スーパーロボッコ大戦外伝 ディファレンス・ロボッコ・バトル 作:ダークボーイ
「う~ん………」
唸り声をあげながら制服姿の少年、観束 総二が体を起こす。
「あれ、オレなんで………」
そこで総二は自分が草原のような所におり、なぜそこにいるかが全く分からない事に気付く。
「確かみんなで部室に…!」
意識がハッキリしてきた所で、総二は慌てて周囲を見回し、そこで見覚えの有る人影が三つ先程の自分と同じように倒れている事に気付く。
「慧理那! トゥアール! 愛香!」
「ううん………」
「おやあ?」
「………」
総二の声に小柄でややカールのかかったツインテールの制服少女と、白髪のロングヘアーで白衣姿の少女が体を起こすが、腰まであるツインテールの制服少女が何故か動かない。
「愛香!? 大丈夫か!」
「………なんで私が最後なの?」
何か有ったかと慌てる総二に、倒れたままの少女が背を向けたまま問うてくる。
「それはもちろん耐久度順でしょう! 蛮族ならばどんな状況でも大丈…」
白衣姿の少女、トゥアールの力説の半ばで跳ね上がるように飛び起きた少女、津辺 愛香の胴回し蹴りがトゥアールの側頭部に叩き込まれ、トゥアールが再度地面へ倒れこむ。
「誰が耐久度抜群の蛮族ですって!?」
「………大丈夫そうだな」
「あの観束君、ここどこでしょうか?」
普段通りの二人を見ながら、総二は小柄な少女、神堂 慧理那の言葉に再度辺りを見回す。
「草原? オレ達確か………」
「さっきまで部室にいたわよね?」
「そうです。皆さんでツインテール部の部室にいて………それから」
「そうだ、霧だ! 部屋の中なのになんでか霧が出てきて、それが渦を巻いたかと思ったら………」
「気付いたらここで倒れてて………」
愛香がそこまで言うと、地面に倒れているトゥアールの頭部を片手で掴むと、そのまま凄まじい握力で持ち上げる。
「痛い! 痛いです愛香さん!」
「正直に言いなさい。何したの?」
「何で私なんですか! ちょ、握力が増してきてます!」
「あんた以外にこんな事出来る奴はいないでしょ! 正直に吐きなさい!」
「た、確かに次元歪曲反応は出てましたけど、私じゃありません! やるなら総二さんと二人きりにします!」
「………それもそうね」
トゥアールのどこか問題のある弁明に、愛香は頷きながら手を放す。
「ダメです、電話も何も通じません」
「オレもだ」
慧理那がスマホが完全に圏外になっている事を確認し、総二も自分のを確認するが、そちらも圏外だった。
「おかしいですね、トゥアルフォンが圏外になるなんて事あり得ないですけど」
一見ただのスマホだが、その実トゥアールの作った特殊ガジェットが圏外表示という事態に制作者のトゥアールも首を傾げる。
「だとしたら、考えられる事は一つです」
「つまり?」
「ここは…」
「あ」
トゥアールの説明の途中で、慧理那が声を上げ、思わず皆がそちらを振り向く。
慧理那の視線の先、そこにこちらを見ている顔がある事に全員が気付いた。
「いた! 皆さんこっち! こっちです! 私達以外にも人いました!」
小柄で短いツインサイドテールの制服少女が背後に声を掛けると、それを聞いたらしい人影が現れる。
「他にもいましたか」
「よかった~無人島かと思った」
「いや、私達いる時点で無人じゃないでしょ」
褐色の肌に長いロングヘアの大人びた少女に続き、同じ顔に片方はロングヘア、もう片方はポニーテールにした双子らしきこちらも制服姿の少女が姿を現す。
「すいませんけど、ここどこですか?」
「いや、オレらも分かんないんだけど」
「え?」
最初にこちらを見つけた小柄の少女の問いに、総二も困った顔で答える。
「学校にいたはずが、気付いたらここにいて………」
「私達もです。なんでか気付いたらここに………」
