最強の愛され系ボンゴレ♀は、今を全力で楽しみたい 作:時長凜祢@二次創作主力垢
これ、いずれ出てくるクソでか感情三銃士闇落ち待った無しなんだけど、自分のキャラに重い過去を背負わせるな私。
イーピンとランボを送り返し、再び道場の中に戻った私は、3時半がくるまで恭弥さんの隣に控えていた。
時間がくるまでの10分間……特にやることがないので、無言で携帯電話を触っていると、道場の方へと近づいてくる複数の気配。
「……恭弥さん。」
「うん。きたみたいだね。」
「奈月!ヒバリ!やるぞ!」
「君が僕に命令しないでくれない?」
「君がってことは、私は構わないんです?」
「……奈月がするのは命令じゃなくて意見や案の提示でしょ?そもそも分類が違うよ。
それに、君の意見は納得できるものが多いし、強制してくる様子もない。
提示した後は、必ず僕の意見を聞こうとするから気にしてないよ。まぁ、君だけの特権ではあるけどね。」
「そうですか。まぁ、恭弥さんがそう仰るなら、これからも意見は提示しますね。」
「うん。」
少しだけ苛立ちを見せた恭弥さんの意識を逸らすために、話しかければ、彼はすぐに私の方に意識を向け、苛立ちを霧散させた。
こう言う時、恭弥さんが私を気に入ってくれていてよかったと思う。
私の話を聞いたら、必ず一回は思案してくれるし、それにより冷静さを取り戻してイライラしなくなるからね。
そんなことを思いながら壁から静かに離れると、恭弥さんも壁から背中を離し、私の隣に静かに並ぶ。
まるで共闘するかのようだな……なんて思いながら、腰のベルトに提げていた折りたたみ式トンファーを手に取っていると、道場の扉が勢いよく開いた。
「なんだよ、3人と爺さんしかいねーじゃねーか。つまんねーな。」
聞こえてきた声の方に視線を向けてみると、そこには3人のガタイの良い男性がいた。
「どーもー。道場破りでーす。」
口元に下卑た笑みを浮かべながら、道場破りだと宣言した男性3人。
それを見た恭弥さんが私の前に出て制服からトンファーを取り出す。
体勢が完全に女を守る男の図なんですけど、ちょっとドキッとしちゃったよ。
「貴様らが道場破りか!」
そんなことを思っていると、了平さんがボクシングの構えをしながら目の前にいる男性達に声をかける。
自分達に対抗しようとする姿が面白かったのか、道場破りはニヤニヤと笑みを浮かべたまま口を開いた。
「オレたちゃ全国大会でもいいとこいっちゃう猛者なのよ。力を持て余してるっつーの?」
「よーするに趣味の破壊よ。キヒヒヒヒ!」
「4軒目行きますか〜〜。」
「……並盛生徒を怪我させた犯人、割れましたね。」
「そうだね。これで咬み殺せる。」
サラッと暴露された自分達がこれまで全部やりました発言。
その言葉を聞いた私は、恭弥さんだけに聞こえる声で犯人が割れたと口にする。
私の言葉に同意した恭弥さんはすぐに道場破りを咬み殺そうとトンファーを構えた。
「貴様らは格闘家の風上にもおけん!!この笹川 了平が成敗してくれる!!」
「あ。」
「…………。」
しかし、彼が動く前に了平さんが道場破りへと走り出してしまい、一歩出遅れてしまう。
先を越された恭弥さんは、かなりの苛立ちを見せながら、不機嫌に口元を結んだ。
「極限!!」
そんな恭弥さんのことなどつゆ知らず、了平さんは“極限ラッシュ”と口にしていたラッシュ攻撃を道場破りのうちの2人に放つ。
「うお!?」
「こいつつえぇ!!」
了平さんの攻撃に、2人の道場破りは戸惑いと焦りの声を漏らす。
彼の攻撃は、全国大会でもそこそこ行くらしい存在にもある程度通用するようだ。
しかし、少しだけ周りが見えていないせいか、もう1人の存在を忘れている。
「でも、もう1人いるのよね!!」
一番ガタイの良い道場破りが、了平さんの背後に周り勢いよく手にしていた竹刀を振り下ろす。
