有効射程距離25バ身   作:sabu

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12/20 第39回 G1阪神ジュべナイルフィリーズ 1/4

 

「観客動員数7万越えか……」

「凄いわねー! 阪神レース場の総動員数更新って聞いちゃった!」

 

 阪神レース場。15:13。

 早朝から中央トレセンからの監督役として先乗りしていたシンボリルドルフとマルゼンスキー。

 二人の眼下には、第10Rを終えて段々増えていく観客の人々がいる。

 

「もうすぐ、始まるな」

「でも同時に、朝日杯の方も始まっちゃうのよね……」

「……良いのか? マルゼン」

「でも朝日杯を見に行ってたら、エウロスちゃんの勇姿が見れないし……もう! 本当にまいっちんぐなんだからっ!」

 

 エウロスは朝日杯FSの方に出るだろう。

 そういう認識を持っていたのは、何も世間だけではなかった。

 

 ——エウロスちゃん朝日杯頑張ってね! 私の可愛い後輩のチヨちゃんも出るから!

 ——あ、ごめんなさい。私は阪神JFに出ます。

 ——え……。

 ——マルゼンスキーはチヨさんをお願いします。

 ——えぇーー!!??

 

 現役時代、自分の為に奮闘してくれた友人兼後輩と、最近新たに出来た可愛い後輩。

 どちらにも勝って欲しいし、負けて欲しくはない。

 でも勝者は一人だけというのを、彼女は身に沁みて理解している側のウマ娘だった。

 ならば、もう現役を退いた身として勝負の場所はちゃんと整えよう。

 一緒に走りたくないと言われるのも、レースに出させて貰えないのも辛いだけだから。

 そういう心持ちでマルゼンスキーは生徒会のお手伝いをしている。

 

 しかし、自分と似た境遇になるかもしれないウマ娘へのちょっとした恩返しを、当の本人は知らんとばかりに、唯我独尊自らの道を行った。

 マルゼンスキーがここ最近ショックだった出来事ランキング堂々の一位である。

 

「そうだな。本当に困った妹だよ」

「……本当に困ったなんて思ってる? エウロスちゃんに頼られた後のルドルフ、生徒会長室でずっと顔を綻ばせているじゃない」

 

 図星を突かれたのか、うっ……と呻き声を上げたシンボリルドルフが言う。

 

「だって……妹は全然私を頼ってくれないんだ……」

 

 姉と妹。友人と友人。

 そういう関係だった。

 だけど彼女達には、実績と戦績という圧倒的な権威に裏打ちされた立場がある。

 

 中央トレセンに入学したら、私は比べられる。

 そして私は、四人と縁が深いウマ娘だから勝てたなんて言わせたくない。

 私は私で、自分の道を進みます。

 

 入学前、シンボリエウロスは四人に宣言した。

 だから中央トレセンに入学してからも特に関係は進まなかったし、エウロス本人は自らの状態や動向をほとんど話さない。そして頼らない。

 それでも、寂しいものは寂しかった。

 エウロスも含めた五人だけの秘密と、あの日々を知っている彼女達からすれば。

 

「私達は、ずっと待っているのにな」

「……………」

 

 しんみりと呟いたシンボリルドルフに釣られて、マルゼンスキーは遠くを見た。

 昔はよく、五人で走っていた。

 時間と理由さえあれば、ずっと。

 時間と理由がなくても、ずっと。

 

 多分あの日々が、私達は最も"ウマ娘"になれた。

 

 そういう認識が四人にはある。

 きっと、エウロスを除いた四人に。

 

 ——あの、ごめんなさい。

 ——いいんだ、エウロスのせいじゃない。こういう事を事前に防げなかった私達のせいだ。

 ——あの……そうじゃなくて。

 

 それは四年前。

 事件が起きた。

 不運が重なった果てに発生した、冬の寒空の下で。

 

 

 ——また、走れなくなったかも。

 

 

「そうね」

 

 待っている。あの日からずっと。

 本当は、最初は私達が追っていた筈のウマ娘を。

 

「おかえり、なんて言えるのはいつになるのかしら」

「——案外……もうすぐ言えるんじゃない?」

 

 今も思い出す過去の感傷に黙り込み、歓声から切り離されていた観客室の空間に、一人のウマ娘が割って入った。

 この観客室は、関係者しか立ち入れない場所である。

 生徒会長を務めるシンボリルドルフと、その補佐をするマルゼンスキーに並ぶ、数少ない関係者。

 

「シービー?」

 

 入って来たのは、三人目の三冠ウマ娘その人。ミスターシービーであった。

 

「やっほ。流石に今日は気になったから来ちゃった」

 

 シリウスシンボリは海外遠征中で仕方がないとしても、ミスターシービーが、シンボリエウロスのレースを全く見に来ない事は有名である。

 

