【完結】匠 VS BETA   作:MMZK

53 / 387
 [2023/10/31]テクスの頭身と身長が低すぎたので修正しました。(4頭身→5.5頭身、90cm弱→100cm弱)
 [2025/12/19]テクスの頭身を上げすぎて小学生以上になっていたので5頭身に再修正しました。その他加筆・修正しました。


053. 我こそはマイン・ストリアニューダ。名も無き中隊(ネームレス・カンパニー)の謙虚な騎士(ナイト)とは何を隠そう私のことだ

トピア「というわけで、こちらが捕縛してきた東軍司令官さんになりまーす」

 

東軍司令官「くっ、殺せ!」

 

 コアベースで(マイスター)達が集う会議室の壁面ディスプレイ、その前の椅子に東軍司令官が縛った状態で座らされていた。

 

 このディスプレイはFICSIT製の展示看板で、幅2m×高さ1mのそれなりに大型のものだ。人数も増えたので、部屋が明るいままでもはっきり見えるようにとトピア達の出張中にサティがプロジェクターの代わりに新たに設置したのだ。何故今になって設置したかというと、デジタルサイネージではあるが名前が「看板」なのでディスプレイとして使えることを失念していたのだ。サティが地下集合住宅の自分の部屋のネームプレートに一番小さい50cm×50cmの看板を設置した所で、もう少し大きければ会議室のディスプレイとして使えそうですねとトピアに言われて初めて気付いたのである。

 なお最大サイズはこの8倍の幅16m×高さ8mにも達するが、当然大きすぎて会議室の天井高さ3.6mに入らなかった。看板と言うだけあってこれは元来屋内用途の物ではなく、ビルの外壁に貼り付けるような物なのだ。これもサティが失念していた原因であった。

 

 さて、そのディスプレイの前に座らされている東軍司令官はトピアの趣向でわざわざ亀甲縛りにしてあるため体型の凹凸が強調されており、無駄に羞恥を煽る恰好となっていた。それをスコアが「これが日本のロープワーク・アートか……」などと呟きながら凝視している。

 

トピア「早速のくっころありがとうございまーす。そろそろお名前を伺っても宜しいでしょうか?」

 

東軍司令官「ふん、貴様らに名乗る名など無いわ!」

 

トピア「ではそのように」

 

東軍司令官「は?」

 

 せめてもの抵抗に名乗りを拒否したらあっさり流されたことに東軍司令官は面食らった。

 

トピア「可能ならば協力していただこうと思っていましたが、本人にその気が無いのでしたら仕方がありません。あの設備の数々を技術解析するだけでも十分利益があると思いますがどうでしょうか?」

 

 トピアはトリオ工場長とサティに視線を向けて意見を問う。

 

トリオ「独自解析にゃ多少時間はかかるじゃろうが、稼働しておる現物があれだけあればの」

 

サティ「あの軍事技術は大した物だけれど、能力が不確かな上に協力の意思が無い人にこの調子で足を引っ張られるよりは、その方が余程ましでしょうね」

 

 どうやら協力しなければ勝手に技術を吸収するだけだという方向で話が進んでおり、このままの態度でいればどんどん自分の扱いが悪くなっていくであろうことを東軍司令官は予感した。

 そしてその予感を裏付けるように。

 

テクス「有罪(ギルティ)! 有罪(ギルティ)! 有罪(ギルティ)でござる!」

 

 サティの膝の上では東軍の猛威に晒された西軍司令官のテクスが盛んに東軍司令官の処分を訴えていた。その容姿は幼く、まるで少年、いや未就学児のようであった。サティに似た安全服を着用しているため、歳の離れた姉弟がペアルックをしているように見えなくもない。

 

トピア「あ、テクスさんも改めて自己紹介をお願いして宜しいですか?」

 