それに気づいた了平さんは、驚いたように目を丸くするが、反撃する前に竹刀が直撃してしまったため、そのまま床に倒れ込んだ。
「了平さん!!」
「奈月。前に出ないで。あと、手出しもしないように。わかった?」
「え、あ、はい……」
思わず了平さんの名前を呼び、駆け寄りそうになる。だが、すぐにそれは恭弥さんに止められ、私は走り出す前に足を止めた。
「お?道場の娘か?」
「へぇ……めちゃくちゃカワイイなおい。」
「オレがいただき!!」
私の声に気づいた道場破りの視線がこちら側に向けられる。
その視線はどこか嫌悪感を抱くほどの寒気を感じてしまい、恐怖心に従うように体が硬直する。
すると、それに気づいた恭弥さんが私の方に視線を一度向けたのち、自身が羽織っていた学ランをバサリと頭からかけてきた。
「恭弥さん?ちょっと、前が見えないんですけど……」
「見る必要はないよ。被ってて良いから
「え?わ、わかりました……」
有無を言わせない恭弥さんの言葉に大人しく従うように、恭弥さんから預けられた学ランを被ったまま、静かに距離を取る。
その瞬間、辺りには了平さんが食らった竹刀の音とは比べものにならない程の鈍い音が複数回響き渡った。
「
静かに紡がれた言葉に耳を傾けながら、被せられた学ランの隙間から恭弥さんへと視線を向ける。
彼の足元には、先程、こちらに向かってきていた一番ガタイの良い道場破りが痙攣しながら転がっており、恭弥さんの手元にあるトンファーからは無数の突起がその牙を覗かせており、先程殴り飛ばした道場破りの血液と思わしき赤が静かに滴っていた。
「安心しなよ。救急車は呼んであげるから。ところで、君達って大会でそれなりに実力を発揮できるんだってね?
だったら、少しくらいは僕を楽しませてよ。最近はあまり体を動かしてないから、少しだけ体が鈍っていてね。」
いつもの調子で言葉を紡いでいるにも関わらず、辺りを支配するのはかなり重い空気。
それにより私は、恭弥さんがかなりキレていることを理解する。
……この空気の正体は恭弥さんの殺気。これまで私が感じてきた楽しむような加虐性の気配とは明確に違う敵意だった。
「……やべーな。ヒバリの奴、完全にキレてるぞ。」
リボーンですらヤバいと称する程の気配に、私は無言になる。
目の前で了平さんが殴り飛ばされたこと……それと、おそらくだけど、私が嫌悪感を感じ、気持ち悪いと思う寒気のするような道場破りの視線に対する恐怖心を見せたことが、恭弥さんをキレさせる原因となったのだろう。
「ヒッ……!?ま、まさか、あの学ランとトンファーって……!!」
「な、並盛中学校風紀委員長、雲雀 恭弥!?」
未だに治らない寒気を感じる中、冷静に分析しながら過ごしていると、残りの道場破り2人がガタイの良い道場破りが一瞬にして潰されたことにより冷静さを取り戻したらしく、トンファーと学ランから恭弥さんの正体を導き出す。
それにより顔を青くし、腰がひけたのか体を震わせ始めた。でも、そんな姿を見たところで恭弥さんが動きを止めるはずもなく、トンファーを静かに構えた。
そこからは本当に一瞬だった。
道場破り相手に恭弥さんは一瞬にして距離を詰め、容赦なく人間の急所である顎を狙ってトンファーを振るい、砕く勢いで殴りつけていった。
全国大会に出て、いいところまで行くと自慢げに言っていたけど、やはり彼の前ではそれすら通用することはなく、確実に仕留めていった。
容赦のないオーバーキル……道場破りの3人に、素早く叩き込んだ複数の打撃は、暴れようとしていた3人全てを瞬く間に地にねじ伏せた。
「……全国大会に出ている割には大したことなかったね。ウォーミングアップにすらならない。」
道場破り3人の血がトンファーから滴り落ちる中、淡々と紡がれた冷めた言葉。
