最強の愛され系ボンゴレ♀は、今を全力で楽しみたい   作:時長凜祢@二次創作主力垢

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ハピバレ コザァート、正一

 あのあとたくさん泣いたわたしは、かなり恥ずかしい姿を見せたと思い、夜には落ち着くと思うから、しばらくの間そっとしておいてと初代組に伝え、自分の元にも夜になるまではこないでほしいから空からも見ないでとお願いした。

 ジョットさん達は、別に気にしないと言っていたけど、わたしの方が気にするからと、拗ねたように言い返したからか、しばらくはそっとしておいてくれることになった。

 

『……えっと……ナツキちゃん?どうしたの、その目。』

 

「………なんでよりによってコザァートさんがきちゃうんですか……。」

 

 しかし、わたしが1人になったからか、コザァートさんが1人ふらっとやってきてしまい、思わずタイミングが悪いと拗ねてしまう。

 その姿にコザァートさんは苦笑いを一つこぼし、とりあえず人がいないところに行こうと、一旦この場を離れることを提案してきた。

 むすっとした気持ちはなくならないけど、今いる場所は、まだDさん達が戻ってくる可能性があるため、静かにその場から立ち去る。

 

『……で、どうしたの?それ。』

 

「……ちょっといろいろありまして………。」

 

『そのいろいろって、オレには話せないことかな?話せないことなら無理に話さなくてもいいけど、もし話せるのならば、少しだけオレにも教えてくれないかな?』

 

「…………。」

 

 しばらくしてたどり着いたのは並盛神社。相変わらずここは、年末年始や祭りの時以外は人が集まらない。

 こんなのでちゃんと神様は喜ぶのだろうかと、少しだけくだらないことを考えながらも、心配そうな様子を見せてくるコザァートさんに、わたしは少しだけ思案する。

 それにより、別に話しても問題はないかと判断したわたしは、先程、ジョットさん達と行ったやりとりを説明した。

 ポツポツと説明するわたしに、コザァートさんは相槌を打ちながら、優しく頭を撫でてくる。

 ジョットさんとはまた違った手の感触……だけど、その温もりはどこか似ていて、そのことに安心感を覚えながらも、わたしは全て説明した。

 

『そっか……ジョットの前で弱音を吐いたら、それでもいいって言ってもらえて、これまで我慢してきたものを全部涙に変えたんだね。

 それで、ちょっと目が腫れていたのか。よかった……Dに意地悪されたり、学校の人に意地悪されて泣いていたわけじゃなくて。

 学校の人だったらどうにもできないけど、Dに傷つけられて泣かされていたのなら、天敵だなんだとか関係なしに、ボッコボコに滅多殴りにするところだったよ。』

 

「それは……コザァートさんの子孫の子達が危険に晒される可能性が大ですからやめた方がいいですよ。」

 

『あはは。それは言えてるね。でも、多分オレの子孫も、Dの本性を知ったら構わないからやれって言いそうな気もするな。』

 

「勘弁してあげてください……。」

 

 “本気でやったりはしないって”と笑顔で言ってくるコザァートさんの様子に、少しだけ苦笑いをこぼしてしまう。

 なんだろう……この人、割と脳筋なところでもあるのだろうか?なんにせよ、Dさんに泣かされたわけじゃなくてよかったとしか言いようがない。

 

「……あ、そうだ。」

 

『?どうかした?』

 

「ええ。ちょっとだけコザァートさんと、そのファミリーの皆さんに贈り物をと思いまして。」

 

『贈り物?』

 

 不思議そうに首を傾げるコザァートさんに頷き返したわたしは、スクールバッグとはまた別の手提げから紅色のリボンでラッピングしていたバレンタインの贈り物を取り出す。

 

