スーパーロボッコ大戦外伝 ディファレンス・ロボッコ・バトル   作:ダークボーイ

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ディファレンス・ロボッコ・バトル EP02

 

「要はこれの趣味と総二の趣味が合わさった結果がコレよ」

「はあ、そうなんですか………」

「ウイルス?」

「はい、A―ウイルスによる身体変化を起こす者達を総じてアームと呼ばれています」

「私達は変異型のVR―ウイルスのアームなんです。基本は大体一緒ですけど」

 

 双方はかなりざっくりした説明の後、一応頷く。

 

「え~と、トゥアールさんと総二さんは小柄でおさげの子に自分で変身する程好みと」

「おさげでなくツインテールね」

 

 倫花の確認を愛香が若干訂正し、アームの少女達の視線がそれとなくまもりに集まると、三人でまもりを背後に隠す。

 

「おい………」

「他者からこう見られてるのよ………大丈夫、その短さなら総二の範囲外だから」

「ツインテールの長さで決まるんですか………」

「変わった性癖ですね」

 

 まもりと魅零がやや呆れる中、取りあえず話を戻す。

 

「それで、そちらは有る種の精神エネルギーを奪う敵に対抗するための武装なんですね」

「ああそうだ。オレ達はそのために戦っていた。そっちは?」

「アームである事が判明した人は、すぐに隔離されるんです。私と魅零さんはマーメイド島って所に」

「私と乱花ちゃんは、ビクニ島ね。他にも幾つかあるんだけど、そこでアームの子達はその力の制御法を学ぶの」

「まあ、私達はすぐに権力争いに巻き込まれそうになって離脱しましたが」

「そちらも何かと大変なんですね………」

 

 互いのここまでの状況を聞きながら、皆が顔をしかめる。

 

「で、問題はここがどこでこれからどうするかだ」

 

 総二の意見に、全員の視線が総二に集中する。

 

「ここが総二さん達の世界でもそちらの世界でもなさそうなのは確かですね」

 

 トゥアールが自分用のトゥアルフォンを操作しながら、上空を見る。

 そこには見た事も無い惑星のような物が浮かんでいるのが誰の目にも明らかだった。

 

「つまり、私達は地球じゃないどこかに連れてこられたと?」

「恐らくは」

「そして先程の敵襲を考えると、戦わせるのが目的でしょうか?」

「断定は出来ませんが、可能性は高いでしょう」

 

 まもりと魅零の疑問をトゥアールが肯定する。

 

「つまり、私達エイリアンにアブダクションされたの?」

「じゃあさっきのエイリアン!?」

「でも、機械っぽかったような?」

「う~ん、どうなんでしょう?」

 

 正体不明の敵襲の事を思い出しつつ、全員が唸る。

 

「オレ、なんかこんな感じの映画見た事あるな。エイリアンが軍人だの傭兵だのマフィアだのヤクザだの集めて戦うって奴」

「あ、それこっちにも有る。最後全身泥まみれになったヤクザが巨大な日本刀でエイリアン真っ二つにする奴だよね?」

「そんなシーンこっちのには無かったような………」

 

 乱花の言う事に、確かにパラレルワールドらしい事を確認した総二が思わず苦笑いする。

 

「私達をこんな所に飛ばした連中も、戦う事が目的って事?」

「かもしれません」

 

 愛香の問いに、魅零が頷く。

 

「ともあれ、皆さんで戦って勝てない相手ではない事は分かりました。問題はこの後どうするかですね………」

 

 慧理那に改めて言われ、全員が思わず俯く。

 

「映画だと次々襲撃が有って、段々メンバー減ってくんだけど………」

「それは避けなくてはなりません。まずは拠点となる場所を決めないと」

「あ、そう言えばさっき上に跳んだ時、あっちの方向に建物みたいのが見えたような」

 

 総二が危険な事を呟き、魅零が取りあえずの目的を提示した所で、愛香が森の方向を指さす。

 

「建物か………休める所だといいけど」

「エイリアンの巣って事無いよね?」

「無目的に歩くよりはいいでしょう。そちらに向かってみましょう。愛香さんが見たのが幻じゃなければ」

 

 倫花と乱花がそれぞれ異なる意見を述べるが、トゥアールが肯定か否定か分からない意見を述べて愛香に後頭部からアイアンクローを決められる。

 

