スーパーロボッコ大戦外伝 ディファレンス・ロボッコ・バトル 作:ダークボーイ
JAM大規模襲撃から数日後 アースラブリッジ
「動力炉修復の目途は立ちそうなのですが、やはり問題は外部干渉の可能性です」
『ようやく直したと思ったのを壊されたら溜まりませんからね………』
リンディと薫子が、アースラの修理状況の確認で深刻な顔をしていた。
「現在、対抗手段を模索しているのですが、どうにもかなりの力技で干渉してきたらしく、そうなると打つ手が中々…」
『何事も一番簡単なのが圧倒的な力技なのはどの世界も変わらないようですね』
「JAMがあとどれほどの戦力を有しているかも不明ですし、一刻も早い脱出が必要なのですが………」
『こちらも前回程の戦闘が続いたら、補修部品や弾薬の問題が出てくるわ………』
「それと食料ですね。一応この星の原生植物の調査もしてますが、食用転用は難しいらしいとの報告が」
『完全に籠城戦状態ね………しかも全く想定していなかったという最悪の状況で』
「どの物資でも枯渇した時点でリミットでしょう。取りあえずアースラの起動状態だけでも確保してみます」
『お願いします。単騎では大気圏突破も難しいようなので………』
通信が切れると、リンディは思わずため息を漏らす。
「エイミィ、アースラの現在の物資在庫は?」
「はい艦長。食料は次元トラブルに備えて特殊圧縮食料を含めてまだ75%は有ります。ただ修理用物資はリアクターの修理にかなり消費しており、現状だと51、あ今50%になりました」
リンディの問いにオペレーターの女性が答える。
「枯渇する前に何とかしないとダメね」
「ええ、まあ他のチームも含めて皆さん戦意だけは高いようです。今も外で模擬戦なんてやってますし」
「怪我はさせないように、と言っても好戦的な人もいるようだからね………」
「でもいい子ばかりですよ。見た目はアレな人もいますけど」
「それが一番の救いね………」
「おりゃあ!」
流子の気合と共に振り回される片太刀ばさみを、対峙したシャマルが距離を取りながらかわす。
「戒めの糸」
反撃とばかりにシャマルがクラールヴィントから無数の魔力の糸を繰り出すが、相手に届く前に全て切断されてしまう。
「悪ぃな、糸を斬るのは得意なんだ。そのための得物だしな」
「なるほど」
片太刀ばさみをかざす流子に、シャマルは頷くと魔力を収束させ、小型の機雷のような物を作ると投じてくる。
(気を付けろ流子!)
「あんなあからさまにヤバそうなの、近付くわけ…」
鮮血からの警告に流子が距離を取ろうとした時、謎の機雷のような物が炸裂、すさまじい閃光と轟音が周囲に轟く。
「しまっ…がはっ!」
「え?」
それが機雷の類ではなく、魔力式スタングレネードだと気付いた流子が思わずたじろいだ瞬間、突然流子の体が硬直する。
その胸元から、突如突き出た手に生命戦維製の心臓が握られている事に、他でもない不意打ちを狙ったシャマル自身が驚いていた。
「す、すいません! 今戻します!」
「いきなり人の心臓狙うたぁ、中々エグイな………」
シャマルが転移魔法を使ってしてきた攻撃の効果に、シャマル自身が大慌てで腕と心臓を戻し、流子が自分の胸を撫でてそこに心臓が戻っている事を確認しながら思わず苦笑する。
「ほ、本来はリンカーコア、つまりは魔力中枢を抜き取る技なんですけど………流子さんの力の流れが胸元に感じられたので、てっきり何か核があるんだと、まさか心臓その物だとは……本当にすいません。その大丈夫ですか、体の。」
「その辺は大丈夫だ。生命戦維製だけあって頑丈なんだよ。この心臓」
「なるほど、ならば流子の中枢はその心臓という事か」
「私達だとどうなるんだろ?」
「ツインテール?」
二人の模擬戦を見ていたギャラリーの中で、皐月が納得して頷くが、愛香と総二は首を傾げていた。
「シャマル、幾らなんでも今のはひどすぎるわ………」
