【完結】匠 VS BETA   作:MMZK

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075. どうやらこれは過去の時代に重要な意味を持っていた建物の土台のようなんだ

 カミールがハイライフポーションを飲んでいる間にトピアは光の柱の周辺を観察し、現在の状況を頭の中で整理した。

 

 まず光の柱は銅のような金属に縁取られた石造りの六角形の土台から立ち上っており、六角形のそれぞれの角には燭台が配置されている。まるで祭壇のようだ。そしてその祭壇の一角には同じく銅のような金属に縁取られた石造りのコンソールがあり、その画面には見慣れた紋章が明滅している。魔除けの旗や結界の旗にも描かれているクラフトピアの紋章だ。祭壇の床の中央にも同じ紋章が大きく描かれており、これがクラフトピア文明ゆかりのものであることは疑う余地が無い。

 銅のような金属、というのは、野ざらしの割に真新しい赤銅色のままであるからだ。普通は野ざらしの遺跡なら錆びて緑青を生じているはずだ。魔法的保存効果かもしれない。

 

 次に、目の前のカミールは考古学者を名乗り、古代に失われた何かを研究しているようだ。だがこの世界は地球時間で最大1年、この世界の日照時間を基準にしたとしても最大24年ほどの歴史しかないはずだ。では古代とは一体何なのか。セパレート形式のレガシーワールドでは時代さえ進めれば普通に手に入る物を古代の遺物扱いしている所からすると、やはりレガシーワールドのことだろうか? 或いは終盤の時代相当の文明レベルに到達した古代文明がかつて存在した()()()()()()()()()()()()()()()のかもしれない。世界五分前仮説という奴だ。

 しかしどちらにしろこの世界も既にワールドLv7になっているはずだが……いや、レガシーワールドでは時代を進めても住民達の暮らしぶりに全く影響が無いという謎があった。とすると、レガシー由来の時代の祭壇で時代を進めてもそのテクノロジーが住民達に伝わっていない可能性が高い。ならば目の前のカミールはそれを求める者で、もしかして理想郷の建設者(クラフトピアン)本来の業務である文明普及を可能にする鍵がここにあるのではなかろうか。

 

トピア「ふむ、何となく見えてきましたね。カミールさんは考古学者としてここの祭壇の研究をしているのですか?」

 

カミール「っはー、流石は幻のハイライフポーション、五臓六腑に染み渡る! ……あ、うむ、そうだね。ワタシは研究の一環でこの遺跡の調査もしているんだけど、今までは何をしても全く反応がなかったのに、今日の夜明け前になって突然光の柱が立ち上ったものだから、ここに詰めて色々と調べ直していたんだよ」

 

 ハイライフポーションを飲み干して酒飲みのような感想を漏らしたカミールは、取り繕うように考古学者としての活動を話し始めた。

 本日未明に何があったかはトピアが一番よく知っている。時代の祭壇によるワールドLv7への到達だ。だがとりあえずそれは置いておき、カミールの話の続きを促すことにする。

 

トピア「これが何のための施設なのかは分かっているんですか?」

 

 今し方の酒飲みのような発言は完全にスルーして、トピアは約束のハイライフポーション2つを差し出す。

 

カミール「おお、すまないね。これはワタシの見解に過ぎないので、その前提で聞いてほしいんだけど、どうやらこれは過去の時代に重要な意味を持っていた建物の土台のようなんだ。もしこの建物を修理できれば、もしかしたら過去にこの大陸で使われていた『失われた文明』を蘇らせることができるかもしれない」

 

 カミールはハイライフポーションを懐に仕舞い込みながら得意顔で研究成果を語ってみせた。

 

トピア「なるほど」

 

 なるほどそういう筋書きか、とトピアはメタ的に女神的存在の意図を読んだ。やはりこの祭壇らしきものはレガシーワールドにおける時代の祭壇に文明普及の機能を加えたような物である可能性が高い。

 むしろ時代の祭壇にその普及機能が無いのが不思議だったくらいなので、この塔の復旧は今までより文明の導き手たる理想郷の建設者(クラフトピアン)らしい業務と言えるだろう。

 しかし今回BETAと戦う上においては住民への文明普及はさほど優先すべきことではない。このまま時代の祭壇で進めてしまった方が早いのではなかろうかと疑問に思ったトピアは、光が立ち上る祭壇の隣に時代の祭壇を徐に設置した。

 

カミール「えっ、何だいそれは? それも遺物かな? そう言えばさっきの空飛ぶ乗り物もかい?」

 

 カミールがトピアの背後から両肩に手を置いて、頭の上からコンソールを覗き込もうとする。

 

トピア「恐らくその古代文明由来の設備、時代の祭壇です。見てるのは構いませんがちょっと待っててください」

 

カミール「わ、わかったよ」

 

 落ち着きなくそわそわしていて体格の割に微妙に可愛い仕草のカミールを背後に感じつつ、トピアは次の時代への到達条件と解放される物を確認し始めた。

 やはり神々の時代と言うだけあってご大層な代物が並んでいる。その中でも特に目を引くのが以下の4つだ。

 