「これ……今日はバレンタインデーなので、コザァートさん達にも贈ることができたらと思っていたんですよ。

 いろんな話をしてくれるコザァートさんとは、いつもゆっくりした時間を過ごさせてもらっていますし、大切な子孫や、今のシモンの子達が大変な時を過ごす中、何度もコザァートさんをお借りしてますから、そのお礼も兼ねて……。」

 

 同じものが複数入ってる手提げを静かに差し出した贈り物を見て、コザァートさんは一瞬驚いたような表情を見せる。

 でも、すぐに小さく笑みを浮かべ、わたしが差し出したそれを受け取ってくれた。

 

『オレはただ話にきてるだけだし、そんなオレにナツキちゃんはいつも付き合ってくれているから、お礼を言うのはむしろこっちの方なんだけど、ありがとう、素敵な贈り物だよ。』

 

 穏やかな笑みを浮かべながら、手提げに入ってる贈り物を一つ取り出し、静かに見つめるコザァートさん。

 しかし、すぐに中に入っている花をかたどったアイシングクッキーに気づき、あれ?と小さく呟いた。

 

『これ……花のカタチになってるね。どの贈り物の中にも入ってるみたいだけど……。』

 

「はい。コザァートさん達のは特別に、2種類の花をアイシングクッキーでかたどっています。」

 

『え?』

 

「……ジョットさんや、わたしの友達には一つしか贈ってないんですけど、コザァートさん達には、どうしてもこの2種類の花を贈りたかったんです。」

 

 首を傾げるコザァートさんに、わたしは小さく微笑みかけながら、花の名前を口にする。

 

「まず、白の花はビオラです。そして、黄色の花はヒペリカム。」

 

『ビオラにヒペリカム……。』

 

「ええ。そして、アイシングクッキーをあえて花をかたどったものにした理由は、その花に込められた花言葉が関係しています。」

 

『花言葉?』

 

「はい。」

 

 花言葉と言う言葉に、興味を示したコザァートさん。

 そんな彼を見据えながら、わたしは花に込めた想いを告げる。

 

「白のビオラの花言葉は、“真実に光を当てる”。そして、ヒペリカムの花言葉は……“悲しみは続かない”。」

 

『!?』

 

 わたしが口にした花言葉を聞き、コザァートさんが目を見開いた。

 しかし、すぐに手元にある贈り物の中にあるアイシングクッキーを見つめては、そっと袋越しにそれに触れた。

 

『……“真実に光を当てる”……それと、“悲しみは続かない”……か。はは……どこで見つけてきたんだ……オレ達の大切な子孫達と、オレ達を狙ったような花言葉を………。』

 

 わたしの言葉を聞き、コザァートさんは両目から涙をこぼした。それは、悲しみと喜びの両方が合わさったかのような、どこか綺麗で、寂しげな雫だった。

 

「……みんなに別々の花言葉を……なるべく被らない花々を贈りたくて……たくさん調べていたら見つけたんです。

 コザァートさんは、詳しい話をしようとはしないけど、Dさんが介入したことにより、ジョットさん達と顔を合わせることができなくなったと言ってましたよね?

 しかも、それは未来に歪曲したカタチで伝わってしまった出来事にもなり、ボンゴレとシモンに確執を残してしまったと。

 だからこそ、わたしはその花をシモンファミリーの皆さんに渡そうと思ったんです。

 まだ会ったことがない、コザァートさんが残した子孫……その子と一緒に真実に手を伸ばし、過去から流れてきた悲しみの原点を断ち切りたいから、絶対に真実を見届けて、たくさんの悲しみを払拭してみせると伝えたかったから。」

 

 “叶うのはいつになるかわからないけど”……そう呟くと、コザァートさんが小さく笑みを浮かべ、わたしの頭を撫でてきた。

 

「コザァートさん?」

 

『……ありがとう。真実に光を当てると言ってくれて。子孫達の悲しみを断ち切ってみせると言ってくれて。

 ……ナツキちゃん……どうか、どうかオレの大切な子孫達を、暗闇の世界から引っ張り出してあげてくれ……。』

 

