スーパーロボッコ大戦外伝 ディファレンス・ロボッコ・バトル   作:ダークボーイ

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ディファレンス・ロボッコ・バトル EP03

「他にもいるの? 私達みたいのが」

「あくまで仮定の話ですが」

「あり得ない話ではないですね………」

 

 愛香が首を傾げ、魅零も確信は無かったが、トゥアールはむしろ肯定する。

 

「けど、もう日が暮れてる。いるかどうか分からないのを探しに行くのは………」

「あくまで可能性です。まず優先されるのはここにいる者達の安全でしょう」

「それに、もしいるとしたら明かりを見たらこっちに来るって事も」

 

 総二が懸念する中、魅零は仮定の話である事を強調し、まもりは別の可能性を指摘する。

 

「とにかく、まずは休む事が第一ね」

「賛成、なんやかやで疲れたし。お嬢様はもう限界のようだし」

 

 倫花と乱花に指摘され、皆が慧理那の方を見ると、彼女はすでに舟をこぎ始めていた。

 

「そうね、まずはひと眠りしてからにしましょう」

「交代で見張りとかした方いいんじゃないか」

「そうですね。夜襲の可能性も有りますし」

「じゃあオレが最初にやるよ」

「最低でもツーマンセルにした方がいいでしょう。私も最初に」

「魅零さんがするなら私も…」

「いえ、まもりさんは休んでいてください。何かあったら起こします。」

「ちょ、だったら私が総二と!」

「念のため、戦闘スタイルが違う者がそれぞれ当番するべきかと。私は一人でもそれなりに戦えるので」

「いや、でも………」

 

 反論しようとする愛香だったが、改めて魅零の上から下まで、そして特に髪を見る。

 

「………大丈夫そうね」

「今何で判断したの?」

「恐らく身長と髪型………」

 

 頷く愛香に、倫花と乱花は少し呆れた顔をする。

 

「それでは私はかき集めた素材で簡易セキュリティその他を作ってみます」

「地下室とか無いか? トゥアールの工作は結構うるさいぞ」

「あ、そっちにあります」

「じゃあ私は慧理那をベッドに」

「むにゃ、すいません………」

「完全に寝ぼけてますね」

「お嬢様は寝つきもいいのね」

 

 夕食の後片付けを済ました後、皆がそれぞれの部屋に向かい、総二と魅零がリビングに残る。

 

「それでは私は少し外を巡回してきます」

「ほんとに一人で大丈夫なのか?」

「はい、実は軍にいた事がありまして………」

「え、軍人!? その歳で!?」

「正規の部隊ではありませんが、訓練は受けています。総二さんはここを頼みます」

 

 総二を残し、魅零は見つけた懐中電灯を片手に外を見回りに行く。

 

「向こうも色々ありそうだな………」

 

 総二は呟きつつ、変身しておくべきかを迷う中、地下室の方から珍妙としか表現しようがない工作音が響いてくる。

 

「………とにかく警戒だけはしとこ」

 

 総二は思わず地下室の方を見ながら、先に仮眠に行った者達からクレームが入らないか心配しつつも窓から外を見回したり、聞き耳を立てたりしてみる。

 

「男はオレだけだしな………まあ魅零さんは頼りになりそうだけど。他に増えるとしたらどんなんだろうか………?」

 

 取り留めも無い事を考える中、総二はただ窓から外を見つめていた。

 

 周辺の見回りをしてきた魅零は、そのまま総二のいるリビングではなく、トゥアールのいる地下室へと物音すら立てず向かう。

 聞いた事も無い珍妙な音を立てている地下室の扉を魅零が小さくノックすると、程なく返事が来る。

 

「どうぞ~」

「失礼します」

 

 室内に入ると、先程の珍妙な音からは違う意味で想像がつかない、かき集められた機材で開発途中と思われる様々な機械が並んでいた。

 

「ああ魅零さん、取りあえず出来ましたセキュリティマシン、オマワール君! これ一機で周辺2km圏内の反応を感知できます! 自動的に反応の所に向かい、詳細情報も索敵出来ます! 早速起動!」

 

 小型の円形ドローン、ただ表面からかき集めた機材のあれこれが飛び出しているそれをトゥアールが自信満々に起動させると、オマワール君はそのまま室内から飛んでいく。

 

「何よこれ!」

 

 程なくして上階から愛香の怒声と共に何かが壊れる音が響き渡った。

 

「は、しまった! 一番の危険物に反応してしまいました!」

「………敵味方識別が必要ですね」

「何の! ここにオマワール君二号も! こんどは危険反応に向けて電撃攻撃機能も…」

「まずは識別機能を付けてください」

 

 魅零が冷めた目で問題点を指摘する。

 

「それで、お話が有るのですが」

「何ですか? 総二さんは渡しませんよ?」

「いえ、そういう話ではなく…」

「これですか」

 

 そう言いながらトゥアールは作業用に使っていたテーブルの片隅、何かの機器にセットされている小さなアンプルとその中の赤い液体の方を見る。

 

「検査は済みましたか」

「ええ、簡易的な物ですけど」

 

 そのアンプルの中身、アームがウイルス感染によって覚醒すると聞き、念のため検査用に提供してもらったアームの血液の方を見つつ、トゥアールは頷く。

 

「その件で、話しておきたい事が」

「想像は付きますよ、簡易検査でも多少分かった事がありますし。確かに未知のウイルスが確認されましたけど、未知過ぎて感染方法も不明ですね。逆に言えばこちらに感染する可能性も限りなく低いかと」

「そうですか。こちらの世界でも感染方法は不明でした。けれど話しておきたいのは別の事です」

「………簡易的ですが、他のお三方と違って、貴方のサンプルに、若干の操作された痕跡がある事ですか」

 

