スーパーロボッコ大戦外伝 ディファレンス・ロボッコ・バトル   作:ダークボーイ

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ディファレンス・ロボッコ・バトル EP20

 

「負傷者はこちらに! 重傷度が高い方優先です!」

「追撃の可能性もあるわ、撤退が完了するまで周辺警戒を続行!」

「あっちで火事起きてる! 誰か火消せる人手伝って!」

 

 移動要塞JAMの撃破後、各所で後処理が進められていく。

 

「う~ん、あれほどの巨体でも残骸はほとんど無しですか………」

「これじゃ解析しようもないわ」

 

 トゥアールとイースナが戦闘の後をつぶさに調査するが、肝心の敵の事は分からない事だらけのままだった。

 

「ある種のナノマシンの集合体のような物らしい事までは分かるのですが………」

「あ、あのでかいの中、生き物か機械か分かんねえ作りしてたぞ」

 

 悩むトゥアールのそばを通りかかったテイルレッドが、突入した時に見た光景をそのまま伝える。

 

「兵器ではなく、ある種の生命体なのでしょうか?」

「もしくはその中間か。あまりにも謎が多過ぎる」

「まあまあ、そんくらいにしときいや。リンディ艦長が迎えを寄越す言うとるようやし」

 

 考え込むトゥアールとイースナに、メガ・ネが届いた連絡を伝える。

 

「重傷者や死者が出なかったのが何よりですね」

「あれだけの戦闘にしては奇跡的と言うべきか………」

 

 こちらの被害が少なかった事に安堵する二人だが、そこで皐月に肩を貸している流子を見かける。

 

「もう大丈夫だ、治癒魔法とやらのお陰で」

「馬鹿、足の筋切れかかってたとか言われてたじゃねえか!」

「ああ、あの密着モードは改良の余地ありだな」

 

 互いに神衣の戦闘モードを解除した二人が悪態をつきながらも迎えを待つ姿は、確かに姉妹の物だった。

 

「色々戦闘の問題点も焙り出せましたし、今後の事も考えて共闘体制の見直しも必要ですね」

「こんな事がいつまで続くかだけど」

「あ~、アースラの機能が回復してこの星を脱出できるまですかね~………」

「お~い、迎えが来たようやで~」

 

 問題が山積みの状況に、トゥアールは思わず遠い目をしつつ、帰路へとついた。

 

 

一時間後 アースラ会議室

 

「今回は皆さんご苦労様。全員無事に戻ってこれたのが何よりね」

「全くその通りね」

 

 それぞれのリーダークラスが集められた中、リンディのかける言葉に薫子も頷く。

 

「各自能力が異なるのが、うまく連携出来たのが吉だったな」

「皆さん、それなりに戦い慣れていましたし」

 

 皐月(※傍らに松葉杖付き)の言葉を魅零が肯定する。

 

「だが逆に言えばこちらの手の内はほぼ晒してしまっただろう」

「特に魔法少女達の高火力攻撃は今後一層警戒されるわね」

 

 クロノの呟きに、薫子も戦闘時の事を思い出しながら呟く。

 

「状況から考えれば、恐らくそれこそが目的だったのかもしれん。だが出し惜しみ出来る状況でも無かった」

「そちらにばかり注視されて、拠点に敵が来なかったのは良かったと言うべきでしょう」

「もしくは、戦力の無い所に興味が無かったのか………」

「行動原理も謎のままか」

「何はともかく、警戒体制は維持したままアースラの修理を急がせるしかないわね」

「問題は外部干渉の可能性です。悔しい所ですが、次元技術に関しては明らかに向こうの方がかなり上らしいという事が確かなので…」

 

 色々な意見が飛び交うが、現状の決め手に欠けているという点は誰もが理解せざるを得なかった。

 

「となると、アースラの修理が終わるまで拠点を分割するのが妥当かしら?」

「ギアの整備はこちらでしか出来ませんし、双方の連絡と移動体制を密にして有事の場合は即連動出来るようにすればなんとか」

「今回の襲撃を見る限り、むしろ各個攻撃の可能性は低いかもしれませんし」

 

 リンディ、薫子、トゥアールの意見が一応まとまった所で、会議は解散となる。

 

 

「さて…」

「大丈夫ですか?」

 

 松葉杖をつきながら席から立った皐月を魅零が心配そうに声を掛けてくる。

 

「治療魔法というのは便利だな、もうほとんど大丈夫なんだが、数日無理をするなと厳命されてな」

「それもありますが、そもそも…」

「神衣か。あの密着モードは改良の余地在りだろうな」

「あんな短時間でそれほど負荷をかけるのなら、使うべきではないかと………」

「状況如何だな。次使う時は最後の切り札に使おう。そちらこそかなり無茶をしていなかったか?」

「私はその、少し体をイジられてるので」

「そうか、私と流子もだ」

 

 それとなく魅零が呟いた事に、皐月も頷く。

 

「私は流子程に生命戦維に適性が無くてな。半ば精神力で純潔を使用しているような物だ」

「そう言えば、流子さんの心臓は…」

「そういう事だ。お互い、元の世界に戻れるまでは無茶も大概にしておこう。特にこちらは母親に引導を渡すまでは死ぬ訳にいかない身なのでな」

 

 危険な事を笑いながら宣言する皐月に、魅零はどこか複雑な顔をするしかなかった。

 

 

「う~ん、やはり原因は外部からの次元干渉、ただ徹底的にプロテクトされたリアクターにとなると………」

 

 修理作業が続くアースラの動力室で、故障原因の解析を進めていたきつね色の髪をした少年が唸っていた。

 

