スーパーロボッコ大戦外伝 ディファレンス・ロボッコ・バトル 作:ダークボーイ
「では状況はどこも同じか」
「はい、航行中に突然次元歪曲震が起きて、アースラごとこの惑星に…」
「いきなり揺れてびっくりしたね~」
「みんなしていきなりってのは共通か。まあこっちは気付いたら草原にみんなして倒れてたけど」
「建物ごととか母艦ごととか、結構違いはあるか………」
すでに暗闇が支配する時間となった中、アースラに向かう一行は各自の状況を簡易的に確認していた。
「やはり共通してるのは特異な戦闘力を持っている事でしょうか? 魔法少女とはツボをおさえ…ゲフン、変わった人達までいるとは」
「どこもよその事は言えないぞ」
トゥアールが口を滑らせるのに、皐月が釘を刺す中、目的地が見えてきた。
「アレか?」
「うわ、すご………」
木々の中から突き出た、巨大な戦艦の姿にテイルレッドとシタラが思わず呻く。
「こんな物まで強制的に転移させられるとはな」
「かなり強力な外部干渉が有ったみたいです」
「こちらは妹と二人だけだったのだがな」
「待て」
あれこれ呟きながら近寄った一行に、声がかかる。
そちらに視線を向けると、アースラの前に立ちふさがるように、淡い赤髪をポニーテールにし腰に剣を帯びた甲冑風のジャケットをまとった女性と、褐色の肌に白髪の見るからに屈強な男性の姿が見えた。
「ただいま~」
「それが連絡の有った転移者か」
なのはが気さくに剣士風の女性に声を掛けるが、女性は同行してきた者達に鋭い視線を向けたままだった。
「二人ともお帰り~」
そこへ、立ちはだかる二人の男女の間からなのは達と同年代と思われる、ベレー帽に黒いスーツと白いジャケット姿の少女が皆を迎えた。
「主はやて、まだ確認が済んで…」
「ええてええて、この人達もいきなりこの惑星に来て困ってたんやろ? ならお仲間や」
「しかし………」
ベレー帽の少女を主と呼んだ剣士風の女性が困惑するが、テイルレッドが視線を向け、皐月やトゥアールが頷くと、乗っていたギアから降りて変身を解いた。
「あれ? 今女の子やあらへんかった?」
「あ~、変身するとそうなっちゃうんだ。オレは観束 総二。さっきの姿の時はテイルレッドだ」
「文字通りの変身いうわけや。私は八神 はやて。なのはちゃん達の後輩の見習い魔法少女や」
ベレー帽の少女、はやてが手を差し出してきたので、総二はそれを優しく握り返す。
「じゃあ皆さんご案内で…」
「待ってほしい」
はやてが皆を案内しようとした所で、屈強な男が制止をかける。
「ザフィーラ、どうかしたん?」
「そこの長髪の女、お前何をまとっている?」
ザフィーラと呼ばれた男が、皐月を指差す。
それに対して皐月は不敵な笑みを浮かべた。
「ほう、分かるのか」
「ああ、それは明らかに生命体の匂いがする」
「当たりだ。これは生命戦維で作られた神衣・純潔と言う」
「生命体?」
ザフィーラの指摘に皐月が説明すると、なのはとはやてが思わずブレザー状態の純潔を覗き込み、そのカラー部分がこちらを見てきた事に驚く。
「うわあっ!?」
「服に睨まれた!」
「安心しろ、己でまとわない限りは問題は無い」
「完全に制御出来るのか」
「一応はな。こちらからも質問だ。どうやら他にも何人か周囲にいるようだが、なぜこの子達のような子供をこちらに寄越した?」
ザフィーラの確認に皐月が説明し、そこで周囲に視線を向けながらこちらも問う。
「それの返答は二つある。一つは彼女達が私達に匹敵する実力者だという事。それはそちらも確認してるはず」
「確かに。もう一つは?」
「いや~。実はこの惑星に飛ばされると同時に、アースラの動力炉が壊れてもうて、今全然動かせないんや」
「主、それは…」
ザフィーラに代わってはやてが答えた事で剣士の女性が少し慌てる。