 エウロスとシービー。

 同じ追込で、しかも彼女達は特殊な縁を持つあの五人。

 なのに、シービーだけが姿を見せないのは何故か……と勘繰られる事はなく、まぁミスターシービーだからと世間に受け入れられているのは彼女の性格と人徳の賜物であり、ルドルフとマルゼンも同じく、まぁシービーだしと受け入れているのが、今に至る独特の関係である。

 

「珍しいな。君が足を運ぶのは」

「まぁね。だってエウロスの走り方って……うん。なんかもう分かっちゃうし」

「………」

「ルドルフにも分かるでしょ?」

「あぁ」

 

 不明瞭で要領を得ない言葉。

 それでも、ミスターシービーが何を意味する事を言っているかが彼女には分かる。

 当然マルゼンスキーにも。ここにはいないシリウスシンボリにも。

 

「なら、尚更何故だ?」

「多分二人と同じかな」

 

 揶揄するようにウィンクするミスターシービーに、苦笑いで返したのはマルゼンスキーだった。

 悩みに悩んで、結局朝日杯FSではなく阪神JFを選んだ理由を突かれたのだ。

 サクラチヨノオーには自分を慕ってくれる以外にも不思議な縁を感じるが、どうしても見逃したくないものがマルゼンスキーにはある。

 現役前から始まり、そして四年前から続く、あの背中の行方を。

 

「仮にも今日はG1だ。それにエウロスがさ、マルゼンの朝日杯を蹴るくらいの理由があってこっちに来たんだったら、何か面白い事が起こる予感がするよね」

 

 塀から少し身を乗り出して、ミスターシービーはターフの上を一瞥する。

 最近の豪雪もあり、枯れた芝はいきいきとした緑色をなくし、茶色い芝をしていた。

 何も知らない人が見れば、ダートの土かと見間違うほど。

 

「あの時も、こういう茶色い芝だったっけ。

 アレは流石のアタシも、少しショックだった」

「……………」

「なんだかしんみりしちゃうね。冬だからかな」

 

 シービーがあまり顔を出さない理由の一つだった。

 自由を好むミスターシービーだが、反面、心に仕舞っておけない事がある。

 それが彼女にとっての不自由であり、同時に特別でもあった。

 

「そういえば、シリウスはどう?」

 

 思い出したようにミスターシービーは言った。

 事実、雰囲気に触発されて思い出した。何となく今日は、いつもの四人が良い。

 

「エウロスちゃんもそうだけど、シリウスちゃんもさっぱり連絡を寄越さないのよねー」

「ふむ……折角だ、私から連絡してみよう」

 

 シービーと同じ事を思っていたルドルフが、携帯を取り出して早速通話をかけた。

 最近は技術の進歩が著しい。こうして、海外にいる身近な人とも簡単に連絡が取れる。

 取れるのに、全然連絡をくれないのは寂しいなと思っているのが最近のルドルフだった。

 

『……なんだ』

 

 思っていたより早くシリウスシンボリは電話に出た。

 若干声色が低かった。

 

「すまない。そちらでは早朝だったかな」

『元々起きてたから要らん心配だ。用件から入れ』

「そうだな、じゃあ早速要件に入ろう。今日、私達の妹がG1レースに出るんだ。海外にいたからシリウスは知らなかっただろう? だから私達と一緒に——」

『あ? 見てるに決まってんだろ』

 

 ガチャ。ツーツー。

 

「最近あまりレースで振るわなかったみたいだけど、シリウスはまだまだ元気そう?」

 

 シービーからの声が良く聞こえる。

 まるで突然通話を切られたみたいだ。

 耳が垂れて沈んだルドルフは、絞り出すように言った。

 

「……そうだな。元気そうだ」

「それはよかった。……アレ? 私達四人で一緒に見るんじゃなかったの? 今の機種なら遠隔で画面も映せるでしょ」

「聞きそびれたんだ。また今度にしてくれシービー」

「えー。折角久しぶりのチャンスだったのに」

 

 片肘を突いて、ムスッと不満気な表情を露わにするシービー。

 ただ、その不満もすぐに消える。

 シービーが見ていたのは、ターフの上の、何処か遠くだけ。

 

「……じゃあその今度は、すぐ今度にして貰わないとね」

 

 ファンファーレが鳴った。

 観客の慌ただしさが別の喧騒を纏い、そして少しずつ静まり返る。

 

「おかえりは、もう今日で良いでしょ?」

 

 走るのには何もかも邪魔だと言わんばかりのあの静寂が、今日はとても心地良かった。

 

 

×        ×         ×        ×

 

 

 実は、G1という世界で大差が記録された事は一度もない。

 

 大差を10バ身からか、或いは11バ身から捉えるかの差異がある為より正確に言うのなら、G1で10バ身以上が記録された事がない。

 グレード制導入以前に遡る事を許容するのなら話は変わる。

 当時のG1相当のレース……所謂八大競走では7回、10バ身以上の大差勝ちが記録されているからだ。

 