「何であんたはいっつも余計な意見が多いのかしら?」

「ちょ、愛香さん決まってます! 完全に決まってます!」

「落ち着いてください。現状を解析出来るのはトゥアールさんだけのようです。彼女の頭脳は必要になります」

 

 愛香のアイアンクローを魅零が手をかけて止めさせる。

 

「ぐ、確かに………」

「へへ~、蛮族も今は私に頼るしかないという訳ですね~」

「トゥアールさんも不和を持ち込むのは止めてください。現状では戦力は一人でも必要です」

「う………」

 

 普段の軽口を魅零にたしなめられ、トゥアールも思わず黙る。

 

「なんか、見た目の割にすげえ真面目なんだな………」

「魅零さん見た目で誤解されやすいですけど、生真面目な人ですよ」

 

 総二が思わず呟いたのを、まもりが笑みを浮かべて肯定する。

 

「じゃああっちに行ってみましょう」

「こういう時は並び順が大事だ。オレが先頭に立つ」

「いっそ愛香さんなら多少の事なら壊れませんから…」

「トゥアール? また食らいたい?」

「だから不和は後にしてください。最後尾は私が立ちます」

「じゃあ私が総二の後ろね」

「中央は慧理那とトゥアール、倫花さん達はその後ろで」

「分かりました」

「再度の敵襲の可能性も有ります。警戒は十分に」

 

 魅零に促され、全員が警戒しながら建物が有ったという方向に進んでいく。

 

「なんか、どう見ても原生林そのままって感じだよな………」

「トラップの類はこちらでチェックしてますから、安心してください」

「いっそまた変身して一気に行くとか」

「戦闘後の疲弊と、相手を刺激する可能性が問題としてありますが」

「どれくらい距離が有るかも有りますね。遠いようなら変身した方が…きゃっ!?」

「あぶなっ! こんな森の中じゃ歩きにくくてかなわないわね」

「変な虫とかいないといいけど………」

「宇宙蛇とか?」

「…いるんでしょうか?」

 

 道らしい物が全く無い森の中を、一行は方向だけを頼りに進んでいく。

 

「なんかホント映画そのままだな。映画だと宇宙狼みたいのに襲われてたけど」

「あれ、宇宙イグアナじゃなかった?」

「ホントに微妙に違うのね………」

「狼かイグアナかはともかく、原生生物が出てくる可能性はあり得るかと」

 

 周囲を警戒しながらとりとめのない話をする一行だったが、魅零の一言に緊張が高まる。

 

「確かに、なんか遠くから妙な鳴き声みたいのが聞こえるような………」

「近くに生体反応は感知できませんよ、何か襲ってきても愛香さんなら返り討ちか囮に出来るでしょうし」

「あんたが囮になってもいいのよ?」

「喧嘩するなって言われたろ………」

 

 普段通りの愛香とトゥアールに総二の緊迫感が薄れそうになる中、藪をかき分けた先が不意に開けている事に気付く。

 

「有った………」

「ほらね、有ったでしょ?」

「これはこれは………」

「まあ、中々雰囲気が有りますのね」

 

 その建物を見つけたツインテイルズが感想を述べる中、最後尾にいたまもりと魅零が絶句する。

 

「うそ、なんでここに………」

「けどこれは………」

「知ってるの?」

「これはマーメイド島で私達が住んでたとりのタウンです!」

 

 レンガ造りのどこかクラシックな複層階の建物が複数立っているのを見たまもりが、驚愕と共に叫ぶ。

 

「え、こんな所住んでたの?」

「正確には、管理施設であるフェステになじめなかったり、何らかの理由でドロップアウトした者達が暮らしていた施設なんです」

「なんかこっちと大分違うのね………」

 

 倫花と乱花も説明を聞いて驚く中、まもりが我先に建物へと入っていく。

 

「待ってください! トラップの可能性も…」

「オレ達も行こう!」

 

 魅零が慌てて後を追う中、総二達も続く。

 

「誰か、誰かいませんか~! とりのさ~ん!」

 

 建物内で叫ぶまもりだったが、建物内は人気が全く無く、だが各室内はまるで誰かがいたような家具や私物の類までもが置いたままだった。

 

「何これ………さっきまで誰かいたみたい………」

「まるでマリーセレスト号です………」

「あの乗員だけいなくなったって船の話?」

「確かにそんな感じね………」

 

