【完結】匠 VS BETA   作:MMZK

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097. 双撃決闘者の装(フォーム・デュアル・デュエリスト)Mk.3

 カウントダウン後、休憩室に転送された二人はその場で座り込んだ。

 

トピア「っふゥー……何とかなりましたね……」

 

 しょっぱなからLv.100を出してくるとは思っていなかった。やはりレガシー版のボスラッシュダンジョンが散歩道呼ばわりされたのが気に障ったのだろうか?

 あとラッシュ銀貨は手に入ったが折角Lv.100なのにエンチャント素材が一切手に入らないのはどういう了見なのか。

 

カミール「た、助かった……」

 

 見てみればカミールが思った以上に憔悴している。どうしてだろうかと考えたトピアは、そう言えば負けてもペナルティが無いという話をカミールは聞いていなかったなと思い当たった。

 周囲の風景はダンジョンに入った直後の部屋とほぼ全く同じで、中央のパネルのカウントが2に進んでいる。なるほど休憩室とバトルステージを交互に繰り返す構成になっているらしい。

 そして後方には最初の休憩室と同じ出口があるように見える。

 

トピア「出口は変わらずあるようですね。一旦一緒に出ましょうか」

 

カミール「そうだな……」

 

 またパネルを下手にいじってボス戦に突入してしまうのは問題なので、トピアは脱出を優先することにした。

 先に立ち上がったトピアがカミールの手を取って立ち上がらせ、出口へと連れて行く。

 しかしその出口は通行が出来ないようになっており、代わりにエラーメッセージが表示された。

 

カミール「先に中断手続きをしてください……?」

 

トピア「そういえばありましたね、中断からの再開がどうとか」

 

カミール「やはりパネルで手続きするしかないか」

 

トピア「えーと、じゃあまた事故が起きないように今度は一人で操作しますね」

 

カミール「任せた」

 

 トピアが中央のコンソールで中断手続きを済ませると、『ダンジョン中断ディスク +2』が1つ手に入った。これを使って次回再開するらしい。

 その説明には「強敵との戦闘記録を書き記した記憶媒体。祭壇で使用することで、中断した記憶から攻略を再開できる。古の時代では全国の玩具店などに設置されていた機械を用いて中身の書き換えができていたようだが、既にサービスが終了して久しいようだ」と書いてあった。

 ディスクシステムかな? とトピアが脳内でツッコミを入れている間に中央パネルの表示が1に戻った。なおトピアはディスクシステムの実物を見たことは無い。

 

トピア「手続きが終わりましたが、出られそうですか?」

 

カミール「試してみよう」

 

 カミールが出口の空間の歪みに手を触れると、その姿がかき消えた。そして数秒後また戻ってきた。

 

カミール「大丈夫のようだ。こちらは気にせず攻略を頑張ってくれたまえ」

 

トピア「了解です」

 

カミール「それとだな……守ってくれてありがとう」

 

 顔を赤くしてそれだけ言い残すと、カミールはまたダンジョンを出て行った。

 

トピア「お礼を言われるのはいいんですけど、そういうのは恋人とかに見せる態度では……?」

 

 とは言いながらも、トピアも悪い気分ではないらしく、頬を緩めていた。

 そして表情を引き締めて右手を上にかざし、左手を腰に引き絞ったポーズで一言。

 

トピア「蒸着……双撃決闘者の装(フォーム・デュアル・デュエリスト)Mk.3」

 

 ボスを抹殺するためだけの装備へと換装し、必要なバフをかけ終わると次の階層への挑戦を実行した。

 

 次の2階に出現したのはサテュロスLv.100。

 距離を詰めて居合斬りLv6(Max)を発動。一撃で仕留めた。

 

 3階は大いなる冬のフェンリルLv.100。

 やはり居合斬り一撃であった。

 

 4階は万古のボーンドラゴンLv.100。

 寝ている間は殆どダメージが通らないので起き上がって咆哮を上げ終わった直後に居合斬りで一撃。

 

 5階は歴戦のエンシェントゴーレムLv.100 + ストーンゴーレム×4。

 エンシェントゴーレムは居合一撃で倒したが、通常攻撃をすると武具研磨が剥がれてしまうのが地味に困った。いやそもそも武具研磨までかける必要が無いのではと気付いたトピアはまた必要になるまでバフを省略した。

 

 6階は真紅眼のリザードエクスキューショナーLv.100 + 大斧のグレムリン×3。

 リザードエクスキューショナーを居合で倒した後にグレムリンを通常攻撃で仕留めた。

 

 7階は天空のグリフォンLv.100 + 金天に舞うグリフォンLv.100。

 

トピア「おっ、一気にハードルを上げてきましたね」

 

 というのも、グリフォンはグリフォンの周りだけ安全な全体攻撃とグリフォンの周りだけ危険な近距離攻撃を繰り出してくるので、2体同時に存在していると運悪く同時に全体攻撃が発動して回避するためのスペースが全く無いという事態に陥るのだ。