 ただ、それでも尚たったの7回なのだ。

 

 3バ身差で快勝。5バ身差で圧勝。

 5バ身を超えた、蹂躙の域に踏み入りかけるのが6バ身差。

 ではその6バ身差以上にまでハードルを下げた場合、G1レースで確認されたのは何回かというと、僅か12回。

 グレード制導入前でも、たったの29回。

 

 G1という世界で、5バ身より上が記録される事はほぼない。

 

 それほどに全体のレベルが高いのだ。

 格、伝統、参加しているウマ娘。その全てが。

 G3、G2、G1……そういうグレード制に於ける最高格なだけではない。

 G2とG1の間には、明確な壁と差がある。

 

 少し話が戻るが、G1では10バ身以上の差が記録された事はない。

 他国ではあるが日本ではない。良くも悪くも、他国は差が激しい。

 

 では日本に於ける最大着差が何かというと、9バ身差である。

 少し遠い先の未来、東京・2400mを重バ場で逃げ切った史上二人目。『G1・芝2400m ジャパンカップ』にてタップダンスシチーが記録した9バ身差。

 同年、『漆黒の帝王』と呼ばれたウマ娘が連覇のかかった引退レースで堂々刻んだ大記録。『G1・芝2500m 有馬記念』でシンボリクリスエスが記録した9バ身差。

 

 この記録が、G1競走最大着差である。

 しかしこの記録が刻まれるのは、少し先の話。

 8バ身差。その記録が長い間、壁となって残り続ける。

 

 その8バ身差が記録されるのが——今日。

 

 恐らくもう二度と更新されない、芝マイルG1最大着差記録タイ。

 当時間違いなく世代最強のエースであり、『ディクタスアイの天才肌』或いは『テンポイントの再来』と呼ばれた怪物。Soccer Boy(ディクタストライカ)

 彼女が刻む『G1 芝1600m 阪神ジュべナイルフィリーズ』の8バ身差。

 それが、今日私が越えなくてはならない壁である。

 

「気分はどうですか?」

「いつも通りです」

 

 レース前の控え室。

 発走を目前にして、私はトレーナーと最後の調整をしていた。

 

 瞳を開き、応える。

 気分は普段と変わらない。緊張は、少ししてる。

 今日はG1。G2やG3とも違う、勝負服という装いが許される唯一の世界。

 それも今から私が出走するG1は、たった二つしかないジュニア級のだ。

 勿論、この二つ両方に出走する事は出来ない。

 規則とか出走しすぎとかそういう話ではなく、同一日、同時間帯に行われるレースに出走する事は物理的に不可能だという話である。

 

 今日、決まる。

 ジュニア級で、誰が一番優秀だったのか。

 歴代最強。数十年経っても……恐らく最も強いであろう『阪神ジュべナイルフィリーズ』勝者のウマ娘を敵に回して。

 

「今日で、私のジュニア級が終わりますね」

「はい。そしてクラシック級が始まります。貴方が目標にしている」

「………そうですね。仮に今日私が負けてもそれは私の最後じゃない。分かってます」

「えぇ、分かっています。貴方が理解している事は」

 

 G1の世界に上がるのは当たり前。

 そう志していながら、思っていたより緊張しているのかもしれない。

 ただ言い訳するなら、格が一つも二つも違うウマ娘がこの世代にいるのだから仕方がないと思っている。

 

 Soccer Boy(ディクタストライカ)

 当時、阪神JFで最も強かった者は誰だと言われたら、私は彼女……いや彼の名前を挙げる。

 過去未来全てを振り返り、阪神JF勝利時点で最も強いのは誰だと言われた時も、私は彼の名前を挙げる。

 

 前半800m通過タイム46.1。1000m通過タイム58.0。

 後方脚質勢が凄まじいハイペースに呑まれる中、たった1人だけ先行勢に取り付き、外から押し切った上で2着に8バ身差。

 勝ち時計、1:34.5。

 16年振りに更新されたレースレコード及び阪神1600mのコースレコード。

 マルゼンスキーが保有しているジュニア級1600mのレコード1:34.4と、コンマ1秒しか変わらない数字。距離ロスを許容した差しでだ。

 今日のSoccer Boy(ディクタストライカ)に勝つという事は、あの朝日杯当時のマルゼンスキーに勝つ事と同義と称しても何ら過言ではない。

 

 後にレースの形態が変わり、芝の環境が変わり、出走が可能になる競走馬の性別も変わる。

 故に単純な比較は出来ないし、明確な答えが出る事は永遠にない。

 それでも尚、私は言う。阪神JFというのなら、Soccer Boy(ディクタストライカ)ただ一人だと。

 

「では改めて。気分はどうですか?」

「いつも通り、完璧です」

 

 じゃあ、私は臆しているのか?

