スーパーロボッコ大戦外伝 ディファレンス・ロボッコ・バトル 作:ダークボーイ
「何だこれは…」
「これって…」
アースラのブリッジに緊急招集された者達の前に、つい先程送られてきたばかりのデータが公開される。
「まさか、フェステ?」
「こっちに見覚えの有る校章の付いてる建物も有っぞ」
まもりと流子がそれぞれ見覚えの有る建物に首を傾げる。
「つまりこれは、二種類の建物が結合していると?」
「外見だけ見ればそうなるな」
魅零と皐月が簡単にまとめる中、別の問題が出てくる。
「なんか、ボロくないか?」
「ですよね?」
総二が見える建物が年季が入っているようなヒビやツタが覆っているのに気付き、なのはも頷く。
「あれ、もっと立派だったような………」
「こっちもここまでひどくは無かったぜ? まあ壊れるのはしょっちゅうだったが」
まもりと流子もその事に首を傾げた所で、映像は終わる。
「これはアクトレスの方達から送られてきた最新情報、この星に新たな建造物が見つかったという事。そしてデータを精査したら、内部に何らかの反応らしき物が有ったそうよ」
リンディの言葉に、全員が反応する。
「何らかって、何?」
「まさか私達以外にも誰か…?」
「微弱過ぎて不明よ。生命体である可能性は否定出来ないわ」
「だが罠の可能性も否定出来ない」
「かといって放置も出来ませんし………」
皆があれこれ言いながら考え込む。
『どの道、調査は必要よ。アリスギアでは屋内戦闘に向かないから、他のメンバーで探索班を選抜する事になるけれど』
通信参加の薫子の提案に、全員が互いの顔を見てから頷く。
「それではこれからこの建造物探索班を選抜します」
リンディの立案の元、早急に探索班が選抜されていった。
数時間後
「よっし行くか」
謎の校舎らしき建造物の前で、流子が気合を入れながら鮮血を発動させる。
「気を付けてください、何が有るか分かりません」
魅零もドライヴしたまもりの剣を手に、警戒を高める。
「ボロい割に立派だよな」
「何か変なのは間違いないけど」
「お化け出そう………」
「そんなの吹っとばしゃいいんだよ」
テイルレッド、テイルブルー、なのは、ヴィータとその後に後に続く。
「それでは我々は周辺警戒に当たります」
「何かあったら戻って来るんやで。いざって時逃げ帰る準備もしとるし」
「その時はよろしくお願いします」
「分かってる」
「はてさてどうなるか………」
シグナムとはやてに見送られ、最後尾のトゥアール、フェイトとアルフが校門らしき物がある塔へと向かう。
「大丈夫でしょうか………」
警戒及びサポート班になったテイルイエローが一行を心配そうに見送る。
「まあ、何かあったらなのはちゃんが中からウチらが外から吹っ飛ばす手はずやし」
「アクトレスも上空待機してますからね」
シグナムが上空に待機しながら常時観測を行っているアクトレス達を見ながら、気を張り巡らせて周辺警戒を始めた。
「外見的にはフェステのそれとほぼ同一ですね」
「門番か何かいたりして…ん?」
先頭を行く魅零と流子が、校門に当たる部分に何か見えたのに警戒するが、すぐにそれが何か気付く。
「これは…」
「理科室とかにあるアレだよな?」
魅零と流子が校門の上から磔のように吊るされているのが、人体模型だと気付いて首を傾げる。
「ホラーゲームかよ…」
「あ~、思い出すな。私が本能寺学園に転入した日も、ここに裸にされた男子生徒が吊るされてたっけ」
テイルレッドが呆れる中、流子がふと大分遠くに思える転入初日を思い出すが、そこで魅零が抱えていた大剣が震える。
「大丈夫です、まもりさん」
「どうかしたか?」
なだめるようにまもりの変じた大剣を撫でる魅零に、テイルレッドが思わず声をかける。
