突然だが、ミラルーツに転生した。   作:めんるい

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一般男性5割、祖龍5割

 

 突然だが、ミラルーツに転生した。

 

「ギャオオオオン!!!(なんでえぇぇぇぇえ!!!)」

 

 疑問の声が咆哮として口をつき、呼応するように落ちた真紅の稲妻が古塔を穿つ。

 

「ギャオオオオ!(うわわあああああ!!二次被害いいいいい!!!)」

 

 雷に驚いて振り向くと、己の長い尾が轟音と共に地面をめくりあげ、石の散弾を作り上げる。

 

「ギャオオオオ!!(あああああ!!歴史的建造物っぽい地面が!ごめんなさいいい!)」

 

 謝罪の声に反応した雷が轟音をたて、足のすれすれに落ちてくる。

 

「ギャオオオオ!!(ああああ!!とまれ雷いいい!!!)」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「グルゥ……(落ち着いてきた)」

 

 ()()()()()()()()おかげで雷が収まったのと同時に、状況の異常さに頭を抱える。

 ゴロゴロしながらモンハンしてたらミラルーツになってた。わけわからん。

 

 ミラルーツ、そう、あのミラルーツである。

 モンスターハンターシリーズにおける最強の隠しモンスターにして、最も謎に包まれた存在。

 公式ですらその存在に言及することは殆ど無く、ゲーム内の文献で少しだけ設定が語られるのが関の山。ミラルーツという名前ですらプレイヤー間での仮称。

 

 冠された称号は『伝説の中の伝説』『白き王』そして『祖龍』

 

 その威容は神々しいの一言。

 白く輝く体毛に鱗。クラシックなドラゴンらしい姿。怒りと共に発される真紅の雷はまるで天罰のよう。

 初めて見たときは小さなゲーム画面越しながら感動したものだ。瞬殺されたけど。

 

 ……で、問題はそのミラルーツに俺がなっている事。

 

「グルゥ(なんでや)」

 

 思わず疑問の声が漏れる。

 いやまあ、なぜ転生なんて事が起きたのか、思考を巡らせるとこのスーパードラゴンボディに眠る祖龍の記憶が()()()蘇って来るから分かってはいる。

 

 聞いて驚け、要約すると、こう。

 

 ──はー、退屈だなー。

 

 ──そうだ!観測者の世界から記憶引っ張って自分にインストールしよう!

 

 はい、これだけ。

 もう突っ込み所しかない。自意識の根幹に関わるような事を思い付きで実行するなよ!退屈がつらいのはわかるけどさぁ!モンハン世界が実在していた驚きが吹き飛んだわ!

 

 おかげさまで我……じゃなかった、俺の記憶はもうめちゃくちゃ。祖龍の記憶と人間の記憶が現在進行形で混じりあって混乱しまくってる。

 幸いにして拒否感はあまりない。性格が似てたからだろうか。え?性格が似ていた人間を選んだんじゃないのかって?んなことないよ完全ランダム。もう少し考えたら?仕方ないじゃん退屈だったんだもの。なら許す。

 

「ギャオ(寝よ)」

 

 色々疲れた。記憶がどっちつかずで気持ち悪いし、落ち着くまで寝よ。

 おやすみー。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ギャオ(よく寝た)」

 

 グッドモーニング。いい朝ですね。分厚い雲が空を覆ってるけど。

 ひっくり返っていた身体を持ち上げ、翼を広げてぐっと伸びをする。……人間だった時の感覚で寝てたから思い切り仰向けだったな。祖龍のへそ天なんて激レアだぜ。

 

 そう言えば、記憶の統合が完全に終わった。スッキリ快調、パーフェクト祖龍の完成である。

 祖龍の記憶も人間の記憶もはっきり思い出せる。せっかくだし記憶の整理もかねて人生と龍生の説明をしましょう。ついでに何故記憶のインストールなんて凶行に及んだのかも。ふっ長くなるぜ。

 

 まず人間だった頃の説明から。

 一般男性!ゲーム大好き!退屈が嫌い!終わり!

 

 次に龍生!

 長生き!戦うの大好き!退屈が嫌い!終わり!

 

 どうだろうか、とても濃い内容だったと思う……冗談だよ。

 だってこれ以外説明することないんだもの。人間だった頃はなんて事のない一般男性だったし。龍生も特に説明することはない。ただ生きていただけ。一回文明を焼き払ったくらい?

 

 記憶のインストールをした理由も簡単。退屈だったからだ。

 ほら、我々ミラボレアス種って空間操れちゃう系ドラゴンだから。たまたま観測者世界確認できちゃったんだよ。でさ、出来そうだなー?って思ったらやりたくなっちゃうじゃん?ただでさえ強すぎてやる事が無かったんだからさ。仕方ないよね。仕方なくないわ。

 

 

 ……ふう、さて、記憶の整理も終わったことだし。今後どうするか決めねばならない。

 

 雷撃で荒れ果てた古塔を背に、大きく翼を広げて一息に天へ飛び上がる。

 一瞬にして高高度へ辿り着いた我の視界に映るのは、どこまでも続く雲の海と、天を割いて注ぐ光の柱。

 祖龍だけであった頃から好きな光景だった雲海。それが人間の記憶を手に入れた事によって、殊更美しく見えた。

 

「ギャオ(きれー)」

 

 断言しよう。人間としての記憶を手にしてしまった我は、今までの様に巣に引きこもって日々を無為に過ごすことなんかできやしない。

 なにせここはモンスターハンターの世界。美しい景色に、個性的な人々。寝食忘れて夢中になったあの世界が、この雲の下にある。

 

「グルル(でるか、旅)」

 

 果てしなく広がる空を前に、()は決意した。

 

 

 

 

 

 

 

「グル(旅できねー)」

 

