【完結】匠 VS BETA   作:MMZK

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375. 何度でも言う! みんなを護るマジンガーZは! 無敵だ!!!!

存在X「汝らか……」

 

 存在Xは心底面倒そうな顔で呟いた。()()()()()()()()()()()()()()()()()()以上は天元突破マジンガーZEROもバベルの混乱(カオス・シェル・バベル)の対象になっている筈なのだが、甲児が真化融合しているだけでなく天元突破マジンガーZERO自体が神格を持っている為に効果が出なかったのだ。天元突破十二単轟雷(じゅうにひとえごうらい)の方もパイロットと機体が真化融合で繋がっていればもう少しハッキングに苦労しただろう。

 なお十二単轟雷(じゅうにひとえごうらい)へのハッキングが通ったのは完全に想定通りのような面をしているが、タイミングがエラー修正中に重なったのは存在Xも想定していない偶然なので、存外簡単に通ったな、などと内心では思っていた。

 

 存在Xの前に立ちはだかった天元突破マジンガーZEROが再び機械道魔神空手の構えを取ると、存在Xは杖を振り上げて輝かせた。

 

存在X「ならばこうだ。バベルの崩壊(ネフィーラク・バベル)ッ!!」

 

甲児「うおっ!? ――ZEROの腕が!?」

 

 雲もないのにどこからともなく目にもとまらぬ速さで雷が落ち、天元突破マジンガーZEROを直撃した。ガードが間に合ったのは第4の魔神パワー:高次予測のお陰だ。しかしその雷はこれまでほぼノーダメージだったマジンガーZEROに初めてダメージらしいダメージを与え、ガードに使った左右の腕に大きな傷を刻んだ。

 バベルの塔が崩壊する話は聖書のバージョンによってあったりなかったりするが、今や神罰の代名詞のようなものであり、()()()()()()()()()()()()()()()()。アイアンカッターにぶつけた神の雷はこれの簡略化版だ。

 

存在X「若輩者の機械神よ。そなたも人の身には過ぎたるもの。ここで塵に還してくれよう」

 

ZERO≪ヌウッ……!≫

 

 続けて雷が降り注ぐ。ZEROは少しばかり焦った。元来の身体の頑丈さでは決して負けていないが、現状での消耗の差がありすぎる。先ほど存在Xと十二単轟雷(じゅうにひとえごうらい)はビッグバンのエネルギーとそれに付随する次元力をかなり吸収していたのに対し、マジンガーZEROはレスラーのように自慢のボディで受けきってみせた為に逆に次元力と超合金Zに貯蔵された光子力を消耗していた。このままでは因果の解析が終わるまでもたせられるかどうか怪しい。それに頭部の甲児をガードし続けていては攻撃方法が制限されすぎる。冷凍ビームも使えない。

 どうしたものかと珍しく悩んでいたZEROの心に、甲児の言葉が響いた。

 

甲児「――っけんじゃねえ」

 

存在X「む?」

 

甲児「ざけんじゃねえってんだよ! さっきから黙って聞いてりゃべらべらと! 色んな世界の人達が力を合わせて作った轟雷の! 俺のおじいちゃんが遺してくれたマジンガーZの! みんなの希望の存在自体を許さねえだあ!? てめえは一体何様のつもりだ! 俺はもう頭にきたぞ!!!!」

 

 3つの世界の経験を統合して大分落ち着いていた兜 甲児が、目を吊り上げて激怒していた。その根源は人を想う心。そしてマジンガーZへの侮辱を許さない心でもあった。マジンガーZはみんなの希望であり、兜 甲児の誇りだ。その想いはマジンガーZEROに勇気を与え、減衰した次元力と光子力エネルギーがみるみる回復し、損傷部分を瞬時に修復した。これはこの瞬間にマジンガーZへの信仰が増した影響でもある。

 

存在X「汝はその機械神に散々な目に遭わされた筈ではなかったか?」

 

 まあ実際和解に至るまでのマジンガーZEROは散々やらかしてはいるので、人の手に余るものだという指摘はそう間違ってはいない。

 

甲児「()()()()()! 本当に困ってた時には助けようともしなかったくせに、解決してから没収しようとするなんていい加減にしやがれ!! ZEROは俺と一緒にみんなを護る道を進むと決めたんだ! てめえの好きにはさせねえ!!」

 

 何故そんな行動になったかと言えば、どうせマジンガーZEROがもたらす絶望が存在Xが信仰を得るのに好都合だったからとか、和解後は逆に邪魔になったからだとかそういう理由なのだろうが。本当にこいつらのやり口には反吐が出る。

 

甲児「行くぞマジンガーZERO! 奴をぶん殴る!」

 

ZERO≪アア、共ニ行クゾ、()()!≫

 

