胴体の一部しか残っていないあの状態でもまだ死んでいない筈なのだ。大した生命力だ。

 しかしトピア達は生命力などと考える時点で生物の常識に囚われすぎていたかもしれない。千切れ飛んだ下半身への警戒がやや薄まっていたのだ。気付いたときには転移で接近したそれが機体全体に絡みついていた。また、バリアを二重にしたことで接近戦に対する慢心もあったかもしれない。絡みついた下半身にはサンダーボルトプレッシャーが作用している筈なのだが、攻撃端末(ビット)を焼き払う程度の出力では大したダメージも受けず、通常バリアを握り潰して更に締め上げる力を増していた。

 

サティ「何これ、蛇の下半身!?」

 

トピア「……なるほど、鱗だけでも動くなら当然そうなりますか」

 

熾天使(セラフィム)「ふむ、汝らは人の子にしてはなかなかやるようだ。その力に免じて、()()を認めてやってもよいぞ? ああ、その胴体は下手に攻撃すると爆発する故、気をつけよ」

 

 熾天使(セラフィム)の上半身側が舌をチロチロと出しながら語り、事もなげに胸から下を生やしてみせた。蜥蜴の尻尾切りでもあるまいに。あの再生能力からすると、どうやら上下に真っ二つにしても大したダメージにはならないようだ。信仰力を共有する分体が一つ増えたくらいの感覚だろうか。

 絡みついた胴体部はどうやら爆弾になっているらしく、今まさにサンダーボルトプレッシャーの出力を上げて胴体を焼き切ろうとしていたトピアは、そこに釘を刺された形だ。

 

トピア「それは光栄ですが、困りましたね。そうなると無力化の手段が限られてしまいます」

 

 頭か心臓が中核になって再生が発動するのならばそこを潰せば良いが、そうなると殺すしかない。()()()()話だ。

 

熾天使(セラフィム)「何だ、我を相手に手加減して勝つつもりであったのか? なるほど、先ほどの攻撃は頭を敢えて外したな? 驕りが過ぎる」

 

トピア「()()はお互い様でしょう?」

 

サティ「トピア?」

 

 トピアは最上位の天使ともなれば普通に光速から超光速くらいの機動や攻撃をするものと想定していたのだが、熾天使(セラフィム)の動きは想定に比べてどうもぬるいのだ。何らかの理由で本気を出していないのではないかとトピアは訝しんでいた。この時点で同格の比較対象が無かったが、もしラリー達と戦っている宇宙規模の座天使(ソロネ)やスコア達と戦っている超高熱の智天使(ケルビム)の猛威を知れば確信に至っただろう。

 そしてわざわざ降伏を勧告したことと、トピアの推測に対し熾天使(セラフィム)がただ目を細めるだけで反駁しないことで、恐らくそれは正しいとトピアは判断した。

 

熾天使(セラフィム)「……だとして、この状況から何とする?」

 

トピア「そりゃあこうするんですよ。ふんぬらばッ!!!!」

 

熾天使(セラフィム)「お、おお……?」

 

 トピアが腕力(ATK)強化術式を全力で発動すると、纏わり付いた蛇の胴体が轟雷の剛力により大きく引き延ばされた。自らの周囲に隙間が空いた所で巻き付いた胴体の一番下を掴んで頭上へとリフトアップし、見事に拘束から抜け出した。そして腕に絡みついた部分を逆に掴んで投げ縄のように振り回し、遠心力で熾天使(セラフィム)の本体へと放り投げた。

 熾天使(セラフィム)がこれを慌てて回避すると、オールトの雲の小惑星に蛇の胴体が衝突した途端に大爆発を起こし、周囲の小惑星を消し炭にした。

 なお自分の分体なので冷静に対処すれば再吸収も可能だったのだが、トピアのあまりに力任せの対処に驚いて対処が遅れていた。

 

トピア「どうですか、これが匠の(パワー)というものです!!」

 

 やはり腕力(ATK)腕力(ATK)は全てを解決する。

 

サティ「何だかまた強引なルビを付けてる気配があるわね?」

 

 見た目は100%脳筋戦法だが、高倍率強化術式にも技巧というものが必要なので技というのも別に間違ってはいない。

 トピアは熾天使(セラフィム)が回避に転じた所に接近、今度は長槍突撃(スピアチャージ)による一撃離脱ではなく、拳による接近戦(インファイト)を挑んだ。轟雷の拳にはしっかりナックルガードが装着されている。

 

トピア「生憎私達は降参などしている暇はありません。貴方の方こそ早く降参して私達をここから解放することをお勧めしますよ!」

 

熾天使(セラフィム)「ええい、我が慈悲を理解せぬとは度し難い!」

 

 トピアの轟雷が左前の半身になって截拳道(ジークンドー)スタイルで素早く利き手の左拳を浴びせると、熾天使(セラフィム)は翼の骨格を変形させて拳を作り、殴り返した。何だかんだで拳の応酬に応じる気があるようだ。そのため結果的に鎧武者と蛇が殴り合うという、えびボクサー並によくわからない絵面になっていた。なおえびボクサーに出ているのはえびの中でもハードパンチャーとして有名なシャコである。強い。

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