「つまり、同じ境遇って訳ね」
「そのようです」
「あの、取りあえずお互い自己紹介しません?」
互いに首を傾げる中、慧理那の提案に双方顔を見合わせる。
「じゃあオレから。観束 総二、私立陽月学園高等部の1年」
「津辺 愛香よ。同じく私立陽月学園高等部の1年生」
「神堂 慧理那です。私立陽月学園高等部の2年生、生徒会長を務めてます」
「トゥアール、総二さんの恋b…」
最後まで言わせず、愛香の裏拳がトゥアールを黙らせ、その場に少し沈黙が降りる。
「処女(とこのめ) まもりです。高校二年生、でした」
「敷島 魅零(みれい)、まもりさんのパートナーです」
「神楽坂 倫花。乱花ちゃんのお姉ちゃんよ」
「神楽坂 乱花。倫花の妹です」
「う~ん………」
自己紹介が済んだ後、裏拳から復活したトゥアールが向こうの四人を見る。
「何でしょうか?」
「いや、どういう基準なのかと思いまして」
「基準?」
「ほぼ同年代の者ばかりがここに集められた理由ですか」
トゥアールの疑問にまもりが首を傾げるが、魅零は即答する。
「ええ、何か基準があると思うのですけど」
「アルティメギルの仕業?」
「にしてはおかしいです。こんな人里離れた所なんて………」
「アルティ、ってなんですか?」
「え? 知らない?」
「あ、多分彼女達も違う世界から来たんでしょう」
「待った、何の話?」
神楽坂姉妹が愛香やトゥアールの呟いた言葉に突っ込むが、余計に混乱するだけだった。
「漫画とかだと、サバイバルとかデスゲームとか始まる展開か?」
「私達に殺し合えと?」
「だ、ダメですよ魅零さん! そんな物騒な!」
「いやオレ達だってそんな気は無いから。だとしたら他に…」
全員が状況が分からず混乱が深まる中、突如として奇妙な異音が響く。
「何!?」
「分かりません、聞いた事の無い音が………近づいてきます!」
愛香が周囲を見回す中、魅零が耳を澄まして音源を探り出そうとする。
そこで草原の向こうに見える、森林のような場所の木々がなぎ倒され、見た事の無い物が飛び出してくる。
「何だありゃ!?」
「分かりません! 見た事ありません!」
その異形、ワゴン車よりも一回り大きい程の角ばった鉱物のような体に複数の硬質な足が伸び、何より全身を始終鳴動させ異音を響かせながら迫ってくる相手に総二とまもりが声を上げる。
その鳴動する異形の一部が光った瞬間、突如として閃光が放たれ、皆のそばをよぎると瞬時に草が燃え上がる。
「何だこいつら!」
「攻撃してきた!」
皆が慌てふためく中、同様の異形が次々と森林から飛び出してくる。
「あれはアルティメギルじゃありません!」 「見れば分かるわよ! でもなに!?」 「私達も見た事有りません!」
「また来ます!」
「ならやり返すまでだ! 行くぞ皆!」 「分かったわ!」「はい!」
トゥアールが断言するのを愛香が更に断言する中、まもり達も首を横に振る。
相手を完全に敵と判断した総二の号令に、愛香と慧理那が同時に頷くと、その腕に嵌められたテイルブレスをかざす。
『テイルオン!』
声と同時に三人をテイルブレスからの光が包み、その姿が変わっていく。
総二の姿は似ても似つかぬ小柄で幼いツインテールを持った赤いテイルギアをまとったテイルレッドに、愛香の姿はほぼそのままに蒼いテイルギアをまとったテイルブルーに、慧理那は大人びた姿となって黄色の重武装テイルギアをまとったテイルイエローへと変身する。
「変身した!?」
ツインテールの戦士、ツインテイルズと変身した三人の姿に、まもり達は驚く。
「行くぞ!」
「ええ!」「はい!」
テイルレッドがその手に長剣《ブレイザーブレイド》を構え、テイルブルーが長槍《ウェイブランス》を、テイルイエローが片手銃《ヴォルティックブラスター》を構えると異形へと向かって攻撃を開始する。
