【完結】匠 VS BETA   作:MMZK

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 [2023/8/22]Mindustry関連電力の桁が1つずれており、ランサーの消費電力の計算も間違っていたので当該部分の数字と話の流れを修正しました。なお攻撃・耐久関連のジュール計算の桁は合っていたのでそのままです。
 [2025/12/22]加筆・修正しました。


057. 確かに自動化水準は高いけれど

 テクスの利用資源報告と質疑応答がひとまず終わり、次はマインの番である。

 

・銅/鉱脈/発見済/ザコ素材だが最強のサージ合金の材料にもなる

・鉛/鉱脈/発見済/銅よりはましな素材だ

・砂/鉱脈/発見済/鉱物とも言えない哀れな素材だが、材料としての使い道は多く、僅かに石油が取れる

・石炭/鉱脈/発見済/基本的な燃料だ。加工しての用途が多い

・チタン/鉱脈/発見済/かなり強い金属だ。合金材料になるほか、冷却水を作るにも欠かせない

・トリウム/鉱脈/発見済/存在量が多い放射性物質だ。発電に使うほか、フェーズファイバーの材料になる

・スクラップ/鉱脈/未発見/あれば分解して各種原料を取り出すのだが、別に無くても構わない。特定の資源が無いときに代替するものだ

・胞子ポッド/培養/確保済/そのまま燃料として使うことも出来るが、爆発性化合物の材料として重要だ

・水/リサイクル/発見済/普通の水だ。冷却や消火に使う

・石油/油田/発見済/プラスタニウムの材料だ。油田から採掘するほか、砂や胞子からも取り出せる

 

・ベリリウム/鉱脈/未発見/銅未満のザコ素材だが、酸化物の原料になる

・黒鉛/鉱脈/未発見/埋蔵時点で黒鉛状態である事もあるが、石炭を加工して作る事が出来る

・タングステン/鉱脈/発見済/強めの金属だ。炭化物の原料になる。僅かに散在が確認出来ているが、鉱脈は発見出来ていない

・スラグ/鉱脈/未発見/複数の鉱物が熱で溶けた状態のものだ。星によってはこの状態で存在している

・アーキサイト/鉱脈/未発見/この星では発見出来ていない。環境条件的にもまず無いだろう

 

サティ「こっちは原料時点では理解可能なものが多いわね」

 

スコア「大分主観が混ざってそうなのは気になるが」

 

トピア「探せば天然のチタン鉱脈があるんですね」

 

トリオ「ベリリウム以下を分けてあるのはどういう分類なんじゃ?」

 

マイン「我が名も無き中隊(ネームレス・カンパニー)が最強なのは知っての通りだが、惑星に存在する資源はそれぞれ違う。だから環境に合わせて利用資源も柔軟に変更しているのだ。上の段がセルプロ型惑星用基本資源セットで、それ以外はエレキル型など特殊環境で利用するものとなっている。この惑星は資源傾向がセルプロ型と判定された。当然我にはセルプロ型惑星の征服経験があるぞ」

 

 注目を集めて気を良くしたマインが饒舌に説明し、そのついでとばかりに戦績アピールを挟んでいく。少々鬱陶しいが、トリオ工場長はその面倒くささをスルーして次の質問をたたみかける。

 

トリオ「なるほどの。工場施設を見た限り原料を複合原料に加工する施設しかなかったんじゃが、その後の形状加工はどうやっとるんじゃ?」

 

マイン「全て設備を建築する際に形状加工している。弾薬も各タレットで自動加工しているぞ? 当然ドリルにも精錬設備が付随している」

 

サティ「ああ、それでやたら大きかったり建造に時間がかかったりしてるのね。確かに自動化水準は高いけれど……」

 

 名も無き中隊(ネームレス・カンパニー)は指揮官機にFICSITで言うビルドガンのような機能がついており、これにより大きな施設でも一人で建設出来てしまうのだが、建設ペースは大分遅い。

 タレットに弾薬工場を内蔵していれば容積を取るので体積・重量当たりの攻撃性能は当然下がる。更にこれによって建築の際の加工工程が複雑になり、部品化していないインゴット状態からであることと併せて建築にかかる時間が増してしまうというわけだ。

 

トリオ「まあ設備がかさばって資源利用効率としては誉められたものではないじゃろうが、手早く戦力化が可能なところと単純化されておる分だけ運搬する物資の種類が限られるというところは優れておるの」

 

マイン「分かっているではないか。まず前線を形成・維持しなければいけない分、生産設備に手間をかけすぎるわけにもいかんし、総力戦の兵站維持のためにも運搬する物資の種類は少ない方がいいからな」

 

サティ「そうね。あとは複合原料について解析中だけれど、なかなか優れた特性がありそうね?」

 

 サティが現在判明している限りの特性を壁面ディスプレイに表示させる。

 解析するための複合材料をどこから持ってきたのかと言えば、勿論トピアが制圧した東軍陣地の工場からである。

 

マイン「うむ、まずこのプラスタニウムとサージ合金だが、そのまま防壁に使っても優秀である他、上位のタレットや機動兵器の材料になり、弾薬としてもまず最強と言っていい。言わば戦力の要だな」

 

トリオ「特にサージ合金というのはあの大型レーザータレットの弾薬にもなっておったようじゃが?」

 

テクス「レーザータレットの弾薬……でござるか?」

 

 普段実弾の弾薬すら用意する必要が無いテクスが、レーザーの弾薬と聞いて首を傾げた。

 

マイン「基本的なレーザータレットであるランサーは電力だけで動くが、フォーシャドウほど大型かつ大威力となるとそれだけでは足りなくてな、サージ合金のエネルギー蓄積特性を応用しているのだ。あれは厳密にはレーザーそのものではない」