 いいやそれだけはない。少なくともこの状態と緊張も私が望んだもので、私が決めたものだ。

 自分で決めた癖に、臆して普段の力を発揮出来ないなんて情けなさ過ぎる。

 私が目指している地平は、今日この舞台ですら途中の前座でしかない。

 だから今日、勝つのは私。

 

「分かりました。では最後の確認をしますが……貴方には必要ですか?」

「お願いします」

「では聞き流して構いません。返事をしなくても構いません」

「………」

 

 あぁ、うん。良い。

 必要か必要じゃないかでいえば別に必要じゃないけど、私はトレーナーの声を聞いていると安心するし、スッと頭に入って来る。

 それをトレーナー本人が理解している訳じゃないだろうけど、こういう信頼と察知の関係が良い。姉上と姉貴の二人くらい良いなと思うのは、多分トレーナーだけ。

 

「阪神レース場、1600m。

 第1コーナーポケットから直線約200m。

 次に第2コーナーを挟んで、向こう正面の直線約440m。

 途中に直線を挟んだ第3コーナーと第4コーナーの約600mの複合カーブ。

 そして最終直線352mとなる、複雑なコースです」

 

 このコースの形状は、私が今まで走って来たコースの中で最も複雑で特殊である。

 その為、私が考えなくてはならない事と押さえなくてはならないポイントが圧倒的に多い。

 

 答えだけ言うのなら、追込が最も不利で、先行が一番勝率が良い。

 ハイペース、ミドルペース、スローペース。どれになるか読み難い。

 その癖レース展開による有利不利の極端さ、内枠外枠の有利不利の差が非常に激しく、その場その場での有効的な立ち回りが変化する。

 

 追込が最も不利なのは仕方ない。

 そもそも今まで私が出て来たレース全てで追込が不利だったから、いつも通りだ。

 ただどのペースになるのか読めないのと、レース展開が極端になりやすいのは私が非常に辛くなる要素である。

 追込はレース展開に左右されやすい。

 その展開を初手で握らないと、勝つのはかなり厳しいだろう。

 

 私の『絶対』は、展開操作の前提の上にある。

 

 19バ身差という絶大な差を出せたのだから力押しでも勝てそうに見える。

 しかし、見えるだけだ。その差を叩き出せた真の理由を知っている身としては、何一つ油断は出来ない。

 勿論、自分の記憶も信頼していない。多少の指針にはしているが、それだけ。

 

 私がいるせいで他ウマ娘の戦績が変わり、枠番が変わっている。

 本来ならデイリー杯ジュニアステークスを勝ち、阪神JFに出走する筈だったウマ娘はいない。

 だから、ディクタストライカ以外の有力ウマ娘の戦績と今現在の動向は全て新しいものを頭に入れてるし、当然他全てのウマ娘の脚質や調子も全て覚え直した。

 それでも足りない。十分じゃない。

 情報戦に等しいウマ娘のレースに於いて、納得出来る日は永遠に来ないだろう。

 

 ただ、やれる事はやって来た。

 だから後は、信じるだけだ。

 

「……以上が、今回のレースの総評となります」

「すみません。コース形状以降は少し聞き流していました」

「ならば結構。過不足なく貴方が理解しているという事なので」

「……その事についてですが」

 

 自分で言うのも何だが、私は意図的に物事を無視する事が多々ある。

 その事でトレーナーに迷惑をかける事はあるし、これからもかけるだろう。

 そして、今も。

 

「今までの私の目標は、阪神JFのレースレコードでした」

 

 1:35.1。

 それが私の目標であり通過点だった。

 今現在保持されている阪神JFのレースレコードであり、阪神1600mのコースレコード。

 

 では芝1600の日本レコードは幾つかというと、現在1:32.3である。

 私の目標タイムとは、バ身差で改めて直すと17バ身差くらい。

 マルゼンスキーが持っているジュニア級最速のレコードとすら、12バ身近く。

 

 芝1400とは格が違うのが一目で分かる。

 1600m、マイル。競争率が格段に高くクラシック・シニアのウマ娘達が鎬を削り続けて刻まれたこのレコードがジュニア級で更新された事はないし、今後未来もない。

 

 事実、私は単走でも日本レコードに並ぶことすら出来なかった。

 そして今日も出来ないだろう。流石の私でも、無理なものは無理だと諦める。

 だから私のここ最近は、レースレコードの1:35.1が設定された通過点であり、日本レコードは目標ではなかった。

 

「1:35.1。このレコードを、今日破ります」

「…………」

「少なくとも今日は、これより速くゴールしないと勝てません」

「予感、ですか?」

「確信です」

 

 当然だが、1人で走る単走と10人近くで走るレースでは走破タイムは秒単位で変わる。特に追込はだ。感覚的には2.0〜3.0秒ほど。

 つまり私は単走で1:33秒台は楽々と出してなければならないのだが、私が単走で記録出来たのは1:34秒台。

 レース展開によっては、私はレコードを更新出来ない。

 

