最強の愛され系ボンゴレ♀は、今を全力で楽しみたい 作:時長凜祢@二次創作主力垢
それはある日の学校の休憩時間。
「奈月。ちょっといい?」
「?恭弥さん?」
中学校の敷地内にある自販機で紙パックのジュースを買い、私含めてサンコイチトリオと称されているメンバー……京ちゃんと花の2人と談笑しながら口にしていると、教室の前に恭弥さんがやってきた。
恭弥さんが姿を見せるなり、教室どころか廊下の方でも蜘蛛の子を散らすかのように散開する生徒達を視界に入れながらも、呼ばれたからには用事があるんだろうと思い、廊下の方へと足を運んでみれば、恭弥さんがついてきてと一言私に告げる。
とりあえずついていくべきだと判断した私は、すぐに恭弥さんの隣に並び、校舎の中を歩く。
周りの生徒がヒバリの隣に並べる沢田やべー……とか、沢田とヒバリ、よく一緒にいるな……とか、そんなことを言ってるけど、今はスルーして、とりあえず足を動かした。
それによりたどり着いたのは、並盛中学校にある渡り廊下の上。そこには了平さんが立っており、私と恭弥さんに視線を向けてきた。
「了平さん?何かありました?」
「うむ!すまんな、奈月!ヒバリ!実は、折り入って頼みたいことがあるのだ!」
「頼みたいこと?私と恭弥さんにですか?」
突拍子もない話に私は首を傾げ、恭弥さんはあくびをこぼす。
恭弥さん……めちゃくちゃ応接室に戻りたそうにしてるな……。まぁ、私がいる分問題ないとは言ってるけど、3人以上で行動することを恭弥さんが嫌っていることは誰よりも知ってるつもりだから、そうなってしまうことはわからなくもないけど。
それでも、私の側にいてくれるのは、きっと恭弥さんはそれなりに私を気にかけてくれているからだろう。
ありがたいような、迷惑をかけてしまって申し訳ないような……複雑な気持ちではある。
「うむ!まずはついてきてほしい!そこで説明してもらうぞ!」
「……説明してもらう………?」
「まだ移動するの?早く要件言ってほしいんだけど?一日だけ奈月を借りたいとか言ってたよね?」
「恭弥さん。私レンタル何でも屋さんじゃないんですけど。」
サラッと告げられた私のレンタル発言に対して、思わずツッコミを入れてしまう。
しかし、恭弥さんも了平さんも気にしていないのか、明らかなスルーモードになっていた。
話聞いて……と一瞬泣きたくなる。だが、そんな私の気持ちなどつゆ知らず、了平さんはさっさと移動を始めてしまった。
何でこの世界の人、たまに話聞いてくれないんだろう……少しくらい話を聞いてくれー……。
───── 並盛中学校 校舎外 ─────
了平さんに連れてこられたのは並盛中学校の校舎の外。並盛中学校に入るための正門の近くだった。
そこには1人の男性が立っており、了平さんの姿を見るなり頭を下げる。
「誰?」
「……確か、並盛道場の経営者だね。主に空手を教えてる。」
「あ、恭弥さんの知り合いなんですね。」
「知り合いと言うか、並盛のことは大体把握できてるから知ってるだけ。話したことはないよ。」
「なるほど。流石恭弥さんですね。」
『いや、そこはツッコミなさい。明らかにおかしいでしょう。何で中学校の風紀委員長が町一つを把握してるのですか。普通はあり得ませんからね?町長と言うわけでもないのですから。
そもそも町長ですらそこら辺全体的に把握してるかわからないと言うのに、並盛について知りすぎなんですよこの子は。』
『……相変わらずヒバリは独特な子だな………。』
『つーか、コイツ、本当に中学生なのかどうかも怪しいぜ……?』
『言われてみれば……なんか中学生……って感じじゃない気がするものね。』
『年齢詐称してるのかもね。』
『だとしたら、究極に何歳なのだ?ヒバリとやらは。』
『不明でござるなぁ……』
……Dさん達の気持ちはわからなくもないけど、ここは恭弥さんだから仕方ないと言うことで切り捨てるべきだと思う私なのであった。
もう、恭弥さんの謎の人望とか、謎すぎるプライベートに関しては突っ込まない方がいいと思うんだよね。諦め諦め。
その感情がDさんには感じ取れたのか、『そこは諦めたらダメでしょう!?』ってツッコまれたけど、スルーしておこう。
「学業中、すみません。実は、折いってご相談がありまして……。私、並盛道場の経営者を務めているものです。」
Dさんのことをスルーしていると、道場の経営者さんは頭を下げた。その表情は、どことなく神妙で、なおかつ不安そうなものだった。