 

トリオ「儂としてはそのランサーの方が気になるがの。電力からレーザーへの変換効率は通常で29.2%、別電力で生成する冷却水を使っても55.4%と儂のより控えめじゃったが、焦点制御無しで206mの射程があったけえの。更に射程を伸ばすための技術サンプルにはもってこいじゃ」

 

サティ「それは得難いわね。工場長の改良前の短距離レーザーは冷却を含めて効率70%、射程15mだったかしら?」

 

トリオ「射程はそうじゃが、効率は実際測定すると外部冷却装置無しで61.8%といった所じゃの。スーパーダイヤモンドレンズと焦点制御機構を実用化出来たけえ、現行では射程でもこちらの方が勝っておるが」

 

 スーパーダイヤモンドレンズとは、品質が異様に高止まりしたクラフトピア産のダイヤのインゴットを原料として削り出したレンズである。ただしレンズの最大サイズがインゴットに依存するため、あまり巨大なレンズは作れないという限界がある。工場長のレーザータレットの10倍のサイズがあるランサーにそのまま適用するのは難しいだろう。

 

スコア「射程と言えば、マインの軍備は最大射程680mで全武装の中で最長と出ているが、軍隊の割には全体的に射程が短くないか?」

 

マイン「目の前におらん敵を倒しても楽しくなかろう?」

 

サティ「えっ、そんな理由!?」

 

マイン「フハハ、騎士(ナイト)ジョークだ」

 

サティ「そのジョーク貴女もやるのね……じゃあ実際の所は?」

 

 呆れたため息を吐きながらサティが改めて問えば、マインは満足げに一つ頷いて本当の理由を述べる。

 

マイン「惑星の争奪で惑星そのものがあまりに荒廃しては本末転倒なのでな。目標に当たるかどうかも分からん長射程武器や目標以外も破壊し尽くす大量破壊兵器は惑星争奪戦条約で制限されているのだ。その分は圧縮重量弾頭で威力を補っている。フォーシャドウにある程度の射程が許されているのは、あれがピンポイント攻撃に特化した武器だからだ」

 

ラリー「その惑星争奪戦っていうのはネームレス・カンパニー以外もやってるもんなのか?」

 

マイン「勿論多種多様な勢力が参加しているぞ。まあ所詮はザコ共、我の敵になるはずもなく軽く制圧してやったがなフハハハハ!」

 

 いちいち自慢と罵倒を挟んでくるのが鬱陶しいが、(マイスター)として呼ばれただけあり、戦績だけ見るとマインはただのビッグマウスでもなさそうであった。そこには「言ってることが本当だったら」という条件が付くが。何しろ信用が低いのだ。

 

テクス「まあトピア殿に負けてたでござるがね」

 

マイン「うるさい、一切の攻撃が当たらないニンジャが一直線に突撃してくる状況など想定出来るか!」

 

 それはそう、と当のトピアが頷いていた。理想郷の建設者(クラフトピアン)以外の相手がまず想定していないであろう攻め方をしたからあっさり勝てたのだ。この一例だけを以てマインの戦術指揮能力が低いと断定するつもりはトピアにも無い。

 

サティ「まあ、今後は想定外にも柔軟に対応出来るようにね?」

 

マイン「分かっている。一つの敗北で足踏みしているつもりは無い」

 

 眉をしかめてはいるが、流石のマインも一度言い訳して失敗したのをもう一度繰り返したりはしないようで、サティも一安心であった。

 

トリオ「んで合金以外はどうなんじゃ?」

 

 大分話が逸れたが、トリオ工場長が尋ねているのはマインが使っている複合材料のうち合金以外のもののことである。

 

マイン「む、そうだな。ピラタイトと爆発性化合物だが、弾薬もしくは発電用燃料だな。爆発性化合物の方が上位だが、発電ではインパクトリアクター以外に投入すると威力に耐えられず発電機が壊れてしまうので注意が必要だ」

 

トリオ「インパクトリアクターっちゅうと、上から見ると光がぐるぐる回っておったあれかの? 一辺40mで63MWほど出ておったが」

 

マイン「それだ。発電量はセルプロ系最強なのだが、一旦停止すると起動電力も1,500工業ワット……15MWと大きいので扱いには注意が必要だ」

 

 途中で言い直したが、工業ワットというのはマインが普段使っているマインの世界独自の電力単位である。kWともMWとも桁がずれているが、普段運用している機材では工業ワットの方がスケールが合っていて使いやすいのだ。

 

トピア「63MWで最強……? 私が言えたことじゃないですが、電力の桁が案外小さいですね?」

 

スコア「FICSITの石炭発電機が75MWだったか? それ以下になるな」

 

マイン「馬鹿な、我が中隊(カンパニー)の発電力が劣っているだと……!?」

 

トリオ「まあ比較対象がFICSITっちゅうのも相手が悪すぎるんじゃがの」

 

 ショックを受けているマインの認識では、惑星争奪戦に参加している他の組織と比べても中隊(カンパニー)の技術力は劣っていない。だが今回の比較対象は別の世界の技術水準である。

 スコアが扱うコア由来発電機は1つあたり50kW、トリオ工場長が扱う基本的な発電装置である石炭発電機はボイラー1つと蒸気機関2つのセットで1.8MWなので、確かにそれらと比べると大きな電力ではある。サイズも大分違うが。

 

サティ「専有面積と消費資源の観点から見ると実はFICSITと比べなくても良くはないのよね。むしろその程度の電力であの工場と軍勢を動かせているのは逆にすごいとも言えるけれど」

 

ラリー「どういうことだ?」

 

 中隊(カンパニー)の発電力が期待したほど高くなかったのだが、そのことについてサティは更に踏み込んだ意見を持っているようだった。

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