【完結】匠 VS BETA   作:MMZK

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 [2023/10/05]地下の天井の高さについての記述が足りていなかったので修正しました。
 [2025/12/14]加筆・修正しました。時間経過部分に仕切りを追加しました。


045. 触手滅ぶべし! 慈悲は無い!

 トピア、サティ、スコアの三人は鉱脈巡りを始めた。まずはコアベースから電線を引っ張りながら最寄りの鉱脈へと向かった。そこにあるのは錫の鉱脈だった。

 鉱脈は既にサンゴの壁に囲われており、ポータルでコアベースと繋がっていたため、当面のプランではここに高さ合わせの土台と採鉱機を設置して保管庫に繋ぐだけとなっていた。

 採鉱機を設置するには高さ18m以上の空間が必要だが、鉱脈の周りはどういうわけか必ず空間が開けており、天井も高くなっているので設置に問題は無かった。

 最終的にはここからコアベースに送ってそこから必要量を列車でユグドラシルに運ぶルートを繋ぐ予定だが、それは最終段階の採鉱機Mk.3とコンベアMk.5が解放されてからの話である。

 しかしトピアがふと思いついた。

 

トピア「このポータルにコンベアを通すことは出来ないんでしょうか?」

 

 ポータルのゲート内径幅は1m。トリオやスコアのコンベアなら何とか通るサイズである。ついでに電線も通せそうだ。

 

スコア「短時間なら出来ると思う。しかし開きっぱなしにしていたらマナが枯渇して接続が断絶し、断絶した瞬間に切断事故が起こる可能性が高いな」

 

サティ「それはまずいわね。電力で動くものなら何とかするのだけれど」

 

トピア「そう上手くはいかないものですねえ。あ、マナポーションを燃料にしたら持続時間が伸びたりしませんかね?」

 

サティ「そんな簡単には……実際どうなの?」

 

スコア「分からん。性能向上案として検討の余地はあると思うが、すぐに実現出来るようなものでもない」

 

 将来的な実現が可能かどうかに拘わらず、とりあえず今出来ることではないので、サティ達は当初の予定通りに作業を開始した。

 サティがサンゴの壁に壁用電源差込口を通したことで電源が繋がり、採鉱機が稼働を開始した。残念ながらコア周辺の鉱脈は低純度判定であったが、それでも採鉱機Mk.2からは60個/分を2.5倍速にした150個/分のペースで錫鉱石が吐き出され、アブソーバー付きのテラリアン宝箱(Chest)(容量399,960)に収められていく。

 錫鉱石は最終的には錫のインゴットに加工する必要があるのだが、これをどの溶鉱炉で処理するかを朝の会議の後で炉の実物を見て検討していた。(マイスター)達が調達可能な炉を速度が低い順に並べると

 

・スコアの溶鉱炉:上位鉱石を処理可能だが真紅石2.22個/分、オクタリン1.88個/分と処理速度が低下していく。マナ駆動

・スコアのかまど:序盤鉱石用。銅7.5個/分、錫5個/分と処理速度が低下していく。マナ駆動

理想郷の建設者(クラフトピアン)の石の炉:20個/分、マナ駆動

理想郷の建設者(クラフトピアン)の熟練の炉:25個/分、マナ駆動

・FICSITの製錬炉:30束/分、4MW

・トリオの電気炉:37.5個/分、180kW

・テラリアンのかまど(Furnace)チタンの鍛冶場(Titanium Forge):3,600個/分、マナ駆動

 

 となり、テラリアンのかまど類が電力不要の上に明らかにおかしい処理速度を誇っていた。他が一桁から精々二桁の所、まさかの四桁は圧巻である。

 しかしこの比較は正確さに欠ける。何故なら物資1単位の大きさがそれぞれ違うからだ。ここで特にしっかり規格化されているFICSIT規格の単位物資量を1fr(FICSIT Resource)として物資1単位の体積を比較すると、それぞれのインゴットや金属板の1塊は

 

・トピア:0.1600fr

・サティ:1.0000fr(※インゴット1ダースセット)

・トリオ:0.0102fr(※板状)

・ラリー:0.2000fr

・スコア:0.8000fr

 

 となる。

 ただしFICSIT規格ではインゴット1ダースを1単位としているため、インゴット1つあたりの大きさではトピア、ラリー、スコアが扱っているものの方が大きい。

 そしてこの物資1単位の量を上の炉の処理速度に適用すると

 

・トリオの電気炉:0.384fr/分、180kW

・スコアの溶鉱炉:上位鉱石を処理可能だが真紅石1.78fr/分、オクタリン1.50fr/分と処理速度が低下していく。マナ駆動

理想郷の建設者(クラフトピアン)の石の炉:3.20fr/分、マナ駆動

理想郷の建設者(クラフトピアン)の熟練の炉:4.00fr/分、マナ駆動

・スコアのかまど:序盤鉱石用。銅6.00fr/分、錫4.00fr/分と処理速度が低下していく。マナ駆動

・FICSITの製錬炉:30fr/分、4MW

・テラリアンのかまど(Furnace)チタンの鍛冶場(Titanium Forge):720fr/分、マナ駆動

 

 となる。

 特にトリオの炉の評価が最低ランクまで落ちてしまい、1fr当たりの消費電力でもFICSITの製錬炉が8.00MW/frであるのに対しトリオの電気炉は28.1MW/frとなるため大分厳しい。つまりこれまで省電力性能ではFICSITが劣るというイメージであったが、処理速度を考慮に入れて比べると一概にそうとも言えないことになる。逆にトリオの発電機関の発電量が少ないというイメージも、使用する燃料に対する発電量で計算するとまた別の結論になる。

