タイトル回収。
中央トレセン学園のグラウンドは、各レース場と同じ形状をしている訳ではない。
学園のグラウンドは在籍するウマ娘の練習場である事を第一に考えられている。
つまり各レース場に比べると起伏が少なく、やや簡単である。
勿論、坂がない訳ではない。ただ坂路は坂路で。グラウンドはグラウンドでといった感じなのだ。
それでも尚、今日行われている1200mの選抜レースのコースがどこに似ているかとすれば、それは中山レース場の1200mのコースと近い形状をしていた。
三角形に近い形状。右回り。第2コーナーの終わりがスタート地点。
そこから直線に近い緩やかなカーブを描く約400m。
次に第3コーナーと第4コーナーの、カーブ約490m。
そして短い約310mの最終直線を経てゴールの、1200mコース。
まずこのレースの特徴だが、最後の直線が短い。
その為、最後の直線で勝負を仕掛ける差し・追込の脚質が決まり難い。
最初の直線が長いのも相まって、最初に前を行く逃げ・先行型のウマ娘が有利だった。
また三角形に近い形状をしている為、第3コーナーの角度がほとんどない。
つまり最初に600mの直線があるのに近い。
そしてこれが一番のポイントだが——中山レース場と違って坂がない。
スタート地点から第4コーナーまでの長い下り坂がなし。
故にハイペースに陥る事が少ない。
ハイペースは基本的に逃げ・先行ウマ娘に取って辛い展開だ。
そしてハイペースにならないという事は先行崩れが起き難く、逃げ・先行型有利。
更に最終直線にて聳える、約110mの間に約2.2m登るという急勾配がない。
この急勾配が、最初に力を使った後に登るという逃げ・先行に不利に働くのだが、選抜レースではそれがなかった。
要はこの選抜レース、コース形状的に逃げ・先行が超有利なのだ。
差しを得意とするウマ娘も、先行位置を取った方が良いくらいに。
抜き辛く、逆転し難い。つまり展開が荒れ難く、最初の好位置がそのまま勝利に決まり易く、最初の好位置が重要という事は外枠であればあるほど不利。
——最初の競り合いに勝ち、カーブに差し掛かる第3コーナーにて有利を取れるかが鍵。
——有利を維持し、カーブが終わる第4コーナーを超えて、最後の直線に入った瞬間にどれだけ好位置を取れているかが、ほぼそのまま着順に反映される。
この1200m選抜レースは、そういうのが強く重視されるレースだった。
そして、それにどれだけ適応出来るかがトレーナーから見られるレースだった。
余程脚質が合っていない限り、内枠は早めに前に出る。
大外は必ず最初の競り合いに勝ち、前に出る必要がある。
そういうレースだとヤエノムテキは思っていたし、事実そういうレースだ。
だから——
「(なんだ——何で、何でそこにいる!?)」
だから、理解出来なかった。
最初のスタートを決めた瞬間だった。
まず最初はポジション争いが始まる筈だった。
なのにもうシンボリエウロスは、4バ身先に居た。
最初のスタート……いや、最初の100mにも満たない距離で4バ身も先にいるという意味が分からない。どう考えても不可能。
1バ身とは約2.5m。つまり4バ身とは10mなのだ。
100mにも満たない距離で10mの差を付ける。
先頭が、最後方にではない。
先頭が、二番手に4バ身を付けてる。
出来ない。あり得ない。才能とか実力差とか、そういう次元じゃない。
『い、いや違います! シンボリエウロス以外が出遅れた訳ではありません!? なんだその走法は! まるで弾丸のようにゲートから飛び出して来ました! ゲートが未だに震えています!』
『ちょっとあの……これ今の、映像に残ってますか……? 多分アレは、今後歴史に残る最初の映像になりますよ……』
ヤエノムテキの預かり知らぬところだが、シンボリエウロスはスタート時にとある体勢を取っていた。
正確には、ゲートの中で。
ゲート難を起こさなくても、不思議と圧力と忌避感をウマ娘が感じる閉所のゲートを、更に閉所にする姿勢を。
「(え……?)」
話は、レーススタート前に戻る。
各ウマ娘達がゲートに収まり、スタートが始まる瞬間を待つ間、唯一シンボリエウロスの異常を把握したウマ娘がいた。
8枠17番。大外の枠に収まるシンボリエウロス、その隣のウマ娘である。
「(な……何してるの?)」
レースが始まる直前、急にシンボリエウロスの姿が消えたと思って隣を見たら、シンボリエウロスが狭いゲートの中で屈んでいたのだ。
理由は分からない。分からないが、普通ウマ娘はゲート内で屈むなんて事をしない。
まさかこの土壇場で靴紐が解けてしまったのだろうか。
いや、或いは蹄鉄が外れてしまったのだろうか。
それは不味い。ちょっとレース開始を遅らせて貰った方がいいんじゃ……なんて思い、確認の為シンボリエウロスに声をかけようとした。
すると必然、シンボリエウロスの体勢を注意深く見る事になり、故に8枠17番のウマ娘だけが気付く。
シンボリエウロスは屈んではいたが、靴紐を直してなどいなかった。
