スーパーロボッコ大戦外伝 ディファレンス・ロボッコ・バトル   作:ダークボーイ

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ディファレンス・ロボッコ・バトル EP16

「何だ!?」

「何か来る!?」

 

 段々大きくなってくる重い異音に、最前線にいたテイルレッドと流子は思わず手が止まる。

 

『敵、超大型多脚型接近! 警戒してください!』

 

 トゥアールからの警告が響く中、戦場にいる皆が相手を探し、すぐにこちらに近づいて来るあまりにも巨大過ぎる敵影に気付く。

 

「な………」

「で、でけぇ! マジか!?」

 

 あまりに巨大すぎて全容が掴めない相手にテイルレッドと流子は絶句する。

 

「全高80、いやもっとか?」

「幅はどれくらいか見当もつかないな」

 

 手にした縛斬と比較でざっとした相手のデータを探る皐月に、ザフィーラは拳を握り締めて遠くにある敵を凝視する。

 

「あれが首領か? それとももっと上が有るか」

「いや…」

 

 皐月があれだけの敵を出すには早いと踏むが、ザフィーラの目はその超大型JAMの側面を見つめる。

 そこが開いたかと思うと、そこから飛行型JAMが次々発進していく。

 

「なるほど、空母…いや」

 

 更に発進の隙を狙おうとしたアクトレス達に向かって超大型JAMの各所からミサイルが発射、更にかなりの高出力レーザーまで放たれ、アクトレス達は慌ててそれを回避していく。

 

「なるほど、移動要塞か………拠点その物が攻めてきた訳だ」

「他にもあるかどうかは不明だが、あの巨体、運用するのも困難のはず」

「つまりこの戦場はあれを潰せば大体の方が付くか………」

 

 ザフィーラと皐月がある結論に辿り着く中、移動要塞JAMから増援が更に続々と発進していく。

 

「まずはあれに辿り着くまでが問題だな」

「違いない」

「来るなら来い!」

「相手になってやるぜ!」

 

 構え直す皐月とザフィーラを前を戦意の衰えないテイルレッドと流子が突撃していく。

 

「パラレルワールドと言っても、結局似たような者ばかりか………」

「かもしれないな」

 

 突撃していった二人の後を、少し呆れながら二人は追っていった。

 

 

「みんな無事!?」

「大丈夫です!」

「あ、危なかった………」

「見た目だけじゃないようね」

「すご………」

 

 薫子が先手を打とうとして危うく返り討ちになりそうになったアクトレス達の状態を確認、全員から焦った声で返答が来た事に胸を撫でおろす。

 

「発進ポートだけでも潰せればと思ったのだけど、あのサイズだけに武装もかなりの物ね………」

「こちらの武装では、あのサイズの相手はさすがに………」

 

 薫子が移動要塞JAMを見ながら呟くのを、夜露が手にしたイズモライフルを見て、どう見ても火力不足なのを嫌でも感じずにはいられなかった。

 

「下がってくれ! こちらも高出力で行く!」

 

 そこでクロノが後退を指示し、アクトレス達が頷くと、弾幕をばら撒いて発進した飛行型JAMを牽制しながら後退する。

 

「広域殲滅魔法でも使う?」

「少し違う、なのは! 狙えるか!」

『大丈夫!』

 

 シタラが半ばふざけて聞いてくるのをクロノは否定、クロノの声になのはが返信してくる。

 何気にそちらを見たアクトレス達は、なのは達がいる場所にある複数の魔法陣に気付いた。

 

 

「レイジングハート、最大出力」

『Yes、master』

 

 展開したレイジングハート・エクセリオンがその弾道状に複数の魔法陣を生成する。

 

「すごい………」

「下がって! なのはちゃんの切り札の一つよ!」

 

 テイルイエローが絶句する中、シャマルが慌てて距離を取る。

 更にレイジングハート・エクセリオンから魔力カートリッジであるベルカ・カートリッジが複数射出され、臨界を迎える。

 