テクス「承知、それがしはGSOの探鉱者(プロスペクター)、テクス・ペテラロードでござる。あとこう見えて子供ではござらん。成人済の小人族(ランティノイド)でござる。だから頭を撫でるのはやめるでござるよ!」

 

サティ「あらごめんなさい?」

 

 サティはテクスを撫でるのをやめたが、微笑ましいものを見るまなざしはそのままであった。

 

スコア「ランタノイド?」

 

 確かランタンからルテチウムまでの元素のことだったろうかとスコアは思い浮かべたが、それが成人済みとはどういうことだろうかと首を傾げた。

 

テクス「ランティノイド、見ての通りの小人族でござる。それがしらはそこもとらのようなヒューマンほど大きくならぬのでござる」

 

ラリー「あのちっちゃい操縦スペースからテクスが出てきたのは吃驚したよな」

 

 東軍との戦闘終了後、戦闘態勢を解除してわずか1m×1m×1mの大きさしかない西軍指揮官機の操縦スペースから出てきたのがこの小人族(ランティノイド)のテクスであった。その身長は直立しても100cm弱、5頭身程度である。玩具の兵器から玩具の兵隊が出てきたようなイメージであった。

 

テクス「ちっちゃい操縦スペースとはコントロールユニットのことでござるな? それがしらが運用するTechは基本的に小人族(ランティノイド)専用に設計されているのでコンパクトなのでござる。10倍のサイズ差には勝てなかったでござるが、機能密度には自信があるでござるよ」

 

サティ「そうね、そのまま10倍スケールにすれば東軍にも勝てそうな性能ではあるわよね」

 

 その言葉に応えて現地でトリオが調査した限りの調査結果が壁面ディスプレイに表示される。

 

・西軍の最小設備サイズは1m、東軍は10m

・西軍の基本最大射程=ロック可能距離が140m、東軍の最大射程が680mなので10倍にすると最大射程が逆転する

・武装の威力に関しては、西軍最大のHawkeye 戦艦砲 Mk3が1発30kJ(=3,000ダメージ)ほどの威力であり、東軍最大最強の武装である40m級タレット フォーシャドウの13.5MJに対し10倍では追いつかないが体積基準で1,000倍すると30MJとなり優越する。なお戦艦砲自体の射程は十分な仰角を取れば現状でも1km近いが、ロック距離により性能を制限されている

・耐久力に関しては西軍のReticule Research 装甲ブロック1(1m×1m×1m)が機能喪失までに最大6.5kJほどの攻撃に耐える。東軍最大の耐久力を誇る防壁はサージ合金の壁(10m×10m×10m)で、耐久力は9.2MJ。1次元的貫通耐性で10倍と見るならば大分劣るが、体積換算で1,000倍するならば近い値になる

・但し東軍の最終機動兵器レインは推定240MJ(=2400万ライフ)もの絶大な耐久力と140kJ(=1万4千DEF)の装甲防御力を誇る。攻撃力は0.8MJ砲弾を秒間6.66発、射程は230m、最大移動速度は94.32km/h

 

トピア「確かに単位体積当たりの性能では西軍の優越が認められますね」

 

トリオ「結合点が脆いという欠点はあるがの」

 

テクス「Techは基本的には採掘を目的としたブロック構造の自走汎用機械で、それを起点に戦闘にも使える汎用性を持たせた結果でござるよ。耐久の弱さはバリアとリペアで補ってはいるのでござるが、それでも爆風に弱いという弱点はあるでござるね」

 

ラリー「まあ最後の2400万ライフ1万4千DEFに全部持って行かれてるがな。いやあれに限らず全体的に馬鹿みたいに耐久力が高かったが、別格過ぎるな」

 

東軍司令官「フッ、メイン盾は伊達ではないということだ」

 

テクス「ぐぬぬ」

 

