タイトルは飯を
「…確認してきた」
少女が帰ってきた。
「…取り敢えず風呂が沸いた。入ってきな」
「…でも」
「身体中血塗れで気持ち悪いだろ?」
「…うん」
そう言うと少女はちゃんと風呂へ向かった、聞き分けが良い子だ。
「…妖怪って握り飯でも良いのか?肉とか食べるのか?」
まず、人間が食べるもので良いのか?
思わず考え込んでしまった。
そんな感じで考え込んでいると少女が風呂から出てきた。
「…早くないか?」
「いや、結構長く入ったよ?」
まさか考え込んでいたらもう結構な時間が経っていたのか?
「…まぁ良いか。はい、簡素なものだが握り飯と沢庵だ。腹減ってるだろ?」
と、差し出すと少女の腹からくぅと可愛い音が出た。
「ゆっくり食べろよ」
そう釘を刺してから渡す。
少女はハグハグとがっつきながら食べた。
「お茶だ、置いておくぞ」
お茶を置くと同時におにぎりが喉に詰まったようでお茶をゴクゴクと飲み干した。
「…んで、少女よ」
「…何?」
「名前はなんて言うんだ?」
「…私は、ゆかり。ただの、ゆかり」
「…ただのゆかり…か」
ただのゆかりってことは名字がないってことだよな?じゃあ…
「八雲」
「え?」
「八雲ゆかりなんて名乗ったらどうだ?」
「…ありがと」
顔真っ赤にして照れながら言った。だから同世代だったら惚れてるって。
「貴方は?」
「え?」
「貴方は何て言うの?」
「俺の名前か?」
…ねぇな
「ないの?」
「…ないな!」
「そんな自信満々にいわなくても…」
「好きに呼べよ、これからまた会うかも分からんし」
「え?出ていっちゃうの?」
「いやまぁ、お前が妖怪なら一人でも生きていけるだろうし…俺もいる意味ないかなぁって」
「駄目!」
「ゆかり?」
「行っちゃ駄目!」
「…いやでも…泊まるところとかも探さないと」
「ここに泊まれば良い!」
「…本気?」
「当たり前!」
と言うことでこの神社で暮らすことになった、確かに妖怪とはいえ女の子を一人で放ったらかしにするわけにはいかないなと思ったし。
取り敢えずここに住むに当たってゆかりの親御さんの遺品を整理することにした。
たくさん出てきたのはゆかりに良く似た少女の絵。多分この家の本当の娘だろう。そして命名 紫 と書いた半紙があった。
ゆかりは紫と読むらしい、良い名前を付けて貰ったんだな。
それから日記帳と沢山の武術書や秘伝書、多分神社に代々伝わっている特別なものだう。
日記帳には紫の母の文字で沢山の思い出が書いてあった。
今日は紫と鬼ごっこをして遊んだ。今日は久々にお父さんと釣りに行った、など楽しそうな事を書いてあった。
だが、不穏な言葉も書かれていた。祖母が病を患い始めた。それは伝染病のようで紫の母にも
そしてやはり、身体的にキツくなっていったようで紫に睡眠を誘発させる薬を作って飲ませ、夫婦二人で心中したようだ。
これは、これだけは紫に見せてやれない。
秘伝書の方はとても貴重なもののようで霊力というものを使って修行すれば誰にでも使える戦闘技術が書いてあった。
「…これは使えるな」
自分自身の防衛のために修行もしておいた方がいいかもしれない。紫以外の妖怪が、あそこまで友好的だとは限らないからな。
一通り整理が終わったので、今日は風呂に入って寝よう。
そう思って風呂に入る準備をした。