「勿論、トレーナーから教わったからちゃんと分かってます。35秒に壁がある事を」

 

 ジュニア級のウマ娘が1600mで1分35秒を切るのは、偉業の一つである。

 圧倒的に優れたタイムを出した事の証明とも言えよう。

 現在ジュニア級で1:35.0を超えた記録を出したのは、たった三名。

 マルゼンスキー。メジロラモーヌ。コーネルランサー。

 その三人しか、35秒の壁は越えられていない。

 最速は、マルゼンスキーの1:34.4。

 

 確信がある。

 あの子は絶対にレコードを出し、35秒の先の世界に来ると。

 私が脚を鈍らせ、走破タイムを遅くしても尚。

 

「可能な限り頑張ります。ただ、レコードを出さずに勝てるなら勝てというトレーナーからの指示を守れないと思います」

「……………」

 

 口を真一文字に結んで、トレーナーは眉を顰めた。

 トレーナーが見ているのは私ではなく、目を逸らすように見た控え室の鏡。

 

「脚へのダメージは………レースが終わって少し時間を置いてから突然来る事があります。まず今日のレースを終えた後の休息期間を増やし、しばらくトレーニングも軽いものにせざるを得ないでしょう」

「良いんですか?」

「………好きに走りなさい。貴方にはそれだけの力があります」

 

 さっきまでは信用してくれていたのに、今は信用してくれない。

 きっと私の性格と気質から来る理解力は信頼出来るけど、怪我の可能性だけは信用出来ないのだろう。

 しかし全てを縛るのは、トレーナーとして違う。

 樫本理子さんは、そういう狭間にいる。

 多分、過去に何かあったのだろう。

 それを確信しながら踏み込まない私と何も言わないトレーナーの関係は、少し歪なのかもしれない。

 

「大丈夫です。絶対に貴方のところへ戻って来ます」

「…………」

「今の大丈夫は、無責任だから信用出来ませんか」

 

 実際、私には必要ならトレーナーの事を意図的に無視して、好きに走っても勝てる実力はある。

 だけど私は、トレーナーの事を置き去りにしたくはない。

 一緒が良い。二人で、隣で走れないのなら、せめて心くらいは。

 

「じゃあ、信じてください」

「……それは無責任には入らないのですか」

「入るでしょうね。でも私は、トレーナーからの無責任な言葉が好きですよ」

「…………」

「信じてくれないんですか? 私は信じているのに。貴方が居たから変わった事。貴方と一緒に積み上げて来たもの。全部」

 

 鳥は、永遠に空を飛べない。

 止まり木がいる。

 

「………今は、信じます」

「はい」

 

 だから私は、トレーナーの元に戻って来よう。

 ここ以上に心地の良い鳥籠は、何処にもないから。

 

「トレーナーからの想い、背負いました」

 

 うん。

 じゃあ。

 いつも通りに。

 

 

×        ×         ×        ×

 

 

 怪我をして、調子を落として、不安を抱いて。

 しかしその日だけは、ディクタストライカは一切緊張しなかった。不安もなかった。

 今の自分になら何でも出来そうな気がした。

 

 発走を間近にして、パドックへ向かう。

 その途中の地下バ道に、勝負服を纏ったアイツはいる。

 

「よお」

「…………」

 

 まず思ったのは『皇帝』と似ているなという事。

 そして、似て非なるなという事。

 

 シンボリ家を象徴するグリーン。

 重厚感のある装いに、斜め十字の白襷と赤いマント。

 あのシンボリルドルフの妹である事が一瞬で伝わる。

 同時に、シンボリルドルフ本人でない事も。

 

 シンボリルドルフと違い、斜め十字の白襷と重なったマントは二つに別れており、まるで翼が生えているような錯覚を感じる。

 肌に吸い付く清潔のある白手袋は、あの選抜レースを知るものが手掛けたのか指抜きの手袋であり、何より黒いニーソックスを履いていない。

 代わりに、短いスカートだった『皇帝』とは違い、彼女は騎士のサーコートのような長さの丈をしていた。

 

「お前、私服よりも勝負服の方が合ってるな」

「ありがとうございます」

 

 なるほど、良く分かる。当時シンボリルドルフに立ち向かわなければならなかったウマ娘達が、何を思っていたのか。

 怖かったろう。

 生まれも育ちも実力も、何から何まで格が違うというのを、勝負服を纏うだけで理解させて来るウマ娘はそういない。

 

「あぁ本当に、嫌になるほどな。到底お嬢様には見えない」

「ありがとうございます」

「……褒め言葉に聞こえたのか?」

「恐れられているのは褒め言葉です」

 

 あぁ、今日のコイツは暴君モードらしい。

 唯我独尊。周りを気にせず、何にも理解を灯さない。

 そういう雰囲気を持ち合わせているし、事実そういう態度をしているウマ娘は、一切の前触れなく他人の心を悟って来た。

 