初めて聞いた冷め切った声音だけど、不思議と私は怖いと思わなかった。
道場破りを潰した恭弥さんは、すぐに携帯電話を制服から取り出す。
風紀委員会に道場の掃除を……病院に咬み殺した連中の引き取りをお願いするために、取り出したようだ。
携帯電話でいつもの調子で連絡を入れる恭弥さんを見つめ、ようやく先程の悪寒が収まる。
あの嫌悪感と恐怖は……前世にも一度経験したことがあった。社会に出てから、粘着質なストーカーに遭った時……その時のものと全く同じだ。
「奈月。」
「!」
嫌な汗が滲むのを感じながら俯いて少しだけ体を震わせていると、恭弥さんから名前を呼ばれる。
すぐに顔を上げて恭弥さんの方へと目を向けてみると、彼の気配が近寄ってくる。
「……君が、あんな反応をするなんて珍しいね。大丈夫かい?」
「……はい。その……あまりにも気持ち悪くて、体が固まってしまいました。
すみません、同行したにも関わらず、あまり役に立てなくて……」
「謝らなくていいよ。怖かったんだろう?」
「……はい。」
「それなら仕方ないさ。でも、もう大丈夫。さっきの奴らは全員咬み殺しておいたから。」
軽く手を引っ張られ、私の体はそのまま恭弥さんの方に倒れ込む。
同時に私の体は彼に優しく抱きしめられ、頭を緩やかに撫でられた。
「……普段は、ナンパしてくる人や、シャマル先生に絡まれていても、悪寒を感じたり、恐怖を感じたりしないんですけど……今回は、すごく怖かったです……。」
「うん。」
「これまで、男性に絡まれていた時は、こんな風に思わなかったんですけど……。」
「そう。」
「……そもそもが、生理的に拒絶したい類の連中だったのかもな。まぁ、自分の力や本能のままに何もかも奪う連中にはろくな奴がいねーからな。
もしかしたら、そう言う類に対する嫌悪感と、舐め回すかのような気色悪い視線を浴びて、本能的に警戒と恐怖心が出てきたのかも知れねーぞ。」
「……そう……かもね。」
恭弥さんに抱きしめられながら、リボーンの分析に言葉を返す。
曖昧な返事ではあったけど、彼の分析は間違いないなと考えながら。
あの時のストーカーも、かなり暴力的な人だった。逃げて、逃げて、なんとか逃げ切って、幼馴染の元までなんとか行って助けを求めて、なんとか助かったけど、ストーカーだった人が前に現れた時、道場破り達みたいな視線と、狂気とも言える好意をぶつけられて、しばらくの間は、仲の良かった男性にすら近寄ることができなかった記憶がある。
「……赤ん坊。少しだけ奈月を連れて行くよ。」
「仕方ねーな。まぁ、オレじゃどうしようもねーし、ヒバリに任せたぞ。」
忘れていたことを思い出し、当時の嫌悪感と恐怖に少しだけ体を震わせていると、恭弥さんがリボーンに一言告げて、私の体を軽々と抱き上げる。
「っ……ヒバリ?奈月の様子が変だが、どうかしたのか?」
「やっと起きたの?まぁ、いいや。今回の相手に対して、奈月がかなり怖がっていてね。だから、今、一旦落ち着かせるためにこっから出ようとしていたんだ。」
「何!?恐怖だと!?」
「うん。どうやら、今回の相手はかなりタチが悪かったみたいだよ。奈月が生理的に拒絶したくなるような相手だったらしいし。」
「そ、そうだったのか……!!極限にすまん、奈月!お前に声をかけるべきではなかった!!」
「……大丈夫です。了平さんも、私も、そんな相手に出くわすとは思っていなかったんですから。」
「しかし……!いや、今は話している場合ではないな……!!しっかり休め。本当にすまなかった。」
了平さんが頭を下げる中、恭弥さんが私を抱えてその場を立ち去る。
私はただ、無言で恭弥さんに抱えられたまま、道場を後にするのだった。
.:*.。o○o。.*:._.:*.。o○o。.*:._.:*.。o○o。.*:._.:*.。o○o。.
