スーパーロボッコ大戦外伝 ディファレンス・ロボッコ・バトル   作:ダークボーイ

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ディファレンス・ロボッコ・バトル EP19

 

 テイルイエローとなのはが放った閃光が、移動要塞JAMの破損個所へと炸裂する。

 内部へと炸裂した攻撃が誘爆を起こすが、移動要塞JAMの巨体から見れば僅かな物だった。

 

「まだです!」

 

 そこへ更にテイルイエローが自らの武装を次々と放ち、パージしていく。

 ベルカカートリッジの次弾を装填してそれに続こうとするなのはだったが、そこでテイルイエローの呼吸が段々荒くなっていく事に気付く。

 

「大丈夫ですか!?」

「大丈夫…こんな小さい子の隣で私、こんなに…」

 

 思わず声を掛けたなのはに、どこか潤んだ声で返答するテイルイエローだったが、途中でシャマルがなのはの耳を塞ぐ。

 

「なのはさん、彼女は大丈夫そうなので次弾を」

「あ、はい!」

 

 何か危険な雰囲気に、シャマルがなのはの頭部を敵へと向けて固定する。

 二発目を警戒して、移動要塞JAMが脚部を地面へと突き刺し、伸長移動しようとするが、そこへ巨大な手甲の一撃と二頭の狼の突撃が炸裂し、移動する前に体勢が大きく揺らぐ。

 

「そう何べんもやらせない!」

「崩れたぞ、退避!」

「了解!」

 

 移動要塞JAMが踏ん張った瞬間の軸足を狙った乱花、ザフィーラ、アルフの攻撃に移動要塞JAMがその体勢を崩していき、ザフィーラとアルフが乱花の両腕を咥えてその場から一気に離脱する。

 擱座するかと思われた移動要塞JAMだったが、なんとか堪える所を好機とばかりに攻撃が集中する。

 

「畳みかけっぞ!」

「今堪えてる足を集中攻撃だ!」

 

 流子とテイルレッドが先頭となって刃を振りかざす。

 

「起動しようとしてる兵装を集中攻撃! 下への攻撃を阻止して!」

「撃ちまくってください!」

 

 薫子と文嘉の支持の元、アクトレス達がありったけの火力を叩き込む。

 

「なのは、最大出力用意! 相手が完全に沈黙した瞬間に撃ち込め!」

 

 クロノが指示を出しつつ、魔法の剣を次々放ち続ける。

 

「ここで決めるか…!」

「そうしたい所ね!」

 

 皐月とテイルブルーが漏れてくる移動要塞JAMの攻撃から他の者達を守りつつ、隙を伺う。

 

「皆さん、伏せてください! ファイナルドライヴ」

 

 さらに魅零が膨大なエネルギーをまとった長剣を横薙ぎに振るい、移動要塞JAMの脚部をまとめて攻撃。

 さすがに破壊までは至らないが、破損した個所に即座に他の者達が更なる攻撃を加え、脚部を次々と破壊していく。

 

「バランス崩れてきたぞ!」

「よおし、一気にもいでやれ!」

 

 苛烈な攻撃に移動要塞JAMも反撃しようとするが、上空と遠距離からの援護がそれを阻み、とうとうバランスを崩した移動要塞JAMがその場に轟音と共に擱座する。

 

「今だなのは!」

「皆さん退いてください! 行くよレイジングハート!」

『5、4、3、2、1、FIRE』

 

 クロノの指示の直後、なのはの手にしたレイジングハート・エクセリオンモードから空になったベルカカートリッジがまとめて排出され、複数の魔法陣を通じて最大出力のスターライトブレイカーexが凄まじい閃光と共に放たれる。

 

「すっげ………」

『もっと離れろ流子!』

「急げ!」

 

 テイルレッドが思わず絶句して足を止めそうになるが、鮮血に促されて流子が強引に距離を取らせる。

 そして放たれた特大砲撃魔法は移動要塞JAMの破損個所に直撃、大爆発を起こす。

 

「やった!?」

「まだ確認できません!」

 