「まさか。これは武者震いって言うんだ。覚えとけ」

 

 そう言って、二人は隣に並んだ。

 地下バ道を歩き、パドックに向かう。

 

「今日は、何でも出来る気がするんだ」

「…………」

「お前にも、勝てる気がする」

 

 呟いた理由は良く分からない。多分明確な理由はない。

 それでもその理由を言語化するなら、自分の魂から止めどなく溢れる闘争心が身体から抜け出し、言葉になって放出されたのだとディクタは思った。

 

「ウマ娘は一体どんな生き物か、貴方は知ってますか?」

「あ……?」

「ウマ娘は、想いを背負って走る。そう言われています」

 

 唐突であった。

 元々シンボリエウロスは唐突に話すが、理路整然としない話題を唐突に挙げる奴ではない。

 

「お前そんなオカルト信じてるのかよ」

「はい。だって事実ですから。そしてその事実の証人がここにいる」

 

 暗に、それは私の事だと言っている。

 まるで誇らしい事のように。

 堂々と、それを慈しむように。

 重厚感のある装いの上から胸に手を当てて、シンボリエウロスは笑う。

 

「私は元々、一人で走りたいと思っていました。

 前にも後ろにも立って欲しくなかったし、風も音も光も、全て邪魔だった。

 誰もいらない。何もいらない。邪魔して欲しくない。

 叶うならこの肉体という枷すら脱ぎ去って、何もかも置き去りにして、一人でどこまでも先へと走っていきたかった」

 

 三冠、凱旋門賞、皇帝越え。

 目標は語れど、シンボリエウロスは己の心情を語らない。

 そのシンボリエウロスが、恐らく初めて吐露したであろう内情。

 仮にも少女であるウマ娘が持っているのには空恐ろしいほど鋭利で、獰猛で、剥き出しで、ひたすらに強烈なエゴ。

 

 多分、シンボリエウロスの核には今のがある。

 

 先程までは笑っていたこのウマ娘。

 言葉を続けるシンボリエウロスの顔は、不気味なほど無表情だった。

 

「走っているのは、ずっと私だけで良かった」

 

 指抜きの白手袋。

 胸に当てていた手を見開き、握る。

 ナニかを掴み取り、支配するが如く。

 

「…………」

「でも今は違います。私は託されました。夢を。期待を。可能性を。たった一人私だけが。だから私がそれを取り零せば消えてしまう」

 

 一歩、シンボリエウロスは前を行く。

 置き去りにするような一歩だった。

 

「なんで私が強いのか教えてあげます。私は世界で唯一、シンボリルドルフから直接想いを託されました。それだけじゃない。私の姉を含めた四人が待っているのは、私一人です。私が背負っているんです。だから私は強いんです」

 

 故に今日、当たり前のように私が勝ちます。

 最後にそれだけを言外に言い残して、エウロスは光の先へ消えて行った。

 

「……アイツ本当に12歳かよ」

 

 自分に使命を課し、覚悟を決める。

 いっそ、あそこまで言い切れるのなら清々しい。

 背負い過ぎて潰れるウマ娘はいっぱい見て来たが、背負っているから自分は強いと言ったのだ。

 限界以上に振り切れているのなら、もはや名門への嫉妬すら追い付かない。

 もっとも、ディクタストライカには別に嫉妬はなかった。

 

 最近になって気付いた。

 格差を感じ、焦りを感じ、生まれや育ちの差も理解しながら、何故か彼女はシンボリエウロスに嫉妬だけは覚えなかった。

 その理由は、分かっている。

 だって自分の願いは。

 

 ——証明したい。

 

 強さを。言い換えれば自分自身を認めさせる為に。

 ディクタストライカの力の源は、全て自分に向いている。

 自分に出来るか、出来ないか。

 彼女にとって、本当はただそれだけだったのだ。

 

「あぁ、うん」

 

 故に間違いなく、今日の彼女は、最強だった。

 過去未来、このレースに出走して来た全てのウマ娘を敵に回しても勝ててしまうだろうほどに。

 

「今日は、何でも出来る気がするな」

 

 地下バ道から外へ。

 光の向こう側に踊り出る。

 

 迎える歓声を他所に、パドックでのお披露目や、解説と実況の説明は進んだ。

 枠番だとか、今日のレースの展開だとか、最近の動向だとか、計9名による施行だとか。

 そんなありふれた解説の中で唯一耳に残るのは、真夜中の月の如く、視界に入れば意識せざるを得ないシンボリエウロスの事。

 

 5戦5勝無敗。重賞レース4連勝。

 

 メイクデビュー。19バ身。

 G3札幌ジュニアステークス。6バ身。

 G3小倉ジュニアステークス。6バ身。

 G3函館ジュニアステークス。5バ身。

 G2デイリー杯ジュニアステークス。19バ身。

 

