[2023/08/05]1話と2話の統合・書き直しに伴い、旧1話の方を消して以降のナンバリングを修正しております。つまり002以降は従来より話のカウントが1つずつ減っておりますのでご注意くださいませ。
[2023/08/07]素材採掘関係の種類と時系列のミスを修正しました。
[2024/03/08]モンスタープリズムで捕獲してもボスモンスターは交配出来ないので記述を修正しました。
[2025/12/01]後の計算結果と矛盾するため、工場長の設備の消費電力を3倍→据え置き、生産速度を2倍→据え置きに変更しました。その他加筆・修正しました。
トピアの報告が終わり、次はトリオの番だ。
サティ「じゃあ次は工場長どうぞ」
トリオ「うむ。まずはこの星の裏側、衛星からの撮影で分かるBETA勢力図じゃが、この通り昨日とほぼ変わり無しじゃ。この分なら数日で中間点を割られることは無さそうじゃの」
トリオがデバイスを操作してプロジェクターから衛星写真を出す。その横に昨日の写真が並ぶが、言葉通りさしたる変化は無さそうであった。
スコア「これがBETAの勢力か……溢れかえっているな」
ラリー「こいつらが駆逐すべき敵ってわけだな?」
初めて勢力図を見る二人の表情は対照的であった。
トリオ「んで表側と合わせた正距円筒図法にするとこうじゃ。真ん中がユグドラシル、西200kmほどの真紅領域の地下にコアベースがある形じゃな。あとは東300kmに不浄領域、北北東200kmに攻略済のBETA落着点じゃ」
ラリー「おっ、これは分かりやすいな。紙に出してもらっていいか?」
トリオ「ええぞ。お前さんが一番飛び回りそうじゃけえの」
ラリー「ありがてえ!」
トリオはプリントアウトした地図をラリーに手渡した。
トピア「いつの間にかプリンターまで。準備がいいですね」
トリオ「まあの。次に、昨日の課題じゃった環境対策は終わったぞい。汚染の排出は従来の1/100、消費電力と生産速度は据え置きじゃ」
サティ「思った以上に上手くいったわね?」
要求は消費電力を上げすぎない範囲での汚染排出1/10以下のみだったので、汚染対策が想定の更に10倍進んだ上に消費電力が全く増えていないのは望外の結果である。
トリオ「そうじゃの、FICSITの技術転用が上手いこと出来たこともあるが、ほれ、昨日チタン鉱脈とカテリウム鉱脈に採鉱機を設置してもらったじゃろ? あれが省電力性能維持の決め手じゃな。今までどこでも手に入ることを重視して鉄と銅しか使っておらんかったからの」
サティ「なるほど、あれが役に立ったのね」
前日の遠征で銀、カテリウム、ボーキサイト、硫黄といった新たな鉱脈が見つかっていた。これらのうちすぐに使う見込みのあるカテリウムの採掘と搬送を既に始めていたのだ。カテリウムとは金とほぼ同等の特性を持つ金属であり、FICSIT社にはその運用経験が既にあった。
その採掘地からユグドラシルまではそこそこの距離があったため、トラックとトラックステーションによる自動輸送を活用している。
チタンに関してはそもそも天然の鉱脈が無いらしかったが、トピアが枯渇鉱脈に設置したチタンの人工岩盤が機能したので無事鉱脈を確保することが出来ていた。また、この機会にレアメタルの人工岩盤も一緒に設置することになった。
トリオ「んで今日は新たな機材の生産ラインを作って、それからレーザーの研究ラインを作る予定なんじゃが……その前に、鉄と銅以外を使うと決めたからには、ここにどんな素材があるのかを知らんと二度手間になるんでな、そこを今聞いておきたい。チェックシートを配るけえ、各自記入してくれ。ああ、食料品関係や工業生産に向かん資源は書かんでええぞ」
