スーパーロボッコ大戦外伝 ディファレンス・ロボッコ・バトル   作:ダークボーイ

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ディファレンス・ロボッコ・バトル EP17

 

移動要塞JAMと交戦中と同時刻 アースラブリッジ

 

「な、なんだよ!あれ!」

 

 戦場からリアルタイムで送られてくるややノイズ交じりの画像に映し出された、巨大な敵の姿にヴィータが絶句する。

 

「まさか、あんな物までいたとはね………」

 

 リンディの声にも焦りが滲む。

 

「あたしも行く! なのはの攻撃も効かねえんじゃ、直接ぶち込むしか…」

「ダメよ」

 

 自らも出撃しようとするヴィータをリンディが止める。

 

「最悪の事態を考慮して、ここの守りを薄くするわけにはいかないわ」

「けど!」

「確かに大変そうやけど、他の人達も強そうや。任せるしかないで」

 

 アースラの防衛を理由にするリンディに反発するヴィータだったが、はやてがそれを宥める。

 

「そうね、はやてさんの言う通りだわ。ここは皆さんを信じましょう。けど念のため防衛戦及び救護班の用意を」

 

 リンディも頷きつつ、用心の準備を指示する。

 

「正念場ね………無事に帰ってきて」

 

 移動要塞JAMに向かっていく者達の姿を見ながら、リンディも思わず祈った。

 

 

 

「おりゃあああぁぁ!」

「おらああぁぁぁぁ!」

 

 先陣を切って突っ込んでいくテイルレッドと流子を見ながら、数人がある疑問を感じていた。

 

「あの二人、何か策が有るのか?」

「多分無い」

 

 シグナムが口にした疑問に、皐月が即答する。

 

「まさかあの大型にただ向かっていくだけなんて事は………」

「あの二人なら有るかもしれません」

 

 乱花も思わず首を傾げるが、魅零も今までの二人の戦いを思い出す。

 

「こういう時はまず足だ足!」

「おうよ!」

 

 テイルレッドと流子がブレイザーブレイドと片太刀ばさみを手にとにかく手近の脚部へと振りかぶるが、そこに別の足が上から襲い掛かってくる。

 

「危ない!」

「ふん!」

 

 それをテイルブルーとザフィーラが同時に攻撃して何とか反らす。

 

「おりゃあぁ!」

「とりゃあぁ!」

 

 その間にテイルレッドと流子の攻撃が脚部に命中するが、甲高い音と共に二つの刃は阻まれる。

 

「固ぇ!」

「ちっ!」

 

 思わず悪態をつきながらも二人は斬撃を繰り出し続けるが、それでも脚部装甲を僅かにえぐるだけだった。

 

「向こうも足を狙われる事は対処済みか」

「どうやらこのような相手も想定していたようだ」

 

 それを冷静に見ていた皐月とシグナムが同時に跳び、テイルレッドと流子の上、脚部の関節部分に縛斬とレヴァンティンを同じ個所に斬りつけるが、それすら通らない。

 

「関節部でもこれか!」

「通常攻撃では無理か!」

 

 予想以上の頑強さに、皐月とシグナムが左右へと飛び退って反撃を警戒する。

 

「まずは機動力だけでも落とさなければ、この質量が向かってくるだけでこちらは全滅だ」

「距離を取れば良くてミサイル、悪ければ砲撃が飛んでくるしな」

「上でなんとか抑えてくれてはいるが………」

 

 攻めあぐねる皐月とシグナムが上の方をちらりと見る。

 そこではアクトレス達が必死になって移動要塞JAMの攻撃を防ごうと奮戦していた。

 

「少しでも攻撃の兆候が見えたらそこに攻撃を集中!」

 

 薫子が叫びながら、ポートらしき物が開いた場所にバクルス・ライフルを撃ち込み、発射されようとしたミサイルを誘爆させる。

 

「そんな事言われても、すごいハリネズミだこれ!」

 

 シタラがアンクーシャライフルで怪しい所を次々狙撃していくが、次から次へと移動要塞JAMは攻撃を繰り出そうとする。

 

「さすがにこの数は…!」

「少しでも減らさないと!」

「向こうからも!」

 

 文嘉が移動要塞JAMから発進した飛行型JAMにヘーゲルバズーカを速射し、漏れたのを夜露が両手剣羽々斬で攻撃するが、のどかが別方向から飛び立った飛行型JAMを指差す。

 地上にいる者達に向かって攻撃しようとする飛行型JAMだったが、そこへ複数の魔法攻撃が飛来して飛行型JAMを撃墜する。

 

「こちらでも受け持つ!」

「任せてください!」

 