 他の者達もやけに生活感のある無人の建物に違和感を感じていた。

 

「食堂見てきたけど、食料なんかもあるな」

「ちゃんと食べられる奴?」

「今トゥアールにチェックしてもらってる。にしてもホント妙な所だな」

 

 総二も違和感しか感じない事に思わずボヤく。

 

「誰もいませんでした………管理人のとりのさんも」

「何かおかしいです。何かが………」

 

 うなだれるまもりに、魅零も首を傾げていた。

 

「何はともかく、段々日が暮れてきそうだ。寝る所は有った方いいだろうし」

「そうですね、色々疲れました………」

 

 総二の提案に、倫花も頷く。

 

「確認終わりました~、食糧庫のは多分食べても大丈夫ですね」

「多分って………」

「成分的と衛生的には問題ないですよ。本物かどうかはもっと調べてみないと分かりませんけど」

 

 トゥアールの報告に愛香が怪訝な顔をするが、トゥアールは気にせず続ける。

 

「使えるなら問題ないだろ。どっちにしろ飯抜きって訳にいかないし」

「そうですね。じゃあご飯作りましょう!」

 

 総二とまもりが中心となって、厨房へと向かっていく。

 

「私は他の建物を調べてきます」

「じゃ私も」

「あ、それなら使えそうな電子機器や機械が有ったら持ってきてください。セキュリティを構築したいので」

 

 魅零の提案に愛香も賛同し、それにトゥアールが追加する。

 

「じゃあ私達は寝る所決めましょう」

「そうだね」

「勝手に使っていいんでしょうか?」

「見ての通り無人なので、問題は無いでしょう。二階の角が私とまもりさんの部屋でした」

 

 倫花と乱花が寝床を確認するのに慧理那が疑問を挟むが、出かける前に魅零が一言残した事で互いに頷く。

 

「そうだ、通路の端にお風呂有りますよ。薪式ですけど」

「………沸かし方分かる?」

「さあ?」

「魅零さん戻ってきましたら聞きましょう」

 

 まもりが厨房から顔を出しながら風呂の場所を教えるが、予想以上のアナクロに聞いた者達は少しばかり顔をしかめる。

 

「着替えとかも借りていいかな?」

「サイズ合うのがあればいいけど………」

「えと、拝借するなら代金払った方いいでしょうか?」

 

 各部屋をチェックしている倫花と乱花に、慧理那がややずれた提案をする。

 

「どうだろう?」

「人いないならいいんじゃない? というか色々そろえ過ぎてるのが不気味だけど」

 

 どの部屋も明らかに誰かが生活していた痕跡は有るが、汚れてすらいない状態に段々皆も違和感を覚え始める。

 

「取りあえず部屋はいっぱいあるけど、どれ使おう?」

「適当な所でいいんじゃない?」

「あちらの部屋、二人部屋なのにベッド一つしかないんですけど?」

「え~と、つまりそういう事」

「どういう事でしょう?」

「説明する前に聞きたいんだけど、ひょっとして貴方いい所の生まれ?」

「あ、はい。神堂家は名門の一つとして数えられてます」

(まずい………)

(この子ガチの箱入りお嬢様だ………)

 

 戦闘時と打って変わって、やたらと無垢な慧理那に倫花と乱花はアームについてどこまで説明していいか悩む。

 

「二人で一緒に寝る位、仲がいいルームメイトだったんでしょう」

「ああ、なるほど。そういう事でしたか」

「………まもりと魅零の部屋も一応チェックしておこう。多分あれは私達以上………」

 

 倫花が何とかごまかす中、乱花が確認しに行く。

 なおベッドは二つあったが、部屋中に張り出された謎の美形のポスターに乱花は絶句する事になった。

 

 

「お風呂湧いたって~」

「食事もうちょっとかかるから先に入ってきたらどうだ?」

 

 使えそうな物をかき集めてきたついでに、愛香は魅零が風呂の準備を終えた事を知らせる。

 どこから見つけてきたのか、エプロン姿の総二がそれを聞いて入浴を促す。

 

「そうね………にしてもおかしいわねここ。

奇麗すぎる」

「そっちもか。厨房もやけに奇麗なんだよな。誰かがいつも掃除でもしてたみたいに」

「誰が?」

 

 愛香の疑問に、総二は沈黙する。

 