トリオが配布した紙には一番上に「生産に使用した経験がある工業資源」と書いてあり、その下は以下の4項目を記入する表となっていた。
【資源名/量産性/この星で発見済みかどうか/用途と特徴】
つまり先ほど地図をプリントアウトするのに使っていたプリンターは、本来この記入用紙の為に作った物のようだった。用紙を配った後、トリオが自身で記入した内容を記入例としてプロジェクターで投影した。
・木材/天然資源/発見済/基礎的な電柱、基礎的チェスト
・石/地表採掘/発見済/埋立地、レンガ、コンクリート、鉄筋コンクリート
・銅/地表採掘/発見済/導体、軽量化素材
・鉄/地表採掘/発見済/基本構造材、鋼鉄、上位電柱、上位チェスト、貯蔵タンク
・石炭/地表採掘/発見済/発電、爆薬、樹脂
・ウラン/地表採掘/未発見/発電、劣化ウラン弾、核兵器。弾薬ではウラン-238、それ以外ではウラン-235を使用。Kovarex濃縮プロセスでウラン-238をウラン-235に変換可能
・水/リサイクル/発見済/タービン発電、石油化合物
・原油/採掘とともに産出量低下/発見済/燃料、硫黄、潤滑油、樹脂、軽量化素材
スコア「核兵器が既にあるのか!?」
トリオ「自衛用の小規模な奴じゃ。一応
スコア「全高66mの巨大BETAだったか」
スコアは先に伝えられたBETA各種の特徴を思い出す。確かに生半可な武器は通用しそうにない。
トリオ「流石にあれに接近する気にはなれんかったんでのう」
トピア「ただでさえでかい上に尻尾の棘を伸ばして溶解液で中距離攻撃してきますからね」
サティ「まあトピアは生身で倒してたんだけど」
ラリー「ハハハやるなあ。DPSトップは伊達じゃないぜ」
そんな雑談を交わしつつもサティとスコアはすぐに記入を終えたが、トピアとラリーは大量に書き込むことがあるようだった。
記入完了後、用紙を回収したトリオは内容をスキャンして同様に投影した。
まずサティが使ってきた資源は以下のものだ。
・葉/自然素材/発見済/バイオ燃料
・木材/自然素材/発見済/バイオ燃料
・菌糸/自然素材/発見済/布地、薬用吸入器
・石灰岩/鉱脈半永久採掘/発見済/コンクリート
・石英/鉱脈半永久採掘/発見済/ガラス建材、水晶発振器、無線制御、半導体
・硫黄/鉱脈半永久採掘/発見済/ターボ燃料、バッテリー、燃料棒、火薬
・銅/鉱脈半永久採掘/発見済/導体、ワイヤー、アルクラッドアルミ
・鉄/鉱脈半永久採掘/発見済/基本構造材、鋼鉄
・ボーキサイト/鉱脈半永久採掘/発見済/最上位コンベア、最上位採鉱機、ヒートシンク、バッテリー、防護服、原子力発電機他
・カテリウム/鉱脈半永久採掘/発見済/金と同等の特性、高度電子部品に有効
・水/リサイクル/発見済/タービン発電、石油化合物他工業用途
・原油/半永久採掘/発見済/発電(主力)、燃料、プラ、ゴム、合成繊維
・ウラン/鉱脈半永久採掘/未発見/同位体の種類を問わず発電に利用可
・窒素/半永久採掘/未発見/冷却、硝酸
・パワー・スラッグ青・黄・紫/天然資源/未発見/設備を加速させるパワー・シャードの原料。重要資源
・S.A.M.鉱石/鉱脈採掘速度不安定/未発見/稀に見かける資源で、採掘したことはあるが用途は未確定
種類もそれなりに多いが、サティの最も大きな特徴は利用する資源そのものではなく、資源を枯渇させずに採掘し続けることが出来るという所だ。なので自動採掘はほぼサティの担当になっている。
トリオ「カテリウムはさっき言った通り既に使わせてもらっておる。金と電気特性がほぼ同じでありながら鉱脈がまとまっておって金より大量に採掘出来るのがありがたいの」
サティ「まあその気になったら金の鉱脈はトピアが作れるらしいけどね」
スコア「鉱脈を作る……?」
トピア「枯渇鉱脈を人工岩盤で復活させる際に鉱石の種類を10種類から選べる形ですね」
