トピア達二人はシャルバート氷山のダンジョン『氷結の遺跡』へと向かった。
クラフトピア世界にとってはよくあることなのだが、同じ緯度で同じ標高でも気候ががらりと変わっており、麓でも万年雪が積もるような有様であった。そして氷山は遥か高くまで聳え立っており、山頂には謎の小さな浮島があった。
氷結の遺跡はそのシャルバート氷山の東の方にあり、歩いて行くにはなかなか骨が折れる所なのだが、トピア達はガンマで上空を悠々と飛んでいった。ただその上空も吹雪いており、雲の上まで出たとしても結局地表が見えないので、視界が良好とは言えなかった。
そのため多少迷ったものの、ダンジョンの入口が光って目立っているのが幸いし、それほど時間をかけずに見つけることが出来た。
トピア「よーしここが楔の塔関連で最後の遺跡ですね。一丁行ってきますよ!」
カミール「頑張ってくれ。ワタシは暫くここに籠もる」
フリーズレジストポーションがあるとは言え、キャノピーを開けたままの状態ではダイレクトに冷風が吹き込んできて辛いので、カミールはとりあえずキャノピーの閉じ方だけはトピアに教わっていた。
トピアがダンジョンの入口を潜ると、その先はやはり遺跡型ダンジョン共通のスタート地点となっていた。眼下に青空、正面に道があってそれが最初の部屋に繋がる形だ。
ただ今回は部屋の入口のゲートが閉じており、その前に何か石板のようなものが床から生えていた。
石板にはこう書いてあった。
――氷ノ床ハ床ヲ敷イテ対策スベシ!!
氷の床が滑るのは常識なので、普通の床を敷いて対策しろということだろう。
トピアがゲートに触れると、それに反応してゲートが左右に開いた。石板の注意書き通り、部屋の中の床は一面凍っていた。
部屋の中にはゴブリンアーチャーとグレムリンが二体ずつ。トピアは床を滑りながらそれらに接近し、細かく跳躍しながらヒルデブラントを振るった。レガシーワールドには滑る床のダンジョントラップなどというものは無かったが、滑る床という建材自体は存在した。そしてトピアは師匠と一緒に滑る床でレース場を作って
トピアは師匠の慧眼にますます畏敬の念を深めた。
トピアがMOBを打ち倒して部屋を出ると、まずは普通の石の通路が始まったが、すぐに途切れて左斜め前に次の足場があった。次の足場に飛び移って長い階段を上ると、部屋の入口入ってすぐの所に雪玉Lv.50があった。その向こうには何度も直角に曲がった細い下り坂が続いており、奥の扉の横にはレガシーワールドで言うところの始まりの踏み石と同じデザインのオブジェクトがあった。途中には3属性のウィザードが待ち構えていた。
つまり雪玉をあの踏み石まで運べということだろう。
ただ奥のゲートの周囲にはそれなりに高い壁があるが、天井が無い。飛び越えられないだろうかと試しにトピアがジェットパックをふかすと、あっさり上を越えることが出来てしまった。
何とも言えない気分ではあるが、時間が短縮できたのでそのまま進むことにした。
出口ゲートの向こうを左折してまた長い階段を上り、左折して7つの飛び石の足場を超えると円形が崩れたやや広い足場。そこから更に左に光の道が延びており、次の部屋に繋がっていた。
部屋の壁はそれほど高くないので、外からでもギガンテス・バリスタとギガンテス・ホプロンの姿が見えていた。
この光の道は先ほどの雪玉の部屋に入る前の階段の上を横切っていたが、どうも下からは見えないようになっていたので気付かなかったようだ。知っていれば更にショートカットが出来そうだ。
トピアが光の道を進み部屋に入ると、ワイヤーフック禁止状態になった。つまり実質何の制限も掛かっていないのでトピアは障害物を盾にしながら足場を渡りギガンテス達に接近。いざ近寄ってみると部屋の床が凍っているというトラップがあったが、慌てず小ジャンプ機動でギガンテス・バリスタに接近して槍を叩き付け撃滅。動きが遅いギガンテス・ホプロンも返す刀であっさり片付けた。
部屋の奥のゲートが開き、そこから伸びた石の道を左折するとすぐに次の部屋だった。
部屋に入るとすぐに床が途切れており、その先は軸回転する板と円柱のアスレチックであった。おまけに部屋の右から左へ突風が吹いていてジャンプすると左に流されるというトラップがあった。
普通にやると何度も落ちてしまいそうだが、何しろトピアにはジェットパックがあるので何ら問題にならず、あっさり対岸に渡りきった。
部屋を出て左折、長めの階段を上り右折すると次の部屋だ。
中には氷属性のグレムリンとゴブリンが待ち構えていたのでこれを軽く殲滅すると奥のゲートが開いた。
ゲートの先の途切れた道を跳躍して渡り、左折して階段を上って踊り場で右折、次の階段を上って更に踊り場で左折、その次の細かい階段を4つっていくとボスステージがあった。
しかし封印が解けておらず入ることが出来なかったので、原因を考えたトピアはやはり雪玉を飛ばしたのが不味かったかと戻ることにした。
再度雪玉転がしに戻ったトピアであるが、普通にやるとやはり面倒であった。ガードレールも無い細い道を転がしていかなければならないのですぐに雪玉が落ちてしまう。
