4000字が目標なのですがまだつらいです。
今話はレ級ちゃんの一人称視点です。
自分の書きやすい視点を模索中です。
では、お楽しみいただければ幸いです。
「ばいばーい!」「さよならー!」と元気に手を振ってくれる妖精たちに手を振り返しながら、私はヲ級さんを追ってその部屋の扉を通り外に出る。どうやら、ここは地下なのだろうか。コンクリートの壁の廊下は窓がなく、大きめの扉がぽつぽつと並んでいる。
「あの、ヲ級さん。ここってもしかして地下なんですか?」
「・・・そう。このあたりは工廠。」
「工廠ですか?」
「・・・工廠。私たちを造ったり、修理したりする。」
「へぇ・・・ということは、あの箱みたいなのが私たちを生み出しているってことですか?」
「・・・資材を用意して妖精に預けると生まれてくる。詳しいことはわからない。」
詳しいことはわからないんだ・・・気になるなぁ。
「他の扉の部屋は何の部屋なんですか?」
「・・・さっきの部屋が私たちの生まれてくる部屋。そこは修復ドック。ほかは駆逐艦の部屋とか潜水艦の発艦室とか。」
い、いろいろな部屋があるんだな・・・と私は目を丸くした。
ヲ級さんと姫のもとへ向かう間、私はほかにもいろいろなことを聞いた。それらに対して、彼女は簡潔に淡々と答える。そんなやり取りを続けていると、階段を上り、窓のある明るい廊下に出た。どうやら工廠は建物の地下にあったようで、今いるところは地上部らしい。
「ヲ級!オツカレ!」
「・・・おつかれさま。」
廊下を少し歩いたところで、向かいの曲がり角から突然小さくて黒い物体が飛び出してくると、ヲ級さんに向かって挨拶をした。
「・・・イ級、遠征の報告?」
「ウン!ボーキサイト、イッパイトレタ!」
「・・・今日の晩御飯が楽しみ。」
あ、ヲ級さんがにっこりしてる。ヲ級さん、笑うとすごくかわいいなぁ。目の錯覚かもしれないけど、どこか彼女の姿や雰囲気がきらきらしている気がする。
「・・・レ級、はやく姫のところに行く。」
「ボクモ報告!イッショニイク!!」
そういうと、ヲ級さんはすごい勢いでイ級ちゃんを連れて歩いて行ってしまった。もしかして結構食いしん坊なのかな。・・・って。
「お、おいてかないでー!!」
ここではぐれたら、迷子になっちゃう!!
ヲ級さんとイ級ちゃんは、この建物のおそらく3階の他の部屋の扉に比べて立派な扉の前でまっていた。彼女たちに追いつくと、私はその扉と向かい合う。これから私は、姫と呼ばれる相手と面会する。そのことを考えると、緊張から自然と背筋が伸びてしまう。高鳴る胸の鼓動を抑えるためにゆっくりと深呼吸をして、胸に手を当てて心の準備を「・・・姫、新しい仲間を連れてきた。」「遠征オワッタヨー!」なんということでしょう。彼女たちはさせてくれないではありませんか。
「そう、お疲れ様!報告を聞くわ。はいってはいって!」
高いソプラノの元気いっぱいの声とともに勢いよく開かれる扉。
「え?」
その声は動揺する私の心に響き渡り、その姿は私の目をくぎ付けにした。真っ白なふわふわのロングヘアーの主は、純真無垢な笑顔を見せる幼女。これまた真っ白でふわふわのゴスロリドレスをきており、真っ赤な目がアクセントとなり幻想的な美しさをもっている。
「あ、あなたが新しい仲間ね!私は孤島棲姫。島のみんなからは姫って呼ばれてるわ!あなたのお名前は?」
「わ、私は戦艦レ級です。はじめまして。」
「まぁ!レ級!!なんて心強い仲間ができたのかしら!!これからよろしくね!」
「よ、よろしくおねがいします?」
「敬語なんていらないわよ!もっとふれんどりーにいきましょう!ふれんどりーに!」
「よ、よろしく?」
「そ!それでいいわ!この島では敬語なんていらないわよ?みんな友達だもん!」
すると少女は満足したのか、部屋の真ん中に置かれたテーブルの1席にすわった。勢いに乗せられて自己紹介がすんでしまったわ。恐ろしい子。
