転生中の身でありますが   作:みかん汁だったライター

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第一生
プロローグ


 

 「あれ…」

 

 意識が始まったのは真っ白な明るい部屋から。

 

 ここは何処で…俺は何を…。

 

 「…思い出せない」

 

 自分の過去も、ここに来たまでの経歴も、親も、名前も。

 

 コツコツ…と誰かの足音が何もない空間から響く。

 

 何だ…誰なんだ?

 

 「失礼しますよ、大罪人さん」

 

 俺の事を大罪人(・・・)さんと呼びながら何かが入ってきた。白い人魂のような物から、何か知っているような声がする。

 

 「…キミは…誰だ?」

 

 「…おやおや、私の事をも忘れてしまうとは。まぁ、これから毎回のように会いますから、一度自己紹介を」

 

 その声は改めて言った。

 

 「私は是非曲直庁所属のヤマザナドゥ、四季映姫です」

 

 彼女?は四季映姫と言うらしい。

 

 「…で、大罪人とは?」

 

 「…思い出さない方が良いですよ」

 

 何か凄く呆れた声で四季さんはそう言った。

 

 ならば知らぬが仏と言うものかもしれない、閻魔大王様がそう言うのだから。

 

 「…もう一つだけ質問を」

 

 「…どうぞ?」

 

 「毎回会うとは?」

 

 「…言葉通りの意味です。あなたが死んで、転生する時に毎回会うでしょう?」

 

 「…転生…?死ぬ…?」

 

 「そうです。貴方はこれから転生するんですよ」

 

 四季さんの言ってることが分からない。どう言うことだ?

 

 「簡単なことです、一度体験すれば分かります」

 

 そして人魂が俺の方に近付いてきた。

 

 「それを胸の前に抱き抱えて下さい」

 

 そう言われたので言われた通りに人魂を抱き抱えた。

 

 「転生まであと3秒…2...1...」

 

 そのカウントダウンに不安な気持ちを抱えながら黙り込んでいた。

 

 「...0」

 

 四季さんが0と言った瞬間、人魂が俺の体内に入った。

 

 ドクンと、何かがなった気がした。

 

 意識が遠くなる、目の前が真っ暗になっていく。

 

 嫌だ、怖い。

 

 『大丈夫です。私は貴方の味方ですよ』

 

 四季さんの声が、小さく聞こえた気がした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 目を覚ました、場所は古びた神社だった。

 

 辺りを見回しても誰もいない。

 

 境内には何もなく、母屋にはこの家の住人の家族であったであろうものの死体があった。

 

 「…何だよこれ…グッチャグチャじゃねえか…」

 

 母親と父親の死体は頸動脈を切って死んでいた。

 

 娘の死体だけ、綺麗に死体から離れて置いてあった。

 

 こいつだけ、体に傷もない。

 

 サッと脈を測ってみた。

 

 トクトクと血が流れている。

 

 「…生きてるじゃねぇか。」

 

 この夫婦の娘かどうかは分からないし、この子が殺したのかもしれない。だが、生きているのなら安心した。

 

 彼女がこの夫婦の娘ならば、一人にしておいたら悲しんでしまうだろう。

 

 「…失礼します」

 

 俺は母屋に入ると鍬を持ってきて穴を掘った、そしてその中にこの夫婦を入れてやった。

 

 寂しくないように、来世もこの二人が結ばれるように一緒の穴に入れてやった。

 

 墓石代わりになりそうな石を転がして来て建てた。

 

 女の子も年頃なので風呂を沸かしてやろうと思った。血塗れでいるのも気持ち悪いだろう。

 

 死体を見たところ硬直が始まっていたので死んでから12~3時間くらい経っているだろう。

 

 腹を空かせているだろうと思い、台所にあった雑穀と漬けてあった梅干しと沢庵で簡素な握り飯を作った。

 

 「…んぅぁ…」

 

 そろそろ目を覚ますだろう、混乱させないようにしなくては。

 

 「ふぅあ…ぁぁ…お母さん…お父さん…おは…よ…う…」

 

 「すまないがお母さんとお父さんは死んでいたぞ」

 

 「…!?」

 

 最初に真実を告げた、なぜか憎しみの目を向けられたが。

 

 「おい、言っておくが俺が殺した訳じゃないぞ?俺は今さっきここに来た。取り敢えずここがどこか分かれば良いなと思ってな?」

 

 「…」

 

 「んで、境内には誰もいないし母屋になら誰かいるかな?と思って覗いてみたら夫婦の死体があった。一瞬ビビった。でも、お前は生きてるみたいだったから風呂沸かして握り飯を作ってやった。食べるか?」

 

 「…貴方が殺したんじゃないの…?」

 

 震え声で言われた、殺人犯だと思っていて怖いんだろうな。

 

 「俺が殺したんだとして、お前だけ殺さない理由がないな」

 

 「…それは、私が…」

 

 少女は悲しそうな目をして、顔を背けながら言った。

 

 「私が妖怪だから…」

 

 妖怪…?

 

 「…お前は…妖怪なのか?」

 

 「そう…だけど…もしかして知らなかったの?」

 

 「…うん、全然人間だった。どこも人間と変わらない」

 

 「…ありがと」

 

 少し顔を赤くしてるけどさ…同い年だったら恋に落ちてるぞ?

 

 「人間だったのにお父さんとお母さんは私と一緒に住んでくれたの」

 

 「…良い親御さんだったんだな」

 

 「…うん」

 

 「…この母屋の裏に墓を作ったんだ。行ってきな」

 

 「…ん」

 

 そして彼女はとぼとぼと墓のある方に向かっていった。

 

 

 

 

 

 

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