 吹き抜けていく爆風にさらされながら、イースナがメガ・ネで周囲を旋回させ、トゥアールが戦果を確認しようとする。

 

「凄まじいわね………」

「魔法少女すげえ………」

「確かに…」

 

 アクトレス達もあまりの威力に唖然とした時、突然それぞれのギアが警報アラートを鳴らす。

 

「大型動体反応確認! 退避!」

「何が起きてるの!?」

「夜露さん、あれ!」

 

 薫子が即座に指示を出し、距離を取りながらも夜露が状況を確認しようとした時、のどかが濛々と上がっていた噴煙から何かが迫り出してくるのを指差す。

 それは噴煙を突き抜け、その姿を現す。

 それが、大分小さくなっているが移動要塞JAMだと気付いた者達が唖然とした。

 

「な、飛べるの!?」

「恐らく破損個所をパージしたんです!」

「どういう作りをしてるんだ!」

 

 シタラが思わず叫ぶ中、冷静に状況を予想した文嘉にクロノも叫ぶ。

 

「! シャマル、なのはを連れて下がれ! 狙われるぞ!」

 

 クロノが指示を出した直後、分離移動要塞JAMから砲塔のような物が出てきたかと思うと、切り札を放った直後で動けないなのはを狙う。

 

「危ない!」

 

 シャマルがとっさにクラールヴィントでワームホールを開こうとするが、その前にメガ・ネに騎乗したイースナが立ちはだかり、放たれた砲撃をかろうじて弾く。

 

「今の内に!」

「助かりました!」

「早く!」

「す、すいません」

 

 イースナの声にシャマルが答えつつも、疲労困憊のなのはをテイルイエローと共に連れて後退していく。

 

「イースナ」

「もう一撃は無理」

 

 トゥアールに聞かれる前に、イースナが手にしたダークネスグレイヴを今にも取り落としそうなのを必死に堪える。

 

「半分以下になってもなんて出力………」

「あの状態では、あの子にもう一発は無理そうですね………」

「なあに、半分砕けたならもう半分くらいどうにかなるやろ!」

 

 イースナとトゥアールが現状を解析する中、メガ・ネが半ば無責任な事を言い放つ。

 

「それにあれ、飛んだはいいけど、動きは遅いで」

「確かに。どうやらあれは緊急避難モードと言った所でしょうか」

「だが装甲は相変わらず、しかも飛んでる。どうすれば…」

 

 分離移動要塞JAMが地上からの攻撃の射程範囲から逃れた高度を取っている事に、イースナは歯噛みする。

 

「攻撃!」

 

 薫子の号令と共にアクトレス達が攻撃をしかけるが、アリスギアの火力では分離移動要塞JAMの装甲に決定的なダメージを与えられていなかった。

 

「どうにかして地面に落とすか、それとも下の人達を上げるか………」

「なんとかしてみる。援護を!」

 

 薫子の呟きに、クロノが返しながら分離移動要塞JAMに向かっていく。

 

「サポートにつきます!」

「わ、私も!」

「お願い!」

 

 それを見た夜露とのどかが後を追い、他のアクトレス達が援護射撃で三人をサポートする。

 

「捕縛魔法を使うが、あの大きさだと周辺にビットを穿つ必要が有る!」

「よく分からないけど、何かするんですね!」

「援護します!」

 

 クロノが分離移動要塞JAMの周辺を旋回しながら、指先で光の楔のような物を発生させてその場に留めていく。

 警戒したのか分離移動要塞JAMがクロノを狙おうとするが、アクトレス達の攻撃がそれを阻む。

 

「これで最後! ディレイドバインド!」

 

 最後の楔をセットすると同時に、クロノは指で操作して捕縛魔法を発動、無数の魔力の鎖が分離移動要塞JAMに絡みついていく。

 

「縛れ、鋼の軛!」

 

 更にそれを見たザフィーラが拘束魔法を発動、地面から伸びた光の拘束条がクロノの魔力の鎖と絡み合い、分離移動要塞JAMを捕縛する。

 

「くぅぅ………」

「おおおぉぉ!」

 

