【完結】匠 VS BETA   作:MMZK

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373. 我々匠衆(マイスターズ)は、人々の未来を阻む全てを砕き割り、破壊する!

 十二単轟雷(じゅうにひとえごうらい)の機関出力6.63×1060Wに対し、存在Xが叩き付けた天地創世(ベレシート)のエネルギー量は1072J。放出時間が10秒で放射エネルギーの1/10がヒットするとして、それでも1070Wになる。そこに横たわる10桁、100億倍の差はあまりにも絶望的に見えた。

 

 しかし十二単轟雷(じゅうにひとえごうらい)は――未だ健在であった。見たところ大きな損傷も受けていない。

 

 何故無事なのか。

 そもそも6.63×1060Wというのはあくまで機関出力だけの話で、物理・魔法併用方式のバリアではそこに防御強化術式の補正が入る。アウシアント式の10枠防御強化術式はそのままであれば魔導衛士で各枠+100%を3段積みして合計30段で410 = 105万倍、熟練のターニャでも最大限頑張って短時間ならば各枠5段積み、合計50段で610 = 6050万倍といったところだ。この強化率を乗じてバリアの防御力が4.01×1068W相当だとしてもまだ2桁足りない。

 ここに全員分の勇気が乗って守護のGパワーの倍率が掛かれば、この程度の数字を覆すことは……と考えがちだが、土壇場の勇気に頼る前にまず人事を尽くそう。

 現在の十二単轟雷(じゅうにひとえごうらい)の操縦席には魔導衛士資格持ちだけでもターニャ、トピア、ラリー、スコア、聖騎士の5人が座っている為、この5人で10の強化枠を2つずつ使うことで、ターニャが無理をしなくても格枠15段積みが実現可能だ。つまり1610 = 1兆1千億倍。乗じてバリアの防御力が7.29×1072Wになる。これで十分守り切れるのだ。

 つまり十二単轟雷(じゅうにひとえごうらい)は初期版の時点で魔導衛士の人数さえ揃えばビッグバン相当のエネルギーに耐えられるように設計されていたことになる。それはそうだろう。宇宙規模の敵を相手にするならば最低限このスケールが必要だという要求で建造されたのだから、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()のだ。

 そこにGパワーと部分的とはいえ幕を下ろす者(デウス・エクス・マキナ)の効果が乗るのだから、更に余裕が出ることになる。

 

 あと当然のようにマジンガーZEROも健在であった。こちらも先ほどから一緒になって信仰力防壁を殴りつけていたので、被弾距離は似たようなものだった筈だが。

 

 存在Xは呆れた表情を浮かべた。存在Xが自爆ダメージを受けていないのは光や熱を無条件に吸収する権能からだ。それはそれでいかがなものかと思うが、マジンガーZEROは吸収も無効化もバリアもなく、恐らくは単なる頑丈さで耐えている。まあ頭部のコックピットを手で庇うくらいのことはしていたが。超合金Zが幾ら頑丈でも原子核パスタよりも頑丈というのは物理的に考えづらいが、超合金Zには光子力が宿っているらしいので、それと次元力の組み合わせで何とかしたのだろうか。

 

存在X「人の身で我が天地創世(ベレシート)に耐えるなど……どうかしておるぞ汝ら」

 

 そう溢しながらも存在Xに焦った様子は無い。つまりビッグバン相当のエネルギーをぶつける天地創世(ベレシート)が最後の切り札ではなかったということだ。

 ちなみにベレシートとはヘブライ語で「始めに」のことで、ノアの方舟のエピソードも掲載されている旧約聖書『創世記』の初めの一語だ。転じて『創世記』そのものを指す。そう考えると、やはり最初に洪水を起こしたのも天地創世(ベレシート)の段取りの一つだったのだろう。

 

ターニャ「貴様が戦争中の世界ばかりに放り込んでくれたお陰で、普通にしていては生きていけないのでなぁッ!」

 

 ターニャの十二単轟雷(じゅうにひとえごうらい)が僅かな損傷回復に努めながらも再び存在Xに殴りかかった。存在Xはそれを信仰防壁で受け止めながらも更に大きくなり始めていた。自ら天地創世(ベレシート)のエネルギーに身を晒して吸収したということは、それだけ力が高まっているということなのだ。

 つまり存在Xは、クラエル神が次の世界を創る前に世界を一旦終了させてリソースを回収する創造の前に破壊あり(スクラップアンドビルド)プロセスと同じようなことをやっていた。分類上は確かに同じ創造神の類いなのだろう。

 

マイン「オイ、ニンジャ! 準備は出来ているのだろうな!?」

 