「大丈夫?奈月。」
流石に学校外で奈月を抱えて歩くわけにもいかないため、一緒に歩いて戻った並盛中学校の応接室。
彼女を定位置となっているソファの上に座らせて、目線を合わせるように膝を付き、顔を覗き込んでみる。
道場にいた時に比べたら、だいぶ顔色は良くなっているみたいだけど、それでも普段の彼女とは全く違い、少しだけ青ざめているようだった。
道場破りとか言っていた彼らと何かしら関係があるとは思わない。明らかに初対面の反応だったから。
それならどうして顔色を悪くするのかわからない……けど、あまり触れない方がいい話題であることは理解できる。
「……すみません。まだ、ちょっと気分が悪いです。」
「謝らなくていいよ。それだけ、さっきの奴らが嫌だったってことなんだから。
とりあえず、落ち着くまではここにいていいよ。何かして欲しいことはある?」
「………。」
無言で首を左右に振る奈月を静かに見つめる。
この子は、相変わらず誰かに頼らず自分でなんとかしようとする。
その気持ちはわからなくもない。僕も基本的には自分で解決することにしているから。
でも、必要な時くらいはちゃんと指示を出して任せることがあるし、そうすることで早く終わることだって沢山ある。
いや、そんなことより……僕は、奈月に甘えられたいし頼られたい。
そう思ってしまうのはきっと、この子に惹かれてしまったからだろう。
最初のうちは、自分に追いつける物珍しさから、この子を側に置きたいと思った。
そうすれば、僕の気分次第で、いつでも戦うことができるし、立場を利用して何度も戦えると思ったから。
だけど、一緒に仕事をこなしていく時間や、戦い以外の時間も過ごしているうちに、もっと一緒にいたいと思うようになった。
初めて奈月に対して、他の草食動物達に向けたことがない感情があることを自覚したのは、彼女が笹川 了平からボクシング部に勧誘された時だった。
奈月が困ったような表情をしながら、ボクシング部に勧誘されたと言ってきた時、感じたことがない程の苛立ちを抱き、彼女に詰め寄った。
笹川 了平の性格から、簡単に引き下がってくれなさそうだから、風紀委員会の仕事に遅れると告げられ、自分の学ランを羽織らせた時、奈月がまるで自分のものになったかのような錯覚を覚え、どこか強い安心感を覚えたことが始まりだった。
最初のうちは風紀委員は僕のものだし、だからこそ、僕の学ランを羽織った奈月にそんな感情を抱いたのだと思っていたけど、あまりにも遅くて迎えに行き、彼女の手を引いて歩いていた時にこれは違うと断言できた。
普段なら自分の側に誰かを置こうとしないのに、奈月だけは絶対に側に置きたいと、執着にも似た感情が渦巻いていたことに気づいていたから。
それからと言うもの、奈月を自分の側……パーソナルスペースの範囲内に入るように置いたら落ち着きを覚えるようになったり、特に用事はないのに側に置こうとしたり、とにかく奈月を自分のところに控えさせたくなったり、触れたいと思うようになった。
そして、その感情に従うように、僕は奈月を側に置くようになった。
これが、奈月に対する特別な想いからであると理解したのは、彼女の誕生日の時、赤ん坊から忘れられないような、またして欲しいと思いたくなるような一日にしてやれと言われた時、自分だけしか知らない静かな場所……草壁にすら教えたことがない、並盛を全体的に眺めることができるあそこを教えようと思った時だ。
誰かの誕生日を祝おうなんて、これまでの僕は考えたことすらなかったのに、奈月にだけはそんな風に思ってしまった。
彼女に似合いそうなアクセサリーや、ストラップをわざわざ探して、それを買って、僕だけが知ってる場所を教えて、それを渡して……。
その時に見せてくれた、普段の奈月とは違う嬉しそうな笑顔は今でも記憶に焼き付いている。
同時に、その笑顔を見たことにより、僕は奈月に惹かれていたことを、彼女を好きになっていたことを理解した。
でも、最初のうちは、自分が誰かを好きになるとは思ってなかったから、自覚した当初は戸惑いとか、そんな感情がたくさんあった。
誰かを好きになったことはなかったから、どうしたらいいかわからなくて、しばらくの間、奈月と手合わせをする時間も作らずに考え込んで、自分のやることをひたすらこなしていた。
その結果、体調を崩して、風邪を引いてしまったわけだけど、とにかく受け入れるまで時間がかかった。
だけど、草壁が奈月に連絡を入れて、連絡を受けて様子を見にきた奈月と顔を合わせたら、どこかすっと受け入れることができた。
それからの行動は……かなり早かったと思う。
奈月に側にいて欲しいと思って、奈月に触れたいと思って、奈月を返したくないと思って、甘えるような真似をした。
実際、病気なんて久々にかかったし、少しだけ不便で暇だったし、奈月がいればそこは解決すると思ったし。