 クロノと遠距離はむしろ不利とみて駆け付けたなのはがそれぞれデバイスを構える。

 

「近距離ならばアンチマジックミストの効果も薄れるはず!」

「分かった!」

「こちらも行くで!」

「そうね」

「あくまで観察できる距離で!」

 

 さらにメガ・ネに騎乗したイースナもダークネス・グレイブを構えて駆け寄り、トゥアールが適度に距離を取るように警告する。

 

「それにしてもこの巨体、どう相手すべきでしょうか………」

 

 トゥアールは今までの戦闘データから必死になって移動要塞JAMの攻略法を思案するが、中々思いつかない。

 

「せめてもっと詳細データが有れば………」

「あかん、この距離でも内部スキャンが効かんで!」

「これだけの戦闘力を持ってなんて用心深い………」

 

 メガ・ネも装備しているセンサーで移動要塞JAMをスキャンしようとするが、他のJAMよりも更に強いジャミング性能に全く探る事が出来ずにいた。

 

「この巨体、あの必殺魔法が効かない以上、何か対策を講じないと…!」

「けど強度もかなりある………どうすれば………」

 

 トゥアールが皆の攻撃に効果を必死になって比較するが、イースナの視線は脚部の破壊を試みる者達の攻撃がほとんど効いてないのを捕らえていた。

 

 

「てえぃ!」

 

 乱花が手甲で移動要塞JAMの脚部を思い切り殴るが、僅かにへこんだだけで破壊には至らない。

 

「これでもダメ!?」

「一体何で出来ているんだこいつは!」

 

 同じ場所を今度はザフィーラが殴るが、それでも破壊には至らない。

 

「そうか、恐らくこいつは最初に脚部を狙われる事を想定して、防御を上げているのか」

「こうなる事を予見していたというのか。こいつはかなり高度な戦術性を持っている?」

 

 皐月が先程からほとんど効果の上がっていない攻撃にある可能性を指摘し、シグナムもいくつかか心当たりを思いつく。

 

「みんなどいて! ブレイクリリース!」

 

 そこへテイルブルーがウェイブランスから生じた水流で脚部を幾つか飲み込む。

 

「エクストリームウェイブ!」

 

 捕らえた脚部に向けて投じたウェイブランスが水流を噴出しながら突っ込んでいき、脚部の一本に深々と突き刺さる。

 

「貫けない!?」

「いえ、いけます。スプライトザンバー!」

 

 破壊しきれない事にテイルブルーが驚くが、そこへフェイトがバルディッシュ・アサルトを巨大な剣状のザンバーモードに変化、無数の雷撃を伴った斬撃がウェイブランスの突き刺さった場所に叩き込まれ、とうとう脚部の一本を両断する。

 

「やった!」

「でもまだいっぱいあるな」

 

 テイルレッドが喝采を上げるが、流子は他の脚部が持ち上げられるのを見てむしろほくそ笑む。

 

『流子、方法は分かったな』

「ああ鮮血。重ねりゃいいんだな!」

 

 神衣・鮮血からの助言に流子は頷きながらテイルレッドへと目くばせし、双方が頷く。

 

「こっちが先手だ! 武滾流猛怒!」

「合わせる! グランドブレイザー!」

 

 流子の手にした片太刀ばさみが延長し、巨大な刃と化して繰り出され、それと交差するようにテイルレッドの炎のまとったブレイザーブレイドが重ねられる。

 

「「オラアアァァ!」」

 

 二人の声が重なり、脚部が更に一本、切断されて宙を舞う。

 

「どこまで力任せだ」

「君には可能か?」

「すまないが、私の純潔はあちらの鮮血程の出力は出せない。だが」

 

 呆れる皐月にザフィーラが問うてくるのを小さく首に左右に振る中、別の脚部が振り下ろされるのを皐月は何とか受け流す。

 

「ここはサポートに徹する事にしよう。他に出力の有る者はそれを重ねろ! 知らない技の場合は出終わりにだ!」

「なるほど、重ねればいいのか」

「じゃあこういうのも!」

 

 ザフィーラが地面から光の拘束条を無数に繰り出し、更にアレフが光の拘束環を重ねて脚部の一本を完全に拘束する。

 

「今よお姉ちゃん! この!」

 

 乱花が手甲にキスすると、手甲が鬼面を模した物へと変化、破壊力を増した拳が次々と拘束された脚部に叩き込まれていく。

 

「離れろ! 紫電一閃!」

 

 そこへシグナムの炎の魔力をまとった斬撃が繰り出され、更に脚部が一本切断された。

 

「このままどんどん行くぞ!」

 

 テイルレッドが更に攻撃を呼び掛けた時、脚部が一斉に地面へと突き立てられる。

 

