最強の愛され系ボンゴレ♀は、今を全力で楽しみたい 作:時長凜祢@二次創作主力垢
東軍と西軍に分かれて塹壕を作ること30分。
雪玉もある程度作り上げることができた頃、リボーンからストップの声がかけられた。
「準備ができたな。じゃあ、始めるぞ。」
塹壕の背後にしゃがみ込むようにして、動きを止めていると、リボーンがそろそろ始めると言ってくる。
了承するように手を軽く触れば、リボーンは小さく頷いた。
「うし。」
「相手はディーノさんに隼人、了平さんにランボ……。どんな行動を起こすかわからないな。
まぁ、基本的に厄介な行動を取りそうなのは、ディーノさんと隼人だけど……」
「すでに遊び疲れてんじゃねー!アホ牛!!凍え死ぬぞ!?」
「え!?ランボ寝てんの!?」
「そうなんスよ!!このままじゃアホ牛風邪引きますよ10代目!!」
「マジか……。リボーン。預けた荷物の中にホットのチャイが入ったボトルがあるからとりあえずランボを起こしてそれ紙コップ使って飲ませて。あとアメ玉。」
「……ったく仕方ねーな。おい、アホ牛。起きろ。ナツがチャイとアメ玉用意してくれてるぞ。食べねーのか?」
「アメ玉!?ランボさんアメ玉食べるもんね!チャイも飲むもんね!」
「だったらさっさと起きて口にしろ。風邪引いてナツに迷惑かけたら承知しねーぞ。」
「はーい。ナツー!ごめんなさいだもんね!」
「全く……小さい子は体調崩しやすいんだから、油断したらダメだよ。」
「……ナツの影響か、なんかリボーンも変わったな。」
「ん?まぁ、ナツがどれだけ子供を大切にしてるか知ってるからな。それに、女の負担を減らすのも、男の仕事ってもんだろ。
ナツの場合は、いくら減らそうと思っても、結局8割は全部持っていっちまうけどな。
それなら、ナツがこうしようと思ってるのを汲んで、オレもその通りに動くだけだぞ。」
「なんか無駄にカッケー………。」
塹壕からひょっこりと顔を出して様子を見てみれば、ランボがリボーンからチャイとアメ玉を受け取ってそれを口にしているのが見えた。
その姿に小さく安堵の息を吐いていると、リボーンが私の荷物を持ってフィールドの外に再び出る。
「ちとトラブったが始めるぞ。開始。」
そして、どこからともなく取り出した法螺貝を吹き、開始の合図を出してきた。
しかし、それを聞いてすぐに出るものはまずいないわけで……。
「今出たら間違いなく集中砲火だな。」
「そりゃそうだ。」
「どうやって狙う?」
「うーん……」
どうしたもんかと考えていると、向こう側から了平さんが動き出したことを感じ取る。
すぐに塹壕越しに相手側を見てみれば、了平さんが塹壕から飛び出していた。
「極限まで攻めずして勝利は掴めん!!」
「あのバカ!!」
「玉も持たずに……」
「んじゃ、こっちは定石通りにいくぜ!!」
飛び出してきた了平さんを見て、武が雪玉を投げつける。ボールを投げるのと同じフォルムだからか、未だに加減できていない豪速球の雪玉だ。
まぁ、まだ雪玉だからちびっ子が大怪我をすることはないと思うけど、それでも危なっかしいことには変わらない。
そんなことを思っていると、雪玉を投げつけられた了平さんは、ストレート一発でそれを破壊してしまった。
「そんななまくら玉、この“極限ストレート”の前ではマシュマロ同然!!」
「にゃろ!!」
「笹川さん、すごい!!」
「……なるほどね。何回当たってもいいってルールを逆手に取ったか。」
それなら、私もちょっと行動を取りますかね……。
「武。フゥ太。イーピン。3人は雪玉で牽制しまくって。私が出るから。」
「え!?ナツ姉、大丈夫なの?」
「そうだぜ、ナツ。小僧が言ってることが本当なら、女子って体が冷えやすいんだろ?」
「まぁ、男子と違って筋肉がそこまでないし、体も小さいからね。その分寒さを感じ易いのは否めない。」
「だったら……」
「適材適所。力がある武や、動きの速さに定評のあるイーピン、イーピンだけじゃカバーしきれない部分をフゥ太が補うように牽制してるうちに、それなりにスピードも運動能力もある私がレオンを狙うって言うのは作戦としては有りだよ。」
「─────」
「“それならば私が前に出るのも有りだと思います”……ね。最初はそれも考えたんだけど、イーピン、餃子拳使うよね?」
「!」
「こっち、風下。風上側でそれ使った場合、風下側はどうなるでしょうか?」
「…………!?」
