突然だが、ミラルーツに転生した。 作:めんるい
「グルゥ……(なんもおきない……)」
祖龍3度目のヘソ天。もうレアリティは地に落ちた。
3時間くらい色々試してみたけどなーんもおきない!なんにも!ちょっと雷が落ちただけ!なーにが共鳴だよ!ぺっ!
途中趣向を変えて思念的な感じで呼びかけてみたけどなんも無い!へーへー悪かったね!我なんかと共鳴出来るやつなんているわけないさ!我祖龍だから!超強いから!その辺の人類と波長が合う訳ないよな!けっ!……はぁ。
「グルル……(旅出たかったなぁ……)」
ビタンビタン、祖龍迫真のイモムシ運動。打ち上げられたガノトトスのものまねー……はぁ。
……いや、まだだ。まだ終わらん!共鳴の線は無くなったけど!人化説が残ってる!
方法は全く検討つかないけど頑張ればなんとかなる気がする!ほら!我祖龍だから!祖龍的スーパーパワーで人の形に!
身体を起こして……古龍的なエネルギーを凝縮!おおおおお!
「グルルォオオオ!!(うぉおお!!!人の形ぃぃ!!白いドレスの少女ぉ!!)」
いける!エネルギー集まってる!めっちゃ身体が白く輝いて塔が揺れまくってるけど知らない!うおおおおおお!!!
「ギャオオオオオオオオオオ!!(白いドレスの少女おおぉおお!!!)」
§
大陸中央の町、ドンドルマ。
その最奥、大老殿。
必死に書類を処理する年若い竜人、大衆酒場からの書類を運ぶアイルー、
叱咤するように指示を飛ばす竜人族の老人。
普段、静謐な空気に満たされていたこの場は、今では慌ただしい雰囲気に包まれていた。
「観測局から新たな連絡は!」
年老いた、しかし決してくたびれた様子のない小柄な竜人の声に、書類を運ぶアイルーが返事を返す。
「来ておりませんニャ!フォンロンから飛んできたモンスターの対応で手いっぱいだそうですニャ!」
「各地の状況は!」
「ロックラック、ミナガルデに増援の要請をしたニャ!ジャンボ、ユクモ、モガの村では現場の判断で緊急クエストが発令されたそうですにゃ!」
「モンスターの分布は!」
「飛竜、牙竜、海竜から古龍まで!飛べるやつ全部ニャ!僕もう忙しいから別の人にきいてニャ!失礼するニャ!」
返答を終えたアイルーが頭上の書類を落としそうになりながら慌ただしく去っていく。
取り残された老人が悔しそうに表情をゆがめながら呟いた。
「くっ……一体、フォンロンの地に何が起きたというのだ……」
呟く老人のそば、せわしさを極めた大老殿、その中で本来の静謐さを保った人物がいた。
見上げるほど大きなその人物がゆっくりと目を開けると、場の険しい空気を振り払う為に、大きく声を上げる。
「ムオッホン!!沈まれい!!我々が冷静さを失えばそれだけ対応が遅れるのだ!平静を心掛けろ!」
空気が揺れるほどの声量で響き渡る激励に、職員達の動きが止まる。
数秒した後、状況を理解し冷静さを取り戻した職員たちは。先程までの行動を恥じるように寡黙に仕事を再開した。
「うむ、よし。それで大臣。状況はどうだ」
「……はい大長老。と言ってもワシもよく知りませぬ。今から五時間ほど前、多量のモンスター達、古龍種までもが
『古龍』目撃されただけで周囲の村や街に厳戒令が出される、正真正銘の災厄。
天災の化身と呼ばれる存在ですら、
「何から逃げておるのか……既に推測は立てられておるのだろう?」
重々しく返答を返した大長老に、大臣と呼ばれた老人が報告を続ける。
「はい、まだ推測の段階ですが。学者達によると。モンスター達は皆、
「やはり、か……」
再び、重々しく頷く。
数瞬、思考を巡らせた大長老は、来るべき竜の群れを打破する案を告げる為に、言葉を発した。
「古塔にハンターを派遣する。目標は異変の調査、……恐らく、厳しいクエストになるだろう。大臣。動かせるG級ハンターはいるか」
「それが……タイミングの悪いことに峯山龍の出現で殆どがロックラックに出払っておりまして……到着から出発までに3日はかかるかと」
「……ううむ、増援の到着を待つほかない、ということか……後手に回ることになるな」
原因の究明が遅れる、ということはそれだけ被害が増えることと同義。
何とかならないものかと首をひねっていると、ひらめいたように大臣が言葉を発した。
「……おりました、おりましたぞ!先日、アカムトルムを打ち斃し、G級に昇格したハンターが!」
§
閑散とした古塔の廊下に、透き通るような歌声が響き渡る。
球を転がすようなその声色は、しみわたるように深く。しかし曲調は弾むよう。
古ぼけた塔を彩るように通る歌声は、聞く者を酔わせるほど美しかった。
……内容を知らなければ。
「えびまきー♪えすぴまき♪おーさーかーな♪ざーわーわ♪なにであそぶー♪……えーと、続き何だっけ……まあいっか鼻歌で。ふふふふふふーん♪」
歌声の主である
言葉としぐさだけを見れば一般的な少女のそれだが、彼女を異常たらしめるのはその容姿。
すべてを見通すかのように光る真紅の瞳。
絹、と言う表現すら失礼と思える、腰まで伸びた純白の髪。
整いすぎて怖気すら感じてしまう程優れた容貌。
そのすべてを優美に飾り付ける純白の衣服と龍の角を模した髪飾り。
絶世の美、などという言葉が陳腐に思えるほど完成された姿が、そこにはあった。
「ふんふふーん♪……む、あのフォルム……ドスヘラクレス!うおー!」
嬉しそうにドスヘラクレスを掲げる少女。美貌が台無しである。
「しっかしここ何処だろ?ゲームだと描写されて無い部分もあるせいで微妙に分かりにくいな……確か出口近くに大雷光虫がいたような?……そうだ!よーしヘラクレス!お前の進んだ方向に進むとしよう!さあ、我の腕を滑走路にして飛んで行くんだ!祖龍の腕から飛び立てるなんて光栄に思えよ!」
腕にドスヘラクレスを乗せて楽しそうに掲げる少女は気づかなかった。
───背後から迫る火球に。
§
なれたよ!人型!