「こちらでも似たような事が………ただ吊るされていたのは敗北して男装がバレたグヴェルネア、平たく言えば生徒会長がその同じように…」
「悪っ、嫌な事思い出させちまったか」
言葉を濁す魅零に、流子が頭を下げる。
「あんた達、もうちょっとパーティー構成を考えなさいよ」
「そうよ」
「すまねえ………」
後ろでテイルブルーがなのはの、アルフがフェイトの耳を塞いでいる事に流子が更に頭を下げると、釣り下がっていた人体模型を片太刀はさみで即座に斬り捨て、バラバラにして散らばらせる。
「つまり、これを用意した者達は双方で似たような事が有ったと知っているのか」
皐月の一言に、全員がハっと気付く。
「どうやら我々は、JAMとやらに大分前から目をつけられていたようだな」
「そう、なりますね………」
「なんか入りたくなくなってきたわ………」
皐月の示す可能性に魅零は考え込み、テイルブルーは大きなため息を漏らす。
「でも、誰かいるかもしれませんし」
「調査は必要です」
「魔法少女はやる気満々ですね~」
後ろから率先して進む事を提案するなのはとフェイトに、トゥアールが納得したように頷く。
「注意して進みましょう」
「鬼が出るか蛇が出るか、てね………」
『それで済めばいいが………』
魅零と流子が先頭を進む中、鮮血は明らかに異様な雰囲気の校舎に違和感を感じていた。
校門を進み、敷地内に入った一行は、最初にある事に気付く。
「やっぱボロいぞ?」
「おかしいですね、私達の知っているフェステはもっときれいでしたが………」
「マジでホラーゲームみてえだな」
「幽霊とかゾンビが出てきたりする?」
流子と魅零が周囲を見回し、明かにおかしいのを確認する中、テイルレッドとブルーは思わず呟く。
「むう………」
校舎へと近付いた皐月が、外壁に手を当ててひび割れ苔むし始めているそれを確認すると、いきなり無造作に手にした縛残を突き刺す。
「あの、何を…」
「トゥアール女史、これを」
なのはが突然の事に驚く中、皐月は白刃を突き刺した拍子に零れた外壁の破片をトゥアールに投げ渡す。
「おっと、これはこれは………」
受け取ったトゥアールは、すぐにそれがおかしい事に気付く。
他の者達も破片を覗き込み、その意味を悟る。
「表面だけ?」
「そのようだ。わざと古びたように細工されている。何の意味が有るのか、ただの悪趣味か、判断に困るな」
破片の内側部分が外側に比べてほとんど傷んでいない事に、皐月が縛斬を鞘に納めながら嘆息する。
「意味不明です。学校を模しておきながら、まるで廃墟のようにするとは………」
「ただの悪趣味じゃねえの? どっちにしろこっちの知った事じゃねえ」
それこそホラーゲームのような状況に誰もが首を傾げつつ、校舎の中へと入っていく。
「ちとボロいけど、中は普通だな」
「そこらからレーザーとか飛んでくるかもよ?」
「はやてと一緒に見たな、こういう雰囲気のアニメ。だとしたらお化けが出てくるとか」
テイルレッドとブルーが廊下の窓越しに見える教室内を確認する中、ヴィータの余計な一言に皆が敢えて言わなかった可能性を指摘される。
「う~ん、確かにそんな雰囲気…」
「でもJAMは今の所物理攻撃しかしてこない。霊的や魔法的攻撃をしてくるとは思えない」
なのはも考え込む中、フェイトは否定を口にする。
「魔法少女に言うのもアレだが、いるのかそんなん?」
「魔法技術で作られた疑似生命とか有り得ます。私みたいに」
『え!?』
フェイトの意外な言葉に、全員が一斉にそちらを見る。
「フェイト…」
「私はプロジェクトF.A.T.Eで作られた、魔導クローンなんです」
「クローン人間なんてマジでいるんだ………」
「…ま、私も心臓作りモンだしな」
