最強の愛され系ボンゴレ♀は、今を全力で楽しみたい 作:時長凜祢@二次創作主力垢
時は流れて2月。
この世界でも前の世界と同じように、街がバレンタイン一色になり始めて、多くの女性達が色めき立つ。
一部の男性達も、バレンタインの幟を見ては、ちょっとだけソワソワしているようだ。
好きな子からもらえないかなとか、恋人や妻からもらいたいなとか、そんな感じなんだろうか。
そんなことを思いながら町の中をうろうろしていると、かなりの高級品が並んでいるお店の前にて、見慣れた長身の女性の姿を見つけた。
「あれ?ビアンキ姉さん?」
「あら、ナツ。お帰りなさい。今帰りかしら?」
「うん。ビアンキ姉さん、何してるの?」
「見ての通り、チョコレートを見ていたのよ。」
そう言って店内の方に視線を向けるビアンキ姉さん。
彼女の視線の先には、キラキラとした宝石のようなチョコレートがあり、多くの女性を虜にしていた。
しかし、彼女達はチョコレートの値段を見るなり、肩を落として違うチョコレートに目を向ける。
よく見るとそのチョコレートは、かなりの値段になっており、軽い気持ちで買えないレベルのものだった。
「あのチョコレートとか、リボーンに渡したらいいと思って。彼って割とグルメなところがあるもの。」
「なるほどね……。でも、珍しいね。既製品を買おうと思ってるなんて。」
“ビアンキ姉さんなら手作りしそうな気もするけど”……と口から出そうになった言葉を飲み込んで首を傾げていると、ビアンキ姉さんは口を開く。
「私も最初は手作りを渡そうと思ったのよ。でも、どれだけ愛情を込めても、きっとナツが作るお菓子には敵わないと思うから、今回は買おうと思ったの。」
「え?私が作るお菓子に敵わない?」
「ナツは気づいていないかもしれないけど、最近のリボーンはナツが作るお菓子が一等気に入ってるみたいでね。
私も負けてられないと思って挑戦してみても、どうしてもリボーンの好みには合いそうにないのよ。
正直、私もナツが作るお菓子は全部好きよ。控えめな甘さではあるけど、それでもしっかりと甘くて美味しくて、食べていて全く飽きがこない。
特に、素材の味をバランスよく活かしたフルーツ系統のナツの手作りお菓子は、私にとっても好物になりつつあるの。
おかげで体重を維持するのが大変になってきたのよ?あなた、マフィアのボスと言う先祖が残したものがなければ、間違いなくパティシエとして世界を取れたと思うわ。」
「そんな大袈裟な……」
「大袈裟じゃないわ。本当にそう思ってるの。だから、ナツが作るお菓子には、絶対私の愛を込めたチョコレートは敵わない。
料理ならば勝てると思うのだけど、お菓子に関しては完敗よ。だから、今年は手作りチョコレートじゃなくて、既製品のチョコレートを買おうと思って。」
「そうだったんだ。」
心の底から褒められていることがわかり、少しだけ照れくさくなりながらも、ビアンキ姉さんが見つめていたチョコレートを見る。
あれ、普通に万行くみたいだけど、こんなチョコレート初めて見た。
「かなりの値段だね、あれ。」
「一流のショコラティエが作ったチョコレートらしいのよ。だから、値段が張るのも仕方ないわ。」
「でも、ビアンキ姉さんは普通に買えそう。」
「ええ。当然でしょ?こう見えてお金はかなり稼いでるの。まぁ、全部殺しの依頼を引き受けた結果得ることができたものではあるけどね。」
「あはは……流石は毒サソリのビアンキ……。暗殺による蓄えがすごいのか……」
「あとはまぁ、ハニトラを使った情報収集とかもよくしたわね。もちろん、大切なものは大切な人に捧げたいから、そこまで過激なことはしてないけど。」
「あー……やっぱ裏ってハニートラップも普通に飛び交う世界なんだ……。」
「当然でしょう?男はイイ女に擦り寄られたら、割と簡単にコロッと言ってしまうものなのよ。
でも、逆も場合によってはあるみたいだから、ナツもボスになるなら気をつけなさい。
信頼できるイイ男なら問題はないかもしれないけど、初対面のイイ男は、そう言うタイプ例もかなりいるんだから。」
「はーい。勉強になります、ビアンキ先生。」
ビアンキ姉さんの裏世界講談を聞き、笑顔を見せながら勉強になると伝えれば、彼女は小さく笑いながら、私の頭を優しく撫でてきた。
この人、リボーンと一緒にいる時間を長く用意しておけば、本当にただの穏やかなお姉さんだな。
おかげで私も命の危険が遠くなったし、むしろ逆に好かれちゃった。
やっぱり、世の中必要なのは、相手の望みをちゃんと汲み取り、それに見合った状況や時間ってところかな。
「せっかくだし、高めのチョコレートをゆっくり吟味してリボーンへの贈り物を探すとするわ。
割と並盛って、そう言ったブランド志向のお店があるみたいだし。」
「え?そんなに?」
「あら、気づかなかったの?……いえ、あなたはまだ中学生だものね。自分ができる範囲のものを探して、その範囲内で最もいい品質のものを見つけて買ったりするから、あまりブランドの店を見て回ったりしないわね。」
「いくらお小遣いがあっても買えないものは必ずあるから、買える範囲で考えるかな。」
「フフ……それは立派なことよ。バカみたいに無駄遣いをして痛い目に遭うことがないし、組織を率いる中で、組織内のお金を無駄に使ったりしないようになるだろうから、今はそれを続けなさい。