「ディバインバスター・エクステンション!!」

『FIRE』

 

 次の瞬間、レイジングハート・エクセリオンから凄まじい閃光が放たれる。

 その軌道上にいたJAMを次々巻き込み、瞬時に消滅させた閃光が、移動要塞JAMに迫るが、発射着前に向こうはすでに反応していた。

 移動要塞JAMの各所から黒い霧の様なものが大量に噴出し、それに触れた閃光が明らかに減衰していく。

 

「アンチマジックミスト! やはり搭載していたか!」

 

 クロノが半ば予想していた中、アンチマジックミストで姿すら見えなくなった移動要塞JAMに閃光が吸い込まれ、何か異常な音が響き渡る。

 

「当たった!?」

「いやまさか…」

 

 のどかが目を凝らして戦果を確認しようとするが、クロノはある予感を感じていた。

 風が吹いてアンチマジックミストが薄れてくると、そこに一部破損している物の健在な移動要塞JAMの姿があった。

 

「必殺魔法でもダメか!?」

「違います! よく見て!」

 

 シタラが思わず叫ぶ中、文嘉がある事に気付く。

 なのはの必殺魔法は移動要塞JAMの中央部、相手の巨大さから命中確実な場所だったにも関わらず、破損していたのは移動要塞JAMの端側だった。

 

「位置が変わってる! かわしたっていうの!? あの巨体が!?」

 

 先程の異音が、相手が何らかの方法で高速回避した物だと悟った薫子が驚愕する。

 

「なのは、その場から退避! 狙われるぞ!」

『り、了解!』

 

 クロノがすぐに退避を指示した直後、移動要塞JAMから複数の攻撃がなのはのいるポイントへと向かう。

 

「させるかぁ!」

「援護!」

 

 そこへシタラが先頭に立って放たれたミサイルを狙撃、薫子の指示にアクトレス達もミサイルを次々迎撃していき、さらに水流と雷撃がレーザーを阻害して威力を減衰させる。

 

「なのは無事か!」

『大丈夫クロノくん! イエローさんとシャマルさんも無事!』

 

 クロノの確認に返信してきた事に皆が胸を撫でおろす。

 

「見た目以上の怪物か、あの大型………」

「出力で押す手も使え無さそうね」

 

 クロノと薫子が導き出した結論に、双方得物を握る手に力が籠る。

 

「なのは、移動しながら攻撃! 出力は落とし、あの大型の注意を引け! 周辺の雑魚は他で受け持つ!」

『了解!』

「雑魚を広範囲魔法で薙ぎ払う! 発動に掛かるので援護を!」

「分かったわ! 彼を中心にガードフォーメーション!」

 

 焦りが混じって口調が変わっているクロノの様子に、薫子が頷いてアクトレス達をクロノの周囲に展開させる。

 

「はてさて、メ〇ローアかア〇テマか………」

「ゲームと一緒にしない。来るわ!」

 

 シタラが興味津々で呟くのを文嘉がたしなめるが、詠唱に入ったクロノに気付いたのか、空戦JAMが一斉にこちらに向かってくるのを見たアクトレス達は得物を構える。

 

「攻撃!」

 

 薫子の号令と共に、一斉にアクトレス達は銃火を解き放った。

 

 

「そこの二人、それ以上出るな! 交戦しつつ、後退を!」

「待った、今手が離せない!」

「下がれってのはどういうこった!」

 

 ザフィーラからの声に、戦闘中だったテイルレッドと流子が怒鳴り返す。

 

「クロノが広域魔法を使う! 巻き込まれるぞ!」

「広域…」

「魔法?」

「ちなみにどれくらいの威力だ?」

「うまく行けば地上の敵は壊滅出来るかもしれん」

 

 顔を見合わせるテイルレッドと流子だったが、皐月の質問へのザフィーラの答えに頬が引きつる。

 