「ユーノ、分かった?」

 

 そこにイースナが状況確認に顔を出し、唸っていた少年 ユーノ・スクライアが更に首を傾げる。

 

「やはり信じられないけど、アースラのプロテクトを力任せに破ったとしか思えない。けどとんでもない出力が必要だし、効率が悪すぎる」

「さっきの戦闘ではっきりしたわ。あのJAMとかいう連中、効率なんて考えてない」

「え?」

「目的のためなら手段を選ばないって奴ね。先程の戦闘も、恐らくこちらの戦力を最大まで引き出させるのが目的だったと思う」

「ま、待った。ボクも見てたけど、あれが威力偵察だってのか!? あんな巨大な物まで出してきて!?」

「恐らく、戦力の喪失を恐れてない、と言うかそもそも気にしてもいないかもしれない。アレはそういう連中よ」

「じゃあ一刻も早くリアクターを修復させないと! 次は何で来るか………」

「私も少し休んだら手伝うわ」

 

 修復が更に難航しそうな事を確信しつつ、イースナは取りあえず一休みするために用意された船室へと向かった。

 

 

同時刻 成子坂製作所

 

「よくもまあ全員無事だったもんだ」

「共闘が殊の外うまく行きました」

 

 磐田がギアのダメージチェックと修理を進める中、文嘉もダメージ状況を確認していた。

 

「全員無事だったってのが何よりだ。さすがにあそこまでの大物はヴァイスにも中々いねえ」

「皆さん戦い慣れた人達ばかりでしたから。ただ問題は…」

 

 文嘉と磐田が、修理に必要なスペアパーツと現在の在庫に目を通す。

 

「幸か不幸か、部品が届いたばかりだったからまだ少しは持つ。だが長期間は無理だな」

「そうですね………技術格差どころか、そもそも根幹が違い過ぎて他の所からの融通は出来ませんし」

「少なくてもアクトレスの中に魔女っ娘はいねえな」

「確かに………」

 

 今回は勝利出来たが、今後の事を不安に思いつつ、ギアの修理が進められていった。

 

 

「ふあ~………」

『起きたのか流子。大分疲れていたな』

 

 とりのタウンの部屋で目を覚ました流子は、ハンガーに掛けられていた鮮血に言われて窓の外が真っ暗な時間だという事に気付く。

 

「晩飯の後また寝ちまったか………」

『あれだけの激戦だ。休める時は休め。深夜の警備シフトも入っているからな』

「そういやそうだった。まだ時間はあるか」

 

 眠気覚ましにコーヒーでももらってこようかと借り物のパジャマ姿のまま廊下へと出る。

 そこで廊下の奥から何かくぐもった声が聞こえてきた。

 

「あっちは確か…」

 

 何だろうかと声のする方に足を向けた流子だったが、声がはっきりしてきてからある事に気付く。

 

「ダメで…まもりさ…」

「ここもこん……魅零さ…無理ばかりして…」

「そこは、あぁ…!」

 

 会話の内容に気付いた流子から眠気が一気に吹っ飛び、顔面が紅潮していく。

 

「え、ちょ…」

 

 硬直する流子だったが、そこで背後から伸びてきた手に引っ張られて廊下の曲がり角へと引きずり込まれる。

 

「誰…」

「しっ…!」

 

 思わず声を上げそうになった流子だったが、引きずり込んだ相手が愛香だと気付き、静かにするように言われて慌てて自らの口を塞ぐ。

 

「その、あの二人マジで…」

「そうらしいわね…聞かなかった事にしましょう…」

 

 二人で小声で話して頷くと、物音を立てないようにそっとその場を離れる。

 

「なあ、まさかあっちの姉妹も…」

「知りたい?」

 

 思わず出た疑問に愛香が逆に問い返してきて、流子は思いっきり首を左右に振る。

 

「私も知りたくないわ。プライベートにはあまり首を突っ込まない事にしましょ」

「違いねえ………にしても、戦闘の時と逆なんだな………」

 

 流子の呟きに、二人は再度顔を真っ赤にして足早にその場を離れた。

 同時刻の警備シフトに当たっていた二人だったが、その事については一切口にする事は無かった。

 

 

翌朝 とりのタウン

 

「ふぁ~………」

「あ、起きてきた」

「お嬢様はまだ寝てんのか?」

 

 総二が起きてきたのを確認した愛香と流子が、自分達もあくびをかみ殺す。

 

「トゥアールはやっぱ向こうに行ったまんまか」

「向こうの修理の算段着くまで帰ってこないんじゃない? やっぱここから脱出するにはあの戦艦必要だろうし」

「皐月も無理しそうだからって向こうに止められてるしな。あ、さっき成子坂から連絡あって、ギアの整備はもう少しで終わるとさ」

「次がいつどう来るかだな………あんなデカいのの相手は勘弁だが」

「違いねえ」

「内部に特攻した二人が何言ってんのよ………」

 

 笑いながら話す総二と流子に呆れる愛香だったが、そこでふと窓から外を見る。

 昨日あれだけの激戦が有ったとは思えない静かな朝に、愛香の口からため息が漏れた。

 

「一体いつになったら帰れるのかしら………?」

「ボスでも倒せばいいんじゃねえか?」

「いるのか? あいつらに?」

「いたら苦労しないわよ………」

 

 

(先日の戦闘結果、各対象の戦闘レベルを上方修正)

(対象同士の共闘による戦闘レベル上昇、予測値から3・5上昇修正)

(対象旗艦、未だ起動の様子観測出来ず)

(次の確認作業、準備態勢に移行………)

 

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