トピア「勿論です!」

 

 マインの問いに答えたトピアは、掌を見せて指をわきわきさせたあと、大きく息を吸って右拳を頭上に掲げ、更に左手で右手首を掴んで力強く宣言した。

 

トピア「我々匠衆(マイスターズ)は、人々の未来を阻む全てを砕き割り、破壊する! 回せ回せ、回転衝角(ドリル)で行こう! そうだくるくるだ、くるくる回転衝角(ドリル)だ!!」

 

 宣言はいいのだが、テンションを上げたトピアが首をぐるぐると勢いよく回し始めたので、それを見ている方が若干不安になった。しかしその動きに応じてトピアの身体から()()強烈な緑の光が溢れてきて、右手が緑色に輝く光のドリルを象った。説明するまでもなくこれは螺旋力の塊だ。

 螺旋力の練り方に定型は無いのだが、どうもトピアからするとシモン式の普通に気合を入れる練り方よりもギッター式の方が合っているので、最終的にこうなってしまったようなのだ。ただしトピアの場合は見た目が金魚鉢宇宙服のおじさんではなく美少女なので、動きに応じて形の良い胸が揺れるのが眼福ではある。強いてデメリットを挙げるならばやはり挙動が怪しいのと、ドリルが綺麗な円錐状ではなく巻き貝のように所々棘が出ているのがギッター式の弊害と言えるかもしれない。

 

トピア「んんん回転衝角全速順回転(ミラクルぜんかいパワー)ーーッ! スピン・オンッ!!」

 

 テンションを上げすぎてトランスしたトピアが()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()、勢い100%の言葉と共に高速回転するドリルを拳ごと螺旋ゲージの中央にぶち込むと、螺旋ゲージが急速に上昇し、上限オーバーフローを何度も繰り返して桁を更新していった。

 

サティ「螺旋エネルギー1000万、1億、10億……いけるわトピア!」

 

トリオ「螺旋力変換炉、天元突破システム共に正常じゃ!」

 

マイン「天元突破、実行せよ!」

 

トピア「E & E(エンジョイ&エキサイティーーーーーーング)ッ!!!!」

 

 マインの号令に応えてトピアが気合を入れると十二単轟雷(じゅうにひとえごうらい)のシルエットが急速に膨れ上がって存在Xを追い越し、銀河を超え、銀河団を超え、遂には頭頂高50億光年の天元突破十二単轟雷(じゅうにひとえごうらい)となった。恒星系規模の十二単轟雷(じゅうにひとえごうらい)の更に2兆2千億倍のサイズだ。

 

テクス「本当にあの奇妙な動きに効果があるんでござるなあ……」

 

ラリー「いや、俺には効果がねえんだよなあ」

 

スコア「私もだな」

 

聖騎士「トピア殿特有のやり方のようであるな! ウッ!」

 

 現状の轟雷には螺旋力変換炉が備えられているが、それはトピアの螺旋力を中核として更に魔力やGパワー、次元力を混ぜ合わせて巨大な螺旋力を練り上げる為のものだ。つまりトピア自身は自力である程度の螺旋力を生み出せていた。そしてラリー達が中核螺旋力無しで天元突破をしたのはやはり相当な無茶であった。

 トピアの生まれ故郷の地球人に同じ事が出来る者は他に一人もいない。トピアがクラエル神に目を付けられたのは、以前言われたように故郷の地球人の中でも救うに値する人格であったことも理由の一つではあるが、それとは別に偶然螺旋力の素質があったので捨てるのが勿体ないという事情もあったのだ。

 グレンラガンの螺旋族はそもそも地球人の一種であり、螺旋力はDNAに二重螺旋構造を持つ生命体に秘められた進化を司る力であるため、偶然地球人の中から螺旋力適性がある者が生まれることもあるらしかった。つまりスーパーロボット軍団全員天元突破というのも絶対にあり得ない話ではなかったのだ。まあ天文学的なほど低い確率ではあるが。

 しかしトピアの螺旋力は当初自覚が無い程度のものであった。トピアが自分に螺旋力適性があることを知ったのはシモンと初めて顔を合わせてからのことだ。しかし言われてみればはじまりの星の天使の光輪(エンジェル・ハイロゥ)級を討伐したときも、捻りに一点集中したらバグのようなスキルを使えてしまっていた。それで師匠には捻りが重要だと繰り返し教えられていたのかとトピアは得心し、とどまる所を知らない師匠の偉大さに感じ入った。当然トピアの勝手な思い込みである。




 というわけで、第0章から張っていたぐるぐる目の伏線が漸く回収出来ました。
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