 自慢のレインを高評価されて渾身のどや顔を披露する東軍司令官にテクスが歯がみする。

 実際Techでほぼ最強装備のクアッドレールガンでも殆ど損傷を与えられなかったので言い返す言葉が無い。14,000ダメージまで無効化出来ると言うのであれば、Hawkeye 戦艦砲 Mk3ですら通じないだろう。

 

トリオ「まあこっちにも弱点はあるぞい。まず大きな段差を超えられんけえ、平地での運用が前提になる。また、耐久が2千万を超えておるからといって部分的に故障しないわけでもない。……それでも数百万の耐久になるがの」

 

トピア「平原での戦闘では強そうですが、まとわりつく戦車(タンク)級を自力で振り払えそうにないのと、ハイヴ内で碌に動けそうにないので対BETA戦に向いているとは言いがたいですね」

 

テクス「そのBETAというのは何でござる? 何やら武力衝突を想定しているようでござるが」

 

トピア「工場長」

 

トリオ「うむ」

 

 ディスプレイにBETA各級が映し出される。グロ画像とすら言えるその容姿にテクスと東軍司令官の表情が引きつった。

 

テクス「一体何でござるかこの化け物は!? そこもとらはこんなのと戦っているのでござるか?」

 

トピア「そうですね。そして貴方たちも含めた我々七人のマイスターが()()()()()()()()()()()()()()ようなのです」

 

東軍司令官「どういうことだ?」

 

 どうやら聞く体勢が整ったと見て、トピアは発端からの説明を行った。

 

 

◆■◆■◆■◆■◆■◆■◆■◆■

 

 

 少女説明中(NowLoading...)

 

 

◆■◆■◆■◆■◆■◆■◆■◆■

 

 

テクス「……なるほど誰もGSOを知らんわけでござるね」

 

 状況を概ね理解したテクスは大きく頷き、ため息を吐いた。

 

ラリー「そうそう、そのGSO……銀河調査機関(Galactic Survey Organization)だったか? 採掘をする会社、いや組織なのか?」

 

テクス「惑星を開拓して資源を地球に送るのが仕事の政府組織でござる。まあ本体はライバル企業との競争で破産してしまって、現在あるのは一部技術と業務を引き継いだ後継企業みたいなものなんでござるが」

 

トピア「やっぱりサティ姐さんの同業者なんですね」

 

サティ「そうね」

 

 膝の上のテクスが惑星資源開発業務の同業者と聞いて、サティは親近感を深めた。

 

テクス「その経緯からしてGSOのブロックはもう大分古いゆえ、実際には他の企業、GeoCorpやVenture、Hawkeye、BetterFuture、ReticuleResearchなどのブロックを使うことが多いでござるね」

 

スコア「随分節操なく手を出すんだな?」

 

テクス「そうでもしなければ同業者から身を守れんでござるよ。それに色んな企業の依頼を尽く達成したお陰で採掘関連全企業のライセンスレベルが最高に達しているでござるから、仮にGSOのライセンスがゴミになっても食って行くには困らんでござる」

 

サティ「待って、今同業者から身を守るって言った? どういうこと?」

 

 今し方同業者認定したばかりのテクスがむしろ同業者を警戒していると聞いたサティは、困惑しながら事情を尋ねた。惑星開拓者(パイオニア)にとっての同業者は、業績を競う相手ではあっても暴力による妨害で足を引っ張り合うような関係ではない。

 

テクス「探鉱者(プロスペクター)は給与制ではなく採掘ライセンスを使って自分で稼ぐものである上に、辺境の資源惑星に法の実効力なんて上等なものは無いゆえ、自分の身を守るのは自分だけでござるよ?」

 

トピア「見かけによらずサツバツとしてますねえ」

 

 見た目はメルヘンチックな玩具の兵隊なのだが、実情は大分荒んでいるようだった。

 なお身を守るなどと言ってはいるが、同業者の殆ど全てが敵と判明してからは、発見次第AI Tech召喚によるアウトレンジ先制攻撃を常套手段としていたのがこのテクスである。

