スーパーロボッコ大戦外伝 ディファレンス・ロボッコ・バトル 作:ダークボーイ
それは周辺の建物を上回る全長を誇る、巨大な人型ロボットだった。
マントでそのほぼ全身を覆った人型ロボットが、その視線を驚愕の顔で見る者達へと向ける。
「うわ、すげえの出てきた!」
「どんな趣味してやがんだ!」
テイルレッドと流子の口から同時に正直な感想が漏れる中、まもりの変じた大剣が魅零の手の中で震える。
「まさか、シュリ!?」
「魅零さん知ってるんですか!?」
その巨大ロボの名を呼んだ魅零をなのはが思わず問う。
「グヴェルネアだった昌さんが連れていた、人工エクスターです! しかし、こんな巨大ではなかったはず! そもそもこちらでの決戦で破壊されてます!」
「じゃあパチ物って事?」
「来ます!」
魅零の説明にテイルブルーが首を傾げかけるが、フェイトの警告に全員が一斉に警戒する。
巨大シュリのマントが膨れ上がったかと思うと、そこから幾つもの赤い剣が射出、地面へと次々と突き刺さる。
ボロ布と化したマントを脱ぎ去り、エメラルドグリーンとパープルの女性型ボディを露わにした巨大シュリは、地面に刺さった剣の一本を手にしたかと思うと、その巨体からは想像出来ない速さで横薙ぎに振るわれる。
「な…」「ちっ…」
一番先頭にいたテイルレッドと流子が避けきれないと判断してそれぞれの得物で受け止めようとするが、勢いを受け止めきれず、弾き飛ばされる。
「総二!」「流子さん!」
テイルブルーと魅零が思わず叫ぶが、二人はなんとか直撃だけは避け、かろうじて体勢を立て直す。
「こいつ、リアル系かと思ったらスーパー系並の出力だ!」
「気を付けろ、下手な得物じゃ持たねえかもしれねえ!」
テイルレッドも流子も手にした得物が無事な事を確認しつつ、それを持っているのがやっとな程腕がしびれている事に改めて相手の危険度を認識する。
「シュート!」
距離を取ったなのはが砲撃魔法で攻撃を試みるが、巨大シュリの頭部に装着されたツインテールのようなパーツが動いてそれを弾き飛ばす。
「効かない!?」
「ならこいつだ! シュワルベフリーゲン!」
今度はヴィータが鉄球のような魔力弾を形成し、グラーフアイゼンで次々打ち出す。
巨大シュリはそれも弾こうとするが、着弾と同時に魔力鉄球は爆発、しかしそれもダメージにはなっていなかった。
「こいつ、強度も半端じゃねえ!」
「明らかにオリジナルを超えるスペックです!」
半端な攻撃は全く効果が無い事を皆が悟る中、今度は巨大シュリが両手にそれぞれ剣を持って迫る。
「ならば!」
フェイトが高速移動してザンバーモードのバルディッシュ・アサルトで巨大シュリの足を斬りつけるが、それも表面に傷をつけるだけに終わる。
「散開!」
危険と判断した魅零が指示を出し、全員がバラバラの方向に回避する。
巨大シュリはその中から上空に飛んだなのはに素早く狙いを定めて剣を振り下ろそうとするが、その剣に横手からの攻撃が叩き込まれて軌道がずれ、狙いを外れる。
「小さい子から狙うなんて最低ね!」
遅れて飛び上がったテイルブルーが受け止めるのは無理でも、受け流すのは可能と判断してウェイブランスを構える。
「助かりました!」
「防御は任せて! なのはちゃんはいざって時のトドメを!」
「はい!」
なのはが狙われたのは彼女の火力だと判断したテイルブルーが、なのはの前で巨大シュリへと立ちはだかる。
「正面から戦わないで、攻撃はなるべく受け流してください!」
「なんとかやってみる!」
「私はフェイトと足を狙うわ!」
「トゥアールもっと下がれ! 巻き込まれるぞ!」
「そうします!」
各自が即座に役割分担していく中、巨大シュリは今度は両手それぞれに剣を握り、ツインテールパーツが警戒するように蠢く。
「四刀流ってかい」
「こんな悪趣味なツインテールが有るか!」
流子が思わず揶揄するのをテイルレッドが思わず怒鳴るが、次の瞬間巨大シュリが動く。
両手を大きく振りかぶったかと思うと、手にした剣を両方こちらへと投じてくる。
『危ない流子!』「おわあっ!」