 己の言いたい事を先に言われ、魅零は小さく頷く。

 

「まもりさんや倫花さん乱花さん姉妹と違い、私の力はある程度調整、操作されています。兵器として」

「そういう事でしたか。いえ、なんか他の人と違って修羅場慣れしてるな~、とは感じてましたけど」

「もっとも、私を調整してた科学者の手によって私は軍から脱走し、そしてマーメイド島でまもりさんと出会って今に至ります」

「んん~、軍から脱走した兵器少女と無垢な少女のランデブー! いいですね~♪」

 

 自分の告白に全く予想外の返答をされ、魅零は少し困惑する。

 

「ま、今は兵器じゃないって言うなら気にしなくていいと思いますよ? 多分総二さん達は気にしません」

「しかし…」

「むしろ燃えるシチュエーションだと思われるかも。愛香さんはともかく、総二さんや慧理那さんはそういう展開好きそうですし」

「展開って………」

「過去はともかく、今とこれからが大事です。お互い仲良くやっていきましょう」

「はあ………」

 

 そう言いながらトゥアールが差し出した手を、魅零は困惑しつつも握り返す。

 

「重要事項は一つ、総二さんに手を出さないという事です」

「………重要なんですかそれ?」

「最重要です。まあアームの方々は大丈夫でしょうけど」

「ええ、まあ………」

 

 言葉を濁す魅零だったが、トゥアールは意味深な笑みを返すだけだった。

 

 

三時間後

 

「それで、総二がいきなり女の子のヒーローになっちゃった物だからびっくりよ」

「確かにそれはびっくりしますね………私もいきなり剣になっちゃった時はびっくりしましたし」

「どっちがマシかと言われたら少し悩むわね………」

 

 交代した愛香とまもりだったが、警備の名目でおしゃべりに興じていた。

 

「う~ん、どうせ変身するなら、私も武器よりはヒーローの方が良かったかも………」

「その変わりこっちに攻めてきたアルティメギルは変態の集団よ。倒しても倒しても次のフェチが出てくるのよね………」

「ああ、確かにそれはいやかも。けどこっちもそちらの事はあまり言えないかも………」

「その、気にはなってたんだけど、アームの人達ってやっぱデキてるの?」

「ええ、まあ………エクスターとリブレイターの親密度は能力に直結しますので………強制的にという事も有りますけど。あ、私と魅零さんは違いますよ? 多分倫花さんと乱花さんも」

「あ~………うん、世の中色々だから敢えて深くは突っこまないでおくわ。それとトゥアールに部屋の防音を…」

「その、そこまでは………必要そうな人達は確かにマーメイド島にいましたけど」

「早急にやってもらおう」

 

 

更に三時間後

 

「う~ん、警備しませんと………」

 

 そう呟きながら、どう見てもうたた寝状態の慧理那に倫花と乱花は少し困った顔をしていた。

 

「え~と、何なら私達二人でいいから、もう少し寝てたら」

「そうはいきません………総二さんと愛香さんがやって私だけ………」

 

 返答はする物の、夢うつつの寝言にもとれる状態に倫花は更に渋い顔をする。

 

「やっぱ本物のお嬢様はおっとりしてる物ね………」

「そうなのかな?」

「大丈夫、がんばります………zzz」

 

 呆れる乱花だったが、倫花も見てる前で慧理那はとうとう完全に寝息を立て始める。

 

「変身してないと体力が無いのかもね」

「確かに小さいしね。もう少し寝かせてあげましょ」

 

 乱花が何か掛ける物を探してこようとして椅子から立ち上がった所で、すでに熟睡状態の慧理那が笑みを浮かべる。

 

「そうです………慧理那は総二さんの物です………さあどうぞお好きなようにお使いください………」

 

 漏れてきた危険な寝言に姉妹は硬直する。

 

「お姉ちゃん………」

「聞かなかった事にしなさい」

「まさかあいつ、仲間が全部女だからって…」

「そうは見えなかったけど………特に愛香さんとトゥアールさん見てると」

「それもそうね………ただの寝言ね」

「そう………もっと激しくしてください………もっと………」

 

 今度こそ姉妹は完全に硬直する。

 

「総二君も大変ね………」

「そのようね………」

 

 敢えてそれ以上は言わず、乱花は見つけてきたタオルケットを慧理那へと掛ける。

 

「あ、夜が明けてきたよ」

「昼夜の間隔は地球とほぼ一緒みたいね」

 

 白み始めた外を見た倫花に、乱花はリビングの時計を見て時刻を確認する。

 

「さて、今日はどんな一日になるのやら………」

「いい一日になるといいね」

「そうだね………」

 

 無邪気な姉の言葉に、乱花は思わず苦笑した。

 

 

「………夜が明けたか」

「やっとかよ。で、どうする?」

「何はともあれ、食料の確保が急務だな。植生が不明な以上、下手な果実の類は口にしない方がいい」

「確かに訳の分からねえのばかり生えてるけどよ………昨日から水しか飲んでねえし」

「再度の敵襲もあり得る。何でもいい、情報も欲しい所だ」

「全くだ。で、どっち行く?」

「昨日確認しただろう、森が途切れているらしい南方向だ」

「じゃあ行くとすっか」

 

 野営していた場所から立ち上がった、ショートヘアの前髪に赤いワンポイントが一房入った髪型の黒いセーラー服を着た不良風の少女と、ロングヘアの白いブレザーを来た生真面目そうな少女が取りあえずの目途を立てた方向へと歩き始める。

 己達と同じこの星に転移させられた者達との邂逅は、すぐそこに迫っている事を二人は知る由も無かった………

 

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