そもそも両手を脚に持って来てすらいなかった。
両脚は後方で、約二足長分離して交互に。
両手は肩幅より少し広く、手の平が触れないように、指でアーチを描いて地面に触れる。
視線はまっすぐ下にして、臀部を肩より少し上に持って来る。
「(あれ、これって……)」
独特な姿勢。分かり易い、何かのサイン。
見る者が見れば、一瞬で分かるその姿勢。
二本脚ではなく——四本脚……否、両手も使った四肢でスタートするその技術。
「(……人間の、マイナー競技の、400m以下なんていう徒競走でしか大して意味のない——)」
そのウマ娘は博識だった。
博識だったからこそ、その姿勢が何なのか分かった。
クラウチングスタート。
ウマ娘がやるにはあまりにもデメリットが多い、無駄な技術である。
『今スタートです!』
ゲートが始まった瞬間、8枠17番の子は出遅れた。それは見事に出遅れた。
シンボリエウロスが意味の分からない姿勢を取っていた事もそうだし、それに意識を張り巡らせた事もそうだし、ゲートが開いた瞬間、隣から膨れ上がった圧力と、ギィィ……ンと鉄のゲートが震えるほどの脚力と振動を不意打ちで喰らったのもあるし、何より——
「(うっ……わあぁ——すっご…………)」
そのスタートに、場所も選ばず見惚れたから。
クラウチングスタートは、脚を置くブロックがあるから成立する。
そしてウマ娘に遥かに劣る脚力しかない人間でも、時に脚を置くブロックの板が壊れる。もしくは砕ける。
そういうスタートをウマ娘がやればどうなるか。
まず脚が保たない。靴が壊れる。蹄鉄にヒビが入る。そもそも滑る。滑らないように、脚が保たせられるようにと何度も練習すれば、結局脚が砕ける。
普通はそうなる。ウマ娘がゲートに何故か持つ忌避感を加味しても、普通に危ないからやらないのだ。
何故、何を目指して、何が必要で、そんな走法を完成させたのだろう。
分からなかった。それくらいには意味がない筈だった。
関節に掛かる負担の量がバカにならない。だから脚が砕けかねない。
それを克服する為、指の一本一本にかかる体重、爪のかかり具合から、腕の筋力すらも絞り、下半身の体重移動すら意識的にやる必要がある。
そこに身体の柔らかさと、抜群の体幹があって、ようやく成立させられる。
そしてそんな事を作り上げる時間があったら、他に出来る事がある筈だ。
スタートという刹那。閃光にも等しいその瞬間。
たったそれだけに、報われるかどうかも分からないそれに、何で自身の才能も努力も精神も、かけられるだけかけるのか。
8枠17番の子は知らない。
シンボリエウロスが、喘鳴症を患っている事に。
ほんの一瞬のチャンスに全てをかける。刹那の如き切れ味の末脚に全てをかける。
その果てに生み出されたのが、今の豪脚だという事に。
十に近いデメリットを克服して、一のメリットがある。
そしてその一のメリットが、今の神技だった。
体の大きさにもよるが、ウマ娘の一完歩の幅はスパート時に7〜8mにも及ぶ。
そうでなくても、ウマ娘が走れば5〜6mは容易く跳ぶ。
だが、スタートでは違う。
それは人間も同じだ。
ウマ娘は人間と比べて遥かに加速力が違うが、それでも0から100の加速が出来る訳ではない。
0から40に。次の一歩で60に。更に次で……そういう風に加速していく。
だがシンボリエウロスは比喩でも何でもなく、いきなり0から100に行った。
最初の一歩、約5.5m。次の二歩目、約7m。
0.4秒以内という刹那で、1バ身以上の差を他全員のウマ娘に叩き付けるそれ。
他のウマ娘が加速を付けている中、彼女は加速をする必要がない。
最初の一歩と同じ速度を維持するだけで良い。
だから、最初の100m以下で4バ身差を叩き出した。
神技だった。
クラウチングスタートは長距離に向かない。だから加速にだけ使う。
最高速度と通常速度に差があるウマ娘だからこそのメリットを得る為に、ウマ娘だから発生する全てのデメリットを克服して来た、そういう技。
それに見惚れない訳がない。
仮にもここにいるのは全員中央の扉を開いたウマ娘だ。
不可能と可能の差くらい分かる。当然、常識と非常識くらい判別出来る。
その不可能を現実に引き摺り落とし、常識と非常識の壁を踏み砕き、それに至るまでの何かを想像しない訳がない。
8枠17番の子は出遅れた。深刻なほどにだ。
そしてその出遅れが、このレースを見ていた者達に全く認知されず、それどころか完璧なスタートを決めたヤエノムテキごと、全員が出遅れを起こしたと実況に誤認されるほどのスタートを、シンボリエウロスは決めた。
『Eclipse first, the rest nowhere』
唯一抜きん出て並ぶ者なし。
何回も聞いた中央のスクールモットー。
入学式の時に聞き流したその言葉が、頭を過る。
シンボリエウロスと、それ以外のスタート。
あまりにも隔絶した差は、下位の能力を均等にする。
大外の弱点という、このコースではあまりにも不利に働く不利。
それを常識ごと実力で捻じ伏せて来た。
