スーパーロボッコ大戦外伝 ディファレンス・ロボッコ・バトル   作:ダークボーイ

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ディファレンス・ロボッコ・バトル EP08

 

「そういう訳なので、資材その他を少し借ります」

 

 アリスギアによる送迎で成子坂製作所を訪れたトゥアールは、挨拶もそこそこに整備ブースの一部を乗っ取るようにして制作を始める。

 

「大丈夫なのか?」

「ここまで来る間に色々話しましたが、知識も技術も相当な方と見ました」

 

 整備の責任者である磐田が首を傾げるが、薫子が断言する。

 だが聞こえてきた工作音とは思えない珍妙な音に、薫子の目が点になる。

 

「え~と………」

「ここの資材と機材でどうやったらこんな音がすんだ?」

「すんません、オレらでも分からないんで………すっごい気になるだろうけど、気にしないで下さい」

 

 先程の言葉を撤回しようか悩む薫子に純粋に疑問を感じる磐田に、総二が何とかフォローを入れようとする。

 

「変な物作る事多いけど、技術だけは確かだから、残念な事に………」

 

 愛香も適当にフォローを入れるが、尚も響いてくる珍妙な音の連続に整備員達やアクトレスも言いようのない不安を感じずにいられなかった。

 

「まあ………すぐ終わるだろう。家の地下に秘密基地作った時はこれが一晩中だった………」

「それ、ノイローゼにならねえか?」

「全然寝れなかった………」

 

 総二の話に思わず流子が突っ込むが、総二は視線を反らす。

 

「まあ、確かに向こうにはこっちの全員余裕で受け入れられるだけの部屋が有ったから、寮として使えるなら申し分ないのだけれど………」

「問題は防衛だな。双方常時監視要員を用意する必要あるか?」

「あいつら、なんでかレーダーで捕捉しにくいし………」

「トゥアールが個々で高度なECMだか持ってるらしいって言ってたわ」

「つまり機械で見つけにくい?」

「いや手は他にも…」

 

 薫子の話に総二が問題点を提起し、それに皆がそれぞれ体験談を加えて論議が始まる。

 

「どちらにしろ、警戒態勢はしておいた方がいいのだけは確かね」

「後は周辺の探索だな。他にも誰かいるかもしれねえし」

「まだ増えるのかな?」

「否定出来る要素が無いからね………」

 

 薫子と総二の出した決定稿に、倫花と乱花が思わず不穏な事を口走る。

 

「ただ、人数が増えると食料の問題も出てくるわね」

「確かにこんだけ一気に増えるとな………」

「一応緊急時の備蓄食料はあるけど………」

「半分宇宙食なんだよな~」

 

 愛香と総二が別の問題を提起すると、夜露とシタラが整備ブースの一角にある備蓄ボックスを見る。

 

「え、マジ?」

「宇宙食って食べた事ないね!」

「ホント!?」

 

 それを見た流子と倫花乱花姉妹がむしろ興味津々で備蓄ボックスを開け、そこに入っているアレコレを見る。

 

「うお、マジで宇宙食じゃん!」

「初めて見た!」

「確かに」

「どれどれ?」

「へ~、ホントだ」

「一応宇宙船の中にいた訳だからね。色々備えが有るの」

 

 中身を物色する者達に薫子が簡単に説明する。

 

「そうだ。何とか惑星外に通信出来れば、シャードから救援が呼べるんじゃないかしら?」

「ここがあんた達の世界だったらな」

 

 ふと文嘉が思いついた事を、宇宙食を眺めていた総二がばっさりと切る。

 

「有り得るな。まだ他の世界ってのは理解しきれねえが、どいつもこいつも、全く違う所から来たらしいってのは嫌でも分かるし」

「それはそうですけど………」

 

 流子がツインテイルズ、アーム、アクトレスを順繰りに見て呟き、倫花も思わず同意する。

 

「けど、通信してみるってのは悪い手じゃないと思うけど」

「それで余計なエイリアン呼んだ映画見た事あんな………」

「ああ、最後双方大破した戦艦の上で艦長同士が殴り合って勝敗決める奴か?」

「あれ、船員同士が砲弾で喧嘩神輿じゃないっけ?」

「そんなオチだったかな………?」

 

 流子と乱花から何かまた同じ作品なのにオチが違う話を聞きながら、総二は取りあえず話を戻そうとする。

 

「違うだろ、なんでか最後アイドルバトルで決着つけるんだよ」

「あ、この間テレビのロードショーで見ました!」

「うん、それ位にしとこう」

 

