グラットンスウィフトとはブロントさんの必殺技であり、これを受けた者はバラバラになるのが必定だ。
……というのはブロントさん用語での話であり、実際には大分違う。以前にも説明したが、グラットンスウィフトとはグラットンソードで放つスウィフトブレードのことであり、このスウィフトブレードは片手剣用の汎用スキルなので別にグラットンソード固有の技でもなければグラットンソードを使うことで何か特殊効果が発生するものでもない。
以前はトピアがその辺りの事情を知らなかったのでブロントさん用語のイメージでそのまま理解していたが、後に他の
グラットンスウィフトという用語が最初に出た頃にマインが工場長に家宝グラットンソード(レプリカ)と家宝ケーニヒシールド(レプリカ)の実戦仕様への作り直しを要求していたが、後になってそういった認識の齟齬が発覚したことで実現するべき仕様が一時混乱した。
しかし本物準拠性能のグラットンソードとスウィフトブレードスキルを作るべきか、それともブロントさん用語の方の定義で作るべきかについては、実際のところ当初からマイン本人に示されていた。というのも、そもそも本物の材質が分からないので、「この際強ければ文句は無い」と述べていたのだ。
ならば本物ではなくブロントさん伝説の方のグラットンソードを作ろうということで
黒い剣身に輝く刃で光と闇が両方備わり最強に見えるというだけでなく、この武器は実際に神に対し格別の威力を発揮する。何故ならチェーンソーが神によく効くことは皆様ご存じの通りであり、つまりそのような弱点があると認知されていることで実際に弱点になってしまっているのだ。上司である
一方スキルのスウィフトブレードの方もそのままでは面白くないので、魔法開発課が趣味で協力して1回攻撃しただけで相手の全身を切り刻むユニークスキルとして完成させていた。
つまり神をも両断するグラットンソードと一撃で全身を切り刻むスウィフトブレードを組み合わせて、一撃で神をもバラバラにするグラットンスウィフトが完成したわけだ。
ただしマインはそもそも総司令官であることと、お気に入りのグラットンスウィフトの練習と改良に時間を割きすぎている為に魔導衛士の条件をクリア出来ていない。そのためグラットンスウィフトは魔導衛士が苦戦するような相手にはまず当たらないロマン技でしかなかったわけだが、丁度
しかしここまで粘った存在Xが
よく見ると
師匠に習ったこのバオウステップに本当に効果があるというのはトピア自身も最近知ったところで、まだまだ師匠の教えを十分に理解出来ていないと猛省したものだ。無論九十九師匠もそんなことは知らなかったのだが。
存在X「グワーーーーッ!!?」
存在Xの破片に対して黒い雷が無数に降り注ぐと、存在Xは汚い悲鳴を上げた。やはり死んでいなかったようだ。
この黒い雷は無論
息継ぎを挟んで更に攻撃は続く。
存在X「やめアバーーーーッ!!!?」
存在Xはそろそろ息も絶え絶えだが、
存在X「ギエガガガーーーーッ!!!!?」
これまで以上の密度で黒い雷が存在Xに降り注ぎ、それが終わった頃には存在Xはギャグ漫画のように黒焦げになって地面に這いつくばっていた。これでも滅んでいないのだから大したしぶとさだ。というか、吸収されないように消滅因果攻撃になっている筈なのに消滅ではなく焦げるという結果になっているのがまずおかしい。
どういうことだと更なる追撃の準備をしながら黒焦げの存在Xをスキャンしてみると、額部分に合体していた磔の聖者が何かうわごとのように呟いているのが分かった。
磔の聖者「
聖者の言葉はヘブライ語の筈だが、何故かスジモンのような雰囲気を醸し出していた。
サティ「力の流れを見るに、存在Xの身体の制御権が今はあの聖者のものになってるわ。つまり存在Xを消す因果攻撃が存在Xとは違うものに命中していたから消える効果が正常に発動しなかったようね」
甲児≪逃げたのを誤魔化す為に仲間を身代わりに置いて行ったって事かよ! 何て奴だ!≫
マイン「汚いなさすが邪神汚い! ――だがこれで底が知れたな。遠くには逃げられん筈だ、探せ! それと並行して残骸も全て始末しておけ!」
マインが存在X本体を探すついでに残骸の始末を命じたのは、残骸の中に本体が紛れ込んでいるパターンもあり得るからだ。
しかしマインの想定に反して存在Xが転移して逃げた痕跡は見当たらなかった。無論残骸の中にもいなかった。
では実際どうやって逃げたのかと言えば。
存在X「――ここまで追い詰められるとはな。一旦身を隠して再起を図るべきか」
存在Xは僅かに残った欠けた月の破片の上に立っていた。彼は転移して逃げたのではなく、三位一体の際にどさくさに紛れて本体になり得るタイプの上位分体を残していたのだ。
その分体は小さいからこそ見つかっていなかった。遙か彼方に
存在X「ゆめゆめ忘れるなよ。創造主に仇なした汝らの
まあ要するに身を隠してゲリラ戦術で身内を延々付け狙ってやるから覚悟しろという宣言であった。元々アダムとイヴの罪をその子孫に永続的に背負わせようとする時点で意味不明だったが、その陰湿さはもはや神というよりはテロリストの考え方だ。
そういった逆恨みを募らせながら存在Xが自身の周囲だけ侵入防止防壁を解除した。量子転移では他の世界へは移動出来ないし、侵入防止防壁を全域で解除してしまうと
しかしそのような対策をしていたにもかかわらず、僅かに開いた防壁の隙間から何かの先端が押し入ってきた。色はくすんだ赤だった。
存在Xはそれに危機感を募らせ、通常戦闘形態の22kmまで巨大化しながら即座に押し返そうとしたが、侵入した先端は止まるどころかめり込みながら空間の穴を押し広げていき、最終的に広範囲を砕き割った。
結果として存在Xは自身よりも遥かに巨大な何かに轢かれることとなった。
ノノ≪ウルトライナズマキィィィック!!≫
存在X「ダニィッ!?」
防壁の隙間から侵入してきた巨大な何か。それはダイバスターの爪先であった。
ヘブライ語の日本語訳は『仁義なきキリスト教史』準拠です。