「つまりはそう言うこと。確実にこっちが不利になる行動は避けたいかな。」
私の説明を聞き、納得した様子のイーピンの頭を優しく撫でながら、私は塹壕の後ろから様子を見る。
武とフゥ太が了平さんに雪玉を継続して投げているためか、少しばかり了平さんの動きは遅くなっているようだ。
それでも前進してきているのは変わらないため、私は何度か深呼吸をした後、塹壕の裏から外に出る。
「い゛!?10代目ぇ!?」
「うお!?マジか!?あっちの方ナツが出てくるのかよ!!」
私が塹壕の裏から飛び出してきたからか、隼人とディーノさんの2人が一瞬だけ怯む。
「そうこなくてはな!!」
対する了平さんは、私が出てきたためか、口元に笑みを浮かべ、いつのまにか手にしていた雪玉をこちらに投げてくる。
それを自身のスピードを活かしながら交わし、掻い潜っていく。すると、塹壕の後ろからディーノさんが雪玉を投げようとしているのが見えた。
でも、この場には彼の部下がいないため、完全なチャンス状態だ。
「あ!?ヤベ!?ナツの方に雪玉投げようとしたのに!!」
「相変わらず運動音痴だなテメェ!!」
「やっぱりコントやってる……。隼人。遠慮なく雪玉は投げてきなよ。ゲームにならないからさ。」
「し、しかし……」
「んじゃ、こうしようか。こっちに勝てたら隼人のお願いを一日聞いてあげる。こっちができることなら、なんでも言ってくれて構わない。」
「……へ?」
「ま、そう言うわけだから、かかってきなよ!!」
なかなか乗り気にならない隼人に対して、ご褒美を提示してみれば、彼は一瞬だけ目を丸くした後、その目つきを変えた。
「え!?ちょっと待てナツ!!獄寺だけそれはずるいぜ!?」
「そうだぜナツ!!コイツだけにご褒美はちょっとフェアじゃないぞ!!」
「え?じゃあ、レオンボールを手に入れて勝った人の言うことを一日聞くとか?」
「「よっしゃ!!やる気出てきた!!」」
「んな!?テメェらにその権利は渡さねぇ!!」
こっちが口にした言葉を聞き、武とディーノさんが食らいつく。
それを聞いた隼人はすかさず2人にツッコミを入れ、塹壕の裏から飛び出してきた。
「……奈月。その権利は別に譲渡しても構わんか?」
「?ええ。了平さんが勝ったら権利は了平さんのものになるので、別にどのように扱っても構いませんよ。」
「うむ!ではオレも本気で行くぞ!!」
「あ、もしかして、京ちゃんに譲るとかそんな感じです?」
「ああ!よくわかったな!」
「まぁ、了平さんが京ちゃん想いなのは、さっきのお説教で理解しましたからね。」
「そうか!では、オレが勝ったら一日京子と過ごしてやってくれ!」
「わかりました。じゃあ、了平さんが勝った場合は京ちゃんにそれを譲渡と言うことで受け付けます。」
あれ?男全員まさかの参加?と思いながらも、了平さんの参加も引き受けていると、一回だけ長めに法螺貝が鳴らされる。
すぐに視線をそっちに向けていると、リボーンが私達を見据えながら、かなりの不満顔をしていた。
「お前ら……オレを差し置いて何勝手に面白そうなルールに変更してやがんだ。」
軽くイラついている様子の声音で言葉を紡いだリボーンが雪でできた柱の上にいるレオンに目を向けて、その名前を短く呼ぶ。
するとレオンはリボーンの声に反応して彼を一瞬見たのち、ピョンとその手元に飛び降りた。
「こうなったら全員参加だ。レオン。」
その瞬間レオンの姿がラジコンの車へと変化する。え?と思っていると、リボーンが手に乗っていたラジコンレオンを校庭に勢いよく投げ飛ばした。
「レオンTURBOを最初に取った奴がナツの一日を褒美にもらうのが新しいルールだぞ。
雪玉はいくら当たってもいいってルールも変えるからな。野郎は雪玉に5回以上当たったらアウトだぞ。
イーピンとランボは体格の差もあるから雪玉に10回当たったらアウトだからな。
ナツだけは特別ルールだ。ナツはただレオンを追いかけろ。んで、ナツがレオンを入手した場合、次の休みは一日勉強はなし。
家事とかも負けた奴が手伝うからナツは休みってことにするぞ。」
「え、ちょ、待て待て待て待て!!まさかリボーンも参加すんのか!?」
「当たり前じゃねーか、何言ってんだディーノ。言っとくが、例えお前らが相手でもオレは手を緩めないからな。
ランボとイーピンに対しても同様に手は緩めないからな。ナツの一日はオレが手に入れるからな。」