 5バ身差は圧勝である。

 つまり今までシンボリエウロスと相手して来た全てのウマ娘は、勝負の舞台に上げさせてすら貰えず、封殺されて来た。

 しかも何とか少しずつ差が縮まって来たところで、また差が膨れ上がったのである。

 

 ——多分今日も、シンボリエウロスが勝つだろう。

 

 阪神レース場のターフに降り立ったウマ娘以外、ほぼ全員がそう思っている。

 しかしそれでも、シンボリエウロスは勝ちを願われている。

 まだ『皇帝』のように、強すぎてつまらないとは思われていない。

 脚質による豪快な勝ち方もあるが、今日はそれ以上がある。

 

 目撃者になりたい。

 歴史が変わる瞬間を。

 

 今日彼女が勝利すれば、ジュニア級で6戦6勝、重賞レース5連勝。

 4連勝すら、今現在シンボリエウロスたった1人しかいない。

 それが5連勝と来たら歴史が変わる。その瞬間の目撃者になれる。

 

「(オレが勝ったらヒールだな)」

 

 ヒール。主役に対する悪役を意味する言葉だ。

 金属製のゲートの中で、ディクタストライカは理解した。

 そういう、歴史が変わる瞬間を阻止する意味を。

 

 タケホープ。

 地方から中央に飛び込み、『最も偉大なウマ娘』と呼ばれたウマ娘ハイセイコーに初めての敗北を日本ダービーで与えた彼女は、『最も偉大なウマ娘』から日本ダービーの栄誉を奪ったと言われた。

 

 シンボリルドルフ。

 シンザン以来の三冠を成し遂げた、『最も愛された三冠ウマ娘』ミスターシービーと幾度も戦い、その全てに同じ勝ち方で勝利したシンボリルドルフは、つまらないと言われるほどになった。

 

 奇しくもヒール扱いされていた時期のあった姉と対比するように、妹は何処までも勝利を願われている。

 

 手の平返し、とでも呼ぶのだろう。

 公平な勝負所であるウマ娘レースだが、人の心は公平ではない。

 当然、裏切られた期待の矛先の向き方も公平ではない。

 時にそれは、祝福を受ける筈のウマ娘にすら向けられる。

 

「(ヒールになって、ようやくお前と平等か?)」

 

 勝利を疎まれるのは、悲しい。

 勿論、それはディクタストライカにもある。

 

 でも今日は——それ以上がある。

 誰もが歴史の変わる瞬間を目撃したいように、彼女にも。

 

 シンボリエウロスは、もはや負ける事など考えられていない。

 ライバルと思われているウマ娘もいない。

 サクラチヨノオーだって、何処まで喰らい付けるかなんて報道しかされていない。

 

 そんな奴のライバルを通り越して、いきなりヒールになる。

 上等だ。ヒールになれば、決してシンボリエウロスとそれ以外などと言われる事などない。

 きっとヤエノムテキが一番最初に抱き、真正面からぶつけたであろうそれ。

 疎まれても尚やまない勝利への執着心が、彼女を突き動かす。

 

 

ジュニア級王者決定戦

阪神ジュべナイルフィリーズ

GⅠ・阪神・芝・1600m

 

 

 予想も、期待も、熱狂も。

 全てを他所に、レースは始まる。

 

 

×        ×         ×        ×

 

 

『スタートしました。シンボリエウロス——決めたっ! あのスタートを決めた!』

 

 開幕。

 計9名のウマ娘達の中で最初に名前を挙げられたのは、やはり彼女だった。

 

 後方一気を仕掛けた時の姿勢と大差ない超前傾姿勢からのスタート。

 両肩からたなびく二対のマントが翼のように広がり、ゲートから飛び出る。

 6枠6番。1番人気。シンボリエウロス。

 

 最優。一言称するならそんなスタート。

 その極地が"弾丸"のようにゲートから飛び出る埒外のスタートダッシュであった。

 

 シンボリエウロスは特にトレーニング風景を秘匿しない。

 ショットガンタッチ。自らでボールを遠投し、そのボールが地面に落ちるよりも速く走ってキャッチする、スピード・パワー・身体のバランス感覚と体勢の良さを瞬間的に要求されるトレーニングをシンボリエウロスは好む。

 そのトレーニングをするたび、異次元の加速力と並外れたスタート姿勢として有名になっていったそれが、実戦で行われたのはたった一回。

 選抜レース。ヤエノムテキへの対応策として使用した、その一回だけ。

 

 それを、今日この場でも使った。

 公式レースでは初。使わないと勝てない相手がいる事の証明か、或いは全力で来た事の証明か。

 どちらにしろ見ていた観客は沸き立ち、ターフの上で小さな悲鳴が上がる。

 

『2バ身、2バ身前に出ましたシンボリエウロス!』

 