 旅に出る事を決意してから数分。この計画の致命的な欠陥に気づいた我は仰向けになってビタンビタンしていた。祖龍2度目のヘソ天。ちょっとレア度が下がった。

 

 致命的な欠陥とはもちろん。我がちょっとでも人里に近づいたら大騒ぎ問題である。ほら、我より弱い一般ミラボレアスが現れただけで世界の危機だし。我がその辺飛んでたら世界大戦待ったナシ。我VS全生命の生死をかけた争いが始まる。まあ負けないんだが。

 

「ギャオ(まあ考えはある)」

 

 一つだけ、我が旅をする方法に覚えがある。

 モンスターハンター2gにおいて、我……ミラルーツの狩猟を頼む依頼主『白いドレスの少女』

 そもそも一切目撃例が無いらしい我の狩猟を依頼する時点でおかしいのだけど、もっとおかしいのはその依頼文。確か……記憶が正しければこんな感じだったハズ。

 

─────────────────────

 

 ふふ、あなたハンターなんでしょ?

 ある場所まで一緒に来て欲しいの、素敵な所よ。

 白い光が綺羅星のように舞い散って……

 退屈なんてさせないんだから……

 

─────────────────────

 

 たったこれだけ、これだけでも異常性が際立つ。

 最後の1文『退屈なんてさせないんだから』まるで、自分が何かの相手をしてくれるかの様。

 このクエストはプレイヤー間で様々な討論を呼び起こした。

 結果として。上げられた考察は2つ。

 

 1つ目は『白いドレスの少女』はミラルーツ本人……本龍が変身して現れた姿なのでは無いか。という考察。

 

 2つ目は、何かしらの力で『白いドレスの少女』をミラルーツが操ってハンターを呼んだのではないか。という考察。

 

 どちらも荒唐無稽な考察……という訳でも無い。

 何せ相手は我ことミラルーツ。ファンタジーなモンスターハンターの世界でも更にファンタジーなスーパードラゴン。何が出来ても不思議では無い。何せ記憶インストールとか出来ちゃってるし。空間に穴開けてワープとかできちゃうぜ、我。

 

 結局、プレイヤー間の考察に公式からの答えが出ることは無かったのだけど……祖龍としての視点を手に入れた今ならわかる。あの依頼文、間違いなく我だわ!ほら、我って戦うの大好き系祖龍だから。強いハンターを見つけて我慢ができなかったんだと思う。見てよあの依頼文、ウッキウキ、ちょっと恥ずかしい。

 

 ……ここで話しを戻そう。我が旅に出る方法。それは『白いドレスの少女』になる事。ギルドに依頼を出しに行けているということは問題が起きなかった、という事だろうし。

 ただ……我自身が変身して人の姿になったり、誰かを操った。なんて過去の記憶は一切ない。というかそんな事が出来るなら記憶インストール前にやってる。

 そもそも、ミラボレアス種を倒せる様な化け物ハンターなんて一度も見た事がない。祖龍ビームで消し炭にならないとか化け物より化け物だわ、戦ってみたい(本能)

 

「グルゥ(試してみよう)」

 

 人の姿になる方法は分からないけど、人間を操る方法なら人間だった頃の記憶に少しだけ心当たりがある。

 

 最新作であるRiseシリーズにおいて受付嬢が起こした特殊な現象『古龍との共鳴』

 作中で彼女達は()()()()()()()()()()()かの様な仕草を見せた。

 設定だと、種族単位で数が少ない竜人族。その中で極めて稀に『共鳴』と言う特殊な能力を持った物が生まれるそうな。不思議。

 

 ここで我のスーパー祖龍ブレインに閃きが走る。『白いドレスの少女』は『共鳴』の能力を持った竜人族なのでは?

 ミラルーツの意思が乗り移った『白いドレスの少女』がギルドに依頼を出しに行ったのでは!?

 

 そうと決まれば話は早い!ちょっと身体を乗っ取るのは悪い気がするけどまぁお試しよ!祖龍的パゥワーで共鳴してくれそうな竜人族に呼び掛けだ!

 大きく息を吸って……天に向かって一息に吠える!

 

「ギャオオオオオオオオオオ!!(どなたか──!!共鳴してくださる方いらっしゃいませんかぁぁあああああ!!!退屈なんですぅぅぅう!!!おねがいしまぁぁぁぁああす!!!)」

 

 

 §

 

 

「空が、泣いておる」

 

 東の空を眺める竜人の老婆が、ポツリと呟いた。

 視線の先にあるのは、天を貫くほど巨大な塔。その頂上は分厚い雲に覆われて何も見え無いはずだったが、永き時を生きた老婆には、頂上に居る何かの慟哭が感じられた。

 

「おお……古の龍よ……何故叫ぶ……満ち足りぬと言うのか、この世界が。己が目に叶わぬと、いわば己こそが世界だと語るのか」

 

 老婆は地に膝をつき、震えながら両の手を合わせる。

 祈る様に、願う様に、懇願する様に、天を仰ぐ。

 

「もはや世界に残された時間は少ないと……そう語りたいのか……」

 

 老婆の問いに答えるものは、誰もいない。

 

 

 

「ギャオオオオオオオオオオ!!(誰でもいいからぁぁああああ!!共鳴しませんかぁぁあああ!!我も地上見たいいい!!!ネコ飯とか食べてみたいいい!!あああああ!!!)」

 

 





汝、物書き目指さんとするならばチート転生TS二次創作を書くべし。と古文書に書かれていた気がするので初投稿です。

本作は文法や表現の練習の為に執筆した作品でもあるので「このあたりの文章が分かりにくい」「ここの情景が伝わりにくい」「設定が矛盾している。死にたいようだな」など気軽に指摘してしてくださると嬉しいです。
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