それを見た私は、何度か瞬きをしたのち、恭弥さんに目を向ける。私の視線に気づいた恭弥さんは、こちらの方に一度視線を向けたのち、小さくため息を吐いた。
話を聞いて判断する……と言ったところだろうか。
「あの、何かあったんですか?」
「ええ……実はですね……」
恭弥さんの感情を読み取りながらも、目の前にいる道場の経営者さんに声をかける。
道場の経営者さんは私の質問に一度頷いたあと、何があったのかを教えてくれた。
何でも、最近、並盛に存在している道場が立て続けに襲われる道場破り事件が発生しているとのことらしい。
「道場破り……ですか……。」
「ええ。最近頻発してまして……。既にこの町にある3つの道場も看板を持ってかれてしまったんです。」
「そう言えば、草壁や風紀委員からそんな話を聞いたよ。確か、3日前くらいかな……。
一日一軒、どこかしらの道場が狙われて、その度に道場の経営者や、道場に身を置いてる舎弟がかなりの重傷を負ってるらしいね。
その中には並盛に通ってる生徒も混ざっていてね。草壁達に調べさせていたんだけど、どうやら、向こうからきてくれたらしい。」
「……あれ?なんか恭弥さん、ちょっとやる気になってません?気のせいです?」
「ウチの生徒がやられてるって聞いて、動かないわけにはいかないでしょ?明確な並盛への攻撃だよ。」
「ええ……?」
明らかにやる気になってる恭弥さんの様子に、軽く引いてしまう。
並中の生徒がやられる=並盛への攻撃=自分への攻撃ってこと?
何と言うぶっ飛び思考………。
「……えっと……もう少し概要を教えてくださいますか?道場破りの件は分かりましたけど、それがなぜ了平さんの方に情報としてやってきたのでしょうか?」
「ああ、はい。3つの道場が襲撃されたと聞き、用心棒を探していたのですよ。
我が道場の主力組は、現在遠征に出ていましてな。経営者である私だけでは手に終えないと考えまして……。
本当は、私がしっかりと守らなくてはならないのですが、見ての通り、年も食っておりますし、他の道場の様子からして、説得や降伏も通用しない可能性も……。
それで、どうしたものかと考えてい時、笹川くん率いるボクシング部が手を挙げてくれたわけです。」
「……ふぅん?ねぇ、笹川 了平。ボクシング部は出さなくていいよ。僕と奈月だけで行くから。」
「あれ?なんかサラッと同行者にぶっ込まれた?」
「しかし!道場破りに2人だけで立ち向かうと言うのも極限にどうかと思うぞ!!せめて数人は……」
「僕が群れを嫌ってることは知ってるでしょ?奈月だけは別だけど、他の人間はいらない。
邪魔なだけだし、足手まといにしかならないからね。君の部員も巻き込んで咬み殺していいなら考えてあげるけど?」
「なんだと!?」
「ちょっと!!何喧嘩おっ始めようとしてるんですか2人とも!!」
一触即発と言う言葉が似合う程険悪ムードが流れる恭弥さんと了平さんの間に体を割り込ませながら怒鳴るように声をかける。
私の割り込みに気づいた恭弥さんと了平さんは、一瞬だけ目を丸くしたのち、ギスギスしたまま視線を逸らした。
「……大丈夫ですか?」
「……ええ……よくあることなんで、大丈夫です。」
まぁ、今回はいつもの2人じゃなくて、先輩組2人だけど……と思いながらため息を吐く。
しかし、すぐに頭を切り替えたのち、私は恭弥さんに視線を向けた。
「恭弥さんは、やっぱり自身で排除したいですか?」
「当たり前でしょ。せっかく尻尾どころか本体がやってきそうな話なのに、動かない理由はある?」
「ですよね。並盛を大切にされている恭弥さんならばそう言うと思いました。
それなら私は恭弥さんの判断に従います。ですが、念のために了平さんだけでも連れて行きましょう。
私と恭弥さんに打ちのめせない壁なんてほとんどないとは思いますが、用心棒の依頼を引き受けたのは、ボクシング部の主将たる了平さんです。
引き受けた本人が行かないと言うのは、少しだけおかしいので。」
「……まぁ、それくらいなら構わないけど。」
「ありがとうございます。そう言うわけですので、了平さん。道場破りの件は、私と恭弥さんと了平さんだけで対応しましょう。
言っておきますが、この条件を飲まないのであれば、私も恭弥さんも依頼を引き受けるつもりはありません。
それに、これはボクシング部の皆さんのためでもあります。他の部員の皆さんが大怪我を負わないようにするためにも、ご理解いただけますね?」
「むぅ……!わかった!では、奈月とヒバリとオレで此度の件は引き受けるとしよう!