「あれは一体………」
「説明は後です! 避難を…」
魅零も驚く中、トゥアールが避難を促すが、まもりは魅零と、倫花は乱花と視線をかわして頷く。
「じゃあ私達も!」
「戦います!」
そう言うや否や、まもりは魅零に背後から抱きしめられ、倫花と乱花は互いに背中合わせに手を握りしめる。
「何を…」
『ドライヴ!』
トゥアールが困惑する中、それぞれに光が放たれたかと思った瞬間、魅零の手には長剣が、倫花の手には大刀が握られていた。
「変身した!?」
それぞれが握っている武器が、相方の変身した姿だと気付いたトゥアールがさすがに驚く。
「行きましょう!」
「はい!」
飛び出していく魅零と倫花を見送ったトゥアールは慌てて解析の準備を始める。
「これはまさか………」
「とりゃあぁ!」
勇ましい気合と共に、テイルレッドの振り下ろしたブレイザーブレイドが異形を大きく斬り割く。
だが異形がそれでも動き、テイルレッドに向かって攻撃しようとするが、そこにテイルブルーのウェイブランスが破損個所に突き刺さり、異形は爆発四散する。
「結構固いぞ!」
「これって、機械? なんか変な手応え…」
「いっぱい来ました!」
テイルイエローがヴォルティックブラスターを連射するが、一発二発程度では異形は止まらない。
「離れろイエロー!」
「はい…」
一度距離を取ろうとしたテイルイエローだったが、彼女の両脇から飛び出した影が得物を一閃して一番手前まで来ていた異形を左右から両断する。
「助太刀します!」
「一緒に戦いましょう!」
「え?」
「そんな武器どこから!?」
『ツインテイルズ聞こえてますか?』
巨大な得物を携えた魅零と倫花に驚く中、後方に控えていたトゥアールからの通信が入る。
『信じられないかもしれませんが、二人の持っている武器はまもりさんと乱花さんが変身した物です。どうやら、あの方々も戦士と見て間違いないでしょう』
「武器に変身!? 何それ!」
「使って大丈夫なんでしょうか?」
「アームにその心配は有りません」
「そっちも変身してるし」
「まあそれ言われると、って!」
互いに色々突っ込みたい所はあったが、異形達の攻撃の前に戦闘に専念せざるをえなくなる。
「オレがあいつらの足を止める! ブルーはその隙に、イエローはブルーの援護!」
「OK」「分かりました!」
「私も足止めします。倫花さん達はその後に」
「了解♪」
互いに臨時でフォーメーションを組み、テイルレッドと魅零が突撃、異形の足を狙って次々斬り飛ばしていく。
「足も結構固ぇ!」
「関節部を狙うのがいいと」
「あの速度で動くのを…」
ブレイザーブレイドでも両断がやや困難な相手の節足をなんとか斬っていくテイルレッドだったが、魅零がかなり正確に節足の関節を切断していくのを見て頬が引きつる。
「オレよか強くないか?」
『かなり戦い慣れてますね。あちらはそうでもなさそうですが』
テイルレッドが思わずぼやいた所で、トゥアールの通信にちらりと後を見る。
「くおのぉ!」
テイルブルーが渾身の力を込めて、ウェイブランスで足の止まった異形を貫く。
「トドメです!」
そこへ倫花が大上段からの斬撃でトドメを刺そうとするが、わずかに浅く破壊しきれない。
「危ない!」
更にテイルイエローのヴォルティックブラスターの銃撃が加わって完全にトドメが刺さる。
「結構しぶといわよこいつら!」
「確かに………」
「火力を上げましょう! 手加減は必要ないみたいです!」
テイルイエローがテイルギアにセットされている他の武装を連射しながら、次々と押し寄せてくる異形を狙う。
「一体なんなのこいつら! ロボット!?」
「手ごたえは機械みたいですけど………」
