狂愛の成層圏   作:◆nfBCCxnKFit4

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Part 2: 少年は、学校帰りに天使に救われる。

──う~ん……ごめんなさい。束さんの説明、全然分からないです……

 

「どうして!? こんなにも丁寧に教えてあげてるのに!!」

「束様、擬音だらけで言われたら、いくら一緒に居る時間が長い私でも全然分かりません」

「クーちゃんまで!?」

 

 

 束さんから専用機を受け取って、今は操縦の仕方とか基礎知識を教えて貰ってるんだけどこれが全く分からない。いや、俺の頭が良くないってのは認めるよ? でも、それ以前に束さんの教え方にも問題があると思うんだ。

 

 

むきー! 何で2人共分からないかなー!? 束さんこんなにも親切で分かりやすく教えてあげてるのにー!!」

 

「それは無いです」
 
──それは無いですよ

 

 

 

 

 クロエさんとついついハモっちゃう。束さんの教え方はもうビックリするぐらい頭に入って来ないんだ。メモに書き出したらもう宇宙人の言葉みたいになっちゃう。

 

 

──……日本から見る夜空、他の国とはまた違った風に感じられて、これはこれで綺麗かな……

 

 

 …………そして、その夜。窓から夜空の星を眺めて思いに耽けていた。

 

 

「そ、ソリダスくん……♡」

 

──束さん? えっと、何ですkんむっ!? 

ドサッ

 

 

 するとそこに、束さんが入ってきて……いきなりちゅーってされてはベッドに押し倒されて。

 

 

「ぷはっ♪ 束さん、ずっとこの時を待ってたんだ。…………いいよね?」

 

──え、そ、そんな……

 

 

 パジャマに手を掛けられて、脱がそうとしてきて。

 

 

「ほらほら〜ソリダスくん好みの子が誘ってるんだよ?」

 

──…………っ

プツンッ

 

 

 そこで俺の糸が切れた。嫌と言える訳がなかったんだ。束さんの言う通り、好みにドストライクな子が俺に好意を抱いていて、その上誘ってきているんだ。そんなの、嫌がる方が無理だった。

 

 

──束さん……束さんが悪いんですからね……! 

 

「きゃっ♡ソリダスくんてば大胆♡」

 

 

 …………うん、まあ……すごく、良かったです…………。

 

 


 

 

──えっと、ソリd……こほんっ、虹紫(ニジムラ) 無量大数(ムリョウタイスウ)です。えっと……1年間、よろしくお願いします。

 

 

 俺は14歳、日本では中学生の年齢。義務教育だからと中学校に通えと千冬さんが。俺は嫌な記憶が蘇って嫌だって言ったし、束さんは行かせないって聞かなかったけど、こればっかりは譲れないと千冬さんが言って、中学校に通う事に。

 

 

「…………何この子、気持ち悪い」

「1つ下の学年の一夏くん並のイケメンなのに、この子は生理的に無理かも」

「なんか嫌な感じよね。見た目はいいのに」

 

 

 ……だけど、思った通り。みんなからの反応は最悪。意地になって来なければよかったよ。

 

 

「ホント気持ち悪い、あっち行ってよ」

 

──え、でもそこ、俺の席……

 

「お前の席、ねーから!」

「そーそー! 教室から出てけよね!」

 

 

 ……悲しくない、悲しくないよ。慣れっこだもん、これくらい……。

 

 

──…………あれ、俺の分の給食は……? 

 

「は? ある訳ねーじゃんそんなもの」

「アンタにやる給食なんて無いに決まってるけど?」

 

──…………そう、なんだ。そうだよね。……変なこと聞いてごめん

 

 

 …………どうせ俺は少食なんだし、たかが一食食べなかったくらい大丈夫……。

 

 

──大……丈夫…………大丈……夫、なんだ…………

バタッ

 

 

 とても大丈夫じゃなかった。少食な分、お腹が空くのも早くて……俺の場合、一食抜くだけでも動けなくなるくらいには一大事みたいだ。……もうそこらへんの草や石、虫の死骸ですら美味しそうに見えてきちゃう。犬猫なんてお肉にしか見えない。

 

 

「……えっと、大丈夫?」

 

 

 そんな所に、女の子から声を掛けられる。

 

 

──……だ、大丈、夫です……ちょっと転けただけd……

グゥ~

 

 

 何か食べないと動けそうにもないっていうのに、つい口ではこう言っちゃう。けど、体は正直で、言った側からお腹がくうくう鳴っちゃう。

 

 

「どこが大丈夫なのよ……ほら、奢ってあげるから捕まりなさい」

 

──…………て、天使…………? 

 

 

 奢ってくれるって言って手を差し伸べてくれた少女が、一瞬だけ…………天使のように見えた。

 

 

──あむっ……はふっ……美味しい、美味しいよ……

ポロポロッ

 

「な、泣くほど!?」

 

 

 その後、女の子に家に連れて行かれて、中華料理を食べさせてくれた。いつ振りかな、こんなに美味しい料理を食べたのは……。

 

 

──……ご馳走さまでした。ご、ごめんね? 食べさせてもらっちゃって……

 

「別にいいわよ、あのまま死なれる方が胸糞悪いもの」

 

──そっか。あのまま誰も来なかったら、多分草とか虫とか食べてたけどね

 

「やめなさいよそれ……」

 

 

 本当に食べてたと思うけど。今までも何度か食べたことあるし、毒かどうかとかはなんとなく分かるから死ぬことは無いと思うよ。

 

 

──それじゃ、俺は行くよ。……本当にありがとうね、天使様

 

「て、天使って……凰鈴音、鈴でいいわよ」

 

──それじゃ、鈴さん。ありがとうね

ニコッ

 

「えっ……///」

ドキッ

 

──……鈴さん? 

 

「あ、ああうん! それじゃあね!」

 

 

 ? 最後様子がおかしかったんだけど何でだろう? とにかく、結果的にすごく美味しいものを食べられて俺は大満足だよ。

 

 

──束さんクロエさん、ただいま帰りました! 

 

「…………ソリダスくん?」

 

──…………え、えっと、あー……束さん? 

 

「ごめんね、束さんまさか学校であんな風にいじめられるとは思ってなかったよ。明日から、お弁当持っていこうね。……それで、知らない女に中華料理を振る舞ってもらえてよかったね……美味しかった?」

 

 

 怖い! 束さん怖い! 学校でいじめられたのも、鈴さんに中華料理食べさせてもらえたのも、何でバレてるの!? 束さん一緒にいなかったよね!? 

 

 

「そのISを通して全部見てたよ? 束さんISの第一人者だからね。ソリダスくんのISから見守ってたんだ」

 

 

 IS……!? あ、首元のチョーカー!! このチョーカー、ISの待機形態だった!! 

 

 

「ふふふ……あの女に天使様なんて言っちゃって……あの女のことを忘れられるように、今夜はいっぱいやろーね♪」

 

 

 …………昨日以上に激しく求められて、俺は今日で死ぬんじゃないかと思いました。




留学生は、行き倒れた少年にご馳走する。
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