考えがまとまったようで、ラリーが幾つかの仕事を手放すべく再び口を開いた。
ラリー「まず日没後にランダム出現の
テクス「まあ何とかなるでござろう」
マイン「軽く捻ってくれる」
トリオ「どうにでもなるじゃろ」
スコア「問題ない」
トピア「皆さん大丈夫そうですね」
各自の戦意は十分であった。
ラリー「他のクトゥルフ討伐だと、
スコア「ここから近い祭壇の位置は把握しているが、そのレンズはどこで入手できる?」
ラリー「夜に空を漂う
スコア「ならばそれを含めて私がやっておこう。ついでに流れ星も収集できそうだしな」
トピア「じゃあ私は後でウォールオブフレッシュを一狩りしてきますね」
ラリー「任せた。次はステータス強化アイテムだな。一部は既に手離れしてるんだが、新しい二人には説明してなかったな。夜になると空から降ってくる
マイン「ふむ? 夜になると降ってくる奇妙な星型のあれか?」
サティ「それがマナ強化アイテムになるらしいのよね。私も最初はびっくりしたけれど」
テクス「星型の星がそのまま降ってくるのは絵面はメルヘンチックでござるが、考えてみれば面妖な現象でござるな」
この惑星の赤道付近、特にラリーが元いた世界の影響が強い地域では、日が暮れると星が降ってくるのだ。これは詩的表現ではなく、文字通りの意味である。降ってきた星はそのまま拾うことが出来、拾わなければ朝になると消える。あまりに不思議であるが、ラリーが元いた世界では普遍的現象らしかった。
また、最初の
ラリー「この部屋に収集ボックスを設置してあるから、手持ちの
ラリーが指さしたテラリアン
トリオ「嬢ちゃんが設置したドロップ回収施設にも幾らか溜まっておったはずじゃの」
サティ「ああ、あの襲撃者から根こそぎ搾り取る感じの……」
トピア「備えあれば憂い無しですね!」
ラリー「他のステータス強化アイテムは殆どが地中掘削で見つかる
スコア「ふむ、私がやろう。池の周りは厳重に囲っておく」
ラリー「よし、任せた。あとは宝石樹園の造成は……どうだろうな、コアベースと同じ深さに作るのが簡単そうだが。条件は地下でなおかつ石の床の上に40フィートくらいの高さの空間が必要なんだよな」
スコア「広い石の地面が必要なら 都合のいいことに、丁度ここの一つ外側の区画、忘却の遺跡の地面は全部石だぞ。ただ40フィート……12.192mの高さで掘っていくのは少々自信が無いな」
スコアは地中を水平方向に掘り進んだり足元に穴を掘ったりするのは大の得意だが、これまで飛行用の装備やフックを持っていなかったので、上方向に掘削するのは苦手なのだ。ゴームの周回路の天井が30mほどの高さにあったのはゴームが熱心に掘り進めた結果である。
トピア「私も天井を崩さないように掘るのは無理そうですね」
一方トピアは飛行装備を持ってはいるがそもそも地中の掘削に慣れていない。
ラリー「するとやっぱり俺が掘る必要があるか。掘った後は何とかなるか? まず
トリオ「高いのか?」
ラリー「いや、銅貨10枚だからめっちゃ安い。1万個買っても金貨10枚にしかならねえ」
ラリーの世界で通用している通貨にはコインが4種類あり、銅貨100枚=銀貨1枚、銀貨100枚=金貨1枚、金貨100枚=白金貨1枚という分かりやすい交換レートである。つまり銅貨と金貨の価値比率は1対1万ということだ。
ならば白金のインゴットからコインを作れば荒稼ぎできそうな気もするが、それはあまたのテラリアンが試して挫折した道である。
トリオ「んじゃ当面は購入で賄って、テレポーターロジスティクスが実現できる頃になったら地上にどんぐり生産施設を作ってそこから持ってくる方針でええかの」
スコア「地上まで一直線に穴を開けるだけならアゼオスビームで出来ないこともないが?」
アゼオスビームとは近接クリティカルヒット時に確率で直上から地盤を貫通して降ってくるビームの通称だ。巨獣アゼオス討伐時に獲得した技能である。
ラリー「ん? 穴を開けられるのにどうしてこれまで地上に出られなかったんだ?」
スコア「アゼオスビームでは斜めに穴を開けることが出来ないからな。鉛直な穴があっても、壁を安全に登る道具を作れなかったんだ」
しかもつるはしで坑道を斜めに掘ろうとしてもどうしても上手くいかなかった。これは地盤の特性なのかコアによる縛りなのか、未だに原因は判明していない。
ラリー「なるほどな……あとこの真上ってまだ浄化してねえ
トリオ「ちと問題じゃの」