サティ「そういう魔法のアイテムですって」
ラリー「だってよ」
スコア「……了解した」
スコアも魔法を活用しているだけあり、多少の不思議現象はそういうものとして飲み込んだようだ。
トリオ「アルミが地味に重要資源じゃの。鉱脈が見つかって良かったわい」
サティ「そうね、でも最高位のコンベアや採鉱機はTier7や8を解放してからだからもう少し待ってね」
地下への採鉱機設置や引っ越し先の住居建設など、サティのタスクは大分立て込んでいるのだ。
トリオ「原子力発電の出力はどのくらいじゃ? 儂の方は1基につき40MWで既にそっちの石炭発電に負けておるから実質やる意味が無いんじゃが」
サティ「2.5GWよ」
トリオ「また桁が2つ違うのう」
トリオは降参と言いたげにため息を吐いて肩をすくめた。
サティ「まあ普通は希釈燃料を使った大規模並列火力発電で十分電力が足りるし、燃料棒に必要な消費資材や放射線の管理もしなくていいから、面倒な原子力発電には手を出さないんだけど、今回は贅沢を言ってられないかもしれないわね」
流石に戦争となると普段の惑星開拓とは訳が違う。電力はあればあるほど良いだろう。
ここでトピアが挙手して質問する。
トピア「あの、一つ疑問なんですけど核融合発電はしないんですか? スパイダートロンって核融合炉で動いてますよね?」
スコア「核融合炉もあるのか! それが使えれば心強いな」
この話題にサティとトリオが顔を見合わせ、互いに活用が難しいことを察するとため息を吐いた。
サティ「FICSITの惑星開拓では核融合炉の建設が許されてないのよね。技術はある筈なんだけど」
トリオ「核融合炉はのう……携帯性と運用コストは抜群に優れておるんじゃが、発電量あたりの要求資材がかなり重いんじゃよな。結構高度な資材を使って750kWの発電量じゃけえ、大電力の生産には向いておらん。同じ電力を発電するなら石炭発電機やソーラーパネルの方がまだ向いておる。まああっちは敷地面積を食うんじゃが。そこに2.5GW原子炉が出てきたら比較対象にもならんぞい」
確かに40MWの原子炉が相手でも分が悪かったのに、それを更に2桁引き離す2.5GW原子炉が比較対象になると殆ど誤差程度の電力でしかない。
トリオ「まあ新しい素材やFICSIT技術の応用でもっと効率が上がる可能性はあるがの。そのための資源調査アンケートじゃ」
トピア「分かりました」
スコア「そう旨い話でも無かったか」
トリオ「んで話を戻すと、特徴に書いてある通り、一番重要なのはこのパワー・スラッグかの? どんなのじゃ?」
サティ「そうね、FICSIT社が開拓する惑星によくいる人間に近い大きさの光るナメクジで、青がパワー・シャード1つ分、黄が2つ分、紫で5つ分になるわ。パワー・シャードは特に採鉱機を最大2.5倍速で駆動させる重要な部材よ。代わりに消費電力は2.5倍以上に増えるけれど、設置数が限られる採鉱機に使えば絶大な効果があることは説明するまでもないわね? パワー・シャードはまだ200個以上あるけど、このパワー・スラッグがいないと頭打ちだから、見つけたら是非報告してほしいの」
スコア「それは重要と言わざるを得ないな」
無尽蔵に採掘出来てしかも採掘速度にも優れるFICSIT採鉱機は今や
トピア「あれナメクジで加速してたんですね」
サティ「ナメクジそのものを入れてるわけじゃないのよ?」
ラリー「あー、俺多分それ見かけたぞ。
トピアが暢気な話題を振っているところに、挙手したラリーがまた重要な情報を持ち出してきた。
スコア「何だと!?」
トリオ「でかした!」
サティ「よくやったわ!」
トピア「ナイスです!」
ラリー「お、おう」