シンボリエウロスが前にいる。
たったそれだけ。僅かそれだけ。
そしてそれで足りる。足りるのだ、ウマ娘のレースでは。
前に誰かいるというのは、レース中のウマ娘は多大な意識を傾けざるを得ない。
1200m選抜レース最終戦。
最初の100mで、今後の展開がシンボリエウロスによって左右される事が確定する。
そしてその煽りを受けたのは、何もヤエノムテキだけではない。
確かにこのレース、ヤエノムテキ以外は始まる前にほぼ死んだと言っても過言ではない。
だがこれは1対1のマッチレースではなく、18人で行っている選抜レースだ。
ではその煽りをもっとも最初に受けたのは誰か。
それは1枠1番。最内のウマ娘。逃げを選んだ子。
つまり、このレースに於いて最も有利なウマ娘であり、最初で先頭を取れればそのまま勝ててしまうほどのウマ娘だ。
そして逆を言えば、最初に先頭を取れるかに全てをかけていたウマ娘だ。
「(何!? 何なのアレ……!?)」
彼女は掛かっていた。
それも無理はない。ハナを取られたのだ。最内が最外にだ。
逃げウマ娘は、序盤に先頭を奪われてはならない。
一部例外もいるが、基本的に逃げは先頭を取られてならない事に変わりはない。
そもそも彼女はまだデビュー前の入学生。
一度奪われたハナを奪い返す能力はなく、技術もない。
だがそれ以上に、彼女は呑まれていた。
シンボリエウロスの圧力に。
「(うるさい……うるさいうるさい——っ! )」
音がしなかった。
自分の足音も、呼吸の音も。
でも聞こえて来る、シンボリエウロスの深く鋭い呼吸音。
ドッ、ドッ……と鳴り響く足音は、徐々に怪物が近付いて来るように。
それは恐怖だった。暗闇の影から獅子が迫って来ているのと変わらない恐れだった。
「(………ヒッ——)」
少しずつ、少しずつシンボリエウロスが内に切り込んで来る。
獲物を狙う猛禽類のような、超前傾姿勢。
クラウチングスタートの前傾姿勢とそこまで差がないほどの、鋭く深い姿勢。
大外でありながら獲得した4バ身差という距離を使って、最内の逃げウマ娘を仕留めにかかってる。少なくとも、1枠1番だった彼女はそう感じた。
基本的に一番有利とされる最内枠の数少ない弱点だ。
1枠1番は進路が正面しかない。
隣は柵で、逆側からは他のウマ娘が内へと切り込んで来るから。
故に稀ではあるが、1枠1番のウマ娘は内へと進んで来たウマ娘の集団に押し潰されてそのまま負ける事がある。
それを、シンボリエウロスはやっていた。
たった一人で。集団に匹敵する圧力を僅か一人のウマ娘が放っている。
それは支配に近いレーススタイル。『皇帝』という二つ名を得たウマ娘が得意としていた、制御と操作。
逃げる。兎に角、逃げる。
後先のスタミナを考えない、破滅的な逃げ。
掛かっている。だが掛かるほどに気を急いた逃げでなければ捉えられて死ぬ。
先頭を奪われたらだめ。隣に並ばれたら押し潰されて負け。
逃げ道が正面にしかない。勝ち筋がたった一つしかない。
だから——逃げる。
『何という破滅的な逃げ! これは完全に掛かっています!』
『一息入れたいところですが……これは不味いですねぇ。シンボリエウロスがそれを許してくれるかどうか。いきなり展開を荒らしに来ましたよ』
はっきり言って異常だった。傍から見ても明らかにおかしい。
コース形状的に逃げ・先行が圧倒的有利。
特に1200mという短距離故に逃げが更に有利で、しかも最内枠が超有利。
1枠1番の子は限りなく幸運に恵まれていた。
あらゆる風が自分に向いている。そう言っても過言ではないほどの有利。
その1枠1番の子の有利が、最初の100mで死んだ。
スタミナを考えない破滅逃げを続け、スピードに乗り切ってそのままゴールする以外の勝ち目を消される。
つまり——ハイペース。
逃げ・先行にとって不利な選択をしないと、負ける。
その異常がどれだけの事かは、彼女以外のウマ娘にも明らかだった。
1枠1番の子に釣られて、1枠2番の子が上がる。
更に釣られて、2枠3番が。2枠4番が。
瞬間的に荒れていく展開は、まるで全てを引き込む嵐のように増大し、誰にも止められなくなる。
分かっていた。ハイペースは不利だと。
だがそれでも、有利だけは与えられなかったのだ。
スタートでシンボリエウロスが先頭に立った。4バ身もだ。
だから、シンボリエウロスが少しずつ内に切り込んでいるのは、その後ろにいる全てのウマ娘が見た。
逃げ・先行型が有利。では何故逃げ・先行型が有利なのか。
中山レース場と違い、逃げ・先行に不利に働く地形が一つも存在しない。
故に有利を維持し、カーブが終わる第4コーナーを超えて、最後の直線に入った瞬間にどれだけ好位置を取れているかが、ほぼそのまま着順に反映される。
故に最初の競り合いに勝ち、カーブに差し掛かる第3コーナーにて有利を取れるかが鍵。
その有利を、シンボリエウロスには与えられない。
大外という不利から、最内の有利を潰して来たシンボリエウロスに、そこまでの有利を与えたらどうなる?
