異世界チート転生のんびり最強やりなおしスローライフ~ギルドを追放されたSランクのおっさんはハズレスキルで無双し勇者と魔王と賢者と聖女と奴隷と魔術師と錬金術師と悪役令嬢に婚約破棄される〜   作:しらべ

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あらすじ 奴隷編

 

 

 

 隣に裸のセーラが寝ていた。

 

 瞬間、ガクの脳内に流れ出す昨晩の記憶、しかしセーラから回復魔法をかけてもらった後の記憶はすべて不明瞭だった。

 

 故にガクは思考を放棄して再びベッドに身体を預けた。

 

「つっても、泣く泣くすぐに起きてセーラを揺り起こしたよ、裸の自分の身体見て顔真っ赤にしてたのは確かに可愛かったが、こっちゃあ真っ青だからな、一国の王女様に唾つけたんだ、正直そのままお縄になって処刑されるのかと思った、そしたら『ガク様の体力は回復魔法要らずですね』とか『式場は王国の教会で挙げませんか』とか言ってくるしで、今までも生半可な気持ちだったわけじゃないが、正直この辺になってくると何人いても変わらないか、みたいな考えになってた、恐ろしいよ慣れってのは……『三年以内に魔王を倒して戻ってくる、その時にお互い気持ちが変わってなかったら結婚しよう』って婚約した」

 

 その後なんやかんやあり、無事国民にセーラの生存を周知させることが出来た。 セーラが今回の事件を国民の前で告白したことにより勇者一行の活躍も広く知られる運びとなった。

 

 また当てのない旅へ出ることになるかと思いきや、メリアの住んでいたエルフの里に、過去に魔王を打倒した勇者パーティーの一人が、まだ存命だという情報をメリアから聞き、次の指針が決まった。

 

 出発に際し、セーラがパーティーに加わりたいと打診してきたが、現国王の反対と、今は国民を安心させるのが先決という事で何とか説得し、聞き入れてもらった。

 

 一先ず、ガク、シンシア、ルーミア、メリア、マヤの五人は少なくなったポーションを補充するためにベロニカのいる街へと向かった。

 

 メリアはセーラにこそ劣るものの多彩な回復魔法が使えるが、それでもやはり用心するに越したことは無い。

 

「何でマヤが着いてきてるのかって話だが、新しい魔法も開発したことだし、自分も魔王討伐のメンバーとして名をはせたかったらしい、メリアと不仲っつってたのは、ただ単純にマヤはメリアの事が苦手なんだと、旅してて分かったが、マヤが中二病真っ盛りの思春期男子だとしたら、メリアは世話好きお母さんって感じだった、そりゃメリアはマヤの事が好きだけどマヤからは苦手に思われるわけだ」

 

 道中も色々あったが、無事ベロニカのいる街に着き、久しぶりの再会を喜んだ。

 

「前買った時よりポーションの効能も上がってたし、他にも役立ちそうなのをいくつか融通してもらった、中でも例の魔物の角から作られた魔法を封じ込める道具が凄くてな、ぶっ壊れちまったから今は持ってないんだが、こう…六角形みたいな形をした金属の板にめちゃくちゃ細かく模様みたいなのが彫ってあった、背面の硬いボタンを無理やり押すと封じ込めた魔法を放出するっていう仕組みだ」

 

 再びベロニカと別れ、メリアにエルフの里まで案内してもらう。

 

 ここからだと陸路より海路の方が早いという事でレイクッドまで戻り、フィオナに会ってから船で里を目指した。

 

 別の港町に船を停め、そこからは徒歩で行く。

 

「エルフの里っつーのは出るときは簡単に出られるらしいが、入るときは深いダンジョンの底にある空間転移装置を使わないといけねえんだと、で、そこに入った俺は速攻はぐれた、後で聞いた話だとそうやって入ったやつを惑わせる結界みたいのがダンジョン内に作られてたらしい」

 

 取り敢えず最深部を目指せば合流もできるだろうと考えるガク、酒を飲んで魔物の襲撃に備える。

 

 武器はダンジョンに落ちてた遺品であろう剣一本。

 

 十分に警戒しながら、深くへと潜っていく。 が、ここで違和感を覚える。

 

「魔物が一匹もいなかった、ああいうダンジョンなら魔物の十匹や二十匹いてもおかしくはないんだがな、理由はすぐに分かった」

 

 ガシャンガシャンと音を立てながらガクの前に姿を現したのは、四本脚に機械のような身体をした化け物だった。

 

「言うなれば機械人形(マシンドール)だな、ダンジョン内の掃除屋だ、侵入者を抹殺するようプログラムが組まれてたんだろうな、俺を認識した途端、四本の腕で武器振り回して襲ってきた」

 

 魔物ではなくあくまで機械であるため、ガクには心が読めなかった。

 

 一目見れば戦う暇なく細切れにされる事が分かったので、ガクは逃げだした。

 

 しかしまわりこまれてしまった!