サティ「テレポーターロジスティクスで配線を繋ぐにしろリフトで直接運ぶにしろ、地上までのルートは必要だけれど、どちらにしても今は穴を空けない方が良さそうね」
スコア「了解した」
トピア「あとは種植え、刈り取り、種への再加工の自動化ですね。畑に蒔くならマルチスリングで行けるんですけど、石に植えるとなると……。また刈り取りも木の幹が石なのは何とかなるとして、回転のこぎりの脱走を確実に防ぐプランがまだ出来てないんですよね」
マイン「回転のこぎりの……脱走??」
サティ「するらしいわよ」
テクス「面妖な」
トピアの言う回転のこぎりはマインやテクスが思い浮かべるようなチェーンソーそのものではない。一つ目の付いた円筒状の胴体の下に自在タイヤがあり、胴体下部を6つのチェーンソーが回転する自動機械だ。それはそれでチェーンソーの妖怪や付喪神のような見た目ではあった。
トリオ「なあに任せておけ。素材は硬いが、やるべき作業は単純じゃ。以前より力仕事が出来るようになった新型の建設ロボットと物流ロボットでどうにか出来る目処は立っておる。他のロボットネットワークと混ざらんようにするところだけが注意点じゃな」
トリオが工作機械のついでに自動化ロボットも新しい素材で作り直したのは全般的なロジスティクスの改善のためもあるが、実は宝石樹園の自動化の方が本筋であった。
ロボットネットワークにはロボットステーションを起点とする活動範囲の概念があり、範囲同士を繋げるとロボットがより広い範囲で活動できるようになるのだが、あまりに広い範囲を繋げてしまうとロボットの移動距離が長くなってしまい非効率化する問題がある。このため、今回の宝石樹園の種植え・刈り取り担当ロボットのように他と関わらないで済む部分はしっかり独立させておくのが肝要なのだ。
トピア「わあお頼もしい!」
ラリー「よーしその辺りは全面的に任せたぜ工場長のおっさん!」
ラリーはあまり大規模な自動化は得意ではないのだ。そういうものは出来る人員に任せるに限る。
サティ「他に手放せそうなものは?」
ラリー「他は俺でないと無理そうだな。優先順位をつけてくれ」
サティ「そうね……建設作業の高速化のために虚空の鞄が早めに欲しいところだけれど、これはTechインベントリの導入と統合でも解決できそうなのよね?」
トリオ「そうじゃの。じゃがこいつは1日や2日で出来るとは思わん方がええぞ」
サティ「ならやっぱり虚空の鞄が必要ね。で、工場長は今言ってた宝石樹園が必要よね?」
トリオ「そうじゃの。レーザー砲の研究にも大量生産にも必要じゃからの」
サティ「あとは既に予定に入ってる新鉱石かしら。まずはこの3つが優先で、テレポーターはその後でいいわね。ミッション報酬稼ぎが更にその次かしら」
テクス「それがしのルクサイト、メタリウム、チタナイトの鉱脈は後回しで良いのでござるか?」
サティ「それはすぐに必要だけれど、鉱脈の設置は生産組で協議してやっていくから、誰の報酬で設置するかはあまり考えなくていいわよ」
テクス「そういうものでござるか」
ラリー「じゃあその後に隔離作業を入れてく感じだな。
トリオ「会議中にもう見つけておいたぞい。白の森とコア001の間にあるこれが多分そうじゃろ?」
会議中にもジャングル探索をしていたらしいトリオがその結果をディスプレイに出し、大陸全体を表示した後に拡大してみせた。
ラリー「植生からしてほぼ間違いねえな。流石仕事が早え」
テクス「それにしても見事に赤道上に並んでるでござるね?」
ラリー「普通はそうじゃねえのか?」
テクス「……常識が大分食い違っているようでござるな」
トピア「ラリーさん関連のものが赤道上に集まりやすいのはやっぱり偶然じゃなかったんですね」
トリオ「ダンジョンもそうじゃったけえ、今度は赤道に絞ったら探しやすかったぞい」
サティ「最初から分かってたらもっと楽だったんでしょうけど、本人が当たり前だと思ってたらどうしようも無いわね」
ラリー「じゃあ
トリオ「そのくらい余裕があれば間違いなく出来るじゃろうな」
ラリー「よし、その予定で行くぜ。隔離作業で大分地下をうろつくから、
ラリーの言う
トピア「それでは全員に石板を配布して、それからアヌビス神にお願いしてレベルとステータスの付与をしていただきましょう」
トピアが部屋の端に6つのチェストを設置し、それぞれに進化の石板を66枚ずつ、テクスとマインのチェストにはそれに加えて成長の石板を40枚ずつ入れる形で受け渡しを完了した。