そんな事分かってる。勝てない。
最後の直線でシンボリエウロスを差し切れない。
シンボリエウロスに、内に切り込まれ終わったら。負ける。
アイツに前に立たれたら、抜けないまま——負ける。
だから加速していく。
前を取らなければ勝てないから。前を取られたら負けるから。
まるで少しずつ閉じていく門へと滑り込むように、ウマ娘達は加速を余儀なくされていく。
その中、場の雰囲気に呑まれ、その必要性も理解し、自分も加速してシンボリエウロスを抜いていくウマ娘の中で、唯一冷静を保つ事が出来たヤエノムテキは、唯一冷静だったからこそ頭を悩ませる事になった。
「(何だ………何故、何故有利を譲ったシンボリエウロス)」
シンボリエウロスを抜き去り、安心し切っているウマ娘の中で唯一、ヤエノムテキだけが気付いている。
今明らかに、シンボリエウロスは前を譲っていた。
他のウマ娘に抜かれていく事を許容した。
有利な好位置を絶対に取れる状況で、その有利を捨てた。
先行位置を取るのが有利なのは変わらない。
だからヤエノムテキもハイペースに呑まれる事を選んでいる。
あまりにも前に出たシンボリエウロスと、熾烈な叩き合いになると思っていた。
だから分からない。何故そんな事をする。有利を譲り、不利を受け入れる意味。
どれだけ先行位置を取れるかが鍵で、序盤の先行争いが熾烈で、その熾烈な叩き合いをする必要もないほどのバ身差をスタートで叩き付けていながら、何故しっかりと内に切り込んで来ない。何故、何故——
『ハイペースのままウマ娘の集団はカーブに差しかかります! 第3コーナーにて有利を取れるかが鍵だが……シンボリエウロス! 最後方にて控えた!!』
何故——オマエは最後方に控えた。
現在のシンボリエウロスの着順、最下位。18番目。最後方にぽつんと一人。
直線一気の追込か? だとしても、その肝心の直線が短過ぎる。
絶望的な位置。絶望的な不利。どうしてその不利を甘んじて受け入れた。
あの、スタートでいきなり4バ身差を付けた理解不能のスタートダッシュはまだ良い。まだマシだ。それは結果だから。
理解不能の過程に意識を回さず、目の前にある結果を受け入れる柔軟さがヤエノムテキにはある。だがそれでも分からない。
何故、その結果を次に活かして来なかった。
圧倒的不利な大外から、その全てを覆せるだけの利点を持っていたのに、好位置を取りに来ない理由が分からない。
これでは、ただ不利な大外から始めて、そのまま最後方に沈んだだけじゃないか。
『ウマ娘の集団は縦長となって第3コーナーに突入!! 先頭から最後方まで——約13バ身! 最後の直線は短いぞ! この差をどうやって埋めるつもりだシンボリエウロス! ここから何をして来る気だシンボリエウロス!』
奇しくも、ヤエノムテキの心情は実況の声と全く同じだった。
何をして来る。何を仕掛けて来る。
それが分からない。理解の埒外にいる。
13バ身差。
1200mのレースで取り返すには重い。
短い最後の直線で取り返すには、あまりにも重い。
ただ、シンボリエウロスなら絶対に何か仕掛けて来るという、恐れに近い強者への信頼がヤエノムテキを平静にさせる。
音がした。不自然な音だった。
誰もがシンボリエウロスを意識している。
だからか、この選抜レースでは彼女の脚音だけが嫌になるほど響いて来た。
ドッ、ドッ、ドッ……と、3番手の好位置に付いたヤエノムテキにまで響いて来る、シンボリエウロスの脚音。
