【完結】匠 VS BETA   作:MMZK

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377. 駆けろ轟雷! 雷神の如くッ!!

 天元突破マジンガーZEROと存在Xの激闘は続いていた。

 甲児は更に重傷を負っており、魔神パワーによる回復を重ねても今や満身創痍の様子であった。もはや皮膚は焼けただれ、金属のサイボーグ骨格が露出していた。視覚や聴覚にも重篤な問題が発生している。骨格部分は機体本体同様に魔神パワーですぐさま修復出来ているのだが、生体部分は空中元素固定装置によるものなので、少しばかり時間が掛かる。だから攻撃を続行する為に最低限の回復以外は後回しにしていたのだ。だが見えなくとも聞こえなくともマジンガーZEROの感覚を借りることが出来る為、戦う分には不自由していなかった。

 満身創痍の身体で、口から血を吐きながら甲児が更に存在Xを煽った。

 

甲児「ゴホッ、どうした、もう終わりかい神サマよ。俺達ゃまだまだ戦えるぜ?」

 

存在X「ええい、何たる諦めの悪さよ。鬱陶しい」

 

 一方存在Xの方は繰り返し傷を負いながらも、修復が間に合う範囲に留めていた。だがこの傷の浅さは勝利の証ではない。

 天元突破マジンガーZEROを簡単に始末出来ないのならば、天元突破マジンガーZEROに攻撃されながらでも動けない天元突破十二単轟雷(じゅうにひとえごうらい)に攻撃するのが戦術上の優先順位として妥当なのだが、存在Xは日和った。重傷を負いながらも戦うのをやめない甲児の気迫に押されて、自らが傷つくのを恐れて、目の前の敵を無視出来なくなったのだ。つまり戦術目標の達成という意味では甲児の方が勝利していた。

 

 だがもう一押しだ。目の前の邪魔者さえ片付ければ、身動き出来ない天元突破十二単轟雷(じゅうにひとえごうらい)を片付けるのは赤子の手を捻るようなものだ。存在Xは杖の先に力を集中した。しかしその目論見は上手くいかなかった。

 

トピア≪(マイスター)ホームランッ!!≫

 

 いつの間にか存在Xの真横至近距離にいた天元突破十二単轟雷(じゅうにひとえごうらい)が強化型ホームランバットを見事な一本足打法でフルスイングすると、存在Xは信仰防壁ごと彼方へ吹き飛ばされた。しかもボールを打った効果音と誰の物だか分からない謎の歓声付きでだ。

 ホームランバットはクラフトピア由来の武器の一つで、『フルスイングLv.4』という吹き飛ばし特化の固有スキルがついている。しかもレガシー版では武器耐久値が著しく低くてほんの数回しか使えないという大欠点があったのだが、シームレス版では武器耐久値というパラメータそのものが存在しない。

 また、従来版では自身より体格が大きく勝るボスなどは吹き飛ばせないという制限もあったのだが、魔法開発課が改良した強化版では従来存在しなかった『フルスイングLv.6』をつけて吹き飛ばせる相手の範囲を可能な限り拡大しており、何より現在の存在Xと天元突破十二単轟雷(じゅうにひとえごうらい)の体格は全くの同格だ。吹き飛ばせない道理が無い。

 

トピア≪大変お待たせしました。しかしここまで一つも攻撃を通さず持ちこたえるとは、流石は兜 甲児とマジンガーZですね!≫

 

 トピアは賛辞を述べつつ甲児へハイリザレクションを掛けた。甲児の身体はサイボーグボディのまま生身部分がすっかり元通りに回復した。

 

甲児「おう、助かるぜ!」

 

ZERO≪我ガ友ハ無理ヲスルカラナ。マッタク光子力エンジン(シンゾウ)ニ悪イ≫

 

 何とZEROが自慢や謙遜をする前に冗談交じりに甲児の身を案じた。これまでの所業からすれば驚くべき変化であるが、甲児がマジンガーZを誇りに思っているのが伝わったのだろうとトピアは理解した。

 

 と、そこへ再びバベルの崩壊(ネフィーラク・バベル)の雷が降り注いだ。単独で防御を捨てて攻撃し続ける必要が無くなったマジンガーZEROは咄嗟に甲児を庇って防御した。

 

甲児「ちっ、距離を――」

 

 詰めるぞ、と甲児が言おうとしたときには既に天元突破十二単轟雷(じゅうにひとえごうらい)の姿は傍らには無く、彼方で存在Xの信仰防壁に拳を突き立てていた。

 

存在X「我が雷を避けただと!?」

 

ZERO≪アノ動キ、ワープデハナイナ≫

 