いやー何とかなるもんだね!なれたのが白いドレスの少女なのは元一般男性としてちょっと気になる所だけど祖龍的にはOK!
今どき性転換なんてよくあることさ!何より旅できるのが超嬉しい!最高!うぉあー!
それにしても見てよこの古塔の景観!ゲームで見たまんまよ!まんま!苔むした外壁!崩れかけた廊下!光の差し込む円形スロープ!しかもリアリティマシマシ!ちょっと埃臭い!あ、ドスヘラクレスとかもいたよ!逃げられちゃったけど……。
「あの……道案内ならちゃんとするから許して欲しいっチャ……」
「は?」
「ごめんなさい何でもないっチャ……」
アイアンクローの要領で引きずっている変な生き物……確かキングチャチャブーだっけか?が文句を言ってきたので威嚇して黙らせる。
コイツ我の後頭部に火球ぶつけてきやがってよ。せっかくのドスヘラクレスが逃げちゃったから代わりに道案内をさせてる。
「なんで……なんでオレサマの奥義である炎を食らってピンピンしてるンバ……」
「我、火属性八割カットだから」
「インチキっチャ……」
ばかやろう、火属性は我によく通る2番目の属性なんだぞ。全然痛くなかったけど。
……む、あれは?
「うおー!なにこの石碑!」
凄い!それっぽい石碑!読めない!いやー、いいね。確か公式資料だと古塔内部にあった石碑には古龍にまつわる記述があったとか何とか。ゲームだと内装の殆どがロード画面でカットされてたからこういうの興奮するよね!はー、楽しい!冒険感!よし、次はあっちに……。
「待って欲しいっチャ。出口はそっちの道じゃないンバ……というかそっちはさっきも通ったっチャ……はっ、もしかしてほうこうおん……あっ!やめろ!お面が割れるチャ!力入れないで欲しいんンバ!」
「……そう言えばガブラスとか小型モンスターとか居ない……ゲームだと鬱陶しいくらい居たのに。おい、お前、なにか知らない?」
「質問する前に力を弛めて欲しいっチャ!!!割れる!割れる!!!」
質問に答えてくれそうにないから仕方なくアイアンクローを解いてその辺に放り投げる。
あ、壁にめり込んだ、ちょっと力入れすぎたかな……まあ平気か、さっき殴った時もちょっと力入れすぎたけど生きてたし。……あの仮面なにでできてるんだろう。はがしちゃダメかな。
「───モゴモゴ……ブハァ!もっと優しく降ろすっチャ!もう怒った!下手に出ればお前呼ばわり!さっきは負けたけどもう負けないっチャ!オレサマの必殺パンチで───」
───祖龍ビームこと、右手の指先から出した真紅の雷を仮面野郎のスレスレに着弾させる。
当たった壁が赤熱してドロドロになってる。人化してすぐ能力を試したけど、人型でも戦闘能力据え置きみたいなんだ、我。
「次は当てる」
「少し前に塔のてっぺんから聞こえた咆哮で皆逃げ出したと思いますっチャ!」
咆哮?ずっと塔にいたけどそんなの……あ。
「……じゃ、じゃあなんでお前はここにいるの?」
「オレサマだってあんなおっかない咆哮が聞こえた塔なんて来たく無かったですっチャ。けど咆哮で逃げ出したモンスターがオレサマ達の集落に入ってきて大暴れしましたっチャ。だからリーダーであるオレサマが囮になって引き付けたけど逃げきれなくなって……仕方なくここに逃げたっチャ」
「へ、へー、そうなんだ」
我、大迷惑系祖龍だったわ。
うん、ごめん。
主人公が歌ってた曲の概要、わかる人が現代にいるんでしょうか。
あ、批判応援変わらず受け付けています。
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