「実は私も少々改造されてまして…」
フェイトの意外な告白にアルフが思わず咎めるが、テイルレッドは驚くが流子と魅零は受け流す。
「どうせ全員訳ありだ。気にする必要は無い。ちなみに私は改造されそこねた口だ」
皐月が断言した所で、突然縛斬を引き抜く。
「今、何か動いた」
皐月の一言に全員が一斉に構え、全方位を確認する。
「何かってなんだ!」
「分からん、一瞬だった」
「本当にお化けじゃないでしょうね………」
流子の確認に皐月は首を左右に振るが、テイルブルーは思わずボヤく。
「それならかえって好都合だ。この間留守番させられた分、暴れてやるぜ!」
「見た目に反して好戦的ですね、この子…」
鼻息を荒くしてハンマー型デバイス、グラーフアイゼンを構えるヴィータをトゥアールが不思議そうに見ながら、周辺をサーチする。
「動体反応複数! 何か来ます!」
「だから何が!」
「来ました!」
トゥアールの報告にテイルブルーが怒鳴り返すが、魅零が廊下の向こうから迫りくる何かに気付く。
同時に窓を突き破り、何かが飛び出してきた。
「お、お化け!?」
なのはが思わず叫ぶそれは、大きな紳士服のような形をした何かだった。
「カバーズ! こいつらがここにいるだと!?」
それが原初生命戦維の先兵だと気付いた皐月が叫ぶ中、カバーズが次々と襲い掛かる。
「ふっ!」
「おりゃあ!」
魅零とテイルレッドが襲ってきたカバーズを両断するが、思っていたよりも軽い手応えが返ってくる。
「こいつら大した事は…」
「あぶねえ!」
テイルレッドが即座に次に移ろうとした時、流子に強引に突き飛ばされ、両断されたはずのカバーズが襲い掛かろうとしていたのに気付く。
「糸だ! 繋がってる糸を切れ!」
「気を付けろ! こいつらは人間を捕らえてエネルギー源にする!」
流子と皐月の警告に、他の者達はそこでカバーズから長い糸のような物が伸び、校舎のずっと奥に繋がっている事に気付く。
「お化けじゃなくてマリオネットか!」
「ええいうざったい!」
テイルレッドとブルーがカバーズの攻撃をかいくぐり、カバーズから伸びた糸を切断していく。
「けど弱点が分かってるなら対処は出来る」
「でも向こうからいっぱい来た!」
アサルトフォームのバルディッシュ・アサルトでフェイトは的確に糸を切断していくが、なのはが廊下を埋め尽くさん程のカバーズが向かってくるのに気付く。
「下がってください! レイジングハート!」
『Standby』
「アクセルシューター・バニシングシフト!」
なのはの前に無数のターゲットサイトが展開したかと思うと、無数の魔力球発射され、押し寄せてくるカバーズを軒並み撃ち抜いていく。
「やっぱすげえな………」
「油断するな! 切り損ねた奴は向かってくるぞ!」
テイルレッドが改めてなのはの火力に驚く中、皐月の警告より早くフェイトが高速で動いて討ち漏らしたカバーズの糸を切断していく。
「大体片付いたようですね」
「ちっ、まさかこいつらが出てくるとはな」
魅零が敵影が見えない事を確認し、流子が片太刀はさみを一振るいしながら舌打ちする。
「そちらの話からすると、これらの中枢がいるという事になりますかね?」
「ああ、恐らくな」
トゥアールの確認に、皐月が頷く。
「だが数的には少ない。こちらでは世界を埋め尽くす数で出てきたからな」
「スーツアポカリプスかよ………」
「もうとっととここなのはちゃんに砲撃させた方よくない?」
皐月の話す内容にテイルレッドとブルーがうんざりした顔をしながら、周囲に他に異常が無いかを確認していた。
「反応って、やっぱさっきの連中?」
「かもしれませんね」
「確かに焼き払うのも手だが、大元を確実に叩いておきたい。ここは進もう」