奈月がいるだけでも極限に戦力は上がっているしな!さらにヒバリまで入ってくれるとなると、十分過ぎる総合力となるだろう!」
「ご理解いただき感謝します。」
なんとか恭弥さんと了平さんの2人の承諾を得ることができて一息つく。
まぁ、正直なところ恭弥さんがいると言うだけで相手に対してかなりのオーバーキルになるような気がしてならないけど、風紀委員が動いていた案件だとすると、恭弥さんは直接咬み殺しに行くまで納得してくれないだろうし、仕方ないと割り切るしかないか。
『これ、大丈夫なんですかね?』
『急に何?』
『相手がってことだろ。』
『……間違いなくオーバーキルだものね。』
『まぁ、ナツキは言わずもがなだが、ヒバリやリョウヘイもかなり強いからな……。』
『先に十字を切っておくべきだろうか?』
『やめて差し上げた方がいいかと思うでござる……。一瞬、同意しかけてしまいましたが……。』
初代組とDさんが何かを察したような様子を見せる。
うん。私もかなりのオーバーキルだと思ってるから否定はできない。
だけど、こうしないと両方とも納得してくれないと思うから、そこはとりあえずスルーしてほしい。
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「さぁ、いつでも来んか!!道場破り!!」
「……暑苦しい。うるさい。」
「同感ですね。」
了平さんがボクシング部の生徒に自分と恭弥さんと私の3人だけで並盛道場の用心棒を行ってくると説明し、移動してたどり着いた道場。
いつも通り燃え盛っている了平さんが前に立つ中、私と恭弥さんは道場の壁に背中を預けながらそれを眺めていた。
道場の経営者さんは了平さんの側にいる。私と恭弥さんがそこから離れているのは、恭弥さんの不機嫌対策だ。
「……ところでリ……」
「今のオレはパオパオ老師だぞ。」
「………老師。なんであんたがここにいんの?」
「なかなか見かけねー組み合わせが移動してるのを見たから興味が湧いたんだ。まさか、道場の護衛をすることになっていたとはな。」
「冷やかし?」
「まぁ、そんなもんだ。暇潰しって奴だな。」
しかし、そんな状態などお構いなしに、パオパオ老師とか言う謎の存在になって姿を現したリボーンは、私のすぐ側にある棚の上に座りながら、こちらの声に反応した。
暇潰し感覚で見にくるなよ……。
「マフィアは地域を守るのも仕事だからな。引き受けたのはいい判断だぞ。
かつて、ボンゴレを作った初代ボンゴレも、元は自警団として動いていたくらいだ。
ナツも地域を助けることの大切さをしっかり学ぶんだぞ。」
「……了解。」
と思ったら、わりかししっかりと勉強させる気満々だったらしい。
まぁ、ボランティアの一つとして少しやってみますかね。
「ところで経営者さん。道場破りはいつもどれぐらいの時間にやってくるんですか?」
「基本的に道場破りは午後の3時半にやってきます。重傷を負った方々は話すのも難しい状態でしたが、一部話せる方からそう聞いております。
ただ、かなり苛烈な攻撃をされてしまったらしく、どのような人物がやってきているのかまでは記憶が朧げになってしまい、わからないとのことで……」
「誰であろうと咬み殺せばいいだけの話だよ。人物像とかどうでもいい。」
「いや、まぁ、恭弥さんの意見はもっともですけど、少しくらいは話を聞きましょうよ。」
「興味ない。」
「……そうですか。」
うーん、いつも通り。恭弥さんって敵を排除することができれば基本的にどうでもいい主義だなぁ……やっぱ。
興味あるのって強い人だけなんだね、本当に。まぁ、だから私も興味を持たれていると言うか、執着されてるんだけど。通算50勝はやりすぎたかな。
それ以降、恭弥さんは手合わせを挑んでこなくなったけど。
「3時半……現在は10分だから、あと20分か。」
腕につけていた時計を見つめながらポツリと呟く。
しばらくは余裕がありそうだけど……ん?