 なのでトピアはまず開幕咆哮が終わった直後に天空のグリフォンを一撃で斬り殺し、そこからダッシュと回避アクションで距離を詰めて返す刃で金天に舞うグリフォンを仕留めた。2体同時に存在している時間が短ければ短いほど安全なので、判断としては正しい。こういった状況を打破するために多くの理想郷の建設者(クラフトピアン)防御力(DEF)よりも攻撃力(ATK)魔法攻撃力(MATK)を優先するのだ。

 

 8階はリザードガンナーLv.100 + マシンガンタレット×4。

 上がったハードルがまた下がった。7階が特別なのか、たまたま厳しめの組み合わせを引いたのかは判然としない。

 リザードガンナーを居合で倒した後にマシンガンタレットを通常攻撃で仕留めた。

 

 9階はサテュロスLv.100 + サイクロプス×2。

 サイクロプスを引き連れていても所詮はシームレス最初のボスだった。

 

 問題の10階。

 

トピア「面倒な組み合わせですね」

 

 天空のグリフォンLv.100 + 金天に舞うグリフォンLv.100 + 憤怒のドラゴンLv.100。

 

 兎に角グリフォンを2体同時に生かしておいてはいけないのでまず咆哮を回避しながら天空のグリフォンを居合で一撃。憤怒のドラゴンの遠距離攻撃をかわして金天に舞うグリフォンに接近、地面に降りてきたところを居合で一撃。最後に残った憤怒のドラゴンの懐に入って一撃。

 やはり攻撃力(ATK)は全てを解決する。長引かせたら包囲されて揉み潰されてしまう。

 トピアは目的のラッシュ金貨1枚を入手し、中断手続きをしてボスラッシュダンジョンを出た。

 

 

トピア「手に入りましたよラッシュ金貨」

 

 トピアは堂々とラッシュ金貨を見せびらかしながらボスラッシュダンジョンから凱旋した。

 

カミール「流石だな」

 

トピア「まあまだ10階ですからね」

 

商人スミス「おいそりゃあ本物か?」

 

トピア「商人なら見れば分かりますよね? あ、触ったらはたきますから」

 

 今のトピアは双撃決闘者の装(フォーム・デュアル・デュエリスト)Mk.3装備でバフ無しでも基礎攻撃力(ATK)が30,283もあるので、その言葉の軽さに反してはたかれるだけでも危険である。

 

商人スミス「そんなことはせんよ。……うーん、本物だなこりゃあ」

 

抽出師パラケルスス「初めて見るな」

 

カミール「だろうな」

 

商人スミス「……よし! 何を買ってく?」

 

 気を取り直して表情を引き締めたスミスが取引の準備を始めたが、それに対するトピアの反応は淡泊であった。

 

トピア「ん? 何も買えませんよ? 金貨は他の用途に使いますし、そもそも銀貨と合わせてもまだ19枚分しかありませんから、最低価格がラッシュ銀貨20枚の商品なんて買えませんって」

 

商人スミス「何ィー!? この貧乏人めェ!!」

 

トピア「仰る通り貧乏人なので冷やかして帰りまーす! ()()()()()!」

 

 トピアはカミールを引っ張ってファストトラベルでギーザ台地の塔へと撤退した。

 

 

 

カミール「おい、あんな風におちょくって良かったのか? あれって大分強力な武具じゃないのか?」

 

トピア「そうですね、現状クラフトピア最強の武具でした。エンドコンテンツなんでしょうね」

 

カミール「今後足元を見られて困ったりしないか?」

 

トピア「うん? ああ、アビスシールドの防御力はそれなりに魅力的でしたね。買いませんけど」

 

カミール「……要らないのか?」

 

トピア「他の世界の物品も合わせて比べると、基礎攻撃力(ATK)が1,195の『原始的な水晶の槍』やあらゆる状態異常を防ぐ『聖十字の盾』なんてものがあるので、その辺りと比べるとあんまり魅力を感じませんね」

 

 『原始的な水晶の槍』はこの間採鉱機を設置して回った時にマンモスの骨の近くで発掘したものだが、見た目に反してとんでもない基礎攻撃力(ATK)があり、おまけに攻撃力(ATK)+36.1%の追加効果まであるので、トピアもびっくりしたものだ。精錬の手間とエンチャントの都合と見た目の問題で死蔵したままになっていたが、本気で鍛えれば槍装備の攻撃力を大きく上げられるだろう。説明を見る限り粗末な棒の先に尖らせた古代の宝石をつけただけのものなので、もっときちんとした加工をすると更に性能が上がる可能性があるのではないかとも考えられる。逆に奇跡的に出来てしまった一品物という可能性もあるが。

 

カミール「そういう視点か……」

 

 思った以上にずれていた認識に、カミールは天を仰いだ。

 

トピア「まあ、めでたくワールドLv8に到達するための納品アイテムが揃ったので、まずはそっちを進めませんか」

 

カミール「そうだな」

 

 トピアはギーザ台地の塔から進化のカギ7種とラッシュ金貨を納品し、遂に神々の時代へと至った。

 するとギーザ台地の塔だけでなく7つの塔が同時に輝き、島を中心として島だけでなくより広範囲に何かの力が満ちていった。

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