 “そのためならば、オレはどんな手助けも行うから”と、泣きながら言ってくるコザァートさんの姿に、わたしは思わず無言になる。

 しかし、すぐにそんな彼の手をそっと掴み、両手で握り返して頷けば、小さな嗚咽が聞こえてきた。

 それだけ、彼の子孫とそのファミリーは苦しめられ続けていたのだろう。

 それならばわたしは……

 

「ええ。必ず断ち切ります。あなたの子孫の悲しみや苦しみを。真実に光を当て、しっかりと解き明かしたのち、再び、あなたとジョットさん達が穏やかに笑い合えるように、時間がかかっても結び直します。

 あなたとジョットさんが築いてきた、確かな絆の物語の結び目を。」

 

 少しでも早く確執を取り除いて、明るい未来を歩めるように……ジョットさんとあなたが結んでいた絆を、再び繋ぎ合わせられるように……いつか出会うであろうあなたの子孫達とともに真実に手を伸ばしましょう。

 

 

 *:・゚*.+ ❀ *:・゚*.+ *:・゚*.+ ❀ *:・゚*.+ *:・゚*.+ ❀

 

 

 “オレもちょっと情けないところを見せちゃったね”……と苦笑いをこぼしながらも、落ち着いた様子のコザァートさんと別れ、わたしは“私”へと精神を戻し、帰宅するための帰路に着く。

 そんな中見えた一つの背中。ちょっとだけ天パがかった茶髪のあの子は、間違いなく正一君だった。

 

「やっほー、正一君。」

 

「あ、ナツさん。こんにちは。」

 

「こんにちは。よかったー。学校帰りに出くわさないかなって考えていたんだよね。」

 

「え?」

 

 キョトンとした表情を見せる正一君に、私は別の手提げから黄色のリボンでラッピングしている贈り物を取り出す。

 その中に入ってるものがチョコレート関係であることに気づいたらしい正一君は、驚いたような表情を見せた。

 

「誕生日にプレゼントをくれたから、そのお礼として。ハッピーバレンタイン、正一君。」

 

「え?え?ええ!?」

 

 スッとそのまま贈り物を渡してみれば、彼はかなり戸惑ったような声をあげる。

 バレンタインの贈り物を渡されるとは思わなかったのだろうか。

 

「何戸惑ってんの?」

 

「いや、だって、僕……ナツさんに何もしてない……」

 

「何も?そんなことないでしょ。私は、君から誕生日プレゼントをもらったし、時折話をしてくれることも、私は嬉しいと思っていたんだよ。

 だから、これはそのお礼。チョコマドレーヌとミルクチョコトリュフ、それとアイシングクッキーね。」

 

「す、すごい手間がかかってる!?」

 

 ガーンッと言う効果音がつきそうなくらい衝撃を受けている様子の正一君に、小さく笑い声を漏らす。

 まぁ、その瞬間笑うなよって感じの視線を向けられたけど、そこは気にしない。

 

「これくらいしたいと思う程、私は、あの時の誕生日が嬉しかったんだよ。

 ありがとう、正一君。君もあの時お祝いしてくれたから、私は、今まで、少しだけ好きになれなかった誕生日が好きになれたよ。」

 

「……ナツさん?」

 

 正一君が不思議そうに首を傾げる中、私は小さく笑って口を開く。

 

「そのアイシングクッキー……花のカタチになってるんだけど、それ、ちゃんと意味があるんだよ。」

 

「花に意味?花言葉ってことかな?」

 

「うん。」

 

 深く探るなと暗に伝えるように、花言葉と言う言葉で話題を逸らす、

 正一君は、一瞬だけ驚いたような表情を見せたが、それは花言葉を込めていたことに対してか、それとも話題を逸らしたことか……。

 なんにせよ、誕生日に関しての話はなんとか逸らせそうだと思いながらも、私は口を開く。

 