怪物じみた脚力が成せる技。10バ身差もある場所でも響く脚音。
音がする。不自然な音。
そう——不自然。
雰囲気に呑まれている。誰もがシンボリエウロスを意識しているのもある。
だからシンボリエウロスの発する音が響く。
じゃあ何で、他の音が聞こえて来ないのか。
『前半600mを越え、第3コーナーを抜けて行きます! 選抜レースとは思えないハイペース! 600m通過タイムは34.0! そこから離れて約13バ身も後方にてシンボリエウロスは………』
実況が途切れる瞬間、ヤエノムテキだけが分かった。
奴の脚音だけ、明らかに音が違う。
雑音の中で、目的の音だけがしっかりと聞こえて来るのと同じだった。
シンボリエウロスの脚音だけが明らかに音が違う。他のウマ娘の脚音全てが同じ足音をしている。
じゃあ、何でシンボリエウロスの脚音が違うのか。
それは、今日この日、選抜レース最終戦は——内が荒れているから。
「————ッ」
思わず振り返る。
一人だけ、荒れてない大外を突き進んでいるシンボリエウロスの位置を確認する、その瞬間だ。
『捲りだ!捲りだ!——捲り上げて来たシンボリエウロスっ!!』
誰もが錯覚した。
シンボリエウロスに抜き去られたウマ娘は、全員が同じ事を思った。
自分の体を、すり抜けられたと。
勿論錯覚だ。あまりの速度と、あまりの前傾姿勢によるスパートでそう勘違いしただけ。
ただ、その速度があり得ない。
本格化を迎えたばかりのウマ娘が出して良い速さじゃない。
その末脚の速度は、G1レベルの差し・追込のウマ娘が出せるかどうかというレベルの豪脚だ。
そしてそのレベルを平然と出せたのは——ミスターシービーくらいしかいない。
『最後の直線を待たずに大外から順位を上げて来た! 何たる切れ味!何たる豪快な末脚! 大外からシンボリエウロスが差し切って来たぞ!』
このレースは逃げ・先行型が有利だ。
それだけは絶対に変わらない。そういうコースの形状をしている。
ただ、脚質有利にあまり関係ない特徴がこのコースにはある。
3コーナーのカーブは緩やかだが、第4コーナーのカーブがかなり急。
カーブが緩やかだという事は、遠心力の影響が小さい。
カーブが急だと遠心力が大きく働く。
遠心力の影響が小さいという事は速度を抑える必要性が薄い。
遠心力の影響が大きいという事は速度を抑える必要性が高い。
つまり、第3コーナーでは後方から抜き易く、第4コーナーでは抜き辛い。
勿論この利点は、全てのウマ娘に言える事だ。
その利点は、一番後方以外のウマ娘にも働く。
だが、今回はこの選抜レースにはもう一つ特徴がある。
それは、この選抜レースは大トリの最終レースだという事。
最終レースという事はつまり、既に他のウマ娘が何回かレースをしているという事。
何回かレースをしているという事はつまり、レース場の芝が踏み荒らされているという事。
『シンボリエウロス、速い! 速い! 何たる速さだ! 完全に抜け出していく! 大外から捲り上げている!』
そう、芝が荒れている。
特に内側がだ。では外側は? 答え、荒れていない。
それは当然の話である。
最内から外へ数m離れるだけで、最終的に数十m近くもゴールまで無駄な距離が増えるからだ。それを避ける為にウマ娘達は内を走る。だから内が荒れる。
では芝が荒れているとどうなるか。
答え、速度が出難い。出難いから本来のペースで走ろうとすると、本来よりも体力を消費する。
じゃあ、その荒れた内を更にハイペースで進むとどうなる?