『兵器とだとしたらかなり高度な物です! さっきから色々やってみてるんですけど、全く内部サーチが出来ません! 個体レベルで妨害されてるみたいです! こんなの見た事ありません!』
テイルブルーと倫花が何とか連携を組みながら戦う中、トゥアールからの焦りを含んだ報告に顔をしかめる。
「あいつがふざけてないって事は、本当にヤバい奴って事ね」
「そうなんですか?」
「ええ、普段は…」
テイルブルーの説明の途中で、異形の一体の前面が開いたかと思うと、そこからミサイルのような物が噴煙を上げながら射出される。
「んげ!?」
「ウソ!」
予想外の攻撃にテイルブルーと倫花は慌てて左右に散るが、ミサイルは倫花をロックオンしたのかホーミングしてくる。
「危ない!」
そこへテイルイエローがありったけの射撃でなんとかミサイルを迎撃、爆風を多少食らった倫花が地面を転がって勢いを殺すと何とか立ち上がる。
「大丈夫ですか!?」
「ええ、ありがとう!」
「なんて重武装よあいつら!」
「乱花ちゃん、選手交代!」
不利を悟った倫花が、交代を告げながら大刀を抱きしめる。
次の瞬間、双方が光ったかと思うと、そこには両腕に巨大な手甲を装備した乱花の姿が有った。
「任せてお姉ちゃん!」
「入れ替わった!?」
「双子でも能力が違うんですね」
「そおれ!」
やたらといかめしいデザインの手甲で繰り出した乱花のパンチが、異形を正面から殴り飛ばす。
「………双子でも戦い方違うのね」
「………」
倫花と違ってやたらとパワフルに拳を繰り出す乱花にテイルブルーが思わず呟くが、そこでテイルイエローが無言な事に気付く。
「ちょっと、ボーっとしてたら…」
「そうか、武器になるってのもいいですね………」
思わず注意したテイルブルーだったが、テイルイエローが呟いた言葉に凍り付く。
「ずっと握りしめられ、あんなに荒々しく使われ、敵を破壊して、また次へと………」
「ちょっと待って! それ以上何かに目覚めたらダメ!!」
「オイ、そっちに行ったぞ!」
何か危険な顔をしているテイルイエローにテイルブルーが肩を揺さぶって正気に戻そうとするが、テイルレッドの警告に敵の一群が向かってきているのに気付く。
「まず…」
「私もう、私もう………!」
慌てて応戦しようとするテイルブルーだったが、そこでテイルイエローが恍惚の表情を浮かべると、彼女のツインテールが突然伸びたかと思うと、地面にアンカーとして突き刺さる。
「やば! 伏せて!」
「え?」
テイルブルーが叫びながら伏せ、振り向いた乱花が取りあえず従って伏せた所で、テイルイエローの武装が一斉に火を噴く。
「もっと、もっと見てください! そして見せてください!」
何か危ない事を叫びながら、胸部のミサイルが発射され、続けて両肩のバルカンが連射、尽きるとパージ、続けて腰部のランチャーが、とテイルイエローが凄まじい砲火をばらまきまくり、その度に武装がパージされ、最後にはかなり露出度の高いスーツだけとなったまま完全に恍惚の表情のテイルイエローと、かなりのダメージで多数が破壊もしくは擱座している異形の姿が有った。
「すご………」
「彼女はトリガーハッピーの気が?」
「いや、なんていうか………ってまだ終わってないぞ!」
乱花が呆然とし、魅零が思わず聞いてくるのにテイルレッドがどう説明すべきか迷うが、残った相手がまた動き出した事に殲滅を優先させる。
「イエローは一度下がって! 一気に片付けるわ! サポートお願い!」
「任せて!」
ティルブルーがウェイブランスを構え、乱花が何かの予備動作だと判断して向かってくる異形を殴り飛ばす。
「ブレイクリリース!」
掛け声と共にテイルブルーがウェイブランスをかざすと、そこから発生した大量の水流が異形達をまとめて飲み込む。
「エクストリームウェイブ!」