「オレだって負けるつもりはねーからなリボーン!!」
「リボーンさん!!今回ばかりはオレも負けないっスよ!!10代目と一日を過ごすのはオレだ!!」
「獄寺にもディーノさんにも笹川先輩にも絶対負けないぜ。いつもは複数人で動いてるから、たまには2人きりになりたいしな。」
「オレも負けん!!京子から話は聞いているため、奈月の周りにお前達がよくいることは知っているからな!!京子との時間を作ってもらうためにも、本気で行くぞ!!」
「え!?勝ったらナツを一日中独り占めできるの!?だったらオレっちも負けないもんね!!」
「─────!!」
「……あれ…………?なんか気がついたら大事になってんだけど?」
『あなたが勝った人間の言うことを一日聞くなんて言ってしまうからですよ。生身だったら私も参加してました。』
『オレも、間違いなく生前だったら参加していたな。』
『オレもだな。ナツキにはまだまだ色々教えたかったんだ。』
『オレ様も生身だったら普通に参加していたものね。ナツと一日中一緒なんて絶対に楽しいこと間違い無いし。』
『私も生きていたら参加していたでござる。奈月は剣の才もあるゆえ、一日中剣を教えたり、のんびり過ごしたりするのは楽しそうでござるからな。』
『オレも参加していたかもしれんな。ナツキにまだまだ隠れた才能があることは知っているしな。』
『僕も、間違いなく生前だったら参加してる側だね。と言うか、ナツキが独占できるなら、誰だって参加するんじゃない?』
「ええ……?そこまで価値あるかな……。喜ぶの隼人だけかと思ったんだけど……」
『ナツキは一旦、自分がどれだけ魅力的な女性であるかを理解するべきだと思うぞ。』
『プリーモの意見に同意ですね。ナツキは一度、自分の影響力を学んだ方がよろしいですよ。』
呆れたような眼差しを向けてくるDさんとジョットさんに、マジか……と少しだけ遠い目をしてしまう。
まさか、そこまで自分が影響力を持つ人間だとは思わなかったんだけど。
だって、誰が喜ぶと思うのさ、私の一日独占権。いや、まぁ、なんかここにいる殆どの人間が即行で食いついたわけだけど、正直言ってここまで食いつかれるなんて思ってなかったんだけど。
「……へぇ。随分と面白そうな話をしてるじゃないか。」
「………Oh……………。」
なんてことを思っていると、聞き馴染みのある声がその場に響き渡る。
思わず間抜けな声を出しながら、壊れたブリキのように背後を振り向いてみれば、そこには腕を組んで立っている恭弥さんの姿があった。
「群れてる連中に一方的に雪を投げつけてやろうと思ったけど、奈月の一日を独占することができる……なんて話を聞いたら、黙っているわけにもいかないよね。
僕も混ぜてよ。今回ばかりは群れも我慢してあげるから。構わないだろう?赤ん坊。」
「「ゲッ!?ヒバリ!!?」」
「む!?ヒバリも参加するのか!!」
「え?誰だ?」
「そいつが奈月のファミリー候補の1人、雲雀 恭弥だぞ。」
「……あなた誰?」
「オレか?オレはディーノだ。ナツの兄貴分だぜ。」
「ふぅん?まぁ、今はどうでもいいや。あなたもなかなか強そうだけど、今はこっちが優先。」
「………ええ……?なんか微妙にショックなんだが?」
ガーン……とショックを受けるディーノさんのことなど気にしていないのか、恭弥さんの視線はリボーンの方に向けらている。
彼に目を向けられたリボーンは、すぐに視線を恭弥さんに合わせ、無言で見つめ返した。
「参加していいよね、赤ん坊。まぁ、ダメって言われても参加するけど。」
「ああ、構わねーぞ。だが、ナツの時間はオレがもらうからな。」
「ワォ。楽しめそうだね。」
「……恭弥さんも参加しちゃうのか……まぁ、別にいいけどさ。」
辺りに火花が弾ける中、苦笑いをこぼしながら言葉を紡ぐ。
すると、背後からこちらへと歩み寄ってくる気配が一つ。気配の方へと目を向けてみれば、どことなく困惑している様子のビアンキ姉さんが、ゴーグルをつけて何度か瞬きをしていた。
「えっと……誰も私を誘ってくれないもんだから、鬱憤ばらしに乱入戦をしてやろうかと思っていたけど、何か、それ以上にとんでもないことになってるわね……。
何があったの?ナツ。明らかに隼人もリボーンもやる気が違うみたいだけど……」
「……さっきまで雪合戦だったはずなんだけど、私が勝った人の言うことを一日聞くって言った瞬間、やる気に溢れ始めたメンツ。
