遂に2周目のワールドLv7に到達したトピアは、目標であるワールドLv8への時代進化に必要な納品アイテムを確認した。
その内容はといえば、『ギーザ台地の進化のカギ』×1、『ミルウィン丘陵の進化のカギ』×1、『ヤーデン草原の進化のカギI』×1、『ヤーデン草原の進化のカギII』×1、『オオワ
トピア「やはりここで進化のカギが必要になりましたか」
カミール「つまり特産素材説と進化のカギ説どちらも間違いではなかったということか」
どちらの仮説が正しいのかで色々あったらしいカミールは複雑な表情をしていた。
トピア「そのようですね。しかし7つの進化のカギは塔を復旧していけばいいとして、ラッシュ金貨というのは何でしょうね? 『強敵を打倒した証』と書いてありますが、何かのボスドロップですかね?」
ラッシュ金貨の説明にはこう書いてある。「強敵を打倒した証。一定の枚数を集めることで報酬と交換ができるようだ」。
ただし見た目はレガシーで言うガチャコインそのものだ。ここから分かるのは2つ。デザインが使い回しであることと、恐らくガチャコインが廃止されたであろうことだ。
カミール「ラッシュ金貨……
トピア「とはいえ、楔の塔に関連した
トピアは今自分達が口にしたフレーズに何かの引っかかりを覚えた。
カミール「どうした?」
トピア「いや今何か………………あっ、
カミール「今ので分かったのか!?」
トピア「そうですよ、普通のダンジョンでエンチャントスクロールが入手出来るなら、ボスラッシュダンジョンでは何か別のものが得られるはずですよね。というわけでボスラッシュダンジョンという名前の遺跡ってご存じないですか?」
カミール「生憎そんな遺跡は聞いたことがないが……いや、そうだな。確かこの島の北にまだワタシが行ったことのない遺跡が2つあるぞ」
トピア「どこですか?」
カミール「マップで言うとヤーデン草原の北にあるこの橋の先の遺跡と、その西北西にある柱の島の遺跡だ」
トピア「いかにも怪しいですね。まずは塔を全部復旧して、ダンジョンの名前が分かったらそこに、分からなかったら順に当たってみましょう」
カミール「了解した」
トピア達は速やかに残りの楔の塔を復旧していった。
ミルウィン丘陵の塔、ヤーデン草原・山地の塔、ヤーデン草原・遺跡の塔はすんなり終わった。
ヤーデン草原には塔が2つあるので両方復旧しなければ全体の情報が開示されない可能性もあったが、山地の塔を復旧した時点で草原全体の情報が開示された。ちなみにカギは山地がIで遺跡がIIだった。
その次のオオワタツ諸島の塔の復旧では氷山ほどではないがぼちぼち面倒なアイテムが要求され始めた。特にエンジンパーツなどはワールドLv6で解放される熟練の工場で製造出来るものなのにまだLv5のうちに要求されるのはどうしたことかとトピアがカミールに尋ねてみたところ、返答はシンプルであった。
カミール「エンジンパーツならヤーデン草原・遺跡の塔の近くの集落で販売されているぞ。あと集落周辺の廃車からも採取できたな」
言われてみれば特産素材のスノーミントも販売されていたのだから、エンジンパーツが販売されていても不思議ではなかった。
本拠地に戻れば製造も可能ではあったが、買った方が早いのでトピアは有り余る資金で解決した。
オオワタツ諸島の塔が完成したことでトピアは進化のカギをゲットした。ただしカギの名前は『オオワ
これは不安定が原因ではなく単なる誤字だろうなと思いつつも、最後になったブリガンダイン渓谷の塔にトピア達は向かった。
塔の復旧に際してやはりそこそこ面倒なものが多かったが、紅蓮のハーブと群青のハーブはオオワタツ諸島の和風集落で販売されており、エンジンパーツと燃料タンクはヤーデン草原北のジャンク集落で販売されていたので買って済ませることにした。このあたりはまたカミールの情報が役立った。カミールはまた例の知性アピールポーズで眼鏡をクイクイさせていた。グリフォンの件はそろそろ挽回出来たということだろう。トピアは素直に褒めることにした。
トピア「流石はカミールさんですね!」
カミール「フフッ、それほどでもない!」
その方向を見習うのはいかがなものかとトピアは懸念したが、まあ他者を無用に罵倒するところを真似しなければ酷いことにはならないだろう。
トピアは静観を決め込んだ。
同じく復旧のための納品要求にあった『鉄骨の柱』は従来赤く染めるのにレッドストーン鉱石が必要で、販売されていないのなら放棄された鉱山まで採掘しに行く必要があるかとトピアは懸念したが、製造ツリーを辿ってみると新方式のクラフトでは鉄とボルトだけで製造可能になっていたので問題にならなかった。
『バイオプラスチック』はレガシーではバイオエタノールとサトウキビ、新方式でバイオエタノールと油脂になっており、トピアは自動農園で全部揃う前者の方式を採用した。
塔の復旧が完了してトピア達は『ブリガンダイン渓谷の進化のカギ』を入手し、これで7つの進化のカギが揃った。しかし例の謎の遺跡2つの名前は開示されないままであった。
トピア「とりあえず近い方の『橋の先の遺跡』から行ってみましょうか」
カミール「そうだな」
ブリガンダイン渓谷の塔の屋上に簡易発着場を整備して、トピア達はガンマで『橋の先の遺跡(仮)』を目指した。カミールがこの遺跡に入れなかったのは橋が途中で途切れていることと橋に敵対MOBがわらわらと湧いて回避しようがないのが原因であったが、トピアならば橋の崩落も敵対MOBもどうということはないし、そもそもガンマならばその辺りを一切合切省略することが出来る。