あとはアヌビス神にレベルとステータスを付与してもらい、石板を奉納して各種ボーナスをつけてもらうだけだったのだが、ここでマインがごねたことで長引いた。
マイン「何故我がこの犬頭に頭を下げねばならんのだ。さっさと我を強くせよ」
アヌビス神「……XXX(こやつもう放っておいていいか)?」
トピア「まあそうなりますよね。ほっときましょう」
マイン「おいィ何を言っている? この我だけ仲間はずれにするのは不公平ではないか」
トピア「そちらこそ何を言っているのですか、貴重な石板を折角配分しているのに、使う機会を棒に振っているのは貴女自身ですよ? みんなアヌビス様にきちんとお願いして協力してもらってるのに、貴女だけ頭を下げずに同じ恩恵を受けてしまったらその方が不公平ではないですか。どうしても頭を下げるという対価を支払いたくないのであれば、どうぞそのままでいて下さい」
マイン「うぐっ」
別にマインが弱いままでも全く困らないので、トピアは笑顔で塩対応を決め込んでいた。
テクス「いやはや、いるところにはいるんでござるね、絶対に頭を下げられない御仁。生きづらそうでござるなあ」
他人事のように眺めるテクスは当然レベルとステータス、石板ボーナスをゲット済である。
サティ「というか、あのアヌビス神に拒否されるって相当なものよ? 挨拶直後に即殴ってモンスタープリズムに封印しても神として敬う態度を形だけでも取れば許してくれるくらいなのよ?」
テクス「聖人でござるか? ……神でござったな」
その神を出会い頭に殴りつけたりペットのように撫で回したのが、他でもないこの
トリオ「どうでもええが、順番がつかえとるんでそろそろ飛ばしてもええかの?」
サティ「ねえマイン、あなた誇り高く振る舞ってるつもりなのかもしれないけど、傍目に見ると人にものを頼むという
もっとはっきり言うならば、この女は一体上司にどうやって接していたのだろうかと首を傾げざるを得ない醜態である。
だが出来ないと見なされるのが我慢できないのもマインであり、そのため漸く前に進む決断を下した。
マイン「……ええい分かった! きちんと頼めばいいのだろう! 」
マインは肩幅に足を開き、両手を斜め上に挙げて声を張り上げた。
マイン「アヌビス神よ、我に力を授けたまえ!」
アヌビス神「……XXX(まあ良かろう)」
トピア「おー、なるほど神龍召喚構文がありましたか」
スコア「なかなか考えたな。なるべくへりくだらずに相手を神として立てるラインを突いている」
サティ「一体何の意味があるのかしら、この駆け引きは」
特に無い。強いて挙げるとするならば、マインの対人コミュニケーション能力の壊滅ぶりが改めて証明されただけである。
そしてその後は何事も無く全員分の手続きが終わった。
サティ「やっと会議が終わったわね……。もうお昼になってるから先に昼食にしましょうか?」
トピア「じゃ例のあれの出番ですね!」
テクス「例の?」
マイン「とは何だ?」
その後、全員での昼食となり、伝説の 特級の 高級な 上質な ムニエルの洗礼を受けた新人二人の奇声が食堂に響き渡ることになった。アヌビス神も一緒に食べたが、彼は事前知識があったので辛うじてこらえた。
マイン「クッ、これで我を餌付けできたとは思わんことだ。だがまた出すというのであれば食してやらんでもない」
テクス「めちゃうまでござったな」
アヌビス神「XX,XXX(うむ、良い捧げ物であったぞ)」
サティ「案の定覿面に効いてるわね」
トリオ「人は美味いものには逆らえんっちゅうことじゃ」
ラリー「さあ仕事だ仕事!」
スコア「操縦訓練からだったな」
トピア「それでは皆様、今日も一日、ご安全に!」
そして漸く本日の業務が始まるのであった。
■参考資料:現在の仕事の割り振りと進捗
■参考資料:fr物資単位とコンベア速度計算
第3章終了です。
すりあわせなければならないことが多すぎて会議だけで1章16話分、前章終わり部分を含めるならば合計18話の分量になってしまったという。
でもこれやらないと動きも目的意識もバラバラで仕事にならないんです。
人数が少なくて政治が絡まないだけまだましとも言う。
既にお気づきと思いますが、ラリーのイベントが赤道上に集中してるのはTerrariaが東西・上下方向に駆けずり回る横スクロールゲームだからで、当人もイベントエリアが一直線上に並ぶのは当たり前だと思っています。