 しかし、仮にも今日はG1。

 選抜レースとは天と地ほどにレベルが違う。

 本格化が進んでいなかった故にあった純粋な差も、着実に埋まっている。

 そう易々とは引き離せない。

 選抜レースの4バ身。その半分。

 それがシンボリエウロスがスタートした瞬間で稼げる距離。

 

『この距離で——』

 

 逃げを捉える。脅かす。

 そしてシンボリエウロスは後ろに引いていく。

 そのような事を喋ろうとした実況が間に合わない。

 

 いきなり話は変わるが、差し・追込がいきなり先頭を奪うほどのスタートを決めるのは難しい。

 それは脚質の差や、別に取る必要がないからというのも理由の一つであるが、気性や弱点の影響が大きかった。

 

 例えば、後ろから追われるのが苦手。

 例えば、バ群の中でレースを進めるのが苦手。

 例えば——スタートが上手くない。

 

 そういう理由で差し・追込を選ぶウマ娘は多い。

 必然的に、差し・追込はレース開始直後、先頭を奪えない。

 

 ここでまたいきなり話が変わるがこのレースでは一人、今まで出走して来た全てのレースで深刻な出遅れをかましていながら、3戦2勝の成績を上げているウマ娘がいる。

 その勝利は何と、2着に9バ身差と、10バ身差の大差勝ちの2勝。

 唯一負けたレースは『G3 函館ジュニアステークス』でシンボリエウロスの2着、5バ身の負け。

 

 一度、シンボリエウロスに負けている。

 たったそれだけで、サクラチヨノオーのように名前を挙げられなかった、今まで一度も完璧に走った事がないウマ娘。

 

 そしてそのウマ娘は、今日は出遅れなかった。

 

「——よお」

 

 そのウマ娘は、スタートが上手くなかったから差し・追込で勝負していた。

 だが別に、前目に付けても末脚を使用出来る。"弾丸"のように加速出来る。

 

 そのウマ娘の名前は、ディクタストライカ。4枠4番。2番人気。

 シンボリエウロスがいなければ、世代最強と呼ばれていたエースである。

 

「………………」

「どうした、もっと上がれよ!! じゃなきゃお前は内に切り込めないだろ!!」

 

 初めてであった。

 スタートした直後のシンボリエウロスに、誰かが追い付くというのは。

 6枠6番と4枠4番。

 外枠のシンボリエウロスは、内に切り込めない。

 

 何より、今この瞬間にも上がっていく先頭の逃げウマ娘を捉えられない。

 

 シンボリエウロスは必ず、逃げを潰す。

 それを知っている者はいても、その重要性と理由を認識している者は非常に少ない。

 だから、レースを見ている人には一切認知されなかった。

 0.1秒で勝敗が変わるウマ娘のレースに相応しく、実況と解説を置き去りにするほどの刹那で、シンボリエウロスのある前提が死んだなどと。

 

「さぁ、来いっ! オレとの戦いに応じろ——エウロスっ!!」

 

 第39回 G1阪神ジュべナイルフィリーズ。

 シンボリエウロスは、初手で逃げを潰せなかった。

 

 たったそれだけの事で、彼女の『絶対』が崩れた。

 




 
⚪︎本当にまいっちんぐなんだからっ!
 参ったにingを付けたもの。

⚪︎枯れた芝はいきいきとした緑色をなくし、茶色い芝をしていた。
 当時の芝は温暖気候型の「野芝」や「高麗芝」を使っていた為、冬紀は表面の芝が休眠するか枯れる為茶色になる。現在は寒冷地のヨーロッパの芝などと配合・改良・散布などを行っている為冬でも美しい緑色になっている。この芝の改良と技術が後年の日本の高速芝化に繋がり、また日本の芝の管理体制が世界一と呼ばれる所以。
 
⚪︎グレード制導入以前に遡る事を許容するのなら話は変わる。
 余談となるが、今現在はG1だがグレード制導入以前は八大競走に含まれていない『宝塚記念』の場合、6バ身差以上の記録が記録されたのはたったの1回、2020年のクロノジェネシスの6バ身差である。
 ちなみに5バ身差の場合、
 1994年のビワハヤヒデ。
 1983年のハギノカムイオー。
 1974年のハイセイコー。
 の、合計3回が記録されている。

⚪︎阪神レース場。
 作中時間軸では、1991年の改修による第3コーナーと第4コーナーの複合カーブ廃止&ゴール120m前に作られた1.8m勾配1.5%の坂はなく、また2006年の改修による芝外回りのコースが存在しない。
 その為作中のコースは、今現在の『G1 阪神ジュべナイルフィリーズ』で使用されているコース形態と大きく異なる。(作中のコースは、現在の阪神1400m 内回りに近い)
 作中では、改修前の当時問題視されていたコース形態の有利不利の話がガンガン関わって来ます。
 
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