地下集合住宅への引っ越しも完了し、夕食後にトピアとラリーは
二人で役割を分担して作業を進めた結果、30分もかからずに
トピア「ここが地下世界……なるほどこの一面の溶岩地獄は期待出来そうですね! ……どうしましたラリーさん?」
遂に念願の地獄らしきバイオームを目にしたトピアはテンションを上げていたが、その傍らでラリーは舌を出して顔をしかめていた。
ラリー「か・ら・す・ぎ・る! このヘルレジストポーションとかいう奴、辛さで発汗してたら耐熱効果の意味ねえぞ!」
二人は
トピア「はて、赤のハーブの保護効果が効いていれば何ともないはずなんですが、もしかしてよく振らずに飲みました? ハイライフポーション飲みます?」
ラリー「くれ!」
ラリーがハイライフポーションをひったくるように受け取って飲み干すと、数秒で地獄の辛さが落ち着いてきたようだった。単純な回復効果もあるが、ハイライフポーションも原料は赤のハーブであり、20倍濃縮のためヘルレジストポーションに含まれている成分以上の粘膜保護効果があるのだ。
ちなみにこのアイテムの説明には最上級の辛さによって熱血気分になり暑さを忘れるといったおよそ精神論的なことが書いてあり、本来の用法としては辛いまま飲むようである。このため敢えて振らずに飲む激辛愛好者や熱血愛好者もいるのだが、到底常人が許容出来るレベルの辛さではないのでトピアは一度で懲りた。
最初にトピアがこのヘルレジストポーションを飲んだ時、師匠はのたうちまわるトピアを見て笑っていたのだが、その後師匠に安全な飲み方を教えてもらったことでトピアの記憶はしっかり尊敬方向に上書きされている。
ラリー「ひでえ目に遭った。……だがこのライフポーションはよく効くな」
トピア「そうですね。まあライフ回復は大体ヒールや料理で済ませてしまうので、こういう副次的な使い方が案外多かったりしますが」
ラリー「贅沢な話だぜ」
それはともかくとして、
ラリー「ああそうだ、あの空を飛んでる
トピア「どうやって見分ければいいですか?」
ラリー「
トピア「……今デーモンのついでに流れ弾が当たったのがそれでは?」
ラリー「うん? ……あっ」
ラリーが再び前方を注視すると、地形の影から低空飛行で出てきた
トピア「……まさにそのドロップアイテムが溶岩に落ちましたけど、一体何が起きるんです?」
ラリー「
ラリーが前後を交互に確認していると、果たして
その姿はまさに肉の壁。行く手を阻むべく上下左右に大きく広がった板状の生肉の中央に牙のある口、その上下に大きな目玉がついていた。問題はそのサイズで、
ラリー「こっちかオラァ!」
だがすかさずラリーが中央の口めがけて
トピア「見た目の割に思ったほど強くはないんですね?」
ラリー「まあ所詮前半戦最後の敵だ。
トピア「とすると、何を警戒……いや、確かウォールオブフレッシュを撃破すると侵食が進むとか……?」
その時、トピアの目の前に通知ウィンドウが開いた。
外敵駆除
Clear
Get!
EXP +2,000
レベル上限解放 +1
古代の光と闇の精霊が解き放たれた。
トピア「古代の光と闇の精霊が解き放たれた? 何ですか、最強に見える的な?」
いつものミッション達成通知の最後によく分からない文言が追加されていた。その文言からトピアの脳裏に浮かんだのは有名な浅黒いエルヴァーンの騎士であった。
ラリー「後半戦突入ってことだな。侵食が一気に広がるから、出来ればタイミングは明日の朝にしようと思ってたんだがな」
トピア「あー、その隔離や浄化を今から作業開始するのは時間的に問題がありますもんね」
ラリー「そういうこった。んで
トピア「近いなら是非行ってみたいですね! 宜しくお願いします!」
ラリー「何だァこのばかでけえ鎖は?」
トピア「見間違いでなければ、恐らくダークアヌビス神殿を地面につなぎ止める鎖です。この鎖の向かう先にあるはずです」
トピアが指さす方向をラリーが仰ぎ見るが、遠すぎて霞んでしまい、行く先が見えない。
ラリー「話に聞く超ありがてえ薬を
トピア「その方向には向かいますが、周囲にいるはずのラヴァゴーレムを3つのポイントで討伐しないと封印が解けません。まずは『獄炎木』と『熱を帯びた鉱物』を探して、そのついでに見つけ次第ラヴァゴーレムも討伐します。ラヴァゴーレムの出現ポイントには溶岩柱が上がるので比較的目立つはずです」
ラリー「OK分かった」
ダークアヌビス神についての認識がちょっとどうかと思う感じではあるが、二人は揃ってアヌビス神殿を目指した。そうすると出現するMOBが変化して地獄特有のヘルチキンなどが出現するようになり、更に足元から定期的に溶岩が噴き出してくるようになったため、トピアはここがクラフトピア由来の地獄バイオームであるという確信を深めた。
ヘルチキンとは攻撃的なでかい茶色のニワトリである。固有ドロップは美味しくないが、ヘルチキンに限らず地獄に生息するMOBは固有ドロップと別に確率で『熱を帯びた鉱石』をドロップするため、トピアは手の届く範囲のMOBを極力倒しながら突き進んだ。ただしヘルチキン自体に素材としての使い道があるのでトピアはヘルチキンを1羽だけ捕獲した。
二人が暫く進みながら捜索を進めると、