何となく記憶に残っていたことを報告したら突然総掛かりで絶賛されてラリーは困惑した。
情報のすりあわせが無ければこの発見の重大さにラリーは気づきもしなかったのだから会議は大事である。
サティ「生け捕りにする必要があるから間違って倒してしまわないようにね」
ラリー「OK、肝に銘じとく」
サティ「今後パワー・スラッグの生息域調査も予定に入れないとだわ、そうなると……」
トピア「あ、サティ姐さん、そのナメクジなんですけど」
サティ「何かしらトピア?」
トピア「生きてる状態ならうちの交配所で養殖出来る可能性があるのでは?」
会議室が沈黙に満たされた。
サティ「……出来るの?」
トピア「まずは試してみないとですが、
確かアヌビス神もモンスタープリズムに入っていた筈では? という疑問がトピア以外全員の脳裏に浮かんだが、それはこの際重要ではないので、サティ達はそれについては考えないことにした。現実逃避とも言う。
正確にはボスモンスターはモンスタープリズムで捕獲しても交配所Sで増やすことは出来ない。恐らく交配所MかLで交配出来そうなのだが、それは未実装だ。
しかしそのボスモンスターを捕獲するにはモンスタープリズム以外に鎖式拘束弾という別の拘束用アイテムを併用しなくてはならないので、モンスタープリズム
なおノーマルアヌビス神はモンスタープリズムだけで捕獲出来るタイプだ。
サティ「結構可能性が高そうね。じゃあスコアの家畜と合わせて試してみてくれる?」
トピア「分かりました、重大任務ですね!」
トピアは任された仕事にふんすと気合を入れた。
次に、スコアが使っている資源は以下のものだった。
・木材/養殖可/発見済/木の根の成長が速いため量産が簡単
・繊維/養殖可/発見済/モンスターがドロップする
・サンゴ/養殖可/発見済/サンゴ部材にするとどういうわけか真紅石より頑丈になる。量産が簡単なので使いやすい
・石灰岩/土壌/発見済/サンゴの厚板と合わせてサンゴの壁にできる
・銅/鉱脈採掘/発見済/初期部材、電気関連
・ブリキ改めスズ/鉱脈採掘/発見済/銅の上位部材、錬金台、線路の材料
・鉄/鉱脈採掘/発見済/スズの上位部材
・金/鉱脈採掘/発見済/特殊効果のある宝飾品
・真紅石/鉱脈採掘/発見済/鉄より強靱な鉱石。ドリルに使いやすい
・オクタリン/鉱脈採掘/発見済/真紅石より更に強靱な鉱石。量産可能な弓の材料として現時点で最高。光る建材の材料にもなる
・ガラクサイト/鉱脈採掘/発見済/オクタリンより更に強靱な鉱石だが、曲がらなすぎて弓には使えない。比較的強力なトラップの材料になる
トリオ「こうして並べてみるとやはりサンゴの強靱さが意味分からんの。どんな成分で出来ておるんじゃろうな?」
スコア「採取時点ではサンゴよりも石灰岩の方がやけに頑丈で苦労したぞ?」
サティ「マイナー素材だけどガラクサイトも地味におかしいわよ。まあともかく、今注目すべきはオクタリンとガラクサイトかしら。まだ分析にはかけてないけれど、強度と量産が両立出来そうな有望な素材ね」
トリオ「鉱脈の真紅石、オクタリン、ガラクサイトはFICSIT採鉱機でいけそうかの?」
サティ「余程のイレギュラーが無い限りはね。S.A.M.鉱石みたいな例外があるから油断は出来ないのだけれど」
資源の特徴以前に注目すべき点はFICSIT採鉱機による安定した自動採掘が可能かどうかであった。
トピア「しかし木材が自動で量産できるなら、アブソーバーかインサータと組み合わせて全自動バイオマス・バーナー発電が出来そうですね?」
サティ「地味に常識を覆されるわね。発電量的に今やる意味は無いけれど」
トピア「まあそうなんですよね」
今更自動化が出来てもバイオマス・バーナー発電機30MWの微妙な立ち位置を変えることは出来なかったようだ。