……と思って現地に赴いたのだが、そこでは予想外の事態が待ち受けていた。
カミール「遺跡が……無い……!?」
トピア「確かにここだったんですか?」
カミール「遠目ではあったが、確かにこの目で見たんだぞ?」
つまり遺跡そのものが消失していたのだ。
代わりにそこには言葉が通じそうな相手が徘徊していたので、トピア達は聞き込みをしてみることにした。
トピアは早速遺跡があったという小島に飛び降りた。
トピア「すいません、騎士の方。お話を伺っても宜しいですか?」
封印を守護する上級聖騎士「ウッ! 我々は、悪しき竜の封印を守護する任務中である! 淑女達よ何用か?」
フルプレートメイルの騎士が顔の前に片手剣を掲げ、剣の腹を見せながら返答した。その頭の上には『封印を守護する上級聖騎士Lv.60』と出ていた。これだけでも分かったことがある。
我々と言った通りこの聖騎士は複数、恐らく三人いる。そして三人とも倒すとこの橋の上にファーヴニルが出現するということだ。レガシーにもあったトリガーだが、真面目に封印を守っている騎士達をわざわざ殺害しないと出てこないというのは悪辣である。
しかもシームレスワールドではLv7に到達するためにLv7からしか製造出来ないアダマンタイトのインゴットを20個調達する必要があり、そのアダマンタイトインゴットのドロップが唯一設定されているのがこの聖騎士だ。あの女神的存在は聖騎士に何か恨みがあるのだろうか?
トピア「以前ここにダンジョン遺跡の入口があったと伺ったのですが、何かご存じではないですか?」
封印を守護する上級聖騎士「ウッ! すまないがそのようなものを見たことは無いな。それよりもここは危険だ。立ち去るがいい」
トピア「分かりました。ご協力ありがとうございます」
封印を守護する上級聖騎士「ウッ! これも騎士の勤めだ」
ウッって何だよ酔っ払ってんのかよとツッコみたいところであるが、ともかく騎士は事情を知らなさそうだ。
トピアは一旦素直に引き上げることにした。
トピア「特に情報も無さそうですので、もう一方の方に行ってみましょうか」
カミール「……そうだな」
情報が空振りしてカミールはまたしょんぼりしていた。なので一応フォローしておくことにした。
トピア「ああ、別にカミールさんの情報を疑っているわけではないですよ」
カミール「しかし現に遺跡は無かったわけだしな」
トピア「仮に再出現するとしても面倒なトリガーになるので先にもう一方を当たってみようというだけのことです」
カミール「何か分かったのか?」
トピア「悪い竜が封印されているなら、その竜と一緒に何か封印されてる可能性もあるじゃないですか。でもそのために真面目に封印を守ってる騎士をぶん殴るのもちょっとどうかと思いませんか?」
カミール「うーん……そうだな。というか説得という方針は無いのか?」
トピア「真面目そうですし、それはそれで時間がかかりそうじゃないですか」
カミール「まあな」
というわけでトピア達が次に赴いたのはその西北西の柱の島である。
幾つもの島に分かれているが、真ん中の小さな島を中心として幾つもの柱が二重の円を描くように立てられており、これが柱の島の名の由来であった。
特に重要なのは隣接した2つの島で、真ん中の小島にはポータルが設置されており、そこから西の島に向かって橋が架かっていた。そしてその西の島にはダンジョンの入口ゲートが鎮座していた。
この遺跡と柱についてもカミールの考古学的好奇心が喚起されるところであるが、最も不思議なのは何故か小島の未解放ポータルの周りに当然のような顔で商人スミスと抽出師パラケルススがいることであった。
カミール「こんな所に人が……しかも顔見知りだと……?」
トピア「しかも目の前にある未解放ポータルに触ろうともしないのは……いや、使った後閉じたんですかね?」
商人スミス「そりゃ開けっぱなしだと誰が来るか分かったもんじゃないからな」
抽出師パラケルスス「そうだな」
カミール「いや客も来ないのでは?」
商人スミス&抽出師パラケルスス「あっ」
もしやそれが原因だったのか、そんなまさか、などという小声の相談が漏れ聞こえてくる。大丈夫かこいつらというカミールの冷たい視線が商人達を貫いた。
トピア「……実は私たちが最初の客だったりしません?」
商人スミス「そいつは企業秘密ってやつだ。それよりも何か買っていくかい? ここでしか売ってない限定品ばかりだぞ」
カミール「碌に客も来ないのに限定商品まであるのか……」
深く考えるのをやめてトピア達が商品一覧を見てみると、そこには『アビス』もしくは『深淵』と名の付いた武具がずらりと並んでいた。
単純な性能だけならアダマンタイト武具やファーヴニル素材武具よりも性能が高い。例えば槍であるアビススティンガーの
しかしそれ以上に最も注目すべきは売価の単位が『ラッシュ銀貨』になっていることだ。つまりここがラッシュ金貨ゆかりの地であることがほぼ確定した。
まだワールドLv8が実装されてないのでワールドLv8到達のためにラッシュ金貨を要求されるというのは独自設定ですが、一応実装されているラッシュ金貨の説明文がまだWikiにも掲載されてないので、槍装備で自力でゲットしてくるのに大分苦労しました。