答え、ゴール前で体力が切れる。
では体力が切れると、どうなるのか。
答え、遠心力が低いとはいえ影響のあるカーブで露骨に速度が低下する。同時に息を入れようとする。ペースが緩む。集中力が途切れる。
つまり——後方から抜き易くなる。
『シンボリエウロス、抜き去っていく!!大外の不利を実力で捻じ伏せていく! 何たる切れ味だぁぁ!! シンボリエウロス、速度を落とす事なくコーナーを駆け抜けていく!!』
話は変わるが、このレースでは何故逃げ・先行型が有利だったのか。
まず第一に、カーブが終わる第4コーナーを超えて、最後の直線に入った瞬間にどれだけ好位置を取れているかが、ほぼそのまま着順に反映される。
何故か? 最後の直線が圧倒的に短いから。
だから。直線に差し掛かる前、第3コーナー前にて有利を取れるかが鍵。
何故か? 遠心力のかかるカーブでは前方のウマ娘を抜き去り難いから。
だから、その有利を取る為に、スタートで先行策を取る必要がある。
だが、ここで逆に考えよう。
ただの極論だが、こう言える。
最初がどうなろうが、どれだけ不利を被ろうが——最後の直線に入ったその時に、一番前を奪えていれば良い。
それが、これだ。
『——シンボリエウロス、コーナーで全員を抜き去り、最終直線で先頭に立った!!』
最後を待たずに末脚を解放する。捲り上げる。
第3コーナーから第4コーナーに踏み入る段階。コーナーの中では最も抜き易く、そして以降は最も後方から抜き辛い、その瞬間に大外から全員を差し切る。
何故か? 答え、最終直線で前に立てば良いから。
最終直線で前に立つにはどうすれば良いのか。
答え、後方から抜けば良い。
抜き去り辛いコーナーで、しかも大外から抜くにはどうすれば良い。
答え——そういう状況を作れば良い。
最初に先頭を奪い、自分が展開を支配する。
展開を荒らしに荒らし、一人残らず全てを強制的にハイペースに引き込む。
スタミナを削り、先行崩れを起こさせる。荒れた内を突き進ませる。
そうする以外に勝ち目がない状況に追い込む。余裕を奪う。隊列を縦に引き伸ばす。自分を抜き去り、安心し、速度が低下し、心が緩む瞬間を作る。後方から抜き去るチャンスを作る。
その中、自分だけは熾烈な先行争いをせず、体力が消耗するのを抑え、一人だけ冷静に、最後方で自らのペースを刻み続ける。
運による介入も、根性による執念も許さない。
限界を超えて力を発揮する機会すらも許さない。
逃げがレースの速度を作る。先行がレースの展開を操作する。
ならその両方を潰す。両方を初手で嵌め、選択肢を奪い、冷静さを殺し、自分のレースを出来なくし、少しずつ破滅させていく。
そうすれば勝てるから。
ならば後は単純だ。
最終直線で前に立つ。
その為に、コーナーで抜く。
後はコーナーで抜く為の方法を、全て同じタイミングで重ねれば良い。
それで勝てる。それだけで勝てる。
シンボリエウロスにとって、これはそういう戦いだった。
ヤエノムテキの考えは当たっていた。
シンボリエウロスにはパワーがない。
少なくとも、今の段階ではヤエノムテキに劣る。更にバ体にも優れてない。
故に荒れた内を進む負担、スタート時に先行争いをする負担が大きい。
更にパワーが低いという事は、ウマ娘の壁に阻まれて、後方からの差し切りが届かなくなりやすい。
だからハイペースに引き込んだ後、マークが途切れる後方へと控え、隊列を縦に引き伸ばした。横に並ぶと塊になるから。大外から差し切る為の距離ロスを最低限に抑えたかったから。
『届かない!! 誰も届かない!最後の直線を駆け抜ける! シンボリエウロス誰も届かせない!!』
もっとも、こんな事をしなくて良い一番の方法がある。
逃げれば良い。脚質が向いてなくても、内が荒れていても、それらを加味しても尚このレースでは逃げが有利だった。
確かに彼女は大外だ。
だがあのバカげたスタートダッシュがあれば、その不利を覆せた。
もっと早くから内に切り込み、蓋をする形で集団を抑えれば、先行争いをする必要などなかった。
誰よりも簡単に、そして距離ロスが少ない為に確実に勝てた。
じゃあ、何故彼女はそれをしなかったのか。
何故彼女は逃げ・先行型が有利なこのコースで、逃げを選ばなかったのか。
答え——シンボリエウロスは喘鳴症だから。
ミドルペースとハイペースは、同じ距離を走っても30m程度の差しか出ない。
当然、その差はレースでは絶望的なほどに大きいが、同じ距離をただ走り切るだけでは誤差だ。2秒も変わらないのだから。
ただ、稼げる距離と心拍数の比率は明らかに噛み合ってはいない。
ミドルペースで消耗するスタミナと酸素。
それとは比べ物にならない消耗をハイペースは強要される。
何倍も早く息が上がる。早く息が上がるという事は喉の負担が大きくなる。
確かに病は改善された。でも完治してない。
シンボリエウロスは、ハイペースで進む事が出来ない。
だから一瞬で決める。自分以外をハイペースに引き摺り込み、自分だけは最後方にぽつんと一人、別のレースを走ってるが如く自分のペースを刻み続ける。
レース中終始息を整え続け、疲労によって上がる呼吸を少しずつ一定に保ちながら大きくし、最後の瞬間をほぼ無呼吸で駆け抜ける。
故に、閃光にも等しい刹那で全てをひっくり返す。上がり3F。600m。最後の末脚。
確かに負担だ。凄まじい弱点だ。
苦手だからではなく、そもそも出来ないというのは隔絶した隔たりがある。
シンボリエウロスは逃げれない。そもそもハイペースとされる速度を維持出来ない。
その域に踏み込んだ瞬間、加速度的に末脚の切れ味が死ぬ。
脚質が合ってないとかそういう次元ではなく、身体が保たないのである。
でも逆に考えれば良い。
逃げれなくても。
逃げウマ娘には置き去りにされても。
先行ウマ娘には優位を維持され続けても。
たとえレース中、終始最後方だったとしても——
『——シンボリエウロス、今ゴールッッ!!!」
最後の上がり3Fで——全員仕留め切れば良いだけなのだから。
『きっかり上がり3Fで差し切った!! 最後方から全員を貫いたッッ!!