ビーストモードのアルフが鼻を鳴らして他に何かいないかを調べる中、トゥアールが先程の戦闘データを精査していくが、皐月は校舎の奥の方を鋭い目つきで睨みつける。
「それとどうにも双方の校舎が入り混じっているのか、間取りが変わっている。マッピングの必要が有るな」
「ようですね。私とまもりさんは実は入ってすぐ脱走したので、フェステの作りは左程詳しくないですし」
『こちら夜露、外部にもそちらに出たのと同じと思われる敵影確認。ただ少数なのでこちらで対処します』
『こちらシグナム。もう対処しました』
外からの通信に、流子は再度周囲を見回す。
「確かに大元叩かねえと、際限ないからなあいつら」
「更に警戒しながら進みましょう」
全員が周囲を油断なく警戒しながら、数度カバーズの襲撃を苦も無く対処しながら一行は進む。
「やはり妙だ、攻撃が散発過ぎる」
「だよな? こいつらもっとゾンビ映画みてえに押し寄せてくるはずだよな」
「これがゾンビ映画みたいにか………」
「それはそれでシュールね………」
いぶかしむ皐月と流子に、テイルレッドとブルーはその光景を想像してうんざりした顔をする。
「どこかに誘導されているかもしれません」
「私もそう思う」
魅零の指摘にフェイトも頷き、皆も互いに頷く。
「問題は、どこに何のためという事だが」
「状況から推定するに、屋内戦のデータを取られているのかもしれませんね」
「この間は大規模屋外戦で今度は屋内戦ですか………JAMというのは随分細かい所にまでこだわるのでしょうか?」
皐月の疑問にトゥアールがある可能性を示すが、魅零は少し考え込む。
「どの道、行きゃ分かるだろ」
「だよな」
「服のお化けの次は何? 今度こそゾンビとか出てこないでしょうね?」
「さすがにそれはちょっと………」
「ゾンビの本物は相手した事は無い」
割り切っている流子とテイルレッドに、他の者達はあれこれ想像するが、やがて廊下の先に何か明るい場所がある事に気付く。
「どうやら、あそこが目的地みたいだぜ」
「じゃあ、行くか!」
我先に流子とテイルレッドが己が得物を手に飛び込んでいく。
「待て、罠の可能性も…」
「私達も」
「おうよ!」
皐月が止めようとするが、魅零とヴィータも後に続いた事で全員が一斉に廊下の先に飛び込み、そして動きが止まる。
「おいおいこれって………」
「まさか…」
先陣を切った流子とテイルレッドが構えていた得物を手にしたまま周囲を見回す。
そこは大きく円形に開けた中庭のような場所で、周囲を壁に囲まれ、その向こうにバルコニーのような物まで有った。
「これは、闘技場か」
「ええ、間違いありません。フェステにあった物と同じです。アーム達はここで技とランクを競っていました」
「どういう学校よ………」
「こちらも似たような物だったが」
「だな」
皐月がそれが何かを推察したのを、魅零が肯定、思わずテイルブルーが突っ込む中、皐月と流子は思わず苦笑する。
「で、こっからどうなんだ?」
「私達の時は相手が用意されてましたが………まあかなり変わった方々でしたが」
流子の問いに魅零が過去を思い出し、まもりが変じた剣をその時の事を思い出したの少し震えていた。
全員が入って来た所で、背後も壁がせり上がり、完全に囲まれる。
「盛り上げてくれるじゃねえか」
「正面、地下から来ます」
流子が思わず口笛なぞ吹きそうになる中、魅零が大剣を正面に向けて構える。
だがそこで魅零の予想を裏切り、闘技場の各所の床が開いたかと思うと、そこから何かがせり上がってくる。
「これは…!」
「どうやらこっちに合わせてくれるみてえだぜ」
「来るぞ!」
せり上がって来た何かに向けて、全員が一斉に得物を構えた………