無茶なお金の使い方をして、財政難に陥るようなことがあってはいけないもの。」
「うん!」
「でも、いずれはブランド品の店も見るようにしなくてはダメよ?ボスになるのであれば、その立場にあった格好をする必要だってあるのだから。
まぁ、今はまだ考えなくてもいい先の話かもしれないけど。」
「わかった。その時は、ビアンキ姉さんに相談してもいい?」
「もちろんよ。あなたに似合うブランドを探しておくわ。」
「ありがとう!」
そんなことを思いながら、ビアンキ姉さんとこれから先の話を少しだけする。
素直に話を聞いていれば、ビアンキ姉さんは穏やかな笑みを見せていた。
「私はもう少しチョコレートを見て回るわ。ナツは帰るんでしょう?」
「うん。一週間後にはだからね。友達全員に、風紀委員全員、他にも渡したい人はいっぱいいるから、早めに考えないと!」
「あらあら。ナツは渡す人がたくさんいるのね。」
「もちろん!だってみんなにお世話になってるからね。もちろん、ビアンキ姉さんにも用意するつもりだから、楽しみにしててよ。」
「フフ……楽しみにしておくわね。」
「ところでビアンキ姉さんは、甘さ控えめがいい?それとも甘い方がいい?」
「そうね……私はどちらかと言うと甘い方がいいかしら。疲れている時とかに食べると、疲労が回復する気がするもの。」
「わかった。じゃあ、甘めのものを用意するよ。」
「ありがとう。それじゃあ、私は失礼するわね。」
「はーい!」
チョコレートが売られている店の中に入っていったビアンキ姉さんを見送りながら、私はスクールバッグからメモ帳とペンを取り出す。
そこには、今日1日で聞いて回った、大切な人達の好きな甘さがどのようなものであるかを調べたものが書いてある。
「恭弥さんは甘さ控えめ。風紀委員会は中間。京ちゃんとハルは甘め。花と隼人と武と正一くんは中間。リボーンは甘さ控えめ。ビアンキ姉さんとちびっ子達は甘め……。
割とみんなの好みってバラバラだな……。でも、これだけ情報があれば問題はないか。」
甘さ控えめ組にはガトーショコラとビターテイストのナッツトリュフ。
甘め組にはショコラマフィンにホワイトチョコレートのトリュフ。
中間組にはマドレーヌにミルクチョコトリュフ……あとは……そうだな……。
普段はあまり作らないものに挑戦してみるのもありかな?あれならなんとか作れそうだし。
「フフン……楽しくなってきた……!ディーノさんは残念ながら海外にいるから、バレンタインの贈り物ができないけど、こればかりは仕方ないか……。
タイミングよくきてくれないかなって思ったりしなくもないけど、まぁ、無理か。どうせなら彼にも渡したかったな……。」
あ……初代組にはどうするべきか……。一応多めに作っとく?
甘さの好みとかはちょっとわからないから、とりあえず中間くらいの甘さのものは量産しておこう。
あとは……
「骸が精神世界に遊びにきてくれたら、その時に精神世界でちょっとしたチョコレートパーティーでもやってみるか。」
2人しかいないけど。
………そんなことを考えたのが一週間前。
私がよく作っているお菓子レシピを京ちゃんとハルに渡したり、話を聞いた友人達の好みに合わせたものを作ったりするうちに迎えたバレンタインデー当日。
誰にどれを手渡すかわかりやすくするために行ったラッピングを見ながら、小さく笑みを浮かべた私は、いくつかのバレンタインチョコをスクールバッグの中に入れて、学校へと向かうための道のりを歩く。
「さてと……まずは誰と出会すかな。」
ちょっとだけ某型月のスマホゲーを思い出しながら言葉をを紡ぐ。
あのゲーム、バレンタインデーイベントの本編はチョコレートが動き回ったり、とある女性が謎の信仰を得てツッコミを入れたりとかなりのトンチキストーリーだったにも関わらず、サーヴァントとの個別シナリオはフルボイスで恋愛ゲーム感マシマシだったよね。
中には重いわ!!ってツッコみたくなるお返しがあったり、そう言うとこ〜〜〜!!って悶えるような話があったりと楽しかった記憶がある。
どうせなら、転生する前にガチャで引いた新規サーヴァント達とのバレンタインシナリオを見てから転生したかったな……なんて、少しだけ不満に思いながらも、ゆっくりと足を進めていれば、視界の先に見覚えのある女の子3人を見つけることができた。
あれま。意外にも見つかるもんだ……と少しだけ思いながらも、私は小さく笑みを浮かべる。
よし、まずはこの3人に渡そう!
「おーい!京ちゃん!花!ハル〜!」
「お?ナツじゃん。おはよ〜。」
「おはようなっちゃん!!」
「こんなところで会うとは思いませんでした!おはようございまーす!!ナツさーん!!」
そう思いながら走り出した私は、目の前にいた3人に声をかける。
バレンタインの1日の始まりだ。
沢田 奈月
知らぬ間にリボーン達の命を救ったボンゴレ10代目。
チョコレートを贈りたい人の大半から好みの味を聞き出しては、それに合ったものを一週間で研究し、作り上げた。
ビアンキ
奈月のお菓子作りの腕がかなりのものであることを理解しているがゆえに、今回は手作りじゃなくて既製品を買おうと決めていた毒サソリ。
今ではすっかり毒針を抜かれ、奈月の姉貴分として生活しており、これから先、彼女に必要なことを少しずつ教えている。