 更にシタラとのどかが余計な突っ込みを入れてくるのを愛香が強引に中断させる。

 

「確かに、似てるけど違う世界みたいね………」

「もっと聞いてみたい気もしますけど」

「収拾付かなくなるから」

 

 薫子と夜露が興味を持つのを愛香が手を左右に振って止めさせる。

 

「一応確認しとくけど、透明になるエイリアンと戦う映画のラストは?」

「ああ、あの最後主人公が凄まじいぶちかましからの上手投げで…」

「うん、止めておこう」

 

 総二も触れてはいけない領域である事を確認すると、とにかく話を戻す。

 

「通信関係もトゥアールの力が必要だな」

「通信機器関係のはこっちで集めとく。後必要なのは?」

「通信とマッピングの共有デバイスか、持ってるのは周波数合わせれば」

「予備の通信インカムが有ったはず」

「とにかく倉庫総ざらいしよう」

 

 幾つか方針を定め、全員で使えそうな物をかき集めては積み上げていく。

 

「あっちよりは色々あんな」

「とりのタウンって隔離島の更に隔離みたいな感じだったみたいですから………」

「どういう所?」

 

 大型モバイルバッテリーを並べていく流子の呟きと倫花の説明に、夜露が思わず首を傾げる。

 

「世界によって扱いが色々違うってこった。そっちはちゃんとやってるみてえだけど、隔離されてた連中や人体実験されてたのもいる」

「え? ホント?」

「ここに実例がいるからな」

 

 流子が自分を指さし、夜露が思わずその全身を凝視する。

 

「ま、赤ん坊の頃の話らしいし、心臓が作りモンって事以外は証拠もねえしな」

「………無茶苦茶ハードな人生歩んでるのね」

「ま、早く帰ってその人体実験やらかした母親に引導渡さなきゃならねえしな」

「えと………」

「あんまり他所の世界に関わらない方がお互いのためよ。それともこっちの世界に来て変態達と戦ってみる?」

 

 流子があまり淡々と語る内容に夜露はどう反応すべきか迷うが、そこを愛香に指摘されてそれ以上は聞かなかった事にする。

 

「あれこれ一段落したら、トゥアールさんに空飛べる何か作ってもらった方いいかな?」

「そうね、確かに空中戦はした事無かったし………」

「早々拳をカタパルトにしてもらう訳にもいかないわね」

 

 保存食糧を調べていた倫花と乱花の提案に文嘉は先程のデタラメな戦い方を思い出す。

 

「完全に分担、というのも難しいわね。何か対空装備は有る?」

「私達は無いですね………」

「アームはそれ自体が単一武装なんで」

「共闘するなら、その辺のシミュレーションも必要ね。戦闘レポート出せる?」

「え~と、戦闘データならトゥアールさんがまとめてるはず」

「何か彼女がやる事がどんどん増えてくわね………」

「バックアップが任せきりだったからね………今後はそちらに一部任せよう」

「オペレーター体制も整えないとダメね。一体そっちはどういう体制で戦ってたの?」

「どういうって言われても………」

「ビクニ島で戦闘訓練はしてたけど、マジの敵に襲われたのはここに来てからで………」

「これは本格的に互いの事を聞いておくべきね………」

 

 やや困惑気味に話す倫花と乱花の姉妹に、文嘉は頭を押さえながらため息を漏らす。

 

「とにかく、向こうと行き来できるようになったら全員集めてミーティングね」

 

 

半日後

 

「感度どうですか?」

『問題無いようね』

 

 とりのタウン、成子坂製作所双方のポータルとホットラインが構築され、それぞれに状態が確認される。

 

「それでは今後についてのミーティングを始めましょう」

 

 各種設備の製造、設置を終えたトゥアールが疲れも見せぬテンションで宣言し、それぞれリビングと整備ブースに設置した大型ディスプレイの前に全員が終結していた。

 

「まずは現状分かっているのは、ここは地球ではないどこかの惑星、完全に次元的に隔離されているという事。そしてそこに特殊な戦闘力を持つ者達が色々な世界から集められているという事。最後にこちらを攻撃してきている存在がいる事。以上の点です」

『しかも状況がおかしい。明らかに戦えるように準備がされている』

 

 トゥアールの説明に続けて、薫子が述べる。

 

「その通りです。こちらでは各々武装は自前で有りますが、休憩のためと思われる施設がこのように用意されていた」

『こっちでは製作所はアクトレス、整備員まとめて飛ばされた。つまりこの事態を画策した存在は、皆を戦わせたがっている』

「そういう可能性が極めて高いでしょう」

『戦力の品評会でもしようってのか?』

「そう考えれば、辻褄が合います」

 