水流が異形のほとんどを飲み込んだ事を確認してから、テイルブルーがウェイブランスを投擲、水流を螺旋状に噴出しながらウェイブランスは異形が大量に混じった渦の中へと突っ込んでいくと、中の異形を次々と破壊していった。
やがて渦が途切れると、異形のほとんどは破片も残さず消え去っていた。
「ざっとこんな物よ」
「すご………」
襲い掛かってきた相手を一掃したツインテイルズに乱花が唖然とする中、残った敵をテイルレッドと魅零が手早く片付けていく。
「なんとか片付いたか」
「恐らくは」
倒すと残骸すら残らない相手に多少首を傾げつつも、テイルレッドと魅零は周囲を確認する。
「それにしても、すごいですね」
「そっちもな。じゃあ改めて…」
互いの事を説明しようとした時、遠くから振動が響く。
「何?」
「さあ…」
他の者達もいぶかしむ中、振動はどんどん大きく、そして近くなっていく。
そして異形達が現れたのと同じ森から、木々を蹴り飛ばしながらそれは現れた。
「で、デカ!?」
「これは………」
テイルレッドと魅零も思わず絶句する。
それは外見上は先程の異形とほぼ同じだったが、そのサイズはちょっとした家位はある、かなりの大型だった。
「冗談でしょ………」
「だといいのですが………」
「冗談じゃなさそうよ………!」
テイルブルーとテイルイエローも呆然とする中、乱花が大型の各所が光り始めた事に気付く。
『来ます!』
トゥアールの警告の直後、大型の全身から凄まじい数のビームが乱射される。
「マジか!」
「くっ!」
テイルレッドはとっさにブレイザーブレイドを盾にし、魅零は驚異的な動きと斬撃を併用してさばいていく。
「このぉ!」
「私の後ろに! お姉ちゃん堪えて!」
テイルブルーはウェイブランスを旋回させて盾とし、乱花は手甲を構えて盾として武装のほとんどを失ったテイルイエローをかばう。
「なんて攻撃!?」
「ハリネズミってこういう奴の事!?」
「この!」
降り注ぐと言っても過言ではないビームの嵐に、乱花とテイルブルーは思わず悪態をつき、テイルイエローが影から撃ち返すがあまりにも手数に差が有り過ぎた。
やがてビームの嵐が収まり、周辺には焼け焦げた草原と荒い呼吸音の者達が残る。
「全員無事か!」
「何とか………」
「死ぬかと思った………」
テイルレッドが振り向くと、そこで何とか攻撃を防ぎ切ったテイルブルーと乱花が息を荒げていた。
「この大きいの、固さが段違いです!」
テイルイエローがヴォルティックブラスターを胴体部や脚部に撃ち込むが、そのどれもが弾かれ、ダメージになっていなかった。
「こういう奴は、下からってのが…」
「待った!」
テイルブルーが脚部の隙間から潜り込んで胴体部を真下から狙おうとするが、魅零が制止しようとする。
テイルブルーが大型の真下に潜り込んだ瞬間、胴体部の下部が複数個所開き、半ば直感でそこから飛び出した瞬間、無数のニードルが先程までテイルブルーがいた場所を貫いた。
「あ、危な!?」
「やはり防衛措置が有りましたか」
「弱点は対処済みって事か!」
テイルブルーが思わず腰を抜かしそうになる中、魅零は冷静に頷き、テイルレッドは思わず奥歯を噛み締める。
「先程の連射、多用は出来ないのでしょう。恐らく次の斉射までに間があるはず」
『間違いなさそうです! 内部構成は分かりませんが、温度変化その他からチャージ状態だと思われます!』
「じゃあ今の内って事か!」
魅零の判断をトゥアールが肯定し、テイルレッドはブレイザーブレイドを構え直す。
「問題はあの固さ、それとこのデカさか………」
「足一本位なら、私が何とかする!」
そう言いながら乱花が飛び出す。
「行くよお姉ちゃん!」
そう言いながら、乱花は手甲にキスする。
すると手甲が変化、左右一対の鬼面をデザインした物へと変わっていく。
