[2023/09/07]ガンマの通信機が使えない事情についての記述を追加しました。
ドロップアイテムの移送が終わってすぐ、トピアは装備のエンチャント付与作業に入った。
トピアはこの世界に来る際にインベントリの素材カテゴリ36枠のうち32枠を使ってエンチャントスクロール全73種のうち32種を持ち込んでおり、このエンチャントスクロールとエンチャントテーブルを使って各種装備にエンチャントを施していた。
エンチャントテーブルは新旧二種類があるが、新型エンチャントテーブルの長所は武器に限らずあらゆる装備品や消耗品、設備品に対応していることだ。なので武器以外はこちらを用いることになる。
新型の短所は二つあり、まず一つは付与対象1アイテムごとにエンチャントコスト制限があることだ。
これはエンチャントのレアリティごとにレジェンダリ=5、エピック=4、レア=3、アンコモン=2、コモン=1のコストが設定されており、4枠合計で制限内に収まらないとエンチャントを付与することが出来ないということだ。現状のワールドLv6だとコスト制限が15なので、エピックを4つ並べるにも少し足りないということだ。Lv5ではこれが14だったので、次のLv7では恐らく16になるだろう。
もう一つの短所はコモン以外はエンチャントスクロール1枚で1回の付与を行えないことだ。具体的には付与1回あたりレジェンダリ=10枚、エピック=5枚、レア=2枚、アンコモン=2枚、コモン=1枚が必要になる。このため最も多用している 盗賊頭の エンチャントは装備セット本体と一部入れ替え併せて新型付与61回+武器限定従来型付与3回で308枚のエンチャントスクロールを使ってしまっている。残る在庫は92枚、当初の400枚の1/4以下だ。金天に舞う エンチャントは8回+1回だが既に81枚の消費だ。そろそろ補充を考えなくてはならない。
トピア「出来ました! 超幻のファントムスパークMk.2! 装備して機能するか試してみて下さい」
超幻のファントムスパークMk.2。先ほど乱獲したモルファのリング4つとトピアが新しく作ったレンジャーの帽子、ラリーの外部インベントリに入ったままだった
装備セット名はスコアが正式名称を思いついていないので、トピアがつけた仮の名前のままだ。
トピアはテーブルの上に装備セットを並べ、試し撃ち用のカカシを指さした。
それに応じて装備セットを身につけたスコアはカカシに向けて光の矢をつがえ速射で次々に放っていく。カカシに命中した光の矢は例外なくクリティカルとなり、59,000前後のダメージを刻んでいく。
さて、ここがどこかと言えばユグドラシルで最初に拠点を作った際に確保したトピアの工房だ。
流石に自室に設備類を出すにはスペース的な余裕が無く、集合住宅の空き部屋をぶち抜いて使うのも折角作った住居施設が勿体ない。そもそもコアベース0階の余剰スペースでも設備品とチェスト群が収まりきらないので、工房はユグドラシルから移動せずにひとまず据え置きとなったのだ。スコアとしてはコアベースの区画を拡張してでも移設してもらいたいところだったが、時間的余裕が無いためにこれまで先送りにされてきた。なお昨晩三人で集まってあれこれとエンチャントの試験をしたのもこの工房である。
Techインベントリの解析と応用がうまく進めばそれを時空倉庫として使えるので、それに伴ってチェストを並べた倉庫は大幅に縮小出来る見込みとなっており、これもわざわざ移転する労力を割きたくない理由となっている。
スコア「これがフルエンチャントか……付与前とは比べものにならない威力だな。性能は
エンチャント付与前は与ダメージ平均が1,170程度だったので、単発威力は脅威の50倍である。しかし
トピア「パッシブスキル『剛弓』Lv1の
スコア「なるほど、なら全て仕様通りだな」
トピア「はい、パラメータの入力ミスなど、こちらの計算が間違ってることもあるので、気になることがあったらすぐに言ってください。その修正まで含めて完成ですから」
スコア「了解した」
ラリー「おう、やってるな」
一仕事終えたらしいラリーが扉を開けて工房に入ってきた。
炉から煙が出る都合で当初はこの工房も床の上に設備を並べただけだったのだが、この星にはレガシーのセパレートクラフトピアワールドと違って雨が降るので、慌てて天井と煙路を整えた結果一つの部屋になったのだ。
スコア「ラリーか。案外時間がかかったな。首尾はどうだ?」
ラリー「おう、
スコア「分かった。しかしやはりルミナイトはガラクサイトを超えてきたか」
トピア「短期的には対処に難儀してるようですが、今後より強い素材が入手できること自体は良いことですね」
ラリー「まあうちの世界で最強の金属素材だからな。伊達じゃねえぜ」
トピア「じゃあ丁度スコアさんの装備は2つともエンチャント付与が終わりましたから、次はラリーさんの番ですね」
ラリー「おう、宜しくな! 新たなゼニス最強伝説が始まるぜ……!」
既に極めたと思っていた装備の更なるパワーアップに、ラリーの目はぎらついていた。
その後、三人分の装備全てにエンチャント付与を終えたトピアはスコアと一緒にコアベースの畜産場を増築、それを終えると装備の試運転を兼ねてポータルで
ユグドラシルから毒沼までの距離は1,300kmほど。最大943.2km/hの速力を誇るガンマであれば1時間半もあれば到着する距離である。
この移動時間の間に
外敵駆除
Clear
Get!