 思わず磐田が口走った事を、トゥアールは肯定し、皆に動揺が走る。

 

『でも、なぜそんな事を?』

「さてな。これがエイリアンの所業なら、人間程度に理解出来ようはずもない」

 

 代表するような文嘉の問いに、皐月がある種一番妥当な言葉を返す。

 

「そりゃそうだ、理解出来たら羅暁みたいになっちまう」

『誰ですかそれ?』

「こっちの地球滅ぼそうとしてるあたしらの母親」

『え!?』

「それはさておき、今後の活動方針だ」

 

 流子が続けた言葉にアクトレス達が思わず声を上げるが、皐月がそれを強引に遮る。

 

「やはり最優先は現在状況の詳細確認です。活動地域の拡大を目的としたマッピングが優先でしょう」

「空と陸に分けて捜索を進めるべきかと」

 

 トゥアールの提案に魅零が更に追加する。

 

『出来れば他に使える物資が無いかも確認したい所ね。双方にある物資にも限度が有るし』

「森に食べられる木の実とかなってないでしょうか?」

『違う星の木の実なんて食べて大丈夫なんですかね?』

 

 薫子は別種の心配をするが、まもりとのどかがどこかずれた心配を追加する。

 

「そちらの心配も有ります。よって惑星外への通信も試みましょう。やはり問題はこの惑星を隔離していると思われる次元障壁ですが」

『突破は可能?』

「まだ何とも。どれほどの密度かも分かりませんし………」

『アリスギアは元来宇宙戦仕様ですから、そちらの捜索もこちらで』

 

 トゥアールと薫子の懸念に、夜露が手を上げる。

 

「つまり、地上と上空の探索、外部への通信、それとそっちとこっちのガードも必要か」

『人員の割り振りを考えないと』

 

 総二のまとめに夜露も考える。

 そこで皐月が手を上げた。

 

「問題は機動力だな。ポータルはともかく、探索用の移動手段は何か無いのか?」

『物資搬入用のEVならあるけど、こんな未開地域では………』

「そちらも必要ですね。う~ん、問題だらけ」

 

 薫子の返答にトゥアールが思わず唸る。

 

『試しに救難信号とか最大出力で出してみたどうでしょう? うまく行けばシャードに繋がるかもしれませんし、ひょっとしたら他にも繋がるかも…』

「下手したら敵を刺激しませんか?」

 

 のどかの提案に魅零が懸念を示すが、トゥアールは少し考えてから口を開く。

 

「どうせこちらの所在はバレてるんですし、やってみるのもいいかもしれませんね。先程少し通信系もいじっておきましたし」

『じゃあまずそれからやってみましょう』

 

 薫子が使っていた通信機器を操作し、非常時用の救難信号を発信してみる。

 皆がかたずを飲んで反応を待つが、程なくしてそれは落胆に変わっていく。

 

「ダメ………ですかね。やはり次元障壁をなんとかしないと」

『アリスギアの出力でどうにか出来る物なの?』

「乗っけってくれるんなら、オレ達も協力出来るぞ?」

『貴方達の装備、成層圏まで持つの?』

「ティルギアならなんとか…」

『待ってください! 微弱ですが感あり!』

 

 そこで整備員の女性が僅かに捕らえた反応に気付く。

 

『何ですって!?』

「本当に!?」

『極めて微弱ですが、通信です!』

「なんて言ってるの!?」

 

 予想外の事に双方がにわかに色めき立つ。

 整備員が数人がかりで、何とかその微弱な反応を解析を進める。

 

『音声を僅かに拾うのが限度みたいです………』

「内容は?」

『今再生します』

 

 誰もが知りたい事を魅零が代表するように問い、解析された音声が再生される。

 

『…ちら、イグ………現在そち………JAMによる攻げ………皆さ………を合わせ、対………』

 

 途切れ途切れの短い音声はそこで途切れる。

 聞いていた者達は思わず首を傾げるしかなかった。

 

「全然分からんかった………」

『まあ、確かに………』

 

 総二が思わず呟いた言葉に、夜露も思わず賛同する。

 

「いえ、分かった事が二つ。恐らくこの惑星の外にこちらに接触しようとする味方と思われる存在がいる事。そして、今私達が戦っているのはJAMと呼ばれているらしい事です」

 

 トゥアールの解説に誰かが思わず唾を飲み込む音が重なる。

 

「敵は、JAM………」

 

 総二の呟きが、何故か大きくその場に響いていた………

 

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