「心臓掴みだしたのは私も初めてで………本当にすいません………」
「いいって。心臓掴みだされるのは二度目だし」
「え?」
「直じゃない分、前よりはマシだな」
「は?」
はやてに苦言を呈され、模擬戦を中断してシャマルが平身低頭する中、流子は手を振って謝罪を受け入れるが皐月の一言に皆が凍りそうになる。
「私達よりハードな人生送ってますね………」
「まあ、ある意味………」
まもりも思わず呟くのを、魅零が顔をしかめながら頷く。
「やはりこういう事は早めに分かっておくべきだな。互いの能力がどう干渉してどう影響するか、今の内に洗い出しておく必要が有る」
模擬戦を提唱、管理していたクロノの発言に、全員が頷く。
「じゃあ次は…」
「私達が!」
「じゃあ私が」
手を上げたまもりに、フェイトが応じる。
「では始め!」
「へ~、模擬戦ですか」
「私達もやっておいた方いいかもですね」
定期巡回に飛んできたのどかと夜露が、リアルタイムで送られてくる模擬戦のデータをチラ見しつつも、偵察飛行を続けていた。
「なんかさっき、見えてはいけない物見えてませんでした?」
「ギア相手だと何が抜き取られるっすかね………」
あれこれ会話しつつ飛ぶ二人だったが、先日の激戦がウソのように何の反応も感知されない。
「何か、平和ですね………」
「私はむしろ怖いです。嵐の前って感じで」「そうですか………」
「上空の警戒機はそのままだし、この惑星に閉じ込められているのは間違いないから」
「イエローさんに一機ずつ落としてもらうとかって出来ませんかね?」
「あれすごい疲れるから無理だって、総二さんから言われたっす」
「なんかすごい体勢で撃ってたらしいですね………」
取り留めも無い話をしながら、二人は巡回を続ける。
「少しエリアを拡大してほしいって話だから、あの山の向こう辺りまで行ってみましょう」
「はい!」
「もし何か有っても私達だけで探索はしない、接敵しても交戦はなるべく控える。分かってますね?」
「もちろんです、夜露さん!」
出発前に薫子に念押しされた事を復唱しつつ、二人は取りあえずの目的とした山を越えていく。
「………何もないですね~」
「まあ早々すぐに何か見つかるとは…ん?」
センサーの精度を上げつつ、目視でも周囲を探索する二人だったが、そこで夜露が遠目に何かが見える事に気付く。
「10時方向、何かあります。警戒モードにして接近するっす」
「了解!」
やや速度を落として接近する二人だったが、やがてその輪郭が見えてくる。
「建物、みたいですね………」
「問題は何の………うん?」
段々ハッキリしてくる輪郭に、夜露が首を傾げていく。
「え~と、夜露さん。あれって………」
「お城、ですかね………」
のどかも自分達の視線の先に、西洋城を思わせる建造物を発見して思わず目を疑う。
「それだけじゃないです」
「周囲に………こっちは普通の建物っていうか………」
「校舎?」
二種の建造物が交じり合ってるような奇妙な施設に、間近まで接近した二人はそのまま周囲を旋回する。
「何でしょうかこれ………」
「さあ………とにかく、詳しい調査は後回しで報告を」
念のため一度距離を取った二人は、困惑しつつも通信を入れる。
「こちら夜露、新規偵察エリアにて謎の建造物発見。詳細データ送ります」
『了解、場所の確認だけして帰投しなさい。何が有るか分からないから、帰り道十分警戒を』
「了解。聞いてますね、のどかさん」
「はい、もう少し調べてみたい気もしますけど………」
「危険です、それこそ何が潜んでいるか………」
「そうですね。皆さんと一緒に来ましょう」
帰途に着こうとする二人だったが、そこでのどかが二種の建造物にそれぞれエンブレムがある事に気付く。
「校章…かな?」
それを映像データで保存したのどかは、夜露の後に続いてその場を離れる。
その二種の建造物が、フェステと本能寺学園と呼ばれた物と酷似している事を知るのは、後の事だった………