だからあの時、泊まって行くことになるかもね……なんて、冗談混じりに思った本音を口にした。
結局君は、これが本音だってことに気づかないで、そのまま帰ってしまったけど。
今思えば、あの時本気だと言ったらよかった。僕の言うことは基本的にどこも通してくれるし、奈月を泊まらせることなんで造作もなかったから。
だけど、治りかけとは言え、風邪をうつすわけにもいかないから、あの時は見逃した。
すぐに距離を詰めるのもいいけど、もう少しこの関係を続けたいとも思ったから。
知ってる?奈月。君が、僕に手作りのストラップをくれた時、僕のために作ってくれたと言ってくれた時、柄にもなくすごく嬉しかったんだよ。
でも、今は想いを伝えるべきじゃないし、気づかせたくもなかったから、表にはあまり出さなかった。
多分、君に想いを告げたり、認識されたりしたら、僕は君を手放せなくなるし、多くの人間と話すことも許せなくなっていたと思うから。
だけど、そんな君が誰かと会ったことにより、そんな顔をしてしまうなら、早いとこ君には想いを伝えた方がよかったかな。
そうすれば君が不快な思いをしたり、恐怖心を抱くようなことはなかったかもしれないし。
─────……でも、想いを伝えて拒絶されたら少し嫌だし、今はまだ、伝えたくないかな。
そんなことを思いながら、僕は奈月と過ごすようになって使うようになった応接室の簡易コンロを使ってお湯を沸かす。
確か、奈月が買ってきた紅茶がここにあったはずだけど……ああ、あったね。
奈月はよく紅茶にハチミツとミルクを加えていたっけ。
「……奈月。これ飲みなよ。少しは落ち着くと思うから。」
「……ありがとうございます。」
僕が淹れた紅茶を受け取り、軽く覚ましながら飲む奈月を見つめる。どれくらいの量を入れたらわからないから、とりあえず小さじ分は入れてみたけど……。
そう思っていると、紅茶を口にした奈月の口元に小さな笑みが浮かんでいることに気づく。
どうやら、これでよかったみたいだ。
「……嫌なら話さなくていいけど、君があんな風になるのは珍しいね。過去に何かあったの?」
「……ちょっと、ヤバめの男の人に付き纏われたことがあって。そのことが、フラッシュバックしたみたいです。」
「!」
その表情から少しは話を聞けるかもしれないと思い、静かに問いかけてみれば、まさかの事実が奈月の口から紡がれた。
危険性がある男……小さい子供などを狙う変質者の類だろうか。確かに、並盛でもそんな不審者がいたことがあった。
奈月はどうやら、その時の被害者だったらしい。そう言う存在は、基本的に無理矢理子供を攫うことがある。
なんとか逃げ切れたとしても、その時に負ったトラウマは、簡単になくなるようなものじゃない。
まぁ……正直言って奈月の場合は、その言葉の裏に、何かしら別の意味を含めている可能性の方が高いけど、そんなのは関係なしに、何かしらの傷を負っている可能性は十分ある。
そんなこの子に……僕ができることは………。
「奈月。何かあったら必ず報告して。話くらいは聞くし、必要ならば君を傷つけた奴を咬み殺すこともできる。
まぁ、君は優しいから、実力行使は必要ないと思うかもしれないけど、必要な時は排除することも大事だよ。」
「…………。」
「今回みたいなことや奈月が過去に受けた傷をフラッシュバックするようなことがあるのなら、なおさら自分の前から遠ざけないといけない。
君自身が難しいと言うのなら、僕が代わりになんとかするから、話だけは聞かせて。
もちろん、奈月の考えは尊重する。必要ないと思ったら、その時は何もしない。
だけど、嫌だと思うことは素直に教えてほしいし、今回みたいに何かしらの恐怖を抱くようなことがあるならば、それも教えてほしい。
僕は、基本的に誰かの味方になるようなことはしないし、並盛に害があるものを排除することを徹底するだけだけど、奈月に関しては別だから。
僕は、奈月の味方になら別になってあげてもいいよ。それだけ僕は、君をそれなりに気にかけてるからね。
だから、もし、本当に精神的に参るようなことがあったなら僕に教えて。それが少しでも軽くなるように、やれることはやるし、手伝えることはしてあげるから。」
─────……だから、少しくらいは僕を頼って。少しくらいは僕に甘えて。
ハッキリとそう伝えれば、奈月は一瞬驚いたような表情を見せる。
だけど、すぐに泣きそうな表情を見せたあと静かに頷いた。
同時に彼女は机の上にカップを置いて、僕の方に軽く倒れ込む。すぐに手を伸ばして抱き止めてみれば、少しだけ体が震えていた。
それだけあいつらが怖かったのか……それとも、過去の経験に基づいた嫌な記憶が未だにこびりついているのか……。
なんにせよ、しばらくはこの子を落ち着かせるために