【完結】匠 VS BETA   作:MMZK

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366. 機械道魔神空手……ヘルカッター!!

 兜 甲児とマジンガーZEROはマブラヴ世界側の神域で純夏の手助けをしつつも匠衆(マイスターズ)による放送で存在Xとの戦闘模様を把握していたのだが、その放送で重轟雷と英霊達の動きが突然停止した。存在Xの時間停止能力だ。この世界の命運を背負った負けられない決戦で存在X側の勝利がほぼ確定してしまうというのは甲児達にとっても一大事であった。

 ここでZEROが突入を提案した。並行世界の神となったマジンガーZEROには時間操作能力があり、当然ながら神の力もある。時間停止能力に抗って戦うことが出来るのだ。存在X側の神域の座標についてはZEROが放送の通信経路を辿って既に特定していた。しかも時間停止によって一部の侵入阻止セキュリティがダウンしているため、ZERO単機ならば確実に突入が可能になったとのことだった。

 甲児はこの提案を聞いて突入を即断した。

 

 なおこちらは幼女を巫女としているZEROさん(かみさま)ではなく、スパロボX-Ω(クロスオメガ)世界から来て先ほど兜 甲児と和解した方のZEROである。折角二体いるのだからと作業分担でこちらのZEROが駆けつけており、残ったZEROさん(かみさま)の方は強力な共感能力を持つ巫女幼女とともに今現在純夏達の支援に集中している。

 

存在X「愚かな、汝のような新入りの機械神など我が敵ではないわ。第一その小さな身体では……うむ?」

 

 確かにマジンガーZEROの頭頂高は()()()()()()わずか18mにすぎない。目の前の存在Xとでは1,000倍以上の差があった。だが存在Xが喋っている間にもマジンガーZEROはどんどん巨大化していた。

 目の錯覚ではない。考えてみれば先ほどのアイアンカッターも元のサイズからは考えられないくらいに巨大化していたし、原作の最終決戦でもZEROは原型のマジンガーZやグレートマジンガーより巨大な姿になっていた。神となったマジンガーZEROのサイズは実は()()である。

 なお甲児まで一緒に大きくなっているわけではなく、シートとコンソールはそのままに、徐々にパイルダー内部の余剰スペースが増えている。

 

甲児≪だったらこれで五分だなあっ!!≫

 

 そして見る間に頭頂高22kmとなったマジンガーZEROが猛然と存在Xに殴りかかった。徒手空拳、いわゆるカラテだ。存在Xはやはりそれをガードした。存在Xが先ほどのアイアンカッターを咄嗟に迎撃したのも、その攻撃が有効だからだ。実際、重轟雷を消滅させるつもりでチャージしたパワーでもアイアンカッターを消滅させることはかなわなかった。

 ZEROは先ほどまでの戦いをつぶさに観測していた。存在Xには熱や光は吸収されてしまうためブレストファイヤーや光子力ビームは使えないが、十分な次元力を込めた運動エネルギー攻撃は有効であることが分かっている。更にZEROは第6の魔神パワー、因果律兵器を起動して、存在Xにダメージが通りやすいように次元力を調整して攻撃を繰り出している。

 

甲児≪くらえ、冷凍ビーム!≫

 

 近接格闘戦をしながら甲児の操縦でマジンガーZEROの両耳のレーダーアンテナ先端から摂氏マイナス1億2千度の冷凍ビームが放たれると、存在Xはこれを咄嗟に回避した。存在Xは智天使(ケルビム)同様に熱や光を吸収するが、凍結攻撃に対してはそうはいかない。物理の常識を無視した摂氏マイナス1億2千度ともなればかなりの脅威だ。

 そうして存在Xの体勢が崩れた所でZEROが攻勢を仕掛けた。正拳、前蹴り、肘打ちと流れるように繋いでいく。

 その堂に入ったワザマエと至近距離からの冷凍ビームを組み合わされると厄介だと判断した存在Xが距離を取ろうとすると、その後頭部にZEROとは別の攻撃が直撃した。

 

存在X「ごはっ!?」

 

ターニャ≪隙を見せたな存在X!≫

 

 存在Xの後頭部に渾身のフライング・ニールキックを浴びせたターニャ機が滞空し、更に次の打撃のモーションに入っていた。しかもいつの間にか重轟雷の合体が完了してまたサイズが10倍になっていた。全高21.5km、重量2.40×1024tのこの形態を『三重轟雷(みえごうらい)』という。その体格は遂に存在Xのスケールに追いついていた。

 存在Xは次の攻撃に対処する為にターニャに注意を向けた。

 

存在X「貴様、謀ったな!?」

 

ターニャ≪馬鹿め、今頃気付いたのか? 兵は詭道なり、だ≫

 

マイン≪この程度の演技を見破れない()()()()()()()()()

 

 そう、実はターニャもマインも最初から時間停止にレジスト出来ていた。だが抵抗出来ない振りをすれば油断するだろうということで示し合わせて演技していたのだ。よく考えてみれば、そもそも放送機器が停止していない時点でそれは明らかであった。

 存在Xが時間停止能力を使う可能性については幼女戦記の原作を知る理想郷の建設者(クラフトピアン)達が初めから知っていたのだから、対策くらい用意していない筈がない。碌な事前情報無しで死の支配者(モモンガさま)との決闘に挑んだ1ガゼフさんとは違うのだ。

 幸い匠衆(マイスターズ)では科学方面でも修復装置、加速装置、ベルカ効果、時間停止型インベントリボックスなど擬似的に時間の流れを変える技術が発展していた。魔法方面においても、特に理想郷の建設者(クラフトピアン)がタイムストップという魔法で相手の時間を止めることが出来た。