「その花はセンテッドゼラニウム。花言葉は“思いがけない出会い”。」

 

「思いがけない出会い……」

 

 私が伝えた花言葉を聞き、正一君は静かにアイシングクッキーへと視線を落とす。

 その姿に小さく笑みを浮かべながら、なぜその花言葉を贈ろうと思ったのかを伝える。

 

「これは、なんとなく直感したものなんだけど、私は正一君との出会いには、これから先、何か意味があるんじゃないかと思っていたんだ。

 初めて会ったきっかけはランボが迷惑をかけたことによるものだったけど、君と話しているうちに、君との出会いは思いがけないところから訪れた、何よりも大切な出来事なんじゃないかって、あの時、連絡先を教えた時に感じ取った。」

 

「僕達の出会いが、何よりも大切な出来事……。」

 

「うん。何でかな……。いつか遠いどこかの未来で、この出会いがなかったら成し遂げることができない何かが起こりそうな……そんな気持ちにされてしまうんだ。」

 

「……そっか。僕にはよくわからないけど、ナツさんがそう言うってことは、きっと大切なことなのかもしれないね。」

 

「……ごめん、変なことを言ったね。忘れていいよ。」

 

「いや、忘れないよ。さっきの話をしてる時、なんだかナツさん、少しだけ不安そうな表情をしていた。

 そんな表情をするってことは、きっと、そうさせる何かがあるんじゃないかなって僕も思う。

 僕も、ナツさんと会った時、少しだけ思ったからね。ナツさんと出会ったことは、きっと、大切にしないといけない時間なんじゃないかなって。

 不思議だね。超能力とか、そんなものは信じるような質じゃないし、そんな力が僕にあるとは思ってないけど、ナツさんとの出会いだけは、絶対に忘れたらいけないし、大切にしないといけないと思ったんだ。」

 

 私のことを真っ直ぐと見据えてくる正一君を、私も静かに見つめ返す。

 すると彼は小さく微笑んだあと、静かに片手を差し伸べてきた。

 

「なんだか、ちょっと変なことを言ってる気がするけど、きっと僕達の出会いは、ナツさんが言ってるように、何か意味があるんだと思う。

 だから、これからも僕と仲良くしてほしいし、連絡もできればほしいと思ってる。

 どこまで手助けできるかわからないけど、僕はナツさんの力になりたいから。」

 

 握手を求めるように差し出された片手を見つめ、私は少しだけ無言になる。

 だけど、すぐに私の口元には穏やかな笑みが浮かび、自然と差し伸べられた片手を、私は静かに握り返した。

 

「うん。ありがとう、正一君。もし、本当に未来でそんなことがあったら、その時は助けてね。」

 

「うん。絶対に助けるよ。ナツさんの不安を少しでも取り除くことができるなら。」

 

 

 




 沢田 奈月
 コザァートには希望を指し示し、正一とは一つの約束を交わしたボンゴレ10代目。
 未来に不安がないわけじゃないけど、自分を支えてくれる人が少しずつ増えているからか、少しずつ道がひらけてきている。

 シモン・コザァート
 奈月から贈られた花言葉に思わず涙を流した初代シモンファミリーのボス。
 大切な子孫達の確執を取り除くためならば、奈月への協力は惜しまないと彼女に誓う。

 入江 正一
 奈月からバレンタインの贈り物をもらうことになるとは思わなかった男子Part.2。
 一瞬だけ彼女が暗い表情を見せたが、まるで隠すように話を逸らしたため、触れてほしくないのだと思い、口にすることはなかった、
 超能力を信じるつもりはないし、自分にそんな力があるとも思っていないが、奈月同様、自分達の出会いは意味があるものだと思っていたため、何かあれば必ず力を貸すと彼女に伝えた。
 協力をすると言う言葉の中に、君の不安は和らげたいと言う想いを込めて……

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