「どうせバレる事やし。そういう事で、ヴォルケンリッターの四人がずっとガードしとるんや」
「四人?」
「ヴィータ、シャマル、ご挨拶や」
総二が首を傾げた所で、はやての呼びかけに答えるように、全身を赤いロリータ風ドレスに身を包み、手に鉄槌を持った少女と、緑を基調とした神官風とも取れる装束の女性が姿を現す。
「おいはやて、さすがに無防備過ぎないか?」
「まあ、悪い人達では無さそうですが…」
「さあみんなも自己紹介や」
困惑してる二人を含め、はやてに促されそれぞれが自己紹介する。
「剣の騎士、シグナムだ」「盾の守護獣、ザフィーラ」「鉄槌の騎士、ヴィータ」「湖の騎士、シャマルと言います」
「四人そろってヴォルケンリッター、かっこええやろ?」
「いいな、それ!」
ヴォルケンリッターの名乗りに、総二が興奮する。
「それじゃあ、私はお客さん案内するわ」
「我々は引き続き警護に」
「あの、私達のギアはここで解除する訳にはいかないので、格納庫か何か…」
「そちらは私が案内します」
アクトレス達はフェイトに連れられて行く中、他の一行はなのはとはやての案内でアースラの艦内へと入っていく。
「完全に電源が落ちてる訳ではないようですね」
「予備電源っての使ってるそうです。ただ最低限度だとかで」
「なるほど、これだけの船が無防備では始終警戒が必要になるわけだ」
「実は二回ほど襲われてるんや。みんなで撃退したんやけど」
「ああ、それでピリピリしてたのか………」
艦内に非常灯だが明かりが灯っている事と、各所の自動ドアが開閉する事に一行はある程度艦の現状を把握していく。
「ここがブリッジです」
「艦長~、入ります」
なのはとはやてがドアを開けて中に入ると、作業中のオペレーター達の中、一人のポニーテールで制服姿の女性が振り向く。
「いらっしゃい、ようこそアースラへ。私が艦長のリンディ・ハラオウンよ」
「ど、どうも。観束 総二です」
気さくに挨拶してきたリンディに、総二は少し驚きながら差し出された手を握る。
「私みたいのが艦長で驚いたかしら?」
「まあ、少し………」
「なるほど、実力主義の組織のようだな」
微笑むリンディに総二が少し面食らう中、皐月は冷静にリンディを見ていた。
「情報は少し来てるわ。かなりあちこちの世界から飛ばされてきた人達の混成部隊らしいわね」
「ええ、その通りです。こちらとしてもこれだけ多数の世界への干渉は初めてでして………あ、私はトゥアールと申します」
リンディの前にトゥアールが進み出て互いの状況を確認していく。
「艦長、回線繋がりました!」
「分かったわ、皆さん一緒の方が話が進むでしょう」
オペレーターから報告にリンディが頷くと、ブリッジ内に通信ウインドゥが表示され、そこに成子坂製作所ととりのタウンの通信が表示される。
『初めまして、成子坂製作所の実質責任者の山野 薫子です』
『リブレイター、敷島 魅零です』
「アースラ艦長、リンディ・ハラオウンよ。余計な挨拶は抜きにして、まず現状と今後について話したいのですけど」
『構いません』
『了解です』
リンディの提案に、薫子と魅零が頷く。
「まずは日中の恐らく衛星軌道攻撃の詳細を聞きたいわ」
『あれはこちらの衛星軌道偵察の際、敵襲を受けてその援護です。そちらで受け取ったか不明ですが、どうにも衛星軌道かその更に上、
こちらに友好的と思われる存在がいるらしく………』
「その通信ならこちらも拾ったわ。もっともノイズがひどくてほとんど聞き取れなかったけれど」
『今度はこちらから。そちらは大型艦だそうですが、運航は可能ですか?』
「それが、この惑星に落ちて以来、メインリアクターが損傷して今修理中なの。それさえ直れば………」
『母艦となりうる物の存在は今後の状況に大きく左右します。現在の修理状態は?』
「最新のデータだと、六割いってないわね………みんな頑張っているのだけど」