「さて、レーちゃんといっぱいお話ししたいところだけど、まずは報告を聞きましょうか。イっちゃん!遠征の成果はどうだった?」
「レーちゃん?」
「ボーキサイト、イッパイトレタヨ!コレデヲ級もオナカイッパイ!!」
「そう、よかったわ!ヲーちゃんがつまみ食いするから困ってたのよ!」
「・・・つまみ食い、してない。あれは夜食」
「イっちゃん、今日は遠征隊のみんな、食堂でおなかいっぱいたべちゃっていいわよ!私が許可する!!」
「ヤッター!ゴハン!ゴハン!」
イ級ちゃんがすごい勢いで部屋を出て行った。
「さて、ヲーちゃんの報告もききましょうか!」
「・・・レ級とリ級とチ級だった。やっぱり戦艦クラスはそうそう生まれない。」
「まぁ、それは仕方ないわね・・・。でも、レ級よレ級!戦艦でも最高峰の性能!圧倒的戦闘力!!これで私たちの戦力は急上昇間違いなしね!!」
さっきからずっとテンションが高い。疲れないのかな・・・。そんなことを考えながら、幼い姿相応のはしゃぎっぷりを見せている姫を眺めていると、ヲ級と話していた姫が勢いよく振り向いて私と眼を合わせた。その愛らしさに思わず頬が緩んでしまう。
「じゃあ、もう一度自己紹介と私の島の紹介をするわね!ヲーちゃん!お水もってきて!のど乾いた!」
「・・・わかった。」
ヲ級が部屋を出ていく。姫は両手を膝に置いてうつむくと、ゆっくりを数度深呼吸をして、ふんっとかわいらしく気合をいれると、私と目を合わせなおし、ゆっくりと話し始めた。
「私は、孤島棲姫。この孤島の姫をしているわ。この島のすぐ近くで私は生まれたの。1年くらい前かしら。そのあといろいろあってからこの島を拠点にしてね。近くから集まってきたみんなと協力して資源をあつめて、たくさんの設備を建設して、今のこの島をつくり上げたわ。島の細かい紹介はあとで島を回るときにいっぱいするから、これからレーちゃんには、私の夢を聞いてほしいの。」
「夢、ですか?」
「敬語はなし、っていったでしょ?」
「あ、ごめんなさい・・・」
「うむ、それで、私たちの夢、目標ともいえるわね。それは、『みんなが幸せになれる島をつくること』よ!」
「みんなが幸せに・・・?」
「そう!幸せに!!私たちって、後悔とか、憎しみとか、そういう負の感情がたまって生まれてくるみたいなの。もちろん私もおなじよ。でもね、最初は近くを通るやつらに八つ当たりしたりとかしてたけど、ある時気が付いたのよ。もしかしたら、こんなことしてても私はずっと暗い気持ちのままなんじゃないかって。だから私は決めたの!まずは、ここで生まれた仲間たち!その次は近くの!最後は全部の仲間たちが幸せになれる私たちの島をつくろうって!」
彼女は机に身を乗り出して、熱意のこもったまなざしで私に語る。彼女の夢を。それは、私の心にすとんと入り込む。不思議なことに、彼女とはあったばかりなのに、ああ、彼女らしいな。とおもってしまった。
「・・・それは、いい夢ですね。」
「んもぅ!敬語!!」
「・・・いい夢だね。すごくいいとおもう。」
「でしょ!?だからね、あなたにも手伝ってほしいの!私の、私たちの、すばらしい島をつくるお手伝いを!!」
彼女は私に手を伸ばす。その笑顔は太陽のようにかがやいて、私にはとてもまぶしかった。
私は椅子から立ち上がると、彼女の手を握って返事をする。
「私でよければ。その夢、お手伝いさせて「・・・水、もってきた。」ほしいな」
奇妙な沈黙が場を支配した。コップの乗ったお盆をもって首をかしげるヲ級さんと、両手を私に握られているから顔を隠せず、必死にそっぽを向いて顔を真っ赤にして笑いをこらえる姫と、決め台詞を遮られた羞恥心で顔を真っ赤にしている私という静かな空間。それはだんだんと、姫の「ぷふっ・・・ぷふふふっ・・・」という笑い声で上書きされていく。
ヲ級さん。どうしてあなたは、間を外すのがそんなにうまいのですか。
段落の付け方が狂ってたので気がついたところは修正しました。またあとで見直します。