 

 振り下ろされた一刀目は剣で受け止める。 が、重い。 剣を斜めにして受け流そうとしたとき、機械人形がガクに向かって横薙ぎの一撃を放つ。

 

「危うくハラワタをぶちまける事になる直前に機械人形の腕に魔法が直撃した、誰かと思って見てみりゃルーミアだった、おかげで何とか逃げられたが、俺らじゃ火力不足で決定打に欠ける、早いとこシンシアとかマヤに合流する必要があった」

 

 しかし、上手く撒いたかと思った機械人形は一体だけではなかった。

 

 考えればそれも当然、深部に行けば行くほど遭遇する回数は増えていく。

 

 得意の心を読むことも出来ないため、ガクは歯がゆい思いをすることになった。

 

 心の読めない自分など足手纏い以外の何物でもない事が分かっていた為、ガクは最悪の場合ルーミアの身代わりになることを考えていた。

 

「今思えば、俺はそればっかり考えていて……ルーミアを守る事だけ考えていたせいで、敵と戦う事を忘れてた、逃げる事しかできねえって思いこんでたんだ」

 

 

 またしても機械人形に捕捉され、逃げようとした時だった。機械人形が二人に向かって四本の腕で持っていた武器を投げた。

 

 やはりガクは敵の行動が読めないという状況のせいで一瞬行動が遅れる。

 

 凶刃からルーミアを守るため、突き飛ばそうとした時、逆にガクがルーミアから押された。

 

 次の瞬間、串刺しにされるルーミア。

 

「『何で!?』以外の言葉が出なかったよ、機械人形との距離は離れてたから急いで剣とか槍を抜いて、例の道具にメリアが封じ込めた回復魔法をルーミアにかけた」

 

 肩や、脚にできた傷は塞がったが、腹部の傷だけが治らなかった。 臓器を治すにはもう少し回復魔法をかけなければいけないのか、しかしもう道具に魔法は残っていない。

 

『…ッ…ガク……ようやく…お返しが出来た……』

 

『喋るな! ……喋らなくても俺には分かる』

 

『うん…』

 

 服を千切り傷口に当てて止血するが、止まらない。 治療のために刺さった武器を抜いたのがダメだったのか、後悔しても遅い。

 

(レイクッドで戦った時のお返し……ううん、その前も…その後も…ガクはずっと私たちを守ってくれた…)

 

『そんな事ッ…俺は…俺の方が守られてばっかだった…! 今だって!』

 

(……ねぇガク、私ガクが好き)

 

『ルーミア…? 今…そんなこと言うなよ、俺が…絶対助けるから』

 

『好きなの、お願い…聞いて』

 

 ガクは静かにルーミアの声を読んだ。

 

『……ああ、分かった、約束するよ…ただし条件がある』

 

 ルーミアに傷口を押さえるようにいい、壁に寄りかからせる。

 

 機械人形と対峙するガク。

 

『婚約する条件は今死なない事だ』

 

 

 握りしめた拳を機械人形に繰り出す。 それはパンチを当てるためではなく、道具を使うためだった。

 

「機械人形って言ってもな、元は誰かの魔法で動かされてるわけだ、その魔法を()()()()()

 

 途端に動力を失ったように崩れる機械人形。 ガクは封じた魔法をもう一度機械人形に放つ。

 

「命令させる魔法を使って、最深部まで案内させた、勿論ルーミアを動かさないように抱えてもらってな」

 

 最深部には光輝く魔法陣の描かれた床があった。

 

「そこでシンシアとマヤ、メリアに合流した、三人とも別の道から同じタイミングでそこに辿り着いたらしい」

 

 急いで瀕死のルーミアをメリアに治療してもらい、血こそ足りないものの、傷は完治させることが出来た。

 

「その後、機械人形は放置して、俺たちは魔法陣の中へと入った、ルーミアは俺がおんぶした」

 

 ちゃんとエルフの里へと繋がっており、久々に帰ってきたメリアの為に他のエルフの住民が飯やら、うん百年物のワインを用意してくれたりで、歓迎される勇者一行。

 

「ルーミアにはしっかり飯を食べるように言っておいたよ、他のエルフからも回復魔法をかけてもらって顔色も段々良くなってった」

 

 ガクも腹を一杯にし、エルフから出されるクイズに全問正解して一躍人気者になった。

 

 その夜、何故か一番大きな部屋に案内されたガクがベッドで寝ているとルーミアが入ってきた。

 

「『約束…酔ったからって忘れてないよね』って言われた所までは覚えてる」

 

 自信を持ってそういうガク。

 

 

 朝、欠伸をしてから起き上がり横を見る。

 

「───横には裸のルーミアが寝てた」

 

 

 

 ガクはそのルーミアの髪を優しく撫でた。

 

 

 

 

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