「まもりさんが言うには、並んでいる器具や調味料が前に使ってたのそのままだって言ってた。食器の類も」

「まんま持ってきたのかしら………」

「どうやって?」

「それこそエイリアンにでも聞いて」

「グレイタイプだろうか、オクトパスタイプだろうか、それともフラットウッズタイプ?」

「攻撃が効くならどれでもいいわよ」

 

 やけに詳しい総二に呆れつつ、愛香は浴場へと向かう事にした。

 

 

「ご飯ですよ~」

「「は~い」」

 

 まもりの掛け声に、皆が集まってくる。

 

「わ、美味しそう」

「なんか材料が色々有ったので頑張って作りました。総二さんにも手伝ってもらって」

「オレ実家が喫茶店だから、たまに手伝いしてるし」

「へ~、そうなんですか」

「常連は変なのばかりだけどね………」

 

 食卓を囲み、皆から緊張感が薄れていく。

 和やかに食事が進み、総二が食後用のハーブティーを入れてきて皆が一服した所で、おもむろに数人が口を開く。

 

「一息ついた所でまず話しておきたい事が有ります」

 

 最初に魅零が口を開く。

 

「ここは私とまもりさんが住んでいたとりのタウンではないようです」

「え、そうなんですか?」

 

 魅零の発言に、当のまもりが首を傾げる。

 

「各所を見てきたのですが、建物が奇麗過ぎます。ここでは何度かヴェルターや組織とのいざこざで戦闘が起きたのですが、その損傷がどこにも見当たらないのです」

「あ、そう言えば………」

「極めつけはこれです」

 

 魅零がハーブティーの入った猫のプリント入りのマグカップを差し出す。

 

「それ、魅零さん専用で使ってた………あ!?」

「何かおかしいとこでも?」

「そう言えばそのマグカップ、私が間違って落として、取っ手掛けちゃったから接着剤でくっつけたはず………」

「無いんです。くっつけた後どころか、全く破損してません」

 

 魅零がマグカップを弾いて、破損を示すような音の濁りが無い事を示す。

 

「つまりここは、何者かがとりのタウンそっくりに作った偽物、という事になります」

「待って、建物どころかマグカップ一つに至るまで!? どこのどいつがそんな面倒な………」

 

 愛香が思わず反論するが、そもそもの現状が異様としか言いようがない事に言葉を濁す。

 

「私も同意見です。多少設備がアレなのはオリジナルに似せたんでしょうけど、まるでここは私達が拠点に出来るように作ってある感じがします」

 

 トゥアールも魅零の意見を肯定し、その場に不穏な空気が漂う。

 

「どうして、そんな事をするのでしょうか?」

「だよね? わざわざベッドにお風呂にご飯まで用意して………」

 

 慧理那の疑問に、乱花も腕組みして唸る。

 

「映画じゃここまで至れり尽くせりじゃなかったな。だったら考えられる事は…」

「こちらの体制も万全にしておきたい」

 

 総二の言わんとする事を、魅零が代弁し、互いに頷く。

 

「何で? そんな面倒な事までして…」

「ひょっとして、私達を万全の態勢で戦わせたい?」

 

 倫花が困惑する中、慧理那がある仮説を出す。

 

「どういう事?」

「その、アニメとか特撮でプライドの高い敵が相手が万全じゃないと戦わないとか言うシーンあるじゃないですか。ひょっとしてそうなんじゃないかと………」

 

 倫花が問い質すのを慧理那がやや自信なさげに返す。

 それを聞いた皆が考え込む。

 やがてトゥアールが口を開いた。

 

「プライド云々はともかく、正解に近いとは思います。先程の戦いも、見ようによっては私達の合流を待ってから仕掛けた、とも取れますし」

「つまり、最初から私達を共闘させるつもりだった?」

「そう考えれば辻褄が合います」

 

 魅零の仮定をトゥアールは肯定する。

 

「だとしたら、もう一つ疑問が浮かび上がりますね」

「何?」

 

 トゥアールの次の疑問に愛香が懐疑的な視線を向ける。

 

「ここ、私達八人で使うには大きすぎません?」

「あ………」

「そう言われてみれば………」

 

 トゥアールに言われ、総二とまもりも思わず声を上げる。

 

「まさか、更に増えるのでしょうか?」

 

 魅零の言葉に、皆は顔を見合わせるしかなかった………

 

 

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