 クロノとザフィーラがありったけの魔力を注ぎ込んで分離移動要塞JAMを地面へと引きずり落とそうとするが、分離してもなおある質量と出力の前に思うようにはいかない。

 

「どうする!? あれ引っ張ればいい!?」

「下手に手を出したらどうなるか不明よ!」

「しかしこのままだと!」

 

 シタラが援護しようとするのを薫子が止めるが、文嘉は拘束から逃れようとする分離移動要塞JAMを前にどうすればいいか悩む。

 

「ぉぉぉぉおおおりゃ~!」

 

 そこで下から響いてくる声に文嘉が気付くと、拘束魔法の上を走って登ってくる乱花の姿に気付く。

 

「な…」

「行くよお姉ちゃん!」

 

 思わず文嘉が絶句した時、乱花が手甲にキスすると手甲が鬼面を模した更に重厚な物へと変化、乱花はそこで一気に拘束魔法を駆け上がると、両手の手甲を握り合わせ、思いっきり振り下ろす。

 凄まじい轟音と共に分離移動要塞JAMが振動し、更に続けて手甲は振り下ろされる。

 危険と判断したらしい分離移動要塞JAMから機銃のような物が出てきて乱花を狙うが、そこへシタラの狙撃が機銃を破壊する。

 

「一気に行く! 後を頼むぞ!」

 

 好機と見たクロノが残った魔力全てを捕縛魔法に注ぎ込み、下でザフィーラも同様に拘束魔法に全力を注ぐ。

 

「いい加減、落ちなさい!!」

 

 そらにそこへリボンのエレメーラで上昇してきたテイルブルーがウェイブランスを上下逆で構え、更にダメ押しとばかりにありったけの力で分離移動要塞JAMの頂点へと穂先を突き下ろす。

 今までのダメージも有ったのか、力を失った分離移動要塞JAMが拘束魔法に捕らわれながら、地面へと落下していき、轟音と土煙を上げながら墜落する。

 

「落ちたぞ!」

「トドメを…」

 

 好機と見て皆が一気に攻撃しようとするが、それより先に土煙の中から無数の攻撃が飛来してくる。

 

「うわっ!」

「まだこんだけ得物隠してたのか!」

 

 皆が回避や防御する中、最早狙いもつけずに弾丸やレーザーが分離移動要塞JAMから次々放たれまくる。

 

「落としたはいいが、ここまでハリネズミとはな」

「くそ、近寄れねえ!」

『耐えろ流子!』

 

 縛斬をかざしながら身を低くする皐月の隣で、一度下がった流子が片太刀ばさみを手に同じように防御し、鮮血もそれを促す。

 

「通常兵器ならば弾切れを待つ所だが、果たしてアレにそんな物があるのか?」

「知るか!」

『内部に飛び込む手も二度は使えないだろう。この弾幕を突っ切るか、それとも…』

「大丈夫ですか!?」

 

 そこへ下がって来たフェイトが防護魔法を張り、一時的に相手の攻撃を受け止める。

 

「お、バリアか。便利なの使えんな」

「だが一時しのぎだ」

「フェイト!」

 

 流子と皐月が感心しつつも思考する時間が生まれるが、そこにアルフも飛び込んでくる。

 

「ダメだ、落としたはいいけどやっぱり固い!」

「再浮上されるまえに片を付けたいが………そちらの電撃も効かないのか?」

「ダメです、装甲に弾かれます」

「………内部に撃ち込めばどうだ?」

 

 アルフもどうにか攻撃を通そうとしたが、それが効かない事に皐月が案を出すが、フェイトは否定。

 少し考えた後に皐月がある事を思いつく。

 

「内部ってどうやって!」

「楔を穿つ。先程彼女が装甲を捨てて速度を増していたが、恐らくは…」

 

 流子が思わず叫ぶが、皐月がフェイトの方を見ながら、まとっている純潔に力を込める。

 すると純潔が蠢いたかと思うと、その形状を変化させ、全身を覆うスーツのようにタイトな形へと変化していく。

 

『生命戦維を圧縮させたのか! だがそんな事をすれば体への影響は避けられないぞ!』

「おい、皐月!」

「分かっている、長くは持たないな」

 