「あん?」

『離れろ流子!』

 

 こちらを狙ってもいない動きに流子が首を傾げた時、鮮血からの警告が響いてきた。

 

「全員下がれ! 何かする気だ!!」

 

 流子の声に、追撃をしようとしていた者達が一斉に飛び退り、上空へと舞い上がる。

 次の瞬間、移動要塞JAMの巨体が異常な速度で真横へと動いた。

 

「何だぁ!?」

「何した!」

「なるほどな…」

 

 異常な高速移動に皆が驚くが、数人はその動きの正体に気付く。

 

「脚部が伸びました! あれが先程のなのはさんの必殺魔法回避の秘密!」

「そ、そんな単純な方法だったの!?」

 

 魅零の指摘に、テイルブルーが思わず呆れそうになる。

 

「どんな組成かは不明だが、あの脚部は圧縮されて強度を増し、それを瞬時に開放して高速移動する。分かってしまえば簡単な事だったか」

『総員防御!』

 

 皐月が冷静にその仕組みを解き明かす中、トゥアールの絶叫のような指示が飛ぶ。

 距離を取った移動要塞JAMが、一斉攻撃を放とうとしている事に全員が一斉に得物をかざし、シールドを張る。

 

「全員シールドの後ろに!」

「防御システム全開!」

 

 クロノがとっさにありったけのシールドを張り、アクトレス達がその背後に回りつつもエネルギーを防御に全振りする。

 直後、移動要塞JAMから無数の砲弾、レーザー、ミサイルが発射された。

 

「うわわっ!」

「ちょっ…」

 

 驚愕や悲鳴は、爆炎と爆風にかき消され、その場をすさまじい飽和攻撃が蹂躙される音だけが轟いていく。

 しばらく飽和攻撃が続くかと思われたが、不意にミサイルの発射口が誘爆する。

 

「えっ?」

 

 イースナがなんとか攻撃を防ぐ背後で、その事に気付いたトゥアールが思わず声を漏らす。

 それは一つに留まらず、次々と移動要塞JAMの兵装が破壊されていく。

 そして、移動要塞JAMの表面を大剣に手に駆け上がっていく魅零の姿に目ざとい者達が気付く。

 

「何て人だ………相手の総攻撃に防御じゃなくて攻撃をためらいなく選んだのか………」

「確かに密接すれば攻撃は届かないけれど、なんて大胆な………」

 

 移動要塞JAMが攻撃から己の防衛にシフトしたのか、攻撃が弱まる中クロノと薫子も奮戦する魅零を見て驚愕する。

 

「どおりゃあぁ!」

 

 そこへテイルブルーも加わり、移動要塞JAMの装甲を駆け上がりながら魅零と二人で兵装を破壊していった。

 

「足に自信がある者は取り付け! 破壊力の方なら続けて脚部を潰せ!」

 

 皐月の号令が飛び、それを聞いた者達は即座に行動を開始する。

 

「次あっちの行くぞ!」

「おうよ!」

 

 意気投合したらしいテイルレッドと流子が、ブレイザーブレイドと片太刀ばさみを同時に振り下ろしていく。

 

「次そっち…」

 

 移動要塞JAMの装甲上でウェイブランスを振るうテイルブルーに向けて機銃と思われる物が背後から狙おうとするが、それを何かが瞬時に破壊する。

 自分の隣を電光のような物が通り過ぎたとテイルブルーが悟った時、その電光が動きを止める。

 

「援護します、速さなら自身があるので」

 

 バリアジャケットをギリギリまで削ったソニックフォームのフェイトの姿が再度掻き消え、電光と共に移動要塞JAMの兵装が破壊されていく。

 

「すご………ただ一つ言うけど」

「なんでしょう?」

「その恰好はまだ早いと思うわよ。こっちも人の事言えないけど………」

 

 テイルギア並みの露出度のソニックフォームに、テイルブルーが思わず苦言を述べるが、次の瞬間には背中合わせになって兵装を攻撃していく。

 

「後でそれ考えた人説教ね!」

「私自身ですけど………」

「誰か! この子にもっとまともなファッション教えられるのいない!?」

『では私が!』

 

 テイルブルーが思わず戦闘と全く関係ない事を叫ぶが、そこで立候補したトゥアールに向けてウェイブランスをぶん投げる。

 

「あの、武器…」

「ふん!」

 

 テイルブルーが得物を無くした事にフェイトが少し驚くが、足元から飛び出してきた兵装をテイルブルーが思い切り踏みつけて破壊する。

 

「とにかく後! とっととこのデカブツ丸裸にするわよ!」

「はい!」

 

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