「ん?」
それを見たテイルブルーが何か引っかかる物を感じたが、乱花は大型の脚部の一本に攻撃を集中させる。
「この、せりゃああ! とりゃあぁ!」
鬼面の剛拳が脚部に次々叩き込まれ、驚異的な硬度を持つ脚部がひしゃげ始める。
危険と判断したのか、大型の胴体の一部が開いたかと思うと、小型のキャノンらしき物が出てくるが、それが発射される前にヴォルティックブラスターの銃撃がそれを破壊する。
「今度は私が援護します!」
「お願い! そりゃあ!」
乱花の渾身の一撃が、とうとう脚部の一本をへし折る。
「これなら…!」
「いや」
バランスを崩すかと思った大型だったが、残った足が即座にそれをカバーする。
「器用だな!」
「兵器だとしたらいいOSを積んでいます」
「じゃあもう一本!」
テイルレッドと魅零が思わず悪態をつくが、続けとばかりにテイルブルーが駆け出し、残った脚部の一本を足場にして宙へと飛び上がる。
「エグゼキュートウェイブ!」
上部からウェイブランスが水流と共に一気に突き下ろされ、脚部のもう一本を巻き込み、砕け散らせる。
大型はさらにバランスを取ろうとするが、さすがに足二本を失ってそれが困難となる。
「よし!」
「このまま一気に…」
『待ってください!』
テイルブルーがガッツポーズを決める中、テイルレッドが止めを刺そうとするが、トゥアールが制止する。
制止の意味は、すぐに分かった。
大型の各所に光が灯り、それが先程の一斉砲撃の前段階だと皆が一斉に気付いたからだった。
「まずい!」
「また来ます!」
「もう!?」
「止めてみます!」
全員が防御態勢を取ろうとする中、乱花と交代した倫花が飛び出しながら、大刀にキスをする。
すると大刀は細身の長大な刀へと変化し、倫花はそれを持って旋回する。
「いっけえぇ!」
旋回と共に刀から放たれたエネルギーが、花吹雪のような光を伴った竜巻となって大型を下からえぐっていく。
予想以上の攻撃に大型の攻撃態勢が止まった隙を、逃さない者達がいた。
「一気に決めるぞ!」
「分かりました!」
テイルレッドと魅零がそれぞれ得物を構えながら、大型の左右へと散る。
「オーラピラー!」
テイルレッドがそう叫びながらブレスレットから放出したエネルギーが、大型を内部に閉じ込めるような円柱型のエネルギー障壁となり封じ込める。
「まもりさん、行きましょう」
魅零が呟きながら長剣にキスし、そのまま刀身に軽く舌を這わせる。
すると長剣から、膨大なエネルギーが噴出してくる。
「グランドブレイザー!!」
「ファイナルドライヴ」
ブレイザーブレイドが展開し、吹き出した炎から倍に伸びた刀身が上段から一気に振り下ろされ、膨大なエネルギーをまとった長剣が水平に流れる。
左右から縦横に両断された大型が、その胴体部をずらしたかと思った瞬間、大爆発を起こし吹き飛ぶ。
「よし、一丁上がり!」
「他に残敵は?」
テイルレッドは勝利を確信し、魅零は他に敵はいないかを見回すが、敵影らしき物は存在しなかった。
『もう大丈夫みたいです』
トゥアールからの通信に、ツインテイルズは変身を解き、アームもそれに続いた。
「さて、取りあえずはなんとかなったが………」
「お互い、聞きたい事が色々出来ましたね」
総二とまもりが、互いを見ながら少し顔をしかめる。
「まずどれから?」
「どれでしょう?」
愛香と倫花も何から聞くべきかで頭を悩ませる。
「まず一番聞きたい事を同時に言ってみては?」
「いいですねそれ」
魅零の提案に、慧理那を手を叩いて賛同する。
「じゃあ総二から」
「まもりさんから」
「え~と」
「それじゃあ」
「何で武器に変身出来るんだ?」
「どうして変身すると女の子になるんですか?」
互いに発した質問に、互いがどう答えるべきかを悩ませる事となった………