鮮血の警告に流子は思わず這いつくばって剣を避けるが、巨大シュリが即座に他の剣を手にするのを見て顔色が変わる。
「そういう事か!」
「やべえ、まず剣を破壊だ!」
「はああっ!」
巨大シュリの戦闘スタイルを理解した流子とテイルレッドが後何本相手の剣が突き刺さっているかを確認し、魅零が手近の一本に斬りかかるが、半ばまで食い込んだ所で止まる。
「この剣も…!」
「そのままだ!」
そこへヴィータがグラーフアイゼンを振りかぶり、半ばで止まった大剣の背を叩きつけて強引に斬り割く。
「まもりさんにあまり無茶はさせないでください!」
「分かってるって!」
魅零がまもりの変じた大剣に異常が無い事を確認しながら叫ぶが、ヴィータは一応加減した事を叫ぶ。
「次が来るぞ!」
今度は巨大シュリが二本の剣と二本のツインテールパーツを振りかざし、そのまま一気に振り下ろす。
「うわあっ!」
「総二さん!」
四つの同時攻撃のただ中に取り残されたテイルレッドにトゥアールが思わず叫ぶが、その小柄さで直撃は何とか避けたが、吹き上げられた地面の欠片まで避けきれずに食らってしまう。
「鮮血! 皐月のアレ!」
『! 少しだけだぞ!』
追撃が来る前に、流子が鮮血に頼んで神衣を脚部に集中、一時的に高速となってテイルレッドを追撃の範囲から連れ出す。
「無事か!」
「ああ、テイルギアは頑丈だから」
なんとか体が動く事を確認したテイルレッドが、再度ブレイザーブレイドを構える。
「何という性能………明らかにオリジナル以上です」
「これならこの前のデカいのの方がマシだったんじゃねえか?」
「かもな…」
魅零が呟くのに流子とテイルレッドも頷く。
「くっ!」
「このっ!」
速度を活かしてフェイトとアルフが巨大シュリの脚部を連続攻撃しているが、ダメージは少なく、動きの速さに大技も叩き込めない状態に陥っていた。
「可能性ですが、前回の戦いを元に改良されているのでは…」
「つうかどう見てもそうだろ!」
「明らかに大技ばっか警戒されてるしな!」
魅零の推測に、巨大シュリの攻撃を回避しながらテイルレッドと流子が叫ぶ。
「前のはデカすぎて苦労したけど、こっちのは速過ぎる!」
「しかもかてえ!」
振り下ろされた剣を交わしざま、テイルレッドと流子が同時に斬りかかるが、それも表面を削るだけに終わっていた。
「魔法少女隊! なんかこいつ縛れるような魔法無いか!?」
「ダメだ、速過ぎる!」
「半端な拘束魔法ではとても!」
テイルレッドの質問にヴィータとフェイトが回避と攻撃を繰り返しながら返答してくる。
「つまりなんとか動きを止めないとダメって事か!」
『何か手はあるのか!?』
攻めあぐねる流子に鮮血も解決手段を思いつかない。
『こちら薫子! 上空にも敵影を確認! でもまさか…!』
「何が…」
そこに突然飛び込んできた通信にトゥアールが上空を見る。
そこには、漆黒の光沢を持つ、生物や十字型などの形を持った何かが迫ってきていた。
『ヴァイス! この星にも来てたの!?』
『いえ、恐らくはJAMに鹵獲されていたのでは………下の敵機のように』
『来る!』
それがある世界で人類に地球放棄を決断させざるをえなかったアクトレス達の仇敵、ヴァイスだと知ったアクトレス達が一斉に臨戦態勢に入る。
「上空からの援護もこれで不可能………全て作戦?」
「ぼさっとするなトゥアール!」
考え込むトゥアールだったが、テイルレッドの声に我に返ると攻撃の余波が届きそうになるのに慌てて更に離れる。
『トゥアールさん! これ以上戦況が悪化するなら、一度撤退を!』
「考慮中です! けど皆さんまだやる気のようです!」
戦況をモニターしていたリンディからの撤退勧告に、トゥアールはそれでもまだ皆が戦っているのを見る。
「どうにか足止められねえのかこいつ!」
「誰かトリモチでももってねえか!」
「無いわよそんなの!」
「オリジナルは大火力を誇るアームで一度破壊されたそうですが…」
「どうやって当てんだよ!」
「せめて数秒でも止められたら!」
誰もが苦戦する中、それでもなお戦意は失われていなかった………