スーパーロボッコ大戦外伝 ディファレンス・ロボッコ・バトル 作:ダークボーイ
「あれは………」
「エレメーラ反応出とるね。間違いなくテイルギアによる攻撃や」
天空高くに伸びる閃光に、それを見ていた二人、正確には一人と一体はその発射元を確かめる。
「つまりあそこにはツインテイルズの誰か、多分トゥアールもいる」
「いや~よかったねイースナちゃん。アイドルがこれ以上野宿はあかんと思ってた所やし」
「問題は結構距離が有るって事。メガ・ネ、通信は?」
「相変わらずや。あちこちにいるあいつらの性か、さっぱり繋がらへん」
「一斉に襲ってこないってのは、何か目的があるんでしょうね………」
イースナと呼ばれた黒髪を二つに分け結っている眼鏡の少女と、銀色の屈強そうなボディと裏腹の口調でしゃべるロボ、メガ・ネことメガ・ネプチューン=mark2が現状を確認する。
「となると、多少派手な事をしてトゥアール達に気付いてもらった方いいかしら?」
「何する気? あんまり危ない事したらあかんで?」
「何を今更………ともかく、私達がここにいる事を知らせる」
「だからどないして?」
「簡単、さっきのアレを参考にする」
「これで分かった事が一つ有るわ」
成子坂製作所の会議室に、それぞれの代表が集まって顔を曇らせていた。
薫子の言わんとする事は、その場にいる誰もが気付いていた。
「私達は完全にこの惑星に幽閉されている」
「上空に監視・撃墜ユニットまで置いてな」
魅零と皐月が、端的に先程分かった事を改めて確認する。
「まさかあんな物まで配備しているなんて………正直JAMの事を見くびってました」
「それはこちらもよ」
トゥアールがうなだれる中、薫子も頷く。
「問題は、下手に宇宙空間に出て救援に呼ぶって手が使えなくなったという事だな」
磐田の発言に、互いが互いを見合わせて唸る。
「あれだけの監視網ともなると、突破は容易ではないな」
「地上からの援護も難しいですし………私達の力ではとても」
皐月が腕組みする中、魅零も考え込む。
「それこそ宇宙戦艦がいるわ。そんな物、シャードの護衛部隊でもないと………」
「さすがにそれだけの物、作るのは難しいですし………」
「出来ないとは言わねえんだな」
薫子が更に考え込み、トゥアールが言葉を濁すが、磐田が思わず突っ込む。
「今後の行動方針を転換する必要が有るわね」
「もう少し地表の探索を進めるか? 他にも誰かいるかもしれないし、何か使える装備があるかもしれん」
「それしか有りませんか………」
「他に誰かいるかという確認が出来ればいいんですが………」
「探索範囲を広げるか。ただ現状の装備だと空陸の連動が難しい」
「どこに何が潜んでいるか分からないからね」
「広域探知もジャミングされてるのか不安定ですし」
「つまり地道に探すしかないって事か………」
喧々諤々の討論が交わされるが、決め手に欠け結論は中々出ない。
「そちらでも使ってたけど、ドローンをもう少し増やせないかしら?」
「う~ん、最低限の機能だけ持たせるなら何機か作れるかもしれんが………」
「あまり性能落とすのはお勧めできませんね、ジャミングで行動不能になる可能性も」
薫子の提案に磐田が唸るが、トゥアールがやんわりと否定し、また堂々巡りに陥る。
「どの道、探索は急務だ。あれ程の警備網を敷いていたという事は、逆説的に考えれば必要が有って敷いたとも言える」
「確かに、アリスギア数機相手するにしては大仰ね………」
「つまりアレ程の警備網が必要な相手がこの惑星に存在する?」
皐月の意見に、薫子と魅零は考え込む。
「問題は、それがどこにいるかですね。まさかこの惑星の反対側とかいう可能性も………」
「それは無い。JAMとやらは明らかに双方がギリギリ気付きそうな範囲に我々を転移させている。つまりは共闘させるか、競わせるかは不明だが、関係を持たせようとしている」
「それなら辻褄は会うな」
「だとしたら、先程のテイルイエローの攻撃はかなり遠くからも視認出来たはずです」
「それを見た者が連絡を取ってくる可能性が有る。問題は何でかだが」
「決まりだな、整備班の手空きに周囲を観察させよう」
「飛ばせるギアも哨戒に出しましょう。場合によっては私も出ます」
「だったら地上探索班も必要でしょう。速度は違いますが、空中哨戒とルートを重ねるようにして隙間を無くします」
「じゃあ私はミマワール君の量産を」
取りあえずの方針が決まり、各自が動き始める。
「さあて、今度はどんな奴が出てくるのやら………」
磐田の呟きは、希望と不安が入り交ざっていた。
「………で」
「何の成果も上げられませんでした!」
