スーパーロボッコ大戦外伝 ディファレンス・ロボッコ・バトル   作:ダークボーイ

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ディファレンス・ロボッコ・バトル EP11

 

「暗くなってきたな」

「向こうも発見しやすくなるために夕暮れ時を選んだのでしょう」

「確かに目立ってたけど………」

 

 念のためテイルレッドに変身している総二と、普段の白衣姿に何故かシルバーのマスクを被っているトゥアールを乗せたシタラが、安全速度で発光信号の発進ポイントに向かっていた。

 

「あれはかなり遠方からも確認出来たからな」

「慧理那さんのはどう見ても攻撃でしたから、逆に警戒されたでしょうし」

 

 純潔をまとった皐月と、それを乗せている文嘉が互いに周囲を警戒しながら目的地に向かっていた時だった、目的となるポイントで光が見えた。

 それが連続した時、何が起きているかを全員が悟った。

 

「交戦してます!」

「速度上げる! 大丈夫か!?」

「オレは大丈夫だけど、トゥアールは…」

「問題有りません! 急いでください!」

「私も構わん」

 

 返答を聞いたアクトレス二人は、ギアを一気に加速させる。

 

「待っててください、イースナ!」

 

 

「このっ!」

「また来たで!」

 

 黒を基調としたグラスギアをまとい、大鎌《ダークネスグレイブ》を構えたイースナと、武装を開放しているメガ・ネが周囲を取り囲むJAMの軍勢と激戦を繰り広げていた。

 

「やっぱり信号を送ったのは逆効果だったかしら………」

「けどあのままやと孤立無援や! さっきこっちに向かってきている動体反応を確認してるさかい、もうじき増援が来るはずや!」

「多分それ目当てね………来ているのが本当に味方ならいいけれど」

 

 イースナが悪態をつきながら、迫ってきていた陸戦型JAMをダークネスグレイブで切り裂いた時に、一際大きな振動音が響く。

 

「あかん、大型接近や!」

「分かってる! 距離は!?」

「まだ先、けど着実にこちらに向かってるで!」

 

 段々大きくなってくる振動音に、イースナも焦りを覚える。

 

「まずい、雑魚だけでも手間取ってるのに…!」

「逃げようにも、こうも囲まれとったら…来たで!」

「トリャアァァ!」

 

 テイルレッドが飛び降りながら気合と共に振り下ろしたブレイザーブレイドが、JAM陸戦型を両断する。

 

「イースナ! 無事ですか!?」

「トゥアール!」

「その子が?」

「何か、随分と…」

 

 先陣を切ったテイルレッドに続いて、トゥアールを連れたシタラと文嘉がイースナのそばに来て、予想以上に幼い姿に首を傾げる。

 

「来てくれたんだ」

「状況は理解してますね!? この際細かい事は後で協力という事で!」

「雑魚はこちらで引き受ける! 火力の有る奴が向こうの大型を!」

 

 トゥアールがイースナとなんとか協力体制を取るように促す中、愛刀 縛斬を抜き放ちながら皐月が指示を出す。

 

「何か、エライ変わったのが増えとらん?」

「うわ、このロボットしゃべるの!?」

「お互い様。じゃあ仲間って事にしますね!」

 

 メガ・ネがギアをまとったアクトレスや純潔をまとった皐月を見る中、シタラが思わず反応するが文嘉が改めて味方と判断して臨戦態勢を取る。

 

「想像以上に妙な事になってるみたいね………」

「でも皆さん出来るみたいや」

 

 イースナが思わず呟くが、メガ・ネが即座に戦闘状態に突入する者達を見て頷く。

 

「どの道、こいつらを片付けてからね!」

 

 気持ちを切り替え、イースナはダークネスグレイブを振り下ろした。

 

 

「! 誰か戦ってる!」

「しかもかなりの規模、急ごうなのは!」

「了解!」

 

「グランドブレイザー!!」

 

 テイルレッドのブレイザーブレイドが大型陸戦JAMを両断する。

 

「一丁上がり!」

「待った! まだ何か接近してる!」

「大型飛行タイプ! この距離まで反応が無かったなんて!」

 

 テイルレッドが勝ち誇ろうとするのを遮るように、アクトレス二人が警告する。

 

「大型飛行タイプか、まずいな」

「あんた飛べないの?」

「残念な事にな」

 

 皐月が愛刀を一振りして刀身についていた油か潤滑液か分からない物を振り落としながら呟き、イースナが思わず問うが皐月は平然と答える。

 

「イースナちゃん、乗りや!」

「行くわよメガ・ネ!」

 

 そこでメガ・ネが戦闘機形態のメガネウインガーに変形し、イースナがそれに飛び乗ると大型飛行タイプJAMへと向かっていく。

 

「便利な相棒だな」

 

 皐月が思わず呟いた直後、ふと背後に振り向く。

 

「他にも何か、いや誰か来るのか?」

 

 

「うわ、大型ヴァイス並!」

 

 シタラが驚きながらも、手にしたアンクーシャMk3ライフルを速射する。

 だが命中した銃撃は僅かに表面を削るだけに終わった。

 

「硬っ!?」

「なら火力を上げるまで!」

 

 今度は文嘉がヴァリアントMFsバズーカを叩き込むが、それも大したダメージにならなかった。

 

「これでも…!」

「どうする、また踏み台になる?」

「それも考慮すべきだけど、もっと攻撃して特性を把握しないと…」

「さあどいてや!」

「行くわ!」

 

 そこでアクトレスを追い抜き、メガネウインガーに乗ったイースナがダークネスグレイブで表面を切り裂くが、大きなダメージにならない。

 

「あかん! レッドやあの黒髪の姉さんも連れてこよか!?」

「全員乗せられるの?」

「無理やけど、こいつは…… 新たな反応接近!」

 

 メガ・ネのその声に皆が反応した時、彼女達の背後から放たれた閃光が、大型飛行タイプJAMを大きく穿った。

 

「効いた!?」

「一体誰が…」

「大丈夫ですか!?」

 

 ギアの攻撃が有効じゃなかった相手に効いた攻撃にアクトレスは驚き、声の聞こえてきた方向を見て思わず唖然とする。

 

「え…っと」

「あれって………」

 

 そこにいた、白いジャケットコートに先端部にやけにメカニックな構造を持ったロッドを手にした小柄過ぎる人影に、シタラと文嘉は唖然とする。

 

「………何の冗談?」

「イースナちゃんイースナちゃん、こっちも人の事言えんて」

 

 イースナも驚く中、その人影、どう見ても小学生くらいにしか見えない少女の手にしたロッドから次々と攻撃が放たれる。

 さらによく見れば、その少女の靴からピンク色の翼まで生えている様は、ある単語を思い起こさせた。

 

「まさか、魔法少女?」

「そんなベタな………」

「はい! 高町 なのは、私立聖祥大附属小学校3年生、魔法少女やってます!」

 

 元気よく答えた少女、なのはの言葉に全員が思わず絶句する。

 

「マジで魔法少女………」

「バリエーション豊富ね………」

「攻撃来ます!」

 

 そこにまた別の声が響き、今度は対極的な黒いボディスーツ姿の少女が飛び出し、漆黒のロッドをかざすと魔法陣が出現、それがシールドとなって大型飛行タイプJAMの攻撃を阻む。

 

「もう一人来た!」

「どういう基準!?」

「さあ?」

 

 どう見てもなのはと同年代の少女に、アクトレスとイースナは困惑する。

 

「こちらも聞きたい事は色々有りますが、まずは敵の排除を!」

「行こうフェイトちゃん!」

「その通り!」

「そうだな」

 

 黒装束の少女、フェイト・T・ハラオウンをなのはも促す中、地面を思いっきり攻撃してその反動で跳ね上がって来たテイルレッドと、純潔の一部をほどいてアンカー代わりにして上昇してきた皐月がシタラのギアの両肩を足場代わりに着地する。

 

「また変わった人達もいますね………」

「お互い様だ」

 

 テイルレッドと純潔をまとった皐月を見たなのはも思わず呟くが、それに皐月は不敵な笑みで答える。

 

「先程魔法陣のような物でシールドを張ったな? それで足場を作れるか?」

「あ、はい。可能ですが…」

 

 皐月の質問に、フェイトが首を傾げながら答える。

 

「あの大型の周りに作れるだけ作ってくれ。私と観束で攪乱する」

「なるほど、乗った!」

「攪乱って…」

 

 なのはは皐月とテイルレッドが手にしているのが剣だという事に思わず疑問を口にする。

 

「分かりました。バルディッシュ!」『Standing―by』

 

 フェイトが漆黒のロッドをかざすと、そのロッド、インテリジェンスデバイス《バルディッシュ・アサルト》から合成音声のような声が発せられ、大型飛行タイプJAMの周囲に無数のシールドが発生していく。

 

「行くぞ!」

「おうよ!」

 

 それを見るや否や、皐月とテイルレッドが飛び出し、シールドを足場にしながら一気に大型飛行タイプJAMへと駆け寄り、手にした刃で斬りかかる。

 

「とりゃあ!」

「ふんっ!」

 

 テイルレッドのブレイザーブレイドが大型飛行タイプJAMの表面をえぐり、皐月の縛斬が装甲に弾かれるより先に皐月はその場で旋回、その勢いを乗せて装甲を斬り割いていく。

 

「こっちも! レイジングハート!」『Yes、Master』

 

 それを見たなのはが手にしたインテリジェンスデバイス、レイジングハート・エクセリオンから次々と攻撃魔法を放っていく。

 

「行けるか!?」

「こちらも…」

 

 それにアクトレス達も続いて攻撃を仕掛けようとした時、大型飛行タイプJAMの表面の数か所が開き、そこから何かが吹き出す。

 

「ガス兵器か!?」

 

 皐月がとっさに口を手で覆いながら、足場から飛び出し、そのまま地面へと降り立つ。

 

「やば!?」

「違います、毒ガスの類ではありません!」

 

 テイルレッドも逃げようとする中、フェイトが叫ぶ。

 

「またこれ!?」

「また?」

「見ててください!」

 

 なのはの漏らした言葉に文嘉が反応するが、なのははそのまま攻撃魔法を放つ。

 すると、吹き出したガスのような物に触れた攻撃魔法が減衰し、命中する時には威力がほとんど削がれてしまっていた。

 

「シールドチャフか!」

「スパ〇ボで見たぞ!?」

「アンチマジックミスト、対魔法防御チャフです!」

 

 それを見た皐月とテイルレッドがそれぞれ何かに気付くが、フェイトが僅かに焦りながら教える。

 

「一体どこからあんな物を持ってきたのか、あれのある間はこちらの魔法は減衰します!」

「ふん、用意のいい事だ。吸引して問題は?」

「細かい分析はまだですけど、あまり体に良くは…」

 

 フェイトの説明を聞いた皐月は、取り出したハンカチを口元を覆うように巻き付ける。

 

「やべ、オレも何か!」

「これを! 少しは防げるはず!」

 

 それを見たテイルレッドが慌てる中、トゥアールが自分がかぶっていたマスクを差し出す。

 

「魔法とやらがダメなら物理、ミサイル系であれを飛ばせ!」

「なるほど!」

「一理あります」

 

 皐月が叫んだのを聞いたシタラと文嘉は、大型飛行タイプJAMの周囲を旋回しながら、ありったけの兵装で攻撃していく。

 

「確かにこのガス、物理は防げない!」

「けど本体にこちらの攻撃が有効的でないと………」

「そのまま攻撃を続けてください!」

 

 そこでなのはの声が響き、アクトレスがそちらを見ると、なのはの構えるレイジングハ―ト・エクセリオンが複数の魔法陣を展開、先端部分から靴からのと似たようなピンクの翼まで展開していた。

 

「どう見ても必殺技!」

「魔法少女に必殺技なんてありましたか?」

 

 シタラの断言に文嘉が思わず突っ込むが、確かにそうとしか見えない状態に納得するしかなかった。

 

「こっちも援護だ!」

「生憎と火器は無いぞ」

「ならこっちで」

 

 テイルレッドも援護に向かおうとするが、皐月に止められ、そこでイースナが前へと出る。

 

「メガ・ネ」

「はいな!」

 

 イースナに促され、戦闘機形態のメガ・ネがその形状を若干変化、イースナの両足が固定され、手にしたダークネスグレイブが弓へと変化する。

 

「ブレイクリリース」

 

 イースナが手にした弓を引き絞ると、そこに漆黒の矢が装填される。

 

「ダークネスバニッシャー!」

 

 限界まで弓が弾き絞られると、ありったけの力を籠め、漆黒の矢が放たれた。

 放たれた矢はグラスギアの力を放ち、∞の形に開放、大型飛行タイプJAMの周囲を覆うアンチマジックミストを吹き飛ばし、本体も大きく穿つ。

 

「ちっ、やっぱりエレメーラも減衰されるみたいね」

「十分です! レイジングハート、カウント!」

 

 自分の最大の技で倒しきれなかった事にイースナが舌打ちするが、今度はなのはがその力を解き放つ。

 

『Count、5、4,3,2,1』

「スターライトブレイカー!!」

 

 レイジングハート・エクセリオンのカウントダウンの直後、すさまじい閃光が放たれる。

 なのはの持つ有数の高威力攻撃魔法が大型飛行タイプJAMを一撃で貫き、直後爆散させる。

 

「すご………」

「アリスギアでもあそこまでの破壊力は…」

 

 一撃で完全に大型飛行タイプJAMを葬った威力に、アクトレスは絶句する。

 

「これは中々だな」

「いや、中々って言っていいのかこれ………」

 

 下から見上げながら呟く皐月にテイルレッドは思わず突っ込む。

 

「恐らく、これで全力ではあるまい」

「マジで?」

「分かりますか?」

「マジなの!?」

 

 皐月の断言にテイルレッドは更に突っ込むが、フェイトが肯定した事に思わずテイルレッドは二人の魔法少女を見つめる。

 

「あれが私達の世界にいたら、私もこんな事はしてなかったかも………」

「イースナちゃん、イースナちゃん。それは言わんとき」

 

 イースナも自分以上の破壊力に呆然とするが、メガ・ネがなんとかとりなす。

 

「それじゃ皆さん、怪我とかありませんか!?」

「それは大丈夫、あっても軽傷」

 

 構えを解いたなのはからの質問に、文嘉が他の者達を見て答える。

 

「あ、待って。通信繋がったみたい」

「あ、こちらも…」

 

 そこで周辺のJAMを駆逐したためか、今まで不調だった通信が双方繋がった事で互いに状況を報告する。

 

「はい、大丈夫です。今のは味方の攻撃で…ええ、新顔です。魔法少女って名乗ってます」

「はい艦長、他にもここに来てたらしい人達を発見しました。変わった人達ばかりみたですけど…」

 

 文嘉となのはがそれぞれを見ながら現状を報告する。

 

「あ、そうですね………今確認します」

「はい、分かりました」

 

 通信を終えた二人が思わず互いを見る。

 

「え~と、この後なんだけれど…」

「あ、艦長がこちらに来て事情を聞かせてほしいそうです」

「気になってたんだけど、艦長って?」

「私達の母艦、巡行艦《アースラ》のリンディ・ハラオウン艦長、私達の上司です」

「母艦があるの? 空中艦? 宇宙艦?」

「時空巡行艦です。ただ今ちょっと………」

「決まりね、まずはそちらにお邪魔しましょう」

「分かりました。それと…」

 

 なのはの視線がちらりと下に向けられる。

 

「ふおおおぉぉ! これがリアル魔法少女! なんとすばらしい! これは永久保存しなくては!」

「あの人、何してるんですか?」

 

 カメラのような物を構えて鼻息を荒くしているトゥアールに、なのははそこはかとなく危機感を覚える。

 

「私達もよく知らないけど、あれでも優秀な技術者なの………変わってるけど」

「トゥアール、それくらいにしとけ! 愛香が知ったらまた殴られるぞ!」

 

 文嘉も呆れる中、テイルレッドがなんとか制止しているのを見てなのはは少し顔をしかめる。

 

「取りあえず、この人達を連れて戻ろう。今一番情報が欲しいと艦長もクロノも言ってたし」

「そうだね、じゃあ皆さんついてきてください」

「待った、下に飛べないのいるから」

「では行きましょう! 魔法少女の巣窟へ!」

 

 何か無駄にテンションが高くなっているトゥアールに全員が引きつつ、一行はアースラへと向かう事となった………

 

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