「どんな魔法!?」

「そんなんあるなら最初から使え!」

「それだけの威力なら、運用に色々有ると見た。発動か燃費の問題か」

「その両方だ」

 

 驚いてそれぞれ刃で敵を弾きつつ、テイルレッドと流子が後退を始め、皐月とザフィーラもそれに合流する。

 

「発動点と降下範囲は? ぎりぎりで防衛線を構築する」

「魔力感知出来るなら発動前に認識出来るし、クロノならこちらの所在も認識して発動するだろう」

「つまりそれまで押しとどめればいいのね」

 

 皐月とザフィーラの会話に、合流してきたテイルブルーが確認してくる。

 

「あの超大型を相手するにも、周辺の敵を一掃する必要が有ります」

「それだけの攻撃方法が有るという事か」

 

 フェイトや魅零、他の者達も続々と合流し、その場で皆が振り返って得物を構える。

 

「ここから先は立ち入り禁止だ!」

 

 テイルレッドの声と共に、皆が一斉に攻撃を開始した。

 

 

「クロノ君の詠唱が終わるまで、相手を引きつけないと!」

「分かりました!」

 

 なのはとテイルイエローが、クロノの周囲を囲んでいるアクトレスを援護するために、飛行型JAMに攻撃を放ち続ける。

 

「トゥアール、私達は…」

「このままで! 相手を俯瞰で観察する必要が有ります!」

「あの坊ちゃん、モロ狙われてるで」

 

 多少援護攻撃をしつつ、移動要塞JAMへの警戒を続けるトゥアールに、イースナとメガ・ネは頷いて距離を保つ。

 

「それにしてもあのチャフ、想像以上に厄介のようですね………」

「ウチにも何が起きたか観測できんかった。相当色々混ぜとるな」

「デカいわりにセコイ真似して………」

 

 あらゆる手で移動要塞JAMのデータを収集しようとするが、JAM本来のジャミングに加えての妨害に、観測が進まない事に三人そろって考え込む。

 

「取りあえず、当たれば攻撃は効くのが判明しています。近づくのが大変ですが………」

「減衰分を考慮しても、装甲も相当な物」

「ホンマにどうにか出来るんか?」

「するしかないですよ! 少なくてもあの戦艦が直るまでは! あいつらがいなければ総二さんと私でこの星のアダムとイヴになってもいいのですが!」

「…そろそろ」

 

 真面目かと思えばアレな事を力説するトゥアールを無視し、イースナはクロノの方を見る。

 

 

 詠唱を続けるクロノの周囲に魔力が高まり、燐光を帯びていく中、クロノは手にしたストレージデバイス・S2Uを振り下ろす。 

 

「スティンガーブレイド・エクスキューションシフト!」

 

 発動と同時に虚空に無数の魔力刃、スティンガーブレイドが出現し、それらが一斉に降り注いでいく。

 空戦型、陸戦型問わず魔力刃が貫き、破砕していき、地面に突き刺さると魔力刃は炸裂、残った陸戦型JAMも巻き込んでいった。

 

 

「すげえ………」

「確かに………」

 

 発動直前で後退したテイルレッドと流子が思わず絶句する。

 予想以上の大規模攻撃魔法に、魔法を知らない者達は誰もが同じ状態だった。

 

「こんなすごいの、最初から使ってたらよかったんじゃ………」

「発動に時間がかかるし、魔力の消費も多い。早々に使える物ではない」

 

 乱花が呆然と呟くのをシグナムが訂正するが、そこでシグナムが構える。

 

「やはり倒せたのは雑魚だけか」

 

 シグナムの指摘通り、巻きあがった土埃の向こう、こちらに向かってくる移動要塞JAMの姿に、皆が顔を引き締める。

 

『向こうはまだ内部に戦力を隠している可能性が有ります! 展開される前に迎撃を!』

 

 トゥアールの指示の元、皆が一斉に移動要塞JAMへと突撃していった。

 

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