「すみません。ちょっと席を外します。」
「?どうしたの、奈月。」
「ええ。ちょっと知り合いの気配を感じ取れたもので。」
そんな中、不意に感じ取ることができた気配に私は腕時計から目を離し、席を外すことを告げる。
恭弥さんは不思議そうに首を傾げるが、すぐに小さく頷いたあと、再び壁に背中を預けて立ち始めた。
それを確認した私は、すぐに道場の外に顔を出す。そこにはイーピンの姿があり、私が姿を現したことにびっくりしたような表情を見せていた。
「イーピン?何してんのこんなところで。」
「─────!」
「え?まな板?」
なぜかいるイーピンに声をかけると、彼女はまな板がほしくてここまでやってきたらしい。
いや、なんでまな板求めて道場に足を運ぶんだよ。
「─────!」
「道場の看板?いやいやいやいや、これまな板じゃないから。ていうか、まな板は家にあるはずだけど?」
「!?」
「うん、なんでびっくりしてんのさ。戸棚の方に何枚か納めてあるよ。」
「………!」
「思い出した?」
「!」
「ならよかった……。ったく……なんでまな板が必要なの。」
「─────。」
「へぇ……ビアンキ姉さんから料理を………え?それ大丈夫?ポイズンにならない?」
「………!」
「多分、大丈夫って一番ダメな発言だと思うんだけど……。」
どうやら、道場の看板とまな板が同じものに見えてしまっていたらしい。
確かに、どちらも長めで長方形の板だけど、ここまでド近眼なのも考えものだ。
「イーピン。今度一度メガネ屋さんに行ってみようか。確か、子供用のコンタクトとかも作ってもらえたし、メガネを作って、ちょっと工夫してかけるようにしたりして生活した方が何倍もマシになると思うよ。
そこまで近眼が強いと、これから先苦労しそうだし、事実、今回もちょっと勘違いしちゃったみたいだからね。」
「……。」
「謝らなくていいよ。君の安全が最優先なんだから。こう言う時、小さい子なら年上に甘えるもんだよ。
まぁ、子供で誰かに甘えることが未だにできない私が言う言葉じゃない気もするけど、一応、私達には社会人である母さんやビアンキ姉さんにお願いするって手もある。
だって、私達の周りには、頼りになる大人がこれでもかってくらい集まってるからね。
まぁ、ビアンキ姉さんは自分はまだ成人しているわけじゃないとか言ってた気がするけど。」
「!」
「よし、じゃあ……あ、ランボ。」
「あれ?ナツだもんね!イーピンと一緒に何してるのー?」
「ちょっとしたお話。そんなことよりランボ。私、用事があるからさ。イーピンと一緒に家に帰ってくれるかな?
この子、放っといたら大怪我しちゃいそうだからさ。」
「わかったもんね!まぁ、オレっちもビアンキに言われてイーピンを迎えにきたんだけど!」
「ビアンキ姉さんに?」
「うん!まな板と包丁を用意してって言ったら、イーピンが外に出ちゃったから迎えに行ってって!
ビアンキはビアンキで、なんか用意するって言ってたし、ママンとナツの代わりに家事もしないといけないからって!」
「そっか。じゃあ、ちょうどよかったかな。イーピンをよろしく頼むよ。
ついでに、ビアンキ姉さんのお手伝いもちょっとしてあげてね。洗濯物を取り込んだり、畳んだり……ランボでもお手伝いできそうなことはかなりあると思うから。」
「はーい!ほら、イーピン。帰るもんね!ナツの代わりにビアンキやママン手伝うもんね!」
「!」
バイバーイ!と言って、ランボはイーピンと一緒にくるっと踵を返してそのまま走り去っていく。
それを見送るように手を振った私は、よいしょ、と口にしながら、しゃがみ込むのをやめた。
そして、腕時計に再び目を落とす。時間は20分……道場破りがくると思わしき時間まで、あと10分。
沢田 奈月
並盛道場の経営者の話を聞き、道場の護衛を引き受けたボンゴレ10代目。
とは言うものの、基本的には喧嘩をおっ始めようとする雲雀と了平のストッパーとして動いている。
雲雀が自分の意見を通してくれることを理解しているので、妥協案を提示できそうならば、遠慮なく意見を提示し、それを必ず通すが、それがどれだけ凄いことかまでは理解できていない。
雲雀 恭弥
基本的に奈月の意見は必ず通している風紀委員長。
その理由は、必ず自身も納得できる妥協案が出されるからだが、一番はまぁ、奈月がそこまで言うなら構わないけど……と言う私情によるもの。
奈月に手合わせを挑まなくなった理由は、彼女に対する感情を認識してから、彼女が側にいるなら何でもいいと言う理由からであり、何度挑んでも負けるからと言う理由ではない。
笹川 了平
雲雀と喧嘩を始めそうになったが、すぐに割って入った奈月にストップをかけられてやめたボクシング部主将。
奈月と雲雀がいれば百人力どころではないと言う理由から、奈月から提示された自分と奈月と雲雀の3人で護衛をしようと言う妥協案をすぐに承諾した。
初代組&D・スペード
相変わらず仲良しな初代組 with D・スペード。
奈月と雲雀の様子があまりにもアレだったため、今回はほとんどツッコミに回っていた。
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