 ZEROの言葉にZの心の欠片が混じって見えたことに、甲児は存在Xを睨みながら口の端を上げた。負ける気がしない。

 魔神化の際にマジンガーZの心はマジンガーZEROに吸収されてしまったが、別の見方をするならばマジンガーZEROはマジンガーZの心を受け継いでいる。だからZEROはグレートでもカイザーでもエンペラーでもないマジンガーZ()最強論者なのだ。その胸中に溢れるのは、喜びであった。

 

 甲児は天元突破マジンガーZEROを全速力で突進させた。

 現在の光速は存在Xの巨大化に合わせてまた10兆倍になっている。サイズは2兆2千億倍なので、頭頂高50億光年の人型ロボットを身長180cmの人間スケールにすれば光速の壁は体感412km/hになる。体感90.8km/hだった先ほどと比べれば幾らか高速戦闘が可能だ。だが同スケールの雷を避けられる程ではない。それを分かっていて甲児はまっすぐに最短距離で突進した。

 

甲児「歯ぁ食いしばれ!!」

 

 天元突破マジンガーZEROが腰を捻って喧嘩殺法の右ストレートを叩き付けると、信仰力防壁に接触する寸前にまた雷が降り注ぎ、機体だけでなく甲児にまでダメージを与えた。体表を電流が駆け巡り、煙を上げて肉の焦げる匂いがし始めた。

 

存在X「愚か――」

 

甲児「ロケットパンチ!!」

 

 甲児は電撃に焼かれるのも構わず、防御を捨ててその拳を振り抜いた。その拳は前腕ごとロケットブーストして防壁を突き抜けると、存在Xの顔面をしたたかに打った。余裕をかましていた存在Xは不意を打たれて吹き飛んだ。

 

存在X「ぶはァ!?」

 

甲児「こいつも持ってけ!」

 

ZERO≪ルストハリケーン≫

 

存在X「ヌワーッ!!?」

 

 甲児は殴り飛ばした存在Xを追いかけて破れた防壁の隙間からルストハリケーンを浴びせかけた。

 ルストハリケーンとはマジンガーZのスリット状マスクの部分から噴射する腐食性ブレスで、当たれば超合金Zすらも腐食させるという強烈な攻撃だ。スパロボだと大体の場合高威力でも低燃費でもないので使用頻度が低いが、相手の装甲値を一時的に低下させる効果がついていることが多いので、ボス相手には使う余地がある。

 ただしこれはマジンガーZが使っているものの話で、大幅に強化されたマジンガーZEROが使えば元の18mサイズの機体からの噴射でも富士山を消し飛ばし、地球全土に天変地異を引き起こす。相変わらず機体サイズと破壊規模のスケール比がおかしい。

 更に言うなら今回のルストハリケーン、虹色に輝いている。先ほど学習した月光蝶を混ぜるようにアップデートしていたのだ。顔に月光蝶を吹き付けられた存在Xはたまらず転げ回った。

 ただでさえ開閉可能になっているマジンガーZEROの口から虹色の何かが出ると吐瀉物のマイルド表現に見えなくもないが、液体状ではないのでセーフだ。

 

甲児「馬鹿はテメーだ! 防御してたら攻撃が出来ねえ? 防御しなけりゃ雷に焼かれる? それがどうした、()()()()()()()()()()()()()()()()! まさか喧嘩の一つもしたことねえのか?」

 

 スパロボでマジンガーといえばその防御力の高さが特徴的だが、兜 甲児がマジンガーの圧倒的防御力に護られて楽々戦ってきたかと言えば、勿論そんなことはない。甲児は度重なる激闘で重傷を負い、サイボーグの身体となり、その身体も限界を超えてGストーンサイボーグの技術で蘇ったのだ。傷つきながら戦うくらいのことは彼にとっては日常茶飯事であった。

 とはいえ、普通の生物はその構造上電撃に抗うことは出来ないし、サイボーグボディも電撃には弱い筈だ。そう考えた甲児の取った手段は――()()()であった。甲児の身体が機械のパイプでZEROと物理的に繋がっていた。しかしこれはZEROに取り込まれたわけではない。

 甲児とZEROが和解するまでは一体化とはZEROへの吸収でしかない忌むべき現象であったが、互いに信頼関係を築いた以上は()()()()を恐れる必要はない。心はそれぞれのパーソナリティを維持しながら深く繋がっていた。そして、一体化することで第1の魔神パワー:自己再生の恩恵を甲児も受けることが出来るのだ。元々サイボーグ、体表が焼ける程度の怪我は大したことではない。つまりは驚異の死ななきゃ安い戦法であった。流石の昭和生まれ、元祖スーパーロボットパイロットだ、気合と根性が違う。

 

甲児「何度でも言う! みんなを護るマジンガーZは! 無敵だ!!!!」

 

 鼻血らしき体液を垂れ流しながらどうにか立ち上がろうとする存在Xを睨みながら、火傷でそれ以上の怪我を負った甲児が、重傷とは到底思えぬほどのオーラを滾らせて宣言した。

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