選抜レース最終戦、今ここでゴールしたのは現世に舞い降りてきた幻のウマ娘、シンボリエウロスだぁぁっっ!!』
掲示板に刻まれた、赤い勝ち時計。レコードの文字。
1:09.8、レースレコード。
選抜レースで、各レース場1200mメイクデビュー戦のレースレコードを上回る域のタイム。
ジュニア級重賞には届かない。クラシック級のオープン戦にも劣る。
ただこのタイムを刻んだのは、本格化してまもなくで、トレーナーもまだ付いてない新入生だ。
勝ち上がりのタイムで言えば、1200mの平均勝ち上がりタイムは1分10秒台である。
そして、同じく掲示板に刻まれた上がり3Fの数字。
33.8。
34.0秒を切った。単走ではなくレースでだ。
この時代、まだ上がり3FがG1レベルで平均36秒である事を考えると超脅威的。
確かに1200mという短い距離だが、代わりにこのレースは直線が僅か310mしかなかった。
コーナー有り。大外からの進出。それで34秒台の壁を貫いている。
そもそも1200mメイクデビュー戦の上がり3Fが、速くて36秒を切れば良い領域である。
選抜レース最速の上がり3F。
そしてメイクデビュー戦の歴代最速上がり3Fに匹敵するほどの末脚。
速い。そして桁違いなほどに、強い。
少なくとも同世代の中では、彼女の末脚が最も速かった。
彼女の上がり3Fはこの選抜レースに於いて、平均より約4秒弱速い。
1秒とはつまり、5〜6バ身である。
つまりアレは、上がり3Fという世界にのみ限定するなら——20バ身以上詰め寄って来たのだ。
そして彼女の勝ち上がりのタイムは、2着より1.9秒速かった。
約2秒。1秒とはつまり、5〜6バ身である。
つまり——
『シンボリエウロス、大差勝ちです!! ぶっちぎりのレコード!! 直線を待たずにスパートをかけ、誰一人寄せ付けませんでした!』
10バ身差。大差勝ち。
2着のヤエノムテキに約10バ身差。
今日行われた選抜レースにて観測された、最大着バ身。
一人圧倒的にゴールし、息を整え始めるシンボリエウロス。
その後で、遅れてゴールに飛び込んで来たウマ娘達のほとんどは仰向けに倒れ、盛大に息を切らしている。
シンボリエウロスが荒らしに荒らした展開。
ハイペースに引き摺り込まれ、全員が荒れたバ場を突き進み、その負担を盛大に喰らったのだ。
末脚など全員が潰されている。まともに走れたウマ娘の方が少ない。
最終直線で前に立たれ、一気に有利から引き摺り落とされたという衝撃も大きい。
ウマ娘にとって、前に立たれるというのは基本的に意識せざるを得ないのだ。
最終直線を、しっかり真っ直ぐ走れたウマ娘は一体何人居ただろう。
ほとんどが、ゴールした後立ち上がれないくらいには疲弊していた。
その中で、唯一倒れ伏してないのがヤエノムテキだった。
ただ、膝が震えている。
肩で息をしている。
倒れてないのはもう、ただの意地。
「スゥゥ———……………フゥゥ——…………」
視界の先、終始完璧なレース運びをしたシンボリエウロスが呼吸を整えていた。
胸に両手を当て、ゆっくりと吐息を吐く。
瞳を閉じ、高まった心拍数を抑えていく。
昂った闘志を鎮め、赤くなった頬を落ち着けていく。
余裕だった。
圧倒的だった。
そして圧倒しておきながら、一人だけ一切の疲弊を感じさせない佇まいだった。
レース前の深呼吸を、レース後にも行っているだけ。
息を切らしてもいない。消耗しただけで疲弊してない。
少なくとも、この光景を見ていた者はそう思う。
シンボリエウロスからすれば、息を切らすという行為そのものが基本許されないから、結果的に大して消耗してないように見えるだけだが、それを知るのはシンボリ家に縁のある、ほんの数人しかいない。
つまり余裕だ。
勝てないと思われていたレースを、勝てるようにした。
勝てるようにしたレースで、当たり前のように勝った。
ただ、それだけ。
『いやぁ……ちょっと凄まじいレース展開でしたね。
荒れるだろうとは思っていましたが、まさかここまで荒れるとは。いえ、荒らして来たという事でしょうか』
『ちょっと言葉を失ってしまいましたね。しかもシンボリエウロスのアレ、捲りですよ?