さらに言うと、いつのまにか勝った人間が私を一日独占できるって話になってた……。」
「あら……。リボーンまで参加してるのね。」
「なぜかね………。」
「じゃあ、私も参加しようかしら。私が勝ったら、ナツは私の言うことを一日聞いてくれるんでしょう?だったら、私はナツと2人でお出かけしたいわ。
あなたに似合いそうな服が売られてるいいブランドを見つけたのよ。」
「……リボーンが私の時間をもらおうとしてることには何も言わないわけ?」
「そうね……初めて会った時の私だったら、間違いなく嫉妬して、あなたに手を出していたかもしれないけど、今の私はそこまで嫉妬深くないわ。まぁ、ナツ限定ではあるんだけど。」
「そうなの?」
「ええ。だって、私は誰よりもリボーンを愛しているけど、ナツのことも大切な妹のような女の子だと思ってるもの。
だからかしらね。ナツならまぁ、別にいいかしら?なんて思うことがあるのよ。
だから安心してちょうだい。ナツならば、リボーンの側にいても怒らないわ。
他の女相手だと、かなり怒っちゃうかもしれないけど。」
ビアンキ姉さんの意外な胸の内を聞き、私は一瞬だけキョトンとしてしまう。
でも、ビアンキ姉さんが本当にそう思っていることはどうやら嘘ではないようで、私がリボーンと一緒にいることに関しては特に気にしていないようだ。
彼が、私の一日を賭けた勝負をすることも、特に気に入らないとは思っていないようで、別に問題はないらしい。
「リボーン。私も参加するわ。ナツの一日、私も欲しいのよ。この子に似合いそうなレディースブランドを見つけたから、将来的な勉強も兼ねてね。」
「ん?そうか。わかったぞ。じゃあ、参加者は獄寺、山本、了平、ヒバリ、ディーノ、ビアンキ、イーピン、ランボだな。フゥ太はいいのか?」
「僕?うん。僕は大丈夫だよ。むしろ、みんなのランキングを作りたい気分だから!」
「じゃあ、フゥ太は不参加だな。じゃあ、ルールを説明するぞ。参加者が狙うのはレオンTURBOのみ。最初に掴んだ奴が優勝だ。
雪玉は大人は5回まで。チビは10回まで当たっていいぞ。んで、ナツはひたすらレオンTURBOを追いかけて先に掴むか、レオンTURBOを入手しようとした奴の妨害を30分間行えば勝ちだぞ。」
「え?つまり私はタワーディフェンス……?」
「そうなるな。」
「マジか……。」
隼人に武、了平さんに恭弥さん、ディーノさんにリボーン、ランボにイーピン……そんでビアンキ。
この9人相手にタワーディフェンスか……。
「仕方ない……やってやろうじゃん!!」
一度深くため息を吐き、頭を切り替える。
とは言え、1人で何もなしに動くのはかなり骨が折れるから、死ぬ気モードだけは使わせて貰おうか。
「リボーン。死ぬ気モードになるのはあり?」
「ありだぞ。布陣的には、それくらいしてちょうどいいバランスになるはずだからな。」
「オーケー。じゃあ、こっちは死ぬ気で行くよ。」
リボーンからの許可も降りたため、私は数回の深呼吸を行い、集中力を高める。
そして、集った熱を解放すれば、視界の端にオレンジ色の炎がちらつき始めた。
「準備オーケー。いつでもおいで!!」
「よし。じゃあ、第2ラウンド開始だぞ!!」
辺りに法螺貝の音が鳴り響き、レオンTURBOにもエンジンが灯される。
ギュルルル!!と独特な音を立てながら走り出すレオンTURBOは、勢いよく校庭を駆け抜け始めた。
それを確認した私は、すぐに小さく笑いながら、地面を勢いよく蹴り上げる。
レオンTURBOを手に入れるか、30分間妨害し続けることにより勝利する全力の雪遊びの本番の幕が上がった。
沢田 奈月
自身の魅力に全然気づいていないせいで初代組からツッコまれたボンゴレ10代目。
とんでもない実力者9人相手にタワーディフェンスを行わなくてはならないことになったが、死ぬ気モードのコントロールにちょうどいいと考え、やる気を出す。
獄寺、山本、雲雀、リボーン
奈月と過ごす時間はオレ/僕のものだ!!
イーピン
奈月の時間がもらえたら、お菓子作りや中国語講座をいっぱいしたい!
ビアンキ
もはやリボーンの側に奈月がいることは気にするつもりがない毒サソリ。
奈月の時間がもらえたら、着せ替え人形にするつもり。
初代組&D・スペード
生前だったら間違いなく参加していたな………。
今を生きるメンバーがかなり羨ましい。