「それならお手伝いしましょう! そういうの得意です!」
魅零の確認にリンディが俯く中、トゥアールが勢いよく名乗りでる。
「じゃあ私も」
「そやな、ウチも手伝うわ」
イースナとメガ・ネも協力を申し出、リンディは少し考えて頷く。
「そうね………まずは見てもらうだけでも」
「あの、トゥアールにいじらせたらどんな魔改造されるか………」
「この惑星から脱出するにはこの船は必要になる。多少の改造は目をつむってもらいたいが」
リンディが了承するのを総二が恐る恐る進言するが、皐月が半ばそれを押しのける提案をする。
「そこの彼女の言う通りだわ。あまり長居したいと思える所ではなさそうだし」
「謎の敵の襲撃は有る、救援は呼べそうにない、物資の補給は望めない、手勢が集まってきてるのだけが利点か」
「そうね、それで双方の長所を生かせればなんとかなりそうね」
「そう簡単に信用して大丈夫ですか?」
リンディと皐月が検討する中、響いて来た声に皆がそちらに振り向く。
そこにいた黒髪の中学生くらいの少年が、手にレポートらしき物を持ちながらリンディへと歩み寄る。
「修理状況の詳細です」
「ありがとう。ああ、この子は執務官のクロノ・ハラオウン。私の息子よ」
「クロノだ、よろしく」
母親とは打って変わって、どこか警戒しているクロノに皐月は鋭い視線を向ける。
「先程も言ったのだが、我々だけでは恐らくこの惑星からの脱出は不可能だ。どうしてもこの船が必要になる。それに、運用も我々だけでは不可能だろう。つまり我々はそちらに頼らぜるをえない。その代わり、こちらも持っている情報と戦力を供出する事になる」
『その通りね。こちらも日中失敗したばかりだし』
『皐月さんに同意です。私達の力だけでは、脱出出来ない』
薫子と魅零が同意し、クロノは思わず吐息を漏らす。
「まさしく呉越同舟か。了解した」
「それじゃあ、クロノはこの人達からここで何が有ったかを聞いておいてちょうだい。私は他との連携をもう少し検討しておくわ」
「了解しました」
「それと、夜間の移動は危険だから、寝室も手配しておいて。少しなら空きがあったはずね?」
「ええ、なんとか」
「私は総二さんと同室でも…」
「あ、じゃあお世話になります」
リンディからの指示に余計な事を言おうとしたトゥアールの口をとっさに総二が塞ぎながら頭を下げる。
「それじゃあ私とトゥアールはメインリアクターを見てくるわ」
「なのはさん、案内お願い。はやてさんは食堂に皆さんの夕食の追加を」
「はい!」「了解や」
リンディの指示が次々と飛び、一行はブリッジからそれぞれの場所へと向かっていく。
『さて、正直に聞きます。よしんばその戦艦が動いて、無事脱出の可能性は?』
薫子からの質問に、リンディは少し俯いて考える。
「不明ね。この状況を作り出した相手の規模も何も分からない」
『分かっているのは、謎の通信が送って来たJAMという呼称のみ………』
魅零が呟いた言葉に、リンディは僅かに反応する。
「時空管理局内でも噂レベルの信憑性の情報だけれど、そのJAMについてのデータが有った気がしたわ。夫が若い頃遭遇したような話もしてたような………」
『その、旦那さんから詳細は?』
「残念ながら、すでに亡くなってるわ。本当に与太話レベルだったし」
『それは失礼な事を………つまり、JAMは前からその存在は確認されていた?』
「時空管理局も全てを管理できるわけではない、むしろ管理出来ているのは極々一部よ。恐らく、それぞれの世界の事すら私達は認識していなかった」
『JAMはそれを認識できる程の力を持っている、という事でしょうか?』
魅零の確認に、リンディは頷く。
「互いの戦力を確認しておきましょう。脱出する際、総力戦の可能性もあるわ」
『………分かりました。今データを』
『了解しました』
それぞれが頷き、共闘の準備が進められていった………