小柄な身体やもの静かな雰囲気に似合わず、豪快な末脚と抜群の切れ味は正直想像もしていませんでした。それにあの前傾姿勢! もう獲物を狙う猛禽類のように、完全に決めに来ていたという他ありませんね』
静寂だった。
あまりの圧勝。隔絶した差。完璧な勝ち。
フロック勝ちの可能性など一つもない。執念で勝ちを拾った訳でもない。
完全に最初から勝ちに来ていた。他ウマ娘の勝ちの芽を全て潰しに来ていた。
私は私の走りをする。私以外には、自分の走りすらさせない。そういう勝ち方。
歓声は小さく、絶句して静まり返っているに近い中央トレセン学園のグラウンド。
言葉が響いているのは、ほぼ実況と解説の声だけ。
捲り。
逃げ、先行、差し、追込。
そのどれでもない5つ目の脚質。
或いは5つ目の脚質ではなく……差し・追込型の理想形とも言われる戦法。
序盤で後方に控え、第3コーナーから第4コーナーに掛けて順位を上げていき、最終直線前で先頭を取る。
そしてそのまま直線で差し切るという、基本前のペースが緩んだ時に使わないと長い間大外を回され、一番の不利を受けてしまう、難易度の高い戦術。
この戦法の末脚、その切れ味は何と呼ばれたか。
鋭く、重く、豪快で鋭利な末脚が無ければ出来ない。
故にその末脚はこう呼ばれた——鉈の切れ味と。
それは『神話』の時代。
比喩でもなんでもなくウマ娘レースの神と呼ばれ、『皇帝』シンボリルドルフが出るまでの数十年間全ウマ娘の目標であり、最強と言われ続けた戦士が好んで使っていた神話の戦術。
——シンザン。史上二人目の三冠ウマ娘。
19戦15勝。内2着4回。つまり全レース1着か2着。
連対率100%。デビューから引退までの連続連対19という、永久に破れないとすら謳われる戦績。
当時出走可能な域にあった八大競争全てに出走し、そして全てに勝って来た。
神話と呼ばれた時代を作り上げた、伝説のウマ娘。
それと同じ事を、シンボリエウロスはして来た。
神話の戦術を、神話のまま現実に引き摺り下ろして来た。
ミスターシービーでも後方からの捲りを完成させたのは、精神が完全に充実しレース展開のタイミングを見定めてきた、全盛期時代からだ。
捲りは難しい。
結果的にそうなる場合はあっても、捲りを戦術として、狙って使用出来たのはほとんどいない。
「……………」
小さな吐息。終わらせる事を終えた仕事人。
そんな佇まいで、シンボリエウロスは無言のまま、敗者達に振り返る事もなくターフを去っていく。
いつもの表情。いつもの無愛想。猛らせていた烈火は消え、静寂を纏う。
或いはそれは1バ身差でも勝ちは勝ちだからと、常に手を抜いていたとすら言われるシンザンの如き余裕か。
大差勝ちしても尚の余裕か。
ヤエノムテキは分かっている。いや……後になって振り返った時に分かった。
勝者が敗者にかける言葉などない。だから、シンボリエウロスはそのまま当たり前のように去った。当たり前のように勝ったから。
シンボリ家という名門の生まれにとって、それが当然だから。
だが……走り終えたばかりのヤエノムテキには、それが分からない。
ただ悔しい。吐き気がするほど悔しい。
だってその悔しさは、
「未熟………ッ——」
自分の不甲斐なさから来るものだから。
分かっていた筈だった。
内が荒れているのも。このレースの有利も。シンボリエウロスの強みも。
それでも尚、奴が勝った。全ての土俵をひっくり返して来た。このコース形状の有利を展開を自ら操る事で踏み越えて来た。
展開に左右されない末脚。だから積極的に展開を荒らし、荒らしまくり、彼女だけは自分のレースをする。
今日のこのレースは、完全に奴の手の平にあった。
勝機を作り、見出し、一手一手勝ちの目を積み上げていく。
故に負けた。どうしようもない完敗だった。
「……次は、勝ちます」
顔を上げる。
下を向いて泣くという事を、自分には許せない。
上を仰ぎ見る事を止めれば、その瞬間から逃げを覚えるから。
ヤエノムテキは泣いた。
声を出さず、下を向かず。
頬を伝う涙は、苦い味がした。
⚪︎
たったひとつの冴えたやりかた。
神速の末脚。神域の捲り上げ。先行潰し。展開荒らし。上がり3Fの暴風。
有効射程距離25バ身
⚪︎この選抜レースを観ていたシンボリルドルフ
後方腕組み。
⚪︎この選抜レースを観ていた元シンボリ家連枝旧家令嬢ウマ娘(初等部)
後方腕組み、フーン……カイチョーの……? カイチョーの妹って言うなら仕方がないけど、それ相応の勝ち方はしてもらわないとねーっ!!! と見定めていたとあるウマ娘。
尚、後にシンボリエウロスが出る全レースに必ず現れるファン会員一桁『ハマノテイオー』さんである。