 並行世界の神としての権能を持つマジンガーZEROは当然超空間も観測出来る。その感覚によると天元突破十二単轟雷(じゅうにひとえごうらい)は超空間に出入りしていない。

 

甲児「じゃあどうやったんだ?」

 

ZERO≪見レバ分カル≫

 

 甲児達の視線の先では、天元突破十二単轟雷(じゅうにひとえごうらい)が存在Xの目の前で一旦拳を引っ込め、しかも合掌してお辞儀していた。

 

トピア≪ドーモ、存在X=サン。匠衆(マイスターズ)代表トピア・ポケクラフです。――邪神滅すべし!≫

 

 典型的なブッディズムスタイル。無論、宣戦布告を兼ねていた。

 

存在X「笑止!」

 

 存在Xが杖から溜め無しのバベルの崩壊(ネフィーラク・バベル)を再発動。天元突破十二単轟雷(じゅうにひとえごうらい)はこれを事もなげに避け、存在Xの背後に回って再びホームランした。

 

存在X「――雷速か! 厄介な!」

 

トピア≪正解(エサクタ)! 駆けろ轟雷! 雷神の如くッ!!≫

 

 吹き飛ばされながら存在Xが忌々しげに見解を述べると、トピアはあっさりそれを肯定した。

 バベルの崩壊(ネフィーラク・バベル)は頭頂高50億光年の三者から見て普通の雷のような速度、体感マッハ440で降り注いでいる。これを現状の光速、体感412km/hやエンチャント込みでその2倍程度の体感音速未満のスピードで回避するのは物理的に不可能だ。これを何とかするには光速を超えるベルカ航法でも原理上一応は可能だが、相当の倍率を掛けなければならないので負担が大きい。だが雷速機動ならばもっと簡単に実現が可能だ。

 どういうことかと言えば、存在Xは先ほどから()()()()()()()()()()()()を降り注がせている。これは現在の存在Xの神域では常識に反して雷速が光速を遥かに超えるように定義されていることを意味する。ならば、雷速機動でその雷速に乗っかってしまえば良い。雷速が光速を超えているせいでその動きは相手から全く視認出来なくなるというおまけつきだ。存在Xが自らの雷を活かす為に設定した無茶なチューニングのせいで、轟雷以降では殆ど無用の長物となっていた雷速機動が再び輝くときが来たのだ。

 天元突破十二単轟雷(じゅうにひとえごうらい)(マイスター)ホームランした存在Xを先回りして再び吹き飛ばし、それを連ねて稲妻のような軌道を描いていった。

 

トピア≪必殺! ライジング・メテオ!!≫

 

 最後に稲妻の頂点に先回りした天元突破十二単轟雷(じゅうにひとえごうらい)がホームランバットを振りかぶり、上段から振り下ろした。存在Xがまた勢いよく飛ばされていく。

 

存在X「何が必殺だ、全く効かぬわ!」

 

 その言葉の通り、ここまでの攻撃は見た目が派手なだけで存在Xには殆ど全くダメージが入っていない。そもそも吹き飛ばし特化のホームランバットを起用したのは、全開の105万分の一程度の力では奇襲してもダメージが通らないかもしれないという判断によるものであった。それは拳が防壁を突破出来なかった時点で正しいとトピアは確信していた。

 だがそれでもホームランバットを使い続けていたのは、当然ダメージが入らないことも計算に入れてのことである。トピアは今一人で存在Xに相対しているわけではないのだから。

 

ZERO≪イイアシストダ≫

 

甲児「0に還れ! スクランダーカッター!!」

 

 トピアが最後に存在Xを飛ばした先には当然のように天元突破マジンガーZEROが待ち構えていた。

 スクランダーカッターとは本来マジンガーZの武装の一つで、ジェットスクランダーの翼ですれ違いざまに斬りつける攻撃だ。

 ただし今この技を使っているのはマジンガーZEROで、装備しているのは変形自在のZEROスクランダーだ。ZEROスクランダーはアイアンカッター同様に弓状に変形し、全体を刃としながら頭上までを覆う形で全翼機の翼のように広がっていた。その状態で天元突破マジンガーZEROがすれ違うのではなく頭から全力で体当たりをぶちかましたのだ。

 

存在X「何、ぐほぁぁぁ!!?」

 

 ゴウランガ! 背中からまともに食らった存在Xは、あまりの威力で上下に真っ二つになっていた。

 この強力な攻撃を何故今まで使わなかったかと言えば、変形に若干の時間が掛かること、加速距離が必要なので一旦距離を離す必要があること、距離を取れば存在Xに天元突破十二単轟雷(じゅうにひとえごうらい)を攻撃する余裕を与えてしまうことが理由だ。

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