 一方テラリアンのかまど類の評価も1/5に下がっているが、それでもFICSITの製錬炉の24倍速いので、満場一致で採用が決まった。見た目は技術レベルが低そうに見えるが、魔法で動いているからか品質にも問題は無かった。

 代わりに手動でしか動かないという条件があったのだが、トピアがクラフトコネクタを装着したことであっさり解決した。このクラフトコネクタとは手動設備に装着することで自動化ラインの一部に組み込んでしまう便利モジュールである。ただし安定性がやや低いので、上手くいかない場合は前後への接続をアブソーバーとドロッパーで代替することになる。

 そういうわけでテラリアンのかまど(Furnace)が他を差し置いて標準溶鉱炉の座に居座ったわけだが、かまど(Furnace)はあくまで序盤の施設であり、コアベース付近の素材で言うとガラクサイトの加工が出来なかった。

 テラリアンの世界で言ってもヘルストーンを加工するには地獄の鍛冶場(Hellforge)、更にアダマンタイト以上の上位の鉱石を加工するにはアダマンタイトの鍛冶場(Adamantite Forge)チタンの鍛冶場(Titanium Forge)が必要なのだが、最上位の2つも地獄の鍛冶場(Hellforge)が材料である上にこの地獄の鍛冶場(Hellforge)地下世界(The Underworld)で拾うしか調達手段が無い。

 幸いラリーはアダマンタイトの鍛冶場(Adamantite Forge)を持ち込んでいたが、これも3つしかなかった。当面はこの内1つをコアベースに置いてガラクサイトの製錬処理に回し、採掘所では鉱石状態で保管する事になった。他の鉱石は普通のかまど(Furnace)でも処理が可能なので採掘所側にかまど(Furnace)を設置することもやろうと思えば出来るのだが、最上位に合わせる形になったわけだ。

 ともかく地獄の鍛冶場(Hellforge)の需要により益々地下世界(The Underworld)探索の重要性が高まったわけである。

 

 そんな事情を踏まえた設計で最初の地下採掘所を建設したサティが稼働確認を終え、号令を発した。

 

サティ「よし、この形式で次からブループリントが使えるわね。どんどん行きましょう」

 

トピア「アラホラサッサー!」

 

スコア「アラ……何だって?」

 

 突如妙な返答をしたトピアにスコアが動揺した。いやポーズから敬礼だとは分かるのだが。

 

サティ「それ本当に流行ってたの?」

 

トピア「はい、特に日本全国の女子高生の皆さんに大ブレイクしてたらしいですよ?」

 

サティ「日本の女子高生って変わってるのねえ」

 

 どちらかと言えば作中キャラが勝手に女子高生ファンを想定して呼びかけていたというのが実態に近いのだが、そんなことはサティのあずかり知らぬところであった。

 

 

◆■◆■◆■◆■◆■◆■◆■◆■

 

 

 サティ達はこの採掘所からまた電線を引っ張って電力網を形成しながら次々に採鉱機を設置していった。オクタリンを採掘するには海の上を渡る必要があるが、水面の上に床や土台を敷き詰めていけば問題は無い。ついでに鬱陶しい触手はスコアとトピアが狩っていき、結界の旗を立てて近隣には二度とポップしないように抑制した。

 

トピア「触手滅ぶべし! 慈悲は無い!」

 

 そこそこの距離から高速で岩石を投げつけてくる触手に、遠距離攻撃があまり得意ではないトピアは苛立っていた。魔法装備のライトニングボルトならある程度の距離までは攻撃出来るが、発動に若干の時間がかかる上に着弾座標のばらつきが激しいのだ。まあ少しぐらい着弾がずれても、海水経由で触手は感電していたが。

 建設作業中のサティを庇って敢えて避けずに攻撃を受ける必要があるのも苛立ちの原因だ。かくなる上は味方の射線を遮るのを承知でフロストマインをぶっ放して凍らせてやろうかと思うほどだ。

 それでもマジックバリアにダメージを肩代わりさせているトピアはまだましな方で、スコアの方は相手が岩を投げる前に可及的速やかに倒す必要があった。

 

サティ「悪いわね、二人とも」

 

スコア「前はオモロスの触手までは出なかったんだが、悪化しているな」

 

 通常の触手と別に出現するオモロスの触手は近接攻撃という意味ではましなのだが、結界の旗の効果が無いところからは床を破壊して出現するのが問題だった。

 結界の旗を効果範囲が丁度隙間無く隣接するように配置しようとすると途中で前の旗の領域外に一旦出なくてはならないので、オモロスの触手の出現を防ぐには効果領域の端に達した時点で次の旗を立てる必要があった。旗を立てる間隔が半分になるため旗の消費速度も立てる手間も2倍であり、これはこれで鬱陶しい。

 

トピア「第3の巨獣の封印が解かれた影響でしょうか?」

 

スコア「かもしれないな。まあ海の鉱脈はこれで最後だ。次に来るとしたら機材更新のタイミングになるだろうし、既に旗が立っている状態なら今回ほど酷くはならないだろう」

 

サティ「むしろ湧き潰しも出来ない状態でよくこんな所を行き来してたわね?」

 

スコア「勿論大概鬱陶しかったぞ。私の耐久力も今の1/3しかなかったし、死にかけたのも一度や二度ではない」

 

サティ「それは……大変だったわね」

 

スコア「ああ」

 

 それはともかく今でも触手は鬱陶しいので、スコアはあらん限りの憎しみを込めて光の矢を射るのであった。




 物資単位frの測定はまずはそれぞれのコンベア幅やインゴットのサイズからSatisfactory、Factorio、Craftopiaのインゴット体積を出し、TerrariaとCore Keeperは長剣1本に使うインゴットの数でCraftopia経由でインゴット体積比を算出、最後にSatisfactoryだけ1ダース単位なので12倍しています。
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