 

テクス「まあそうなんでござるが、それ故に、この力を人類同士の諍いではなく人類全体の敵と戦う為に使うのはなかなか愉快なことでござるよ」

 

サティ「あら頼もしいわ」

 

テクス「そう思うなら撫でるのをやめるでござるよおおおお……」

 

 サティが猛烈な勢いで頭を撫でるので、テクスの抗議の声は振動で宇宙人のようになっていた。いやまあ、ある意味宇宙人ではあるのだが。

 

トピア「というわけで無事テクスさんの協力が得られることになりましたので、今後この六人で――」

 

東軍司令官「待てい!」

 

トピア「――BETAと戦っていくための方針会議を進めて行きたいと思います」

 

 途中で東軍司令官が口を挟んできたが、それを完全に無視してトピアは最後まで言い切った。

 

東軍司令官「ええい、聞けと言うに!」

 

トピア「誰だか分からない人の口出しはご遠慮願います」

 

 トピアの表情は笑顔だが、言っている内容は辛辣である。何しろ東軍司令官は未だに名乗ってすらいないのだ。ニンジャ作法的にもタイヘン・シツレイだ。まあ初遭遇時の名乗りは時間稼ぎと見たトピアが拳で黙らせたのだが。

 

東軍司令官「うっ……いやそうか。我が名を聞きたいのだな? ならば今こそ聞くが良い。我こそはマイン・ストリアニューダ。名も無き中隊(ネームレス・カンパニー)の謙虚な騎士(ナイト)とは何を隠そう我のことだ」

 

ラリー「地雷(Mine)? 見たまんまだな」

 

東軍司令官→マイン「Mine(宝庫)だ!」

 

サティ「あの子の世界では謙虚という言葉の意味が違うのかしら?」

 

スコア「それでその、ネームレス・カンパニーでの貴女の仕事は?」

 

マイン「見ての通りの騎士(ナイト)だが?」

 

 白を基調としたその服と制帽はどちらかと言うと軍人っぽい装いであるが、騎士と言われてもギリギリ理解出来なくはない。だがそれだけでは業務内容がよく分からない。

 

スコア「……聞き方を変えよう。ネームレス・カンパニーの主な業務内容は?」

 

マイン「フフフ、それこそが勢力の拡大、つまり惑星の征服だ。敵に9割征服された惑星に単独で乗り込んで全土を征服し返したことも一度や二度ではないぞ? つまり我こそが()()()()()()()()である! この我が諸君らを率いるからには大船に乗ったつもりでいてくれたまえフハハハハハ!」

 

 マインは業務内容の説明ついでに実績をアピールして自信ありげに高笑いし出した。しかしそれに反して(マイスター)達は若干困惑している。

 

トピア「ああ、最後にその道のマイスターを呼んじゃったんですね。侵略者には侵略者をぶつけよう的な発想ですかね?」

 

サティ「発想は悪くないと思うけれど……」

 

スコア「人格に問題がありすぎないか?」

 

ラリー「はなから侵略するつもりだったからあんな態度だったってわけかよ」

 

テクス「勝手にリーダー面してるのは何なんでござるかね?」

 

トリオ「前途多難じゃのう」

 

 マインは確かに仲間であれば強力な戦力なのだが、言動と素行が悪いので評価は散々であった。

 なお偉そうに高笑いしているマインはいまだ亀甲縛りのままである。




 Mindustryには世界観の公式設定というものが一切無く、サイズや電力の単位すらも不明であり、どうも同じ技術体系の軍隊と惑星の覇権を争っているようだという程度のことしか分からないので、他の世界観との兼ね合いを色々考えた結果最終的に匠はダークエルフのブロンティストになりました。
 自分で言ってもちょっと意味が分からない。

 あとTerraTechのブロックサイズは1mで、コックピットもそのサイズになってしまい普通の人間には辛いので、匠は小人族になりました。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。