 何より重要なのがこのタイムストップの()()()()()だ。同一対象に繰り返し使用すると徐々に効かなくなるのだ。つまり魔力発動かつ世界のごく一部の停止という強制力の弱い条件下では、そこらの敵対MOBにすら何らかの方法で時間停止にレジストする仕組みがあったのだ。

 匠衆(マイスターズ)魔法開発課はこれを入念に研究することで時間停止レジストの仕組みを解明し、その抵抗力を強化する時流安定化術式を開発した。安定化というのは、時間停止だけでなくとんでもなく遅くされたり制御不能なほど速くされたりした場合の抵抗も兼ねるということだ。これにより、通常のタイムストップには術式単体で完全抵抗出来るようになり、加護転換で信仰力を込めたタイムストップにも同じく加護転換で信仰力を込めた時流安定化術式ならば抵抗出来ることが実証された。

 

 まあ今回は油断させて隙を突く前にマジンガーZEROが救援に来たのでタイミングは変わってしまったが、全く疑いもせず勝利を確信した存在Xの様子は実に傑作であり、ターニャやマインとしては演技の為に笑いを堪えるのが大変であった。

 

存在X「また孫子か! 小癪な!」

 

 兵は詭道なり。孫子の兵法理論の一つであり、平たく言えば、戦いとは騙し合いであるということだ。ターニャもマインも戦略・戦術に通じている為、この手の騙し討ちはお手の物であった。

 つまりこの挑発自体も騙し討ちの一部だ。存在Xはむきになってターニャ達と口論をしている場合ではなかったのだ。

 

ZERO≪()()()()()()()……ヘルカッター!!≫

 

 ゴウランガ! 存在Xの注意がターニャ達に向いている間に、マジンガーZEROは右前腕を丸ごと巨大な剣へと変形させて、浴びせるように縦に一回転した。

 存在Xは咄嗟に間合いを取ることで回避を試みたが、ヘルカッターはそれを無視して存在Xを袈裟懸けに切り裂いた。

 

存在X「何だと……ッ!?」

 

 それだけではない。余波だけで存在Xの背後に見える欠けた月のような天体には巨大な亀裂が生じ、星が真っ二つになっていた。あの星は神前法廷があった場所だ。

 宇宙空間で何故余波が届いたのか疑問に思えるだろう。しかし、以前使用したときでも、ヘルカッターは地球上から月を真っ二つにしていたのだ。つまり距離があるとか威力を伝達する物質がないとかいうのは、機械道魔神空手の前にはもはや無意味なのだ。

 威力は凄まじいが、これでも三重轟雷にフレンドリーファイアしないように方向には気を遣っている。一番巻き添えを食らいそうな英霊達は既にターニャによって回収されていたので、角度の選定はそれほど難しくなかった。

 

マイン≪頼もしい援軍だな≫

 

ターニャ≪救援に感謝する≫

 

甲児≪いいってことよ、俺達にとっても他人事じゃねえからな≫

 

ZERO≪フフフ、ミンナヲ護ルマジンガーZハ()()()()()ダロウ?≫

 

 マジンガーZEROはその凶悪な顔つきでニタリと笑った。普通に見ると悪鬼のようにしか見えないのだが、何故かその笑顔に親近感を感じたターニャは世辞でも何でもなく素直に肯定した。

 

ターニャ≪ああ、流石は元祖スーパーロボット、流石はマジンガーZだ≫

 

 この親近感の原因として、ターニャ本人としては存在Xに対する反感、つまりやっていることは外道そのものなのに見た目だけがまさに神のような存在Xに対する悪感情の所為だろうとあたりをつけた。それも正解ではあるが、もう一つ、本人のあずかり知らぬ因果によるものでもあった。

 何しろ、幼女戦記英語版やアニメ版のタイトルには『Saga of Tanya the Evil』などとつけられているのだが、実際にはターニャ自身は悪事など殆ど働いていない。では何故邪悪(Evil)などとつけられたかと言えば、笑顔が邪悪だとか、存在Xと敵対しているだとかいうおよそ理不尽な理由でしかないのだ。

 いや、あずかり知らぬことばかりだけでなく、敵国の軍人に悪魔呼ばわりされることも一度や二度ではなかった。ターニャが所属していた帝国(ライヒ)を侵略する側の敵がそう罵るのだから、実に身勝手なことだ。そういう反面教師を見てきたターニャとしては、見た目が邪悪そうというだけで正当な行為を貶す気にはなれないのは当然と言えた。

 

 思った以上に素直な称賛の言葉を貰った甲児は、少しばかり驚いた後、照れて顔を赤くした。

 

甲児≪へへっ、照れるぜ≫

 

 今し方ZEROが使った機械道魔神空手は、かつてDr.ヘルがマジンガーZEROにパイルダーオンしたことで地獄(ヘル)モードになった際に使っていたものだ。だが技自体には善悪も貴賤も無い。それは使い手次第で神にも悪魔にもなるマジンガーZにも言えることだ。甲児はZEROが宿敵Dr.ヘルから学んだ技で邪神と戦い味方を助けたことをZEROの成長として喜び、更にそれが正当に評価されたことで二重に喜んでいた。

 なおこの甲児が顔を赤くしたやりとりの相手が見た目は美少女のターニャだったので、恋人の弓 さやかに勘違いされてあとで問い詰められる羽目になった。




 真マジンガーZEROとニンジャスレイヤー本編は脚本・作画の人が同じなので、マジンガーZEROの描写に突然忍殺用語を混入しても大丈夫理論でお送りしております。
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