 『エンチャント抽出機』。あらゆるアイテムからエンチャントを抽出してエンチャントの欠片もしくはエンチャントスクロールとして保存できる。つまりこのエンチャント抽出機と小麦畑があれば既存の73種に縛られずあらゆる種類のエンチャントスクロールを無尽蔵に製造することが出来る。フルエンチャント装備を更に強化することが可能だろう。

 『スキルエンチャンターモジュール』。エンチャントテーブル専用モジュール。エンチャントコスト1=スキルコスト1の変換率で()()()()()()()()()()()()()。これがあれば、装備にマグナムショット、マナサイフォン、バトルヒムなどをつけられる。短時間ではスキルを身につけることが難しいスコアやラリーの戦力を爆発的に高めることが可能だろう。時代を最後まで進めよというアヌビス神の啓示はまさにこのことを示唆していたに違いなかった。やはりアヌビス神は有能。

 『エンチャントコスト上限拡張モジュールI』。エンチャントテーブル専用モジュール。エンチャントコスト上限を1引き上げる。「I」と付くからには「II」以上もありそうだ。もしかすると1つの装備にレジェンダリエンチャントを4つつけるのも可能かもしれない。スキルエンチャンターモジュールと同時に使えるかどうかが問題だ。

 『万能岩盤製造機』。素材さえ揃えばあらゆる鉱物の人工岩盤を製造出来る。つまり中純度には限られるがミッション報酬を使わずとも枯渇鉱脈をあらゆる鉱物の鉱脈に差し替えることが可能になる。もし人工岩盤の材料の鉱脈さえも作ることが可能ならば、岩盤の生産量も無尽蔵になる。

 

 この4つのトンデモアイテム以外にも以下のような物がある。

 

 『精錬対象拡張モジュール』。熟練の精錬所専用モジュール。武器以外も精錬強化できるようになる。強化の仕様次第だが、防具を精錬強化出来れば少なくともより安全にはなるし、攻撃力(ATK)魔法攻撃力(MATK)まで上がるようなら実に素晴らしいと言える。

 『エンチャント対象拡張モジュール』。エンチャントテーブル専用モジュール。あらゆるものにエンチャントを適用できるようになる。装備品のエンチャントコストが足りない場合に素材にエンチャントしてから引き継ぐ従来の手法として使えそうではあるが、エンチャントコスト上限拡張モジュールで用が足りそうな気はする。

 『ロケットパック』。ジェットパックより高速で空中移動出来るようになる飛行装備。燃費はやや悪化するらしい。飛翔記章(Soaring Insignia)前提ならば翼やセレスチャルスターボード(Celestial Starboard)の方が機動力が高そうだが、アクセサリに飛翔記章(Soaring Insignia)を入れないビルドとしては選択肢に上がるかもしれない。

 『天使の翼』。グリフォンの翼の上位互換品のようだが、ラリーの方の上位の翼に対抗できる性能があるかどうかが問題だ。

 ハイミスリルの各種装備品。ハイミスリルという名前を初めて目にしたが、パラジウムやアダマンタイト以上なのだろうか? 名前的にはミスリルはアダマンタイトやオリハルコンに劣るイメージなのだが、そこに「ハイ」が付いているのでどちらとも判断が付かない。いやよく見ると★×9なのでダイヤと同等程度なのではないか? 期待しすぎない方が良いだろう。

 

 そしてそれらのアイテム群を作れる神々の時代への到達条件は何か。時代の祭壇のコンソールには以下の文面が浮かび上がっていた。

 

――この祭壇の役割はここで終わりだ。次の時代に到達するには、楔の塔の復旧を進めて文明を世に広める必要がある。

 

――今こそ文明の導き手(クラフトピアン)としての使命を果たすのだ。

 

 結局の所目の前の祭壇、楔の塔というらしきものの復旧は作業工程として避けられないようであった。




 そろそろ本格的にシームレスワールド要素を出し始めたわけですが、展開的に触れざるを得ないのにゲームの方ではワールドLv8が未実装で内容が不明なので、対BETA特別仕様として好き勝手に捏造しております。
 ぶっちゃけ最後の鉱石の名前すら推定でしかないので後で色々と書き直す羽目になりそうです。

・エンチャント抽出機:シームレスワールドのクラフトピアンに最初から備わっている権能を設備化したもの
・スキルエンチャンターモジュール:協力者を活躍させるために女神的存在が特別にあつらえたという捏造アイテム
・エンチャントコスト上限拡張モジュール:ぼくのかんがえたさいきょうのエンチャントを実現するべく女神的存在が特別にあつらえたという捏造アイテム
・万能岩盤製造機:クラフトピアンの権能であらゆる鉱物を量産させるべく女神的存在が特別にあつらえたという捏造アイテム
・精錬対象拡張モジュール:2023年9月以降に実装が予定されている機能のモジュール化
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