「同じく!」
半日後、探索から帰って来たシタラと総二の報告に、薫子は思わずため息をもらす。
「やっぱり早々都合よくは行かないわね………」
「ホントに他にいるのかな?」
「どうだろう? だがいないとも言い切れないし」
「ともあれ、ある程度マッピングも出来たし、今整備班が対ジャミング用にブースター付きアンテナを製造してるわ。明日はまずそれの設置ね」
「ギアなら夜間哨戒も出来るんじゃ?」
「いえ、さすがに他の人達が夜戦出来る訳じゃないでしょ? 夜間はこことあちらの寮の警備を重視するわ」
「確かに森の中で夜戦なんてやった事ないからな………」
シタラの提案を薫子が否定し、総二が思わず頷く。
「そっか、夜の地上戦って大変だからな」
「お、やった事あるの?」
「スチールギアで」
「ゲームの話よ、多分」
「トゥアールに索敵系装備でも作ってもらうかな………」
色々呟きながら、二人が室外に出ていき、薫子が今後の予定を再チェックしようとした時だった。
「薫子さん! 外!」
先程出ていったはずのシタラが慌てた様子で飛び込んでくる。
「何事!?」
「とにかく外、外見て!」
促された薫子が窓へと駆け寄り、シタラが言いたい事を理解する。
「あの光は、一体?」
そこには、宵闇が指してきている中、成子坂製作所からかなり離れた場所から、上空へと向けて閃光が放たれている光景だった。
「何だありゃ!?」
「攻撃、じゃなさそうだけど」
あちこちからそれに気付いた者達が一斉にそちらの方を見る。
「断続的、恐らくモールスです」
「やはりそう思うか」
「はい双眼鏡!」
それが信号らしい事に魅零と皐月が気付く中、シタラがどこかから持ってきた双眼鏡を手渡す。
「一つしかないけど…」
「私は何とか見えます」
「目いいんだね~」
「静かに。同一単語の連続だな。m…e…」
「g…a…n…e…megane?」
「メガネ? どういう意味だ?」
その発光信号を解読した皐月と魅零が同時に首を傾げる。
「SOSとかでなく?」
薫子が思わず首を傾げる中、一人だけ違う反応をしていた者がいた。
「あ~………多分こちらの関係者です」
トゥアールが小さく手を上げながら呟く。
それに皆が再度首を傾げた。
「それでなんでメガネなの?」
「その、私の追っかけみたいな事をしていた子で、メガネ属性をベースにしたグラスギアを自作した子でもあります」
「つまりこれは貴方に向けたメッセージなのね」
「多分、いや間違いなく………」
「確かに余人には意味不明だな」
「文字通り暗号だね」
薫子の確認にトゥアールが頷き、皐月が納得するがシタラは思わず茶化す。
「取りあえず、まずすべき事は決まりましたね」
「はい。彼女、イースナを迎えに行きましょう」
「ちなみに、彼女の実力は?」
「元アルティメギル首領直属の処刑人やってましたから」
「大丈夫なのそれ………」
薫子とトゥアールが方針を決める中、皐月の確認にトゥアールが説明すると、薫子は思わず前言を撤回したくなる。
「元なら問題無いでしょう。私も似たような物なので」
「ま、どこも訳ありばかりみたいだし。すぐに動ける人を集めて。かなり距離が有るから、接敵の可能性は大きいわ」
「私も行きます。イースナは私の言う事なら聞くでしょうから」
「ストーカーの処刑人では、ネゴシエーターは必須だな………」
魅零が思わず呟いくが、無理やり納得した薫子の指示にトゥアールも参加を決め、皐月は思わず警戒する。
「今動けるのは兼志谷さんと百科さんね。だとしたら…」
「私のギアなら二人位乗せられるよ!」
「なら私も行こう、純潔は持ってきている」
「出来れば顔見知りの方をもう少し連れて行った方がいいかもしれません」
「じゃあ後は総二さんですね」
「急ぎましょう。孤立している可能性も有るわ」
救援が即座に決定し、皆が迅速に準備に入る。
「問題は、他にも誰かいるのでしょうか………」
魅零がすでに消えている発光信号の発信源の方を見て小さく呟いた。
「確認出来た?」
「はい、最初のはやはり高高度への攻撃の模様、ただ次は信号の模様。解析の結果、地球式のモールス信号のようなのですが………」
「内容は?」
「それが、MEGANEと………」
「何かの暗号かしら?」
「でも、誰かいるんですよね?」
「ええ、でもアースラはまだ動かせないわ。悪いけど、二人で発光信号の方を探索してきてほしいの」
「はい!」
「了解しました」
指令を受けた、白い全身を覆うコート風のジャケット姿のあわい栗色の髪の少女と、黒いボディスーツ姿のジャケットの金髪の少女は、それぞれ手にしたロッドを握り締め、その場を後にした………