 鮮血からの警告に流子が思わず止めようとするが、当の皐月自身がそれを理解していた。

 

「私が楔を穿つ、そこにありったけの電撃魔法を放て」

「は、はい!」

 

 宣言するや、皐月が防護魔法から飛び出す。

 圧縮装着した純潔の力を用い、驚異的な速度で攻撃をかいくぐり、皐月が一気に分離移動要塞JAMに迫ると、その勢いそのままに飛び出し、手にした縛斬を渾身の力で分離移動要塞JAMへと深々と突き刺した。

 

「今だ!」

「サンダーブレイド!」

 

 そこへフェイトの放った雷をまとった魔力刃が突き刺さった縛斬へと放たれ、縛斬を介して内部へと電撃が放たれる。

 

「ブレイク!」

 

 更にコマンドと共に電撃が内部で爆発、分離移動要塞JAMの各所から電撃が飛び出し、内部へとダメージを与え、その動きが止まる。

 

「効いてる! 一気に…」

『待て、その前に…』

 

 流子が飛び出そうとするが、そこで鮮血が制止、縛斬を突き刺した皐月が距離を取ったはいいが、その足元がふらついていた。

 

「危ない!」

 

 その皐月をビーストモードのアルフが回収し、一気に離脱する。

 

「ふ、慣れない事はあまりする物じゃないな」

「あんたのそれ、フェイトのソニックフォームより負荷かかってるでしょ!」

「本来生命戦維100%の神衣をまとう事自体無茶だからな」

 

 離脱する皐月が、呟きながらもすれ違いざまに流子に視線を送る。

 

「後は任せろ! 全員、必殺技準備だ!」

 

 頷きつつ、流子が手にした片太刀ばさみがその刀身を伸ばす。

 

「オーラピラー!」

 

 テイルレッドのかざしたテイルブレスから放出したエネルギーが円柱型のエネルギー障壁となり相手を封じ込める。

 

「行くわよ乱花ちゃん」

 

 倫花が妹の変じた大刀にキスし、細身の長刀へと変化させる。

 

「のどかちゃん、離れてて!」

 

 夜露が双剣を構え、急降下していく。

 

「レヴァンテイン、ボーゲンフォルム」

 

 シグナムのアームドデバイスが鞘と融合して変化、弓矢へとその姿を変化させる。

 

「武滾流猛怒!」「グランドブレイザー!!」「いっけえ!」「「冥途の土産だ!遠慮しないで全部持ってけ!『ヨモツオオカミ』」「翔けよ、隼!」

 

 長大な斬撃が、膨大なエネルギーをまとった斬撃が、花吹雪のような光を伴った竜巻が、急降下からの高速連続斬撃が、全魔力を帯びた矢が、分離移動要塞JAMへと立て続けに叩き込まれ、各所から爆発が発生、やがて巨大な爆発と共に分離移動要塞JAMが完全に爆散した。

 

「目標、完全消滅確認! 皆さん無事ですか!?」

「まあな」

「取りあえず無事かな」

「力を使い果たした者の救護を優先!」

「取りあえずこっち!」

 

 トゥアールの確認報告に、各所で返答が上がる中、クロノが次の指示を出していく。

 

「後は来ねえよな?」

「来てほしくねえな、さすがに疲れたぜ」

 

 テイルレッドが周囲を見回し、流子が思わずその場に座り込む。

 

『こちらリンディ、敵勢力の殲滅を確認。今救護部隊を回すわ』

 

 リンディから届いた最終確認に、皆が大きく息を吐き、緊張を解いていく。

 

「取りあえずは、一段落か………」

「だといいのですが………」

 

 変身を解いた総二が思わず漏らした言葉に、魅零が苦言を呟く。

 

「果たして、この襲撃の目的は何だったのか? まさかこれだけの戦力を用いて本当に戦闘データの収集だけが目的だったのでしょうか?」

「魅零さん魅零さん、後にしましょう。皆さん疲れてますし」

「そうですね………」

 

 恐らくこの場にいる何人かは感じている事に、魅零はただ遠くを見ていた………

 

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