【完結】匠 VS BETA   作:MMZK

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091. むしろ今後は仕事しながらでも会議が出来るんじゃないかの?

サティ「次は私の報告ね」

 

 トリオ工場長の業務報告が一通り終わり、次はサティの番である。

 

サティ「まずマイルストーンのTier7と8が全部達成できたわ。これで全ての製造品目を解放できた形ね」

 

マイン「フン、いちいち面倒なシステムだな」

 

サティ「まあそれは私も思うけれど」

 

 名も無き中隊(ネームレス・カンパニー)も研究資材をつぎ込んで新しい設備を解放していく形であるが、一度解放したものは次の戦場でもそのまま使えるのでFICSITほど面倒ではない。とはいえ惑星環境が大幅に異なるならばその惑星に合わせた別の設備を一から解放していく必要があるのだが。

 そう考えると、FICSIT設備が惑星ごとに再解放が必要なのも実は毎回惑星環境に合わせたアジャストをしているからかもしれない。

 

サティ「これで解放された採鉱機Mk.3の超硬ドリルをルミナイトのドリルに換装したものを試験運用中よ」

 

トピア「あ、結局ルミナイトを採用したんですね」

 

サティ「摩耗耐性でもガラクサイトを超えていたからね。ただ設置数に対してルミナイトの採掘ペースが間に合うかの方が問題だけれど。報酬をもう一度使って鉱脈を増やす必要があるかもしれないわね」

 

トピア「あ、それについてはもしかすると解決できるかもしれません」

 

サティ「どういうこと?」

 

トピア「ワールドLv8に『万能岩盤製造機』というのがあるらしく、材料さえあればあらゆる鉱物の人工岩盤を製造可能だそうです」

 

サティ「それは素晴らしいわね」

 

トリオ「是非最優先でやってもらわんとな」

 

テクス「となるとあれもこれも作り放題でござるな……?」

 

マイン「我が軍団が益々無敵になるな」

 

 想像できていたが、やはり生産組の食いつきは前のめりであった。

 

トピア「はい、進捗については私の番で報告しますので続きをどうぞ」

 

サティ「そうね、次に無線制御ユニットを元にした個人用通信機の製造に成功したわ。元はライブラリのサンプルとして入っていたもので、工場長が展開している衛星の通信機能にリンクするように調整したから、この星のどこでも通信出来るようになるわよ」

 

 サティは通信機の現物をテーブルの上に出し、バケツリレー方式でカミールやファムも含めて全員に配布した。簡単な説明書をつけてあるので使いこなすのも難しくないだろう。

 それはヘッドセット形式になっており、アヌビス神にも使えるように耳の部分がフレキシブルになっているのでアヌビス神もご満悦だ。

 また、ヘッドセットとは別に操作のためのリモコンというか本体部分が別に付いていた。本体にはディスプレイもついており、ある程度は画像や映像のやりとりも出来るようになっていた。

 

スコア「これは助かるな」

 

テクス「今後は火急の用事が出来たらすぐに相談することが出来るわけでござるな」

 

サティ「このリモコン部分が本体で、通信の主体になってるから、うっかりインベントリに仕舞ったりしないように気をつけてね」

 

ラリー「なるほどな」

 

トリオ「両手が空くならむしろ今後は仕事しながらでも会議が出来るんじゃないかの?」

 

 確かに一度繋がってしまえば両手がフリーになる。作業効率を考えれば一考の余地があるだろう。

 それは仕事を進めたいがその仕事のために情報を共有しなければならない(マイスター)達にとって魅力的な提案であった。

 

マイン「しかしBETAに傍受されることは無いのか?」

 

サティ「暗号化はしているけれど……そこのところどうなの?」

 

 サティがトピアに意見を求める。

 

トピア「正直分かりませんね。連中がどうやって通信してるかも未だに解明できてないので。でもそれを言ったら無線通信そのものが使えなくなるので、暗号化しているのならあんまり気にしても仕方が無いかと」

 

スコア「それもそうだな」

 

テクス「流石に折角使えるようになった通信を封印するのは無しでござるな」

 

