[2025/12/17]加筆・修正しました。時間経過部分に仕切りを追加しました。
西海岸に転移して仮拠点設営後に一直線に東へと向かったラリー。その行く手に目的の場所が見え始めた。ブロック構造の兵器を使っている西軍の陣地だ。
陣地は東側にタワー型のミサイルタレットを複数配置してそれより西側に幾つかの工場やタワー型太陽光発電所を置いてある形だった。
その発電所に横付けしている戦闘指揮車らしきものにラリーは丸腰で接近する。まずは不利に陥っている西軍に話をもちかけてみるつもりで、最初から敵対行動をされては面倒だからだ。
ところがその西軍は最初からラリーに砲門を向けた。
ラリー「おーい西の司令官さんよ、こっちは丸腰だぜ? そんなに警戒しなくてもいいだろう?」
重ねて敵意の無さを示すため、ラリーは一応両手を挙げた。しかし返ってきた言葉は辛辣であった。
西軍司令官≪怪しい奴め! 死にたくなければ早々に立ち去るでござる!≫
時代がかった口調だがスピーカー越しの声は高く、女か子供のようであった。
警戒中だからか、姿を見せる気は無いようだ。
ラリー「ハッハー、心外だな! 俺のどこが怪しいって言うんだサムライ?」
西軍司令官≪何を当たり前のことを。そんな目玉の化け物を引き連れた奴が怪しくなかったら一体誰を疑えというのでござるか!?≫
原因は出しっぱなしの浮いて光る目玉触手、
なるほどと頷いて相手の主張の正当性を認めたラリーは光源ペットをそっと
ラリー「よし、これで問題は無いな!」
西軍司令官≪今更無かったことにできるかァ!?≫
残念ながら当然の反応である。
ラリー「オイオイ注文が多いぜサムライ。それより今東の方と武力衝突して困ってんだろ? これでも仲裁に来たんだぜ?」
西軍司令官≪仲裁? もしや東の騎士かぶれと面識でも?≫
西が古風な武士かぶれだと思ったら東は騎士かぶれらしい。なるほど相性が悪そうだ。
ラリー「いや無いが」
西軍司令官≪はあー……全く話にならんでござるよ。怪しい化け物を連れているとはいえ、生身の人間一人に一体何が出来るのでござる? それがしが誇るTech軍団でも大苦戦中なのでござるぞ?≫
ラリー「いやいや、やってみねえと分からん物だぜ? とりあえず俺らとしてもお前さんに退場されると困る……お前さんじゃ呼びにくいな。俺は
西軍司令官≪テラリアン? よく分からんでござるが、それがしはGSOの
ラリー「おう、ありがとうなテクス。んでそのGSOってのは企業か何かか?」
西軍司令官→テクス≪は? まさかGSOを知らんのでござるか?
ラリー「すまんが全く知らねえ。そんで相手側の正体も知らんだろ?」
テクス≪……そういえば名のありそうな軍勢なのにあんなの見たことがないでござるな。一体どこから出てきたでござるか、あのTech規格の10倍ほどでかいブロックは≫
ラリーの指摘にテクスも納得するところがあったようで、状況について考え込む様子を見せた。つまりまともな対話が可能だと判断したラリーは、すかさず質問を投げかけた。
ラリー「んで、喧嘩の原因は何なんだ?」
テクス≪軌道降下中に貰い事故をしたでござるよ。それで文句を言ったら問答無用で撃たれたでござる≫
ラリー「お前もかよ」
明らかに聞き覚えのあるアクシデントに、ラリーは反射的にツッコミを入れた。
テクス≪もしや、そこもとも経験が?≫
ラリー「いや、俺の仲間の一人が丁度ここに降下中にな。って話し込んでる場合じゃなかったな。こっから東に通話できねえか?」
テクス≪無理でござるな。通信ではうんともすんとも反応がないでござる。外部音声には砲弾や光線が返ってきたゆえ、一応聞こえてはいる筈でござる≫
ラリー「そんじゃしゃーねえ、直接行ってくるぜ」
やはり接近する必要があると判断したラリーは、高度を上げつつ東の陣地を見据えた。
テクス≪止めはせぬが、状況を悪化させるのだけは勘弁するでござるよ?≫
ラリー「最悪でも援軍が来るまでの時間は稼ぐぜ。
テクス≪援軍?≫
その問いを置き去りにして、ラリーは
テクス≪面妖な。いや、ともあれそれがしも準備を整えねば≫
◆■◆■◆■◆■◆■◆■◆■◆■
東に向かったラリーは東軍の前1kmほどから減速し、700mほどを切ったところで東軍最大サイズのタレットが自身の方を向き始めたのでそこで空中停止した。
ラリー「警戒距離はこんくらいか」
ラリーは息を吸い込み、そこから東軍に向かって大声で呼びかけた。
ラリー「俺は
距離があるので声が届くまで待つこと数秒。反応はあった。
東軍司令官≪……退去せよ。生身の人間をいたぶる趣味は無い≫
東軍司令官は話を聞くつもりが無さそうな高圧的な態度だが、声からしてこちらも成人男性ではなさそうだ。
ラリー「こっちは話を聞けと言ってるだけなんだがな?」
そう応答してからものの2秒。東軍最大サイズの長辺40m級タレットが見るからに剣呑な光を湛えてエネルギーチャージを始めた。
東軍司令官≪我が騎士道を阻む者に傾ける耳など無い≫
言い終わるとともにタレットが発砲した。膨大な量の光芒がラリーに迫る。しかし予備動作が見え見えだったので、ラリーは射線を読んで
ラリー「なるほどこれが問答無用って奴か。面白え、やぁってやるぜ!」
ラリーは角錐状の透明結晶を取り出し、前に掲げた。それはラリーの手から離れて浮遊し、頂点を前に向けて回転し始めた。
ラリー「
角錐結晶から6本の細い光線が生じると、それが収束して正面へと照射する太い純白の光線を形成する。
ただし
そして通常はマナポーションを使うたびに
何故ハイマナポーションでないのかと言えば、1枠に10倍保持出来て1本当たりの効果がハイマナポーションの1/4.375にとどまる小さなマナポーションの方がインベントリ1枠のマナ容量としては2.285倍優れており、しかも1本当たりに要求される材料がハイマナポーションの1/20で済むためマナ回復量/材料でも4.57倍優れるのだ。なので
この組み合わせにより、ラリーは敵の射程外から途切れることの無い魔導ビームを好きなだけぶっ放している。レーザーとしては白色光は位相が揃っていなくて威力が出なさそうであるが、魔導ビームなので細かいことは考えるだけ無駄だ。
都合のいいことに、東軍で最大の射程を誇ると目される大型タレットでもその射程は700m程度でしかない。それより離れると一切撃ってくる様子が無いのだ。東軍は西軍が後退するたびに次のタレットを相手の近くに新しく設置するという行動をここまで繰り返していたことも併せて、ブラフでもなさそうだ。
射程で勝り、相手が動かず、幾らでも撃ち続けられる、とここまで条件が揃えば一方的に撃滅出来そうに感じるが、実際の所そうは問屋が卸さなかった。
東西両司令官の母国語はゲームのデフォルトに準じた英語なのですが、最初にラリーが日本語で呼びかけたためにつられて日本語(ゲームにおける選択可能言語)で話しています。
以降当面13時01分に投稿予定です。