ならば地形を改造してしまえということで、トピアは部屋の中に床や壁を敷いて雪玉の順路を勝手に作った。しかしこれも駄目であった。何故ならその上を雪玉が転がるだけで床がダメージを受けて壊れてしまうのだ。
結局の所トピアは壁を使って元々の順路に沿ったガードレールを作ることでこれをどうにかした。
時間が掛かったが、トピアは雪玉転がしをどうにかクリアした。
トピアが再度ボスステージの前に至ると、今度は凍り付かせるフェンリルLv.55が出現していた。
このフェンリルは神話で有名なフェンリルとほぼ同じ狼のモンスターだ。広範囲に氷のつぶてを降らせて氷漬けにしようとするのが厄介なので、先手を打って氷の鎧を砕いて転ばせるのが常套手段だ。フェンリルは比較的上位のボスの筈なのだが、体の各所にある氷の鎧を壊すと必ず転倒するという特性があるため、むしろレベリングに使いやすいカモとして有名であった。
トピアはいつものようにバトルヒムとマナサイフォンをかけて鼻先にドラゴンフォールで急降下、バウンドして立て続けにダメージを与えた。
意外なことにフェンリルは転倒しなかった。まあ気絶ゲージが0になって行動不能になったので転んだようなものではあるが。鎧が壊れるたびにダウンするのは流石に弱すぎたので修正が入ったのかもしれない。
また、フェンリルのライフが多いせいかドラゴンフォールの1、2発目では気絶ゲージが0にならなかったのだが、気絶ゲージが0になってからに比べ与ダメージが低かった。大体半分くらいだろうか。そして通常のダメージは気絶ゲージ0状態の方に近い。
ということは、これはただの気絶ゲージではなく、ゲージがある間はダメージを軽減する効果もあるのかもしれない。ゲージを割った瞬間のダメージ軽減率はゲージ0状態と一緒らしく、これまで一撃で倒すかゲージを割っていたのでダメージ軽減が観測されていなかったのだ。シールドゲージと改名するべきだろうか?
もう一つ分かったのは、一撃で仮称シールドゲージを割れば従来通りダメージが通るのであれば居合斬りの運用に問題は無いということだ。
宝箱の報酬は『氷山のアクアマリン』×20、『凍り付いた木』×20、『氷山の古代人形の破片』×20、その他消耗品と換金アイテムであった。
要求が『スノーミント』×10、『氷山のアクアマリン』×25、『凍り付いた木』×25、『氷山の古代人形の破片』×10だったので、種類も数も足りていない。辛うじて古代人形の破片が足りているだけだ。
ただスノーミントについては元々フリーズレジストポーションのために自動栽培しているので売るほどある。そうなると問題は氷山のアクアマリンと凍り付いた木の数の不足になる。
この問題についてトピアはカミールに相談することにした。
カミール「何、十分な特産素材が出なかった? ここに来て面倒な事態になったな……」
トピア「素材の分布とかご存じないですか?」
カミール「いや、流石のワタシもこんな人が殆ど住んでいないような地域の素材分布までは知らないな……スノーミントならオオワタツ諸島やブリガンダイン渓谷で農産物と引き換えに販売していたが、そっちは持っているのだったか?」
トピア「ええ、売るほどあります」
カミール「残り2種類……氷山の塔の復旧を先にするしかないか」
トピア「やはりそうなりますか」
トピア達はシャルバート氷山の塔へと赴き、塔の復旧を試みた。
1段階目でまず『プラチナのインゴット』×50と『聖水』×50。
要求されているプラチナのインゴットはレガシーより★の数が1つ少ないが、これはレガシーアイテムでもセーフ判定のようだった。思い返してみれば時代の祭壇のワールドLv6の要求でもFICSIT製の黒色火薬を普通に納品出来ていた。恐らく同系統で品質が高い分には問題無いということだろう。
聖水は新旧どちらの方式でも飲み水を5つ使って作るもので、その飲み水は調理用なべでバケツ水を長時間煮込んで蒸留か何かして作るものなので、聖水50個の作成には本来かなりの時間、もしくは相当の並列製造ラインが必要になる。その上位版の浄水施設というのもあるが、これはバケツで水を汲んで鍋に入れる工程を省略するだけで蒸留にかかる時間が変わらないので根本的な解決にはならない。しかし今のトピアには心強い味方がついていた。ラリーの世界由来の
カミール「なるほどこれも異文明とのシナジーか」
トピア「ありがたいことです」
1段階目をつつがなく終えて次の2段階目。『希少な革』×10、『希少な鳥の羽根』×10、『ふわふわの羊毛』×10が全てシームレスワールドからの新アイテムであり、ふわふわの羊毛は普通に羊から取得できるので簡単だが、他2つが問題だった。
カミール「『希少な革』はリザードマンやワニ、熊から、『希少な鳥の羽根』は鳥系のモンスターからドロップすることがあるとは聞くな」
トピア「『希少な革』はリザードエクスキューショナーから1つドロップしたので周回すれば何とかなりそうですね。鳥系モンスターは……グリフォンとかどっかにいませんかね?」
カミール「グリフォンか。表では見たことがないが、攻略をスキップした『暴風の古庭』はどうだ?」
トピア「それっぽいですね。他に手がかりも無いですし、行ってみますか」
斯くして次の目的地は暴風の古庭と決まった。