マイン「フン、他の案も無い以上は仕方ないか」

 

トピア「では今後は朝食後に衛星情報の確認と受け渡し品がある用事、その他集まる必要がある用事だけ済ませて、後の報告は通信でという形式にしますか? ダンジョン内での通信が出来るかは怪しいのでダンジョン攻略だけは出来ないことになりますが」

 

ラリー「ん? ダンジョン(Dungeon)内は駄目なのか?」

 

トピア「クラフトピア形式のダンジョンはどうも入口から別空間に飛ばされるようですので」

 

ラリー「そういうことか。じゃあ西のダンジョン(Dungeon)は関係ねえな」

 

トピア「それで今受け渡しなどの集まってないと出来ない用件のある人はいますか? あ、その前にまずはラリーさん、受け渡し用のチェストを人数分お願いします」

 

ラリー「分かったぜ」

 

 ラリーは部屋の隅にカミール、ファム、アヌビス神の分を含む全員分のテラリアンチェストを配置した。

 前回はトピアがスーパーダイヤモンドチェストを配置していたが、容量的にはテラリアンチェストの方が圧倒的に優れているので、今後も使うならと入れ替えた形だ。

 そこにトピアが看板を立ててどれが誰のものか分かるようにした。

 

ラリー「まずは俺からの受け渡しだ。虚空の鞄(Void Bag)を6人分作ってきた。とはいえ工場長のおっさんとサティ、それからスコアには昨日受け渡し済みだからあと3人分なんだが」

 

 ラリーは虚空の鞄(Void Bag)を取り出すと残る3人の(マイスター)のチェストに入れた。

 

トピア「噂の一番高性能な外部インベントリですか」

 

サティ「原理は不明ながら、科学方式のインベントリからも拡張インベントリとして認識されるから、建設作業が格段に楽になったわよ」

 

マイン「ファンタジーもたまには役に立つではないか」

 

 マインが相変わらず偉そうな口を叩いているが、(マイスター)達は慣れているのでいちいち反応しないし、助手の二人はファンタジーの意味が分かっていないので結果として完全スルーである。

 

ラリー「こいつの材料調達にはクトゥルフの脳(Brain of Cthulhu)を何回か再討伐する必要があったんだが、免罪符のお陰で召喚アイテムを作らなくて済んだから助かったぜ。ただ悪いが新人二人の分は計算に入ってなかったから用意できてねえ」

 

 後は直接仕事をしないアヌビス神も数えられていない。

 

カミール「構わないさ」

 

ラリー「代わりに豚の貯金箱(Piggy Bank)金庫(Safe)はあるからこいつで勘弁してくれ」

 

 ラリーは豚の貯金箱(Piggy Bank)を取り出してカミールのチェストに、金庫(Safe)を取り出してトピア、マイン、テクス、カミールのチェストに入れた。

 

トピア「おお、それも新しく解放された外部インベントリですね」

 

ラリー「例によってサティと工場長とスコアには金庫(Safe)を先に渡してあるし、ファムも色々運ぶ業務があるから豚の貯金箱(Piggy Bank)金庫(Safe)を先に渡しておいたぜ」

 

テクス「妥当なところでござるな」

 

 クラフトピア住民であるカミールとファムの二人は、インベントリを持っていたとしても1枠400で心許ないのだ。

 

トピア「あー、新しい二人にクラウドストレージとオクタリンのかばんも渡しておくべきですね」

 

スコア「そうだな。幸い在庫はある」

 

 これらも同様に受け渡しチェストに入り、カミールとファムのインベントリ容量が昨日今日で急激に充実することになった。

 なおオーブランタンも授与されたが、装備スロットはやはりシームレス方式でアクセサリ枠になるようであった。

 

スコア「あとアンブロシアが人数分出来たからこれも入れておく」

 

 スコアはアンブロシア(Ambrosia)(マイスター)全員のチェストに入れた。きらめき(Shimmer)に果物を投げ込んで作ったもので、採掘速度と設置速度が5%永続向上する効果のあるアイテムだ。

 