EXP +2,000
レベル上限解放 +1
ラリーから引き継いだスコアがやったのだろう。強化した装備に問題は無さそうだ。
トピア「いやあ、死せる地のハイドラは強敵でしたね」
Lv.90超えのハイドラを殆ど何もさせずに討伐したトピアが嘯く。現在の装備は
ワールドLv7に到達するための納品アイテムは『知識の奉納品』ただ一つ。これは最初の一つに関してはミッション『新たなる時代-カガク-』の条件、Lv.60以上のハイドラを1体討伐で得られるが、トピアはそのミッションを既に達成してしまっていたのでミッション報酬を得られない。そこで代替手段として存在するのが、ハイドラからの10%ドロップである。当然トピアは悲願の罪の薬を使って1回目の討伐で知識の奉納品を入手したが、薬の残り時間が勿体ないので続けて63秒間ハイドラを再召喚しては狩り続けることになった。これでハイドラの逆鱗などの素材を多めに確保できた。
つまりトピアが強敵と言っていたのはタイムアタックの方で、ハイドラ自体は何ら脅威に感じていないのであった。
なお毒沼は毒のデバフがかかる環境であるが、トピアはガスマスクでこれを防いでいた。ガスマスクにもフィルターの消耗はあるが、ポイズンレジストポーションでは毒は100%防げるものの悪臭までは防げないという違いがある。流石に腐肉の森である
目的のものをつつがなく入手したトピアは、ついでとばかりに沼のほとりに散在するパラジウムやアダマンタイトの採掘を始めた。トピアは不死殺しの 危険な ファーヴニルの 炎の悪魔の ダイヤのつるはしを取り出した。
一般的に★×11のパラジウム鉱石や★×12のアダマンタイト鉱石を★×9のダイヤのつるはしで採掘しようとすると、★のランクが2つ以上離れているために一振りするたびに無情に弾かれる。とはいえその一振りのダメージが入らないわけではない。そしてクラフトピア世界における鉱石獲得数はその与ダメージに比例する。つまり全身フルエンチャントで脳筋気味に
それで順当にサンプル分くらいは採掘出来たトピアはいよいよ時代を次に進めようとしたが、流石に毒沼でガスマスク装備ではどうにも落ち着かないのでその場を脱してガンマで北上、毒の影響が及ばない所に仮拠点とポータルを設置、次いで時代の祭壇を設置して起動した。そこに知識の奉納品を投入。時代進化のログが流れる。
トピア「さあこれで既存の時代は最後ですが……やはりLv8がありますね。納品アイテムと解放品目は、と……おおっ?」
ワールドLv8、神々の時代への到達条件と解放されるものを確認しようとしたトピアの視界の端で何かが光った。夜明けにはまだ早いし、東ではなく北北西の方向の空がやけに明るくなっている。
トピア「あれはユグドラシルの方向? 一体何でしょうね」
今回FICSIT製の通信機は持ってきていない。一応ガンマに通信設備は付いているが、単体での通信可能距離は500km程度で、なおかつ現状
すぐに確認しに戻りたいが、ポータルは設置したばかりで、起動までまだ20分近くかかる。ガンマで飛んでいこうにもユグドラシルまでは1時間半近くかかる。
普通に考えればポータルの起動を待った方がまだ早いのだが、トピアにはあの光がユグドラシルよりは近い距離にあるように見えた。よく見れば方向も軌道エレベーターから若干ずれている。ではこの毒沼とユグドラシルの間に何があったか。
トピア「南の廃城、ですかね?」
この惑星上にただでさえ少ない人工建造物。その近辺で何かが光っている。今すぐ行くべきだとトピアは決断し、ガンマに乗り込んでそのポイントへと急行した。