ラリー「それと魔法の鏡(Magic Mirror)を助手含めて人数分用意したから入れておくぜ。最後に使ったベッドにいつでも戻れるから上手く使ってくれ」

 

トピア「安全性が大幅に高まりますね」

 

サティ「宝石樹園で量産が始まったダイヤを原料にして作ったものね? 助かるわ」

 

ラリー「あと俺からもう一点……というか一セットだな。アクチュエーター(Actuator)とそれに関連するアイテムだ」

 

トリオ「アクチュエーター? 確か門を無くせるんだったかの?」

 

ラリー「それだぜ。ちょっと実演してみせるからな。設置に使う工具がこのグランドデザイン(The Grand Design)だ」

 

 ラリーは席を立ち会議室の壁に歩み寄った。

 

ラリー「まず壁にこのアクチュエーター(Actuator)を縦一列に2ft間隔で埋め込む。この間隔はグランドデザイン(The Grand Design)で自動的に調整できるから難しくねえ。横の判定が広いからアクチュエーター(Actuator)を横に2つ以上並べる必要は無いぜ。そんで床に青い感圧板(Blue Pressure Plate)を設置する。感圧板(Pressure Plate)のうち、この青と茶色と灰色がテラリアンが踏んだ時だけ反応する奴でな。今回は色が目立ちやすい青を選んだ」

 

サティ「それじゃラリーしか通れないんじゃないの?」

 

ラリー「実は抜け道があってな。テラリアン同士でチーム戦をやる時に使うこの大きな宝石(Large Gem)、実際に今出したのは大きなダイヤモンド(Large Diamond)だが、その応用で俺が作ったこれを所持していると俺の仲間だという証明になって通れるようになるんだ。実際にスコアが通れた」

 

スコア「昨日試したぞ。コアベースの門は全てアクチュエーター式に改装済だ。直接手に持たずインベントリや鞄の中に入れていても使えるようだ」

 

 ラリーが手元に大きなダイヤモンド(Large Diamond)を出して説明すると、スコアが実際に通用したことを証言した。

 

トリオ「なるほどの」

 

ラリー「それでこの地面の青い感圧板(Blue Pressure Plate)と壁に埋め込んだアクチュエーターをワイヤー(Wire)で繋ぐ。こうすると青い感圧板(Blue Pressure Plate)を踏んだ時に壁の当たり判定が消えて通れるようになる」

 

トピア「見た目には違和感がありますが、実質自動ドアのようなものですね?」

 

テクス「そのようでござるな」

 

ラリー「あとは反対側にも青い感圧板(Blue Pressure Plate)を設置してさっきのワイヤーに分岐接続する。つまり横から見ると逆さT字状になるわけだが、こうすることで壁を通り過ぎた後にもう一度青い感圧板(Blue Pressure Plate)を踏んで壁の判定が元通りになるわけだ」

 

 向こう側の青い感圧板(Blue Pressure Plate)を踏んだラリーが向こうから壁をノックして当たり判定の復活を明示する。

 

トリオ「ファンタジーながらになかなかシステマティックなようじゃの。合理的で分かりやすい」

 

ラリー「運用上の注意が一つあってな。通った後にも青い感圧板(Blue Pressure Plate)を踏まねえと壁が元に戻らなくて開けっぱなしになるからそこだけ気をつけてくれ」

 

 ラリーが見回すと、皆一様に頷いていたので理解したものとした。

 

ラリー「この一式がメカニック(Mechanic)からの購入と宝石樹園で全部揃ったからな。全員分受け渡しチェストに入れとくから各自持って行ってくれ。助手の二人は勿論アヌビス神も通行証は必要だろ?」

 

アヌビス神「X(うむ)」

 

トピア「これで楔の塔のポータルルームの壁をいちいち外さなくて良くなりますね」

 

カミール「ああ、なるほどそういう用途に使うのだな」

 

トピア「他にこの場での用件がなければ会議用の通信を接続して解散としますが宜しいですか? ……では解散! 今日も一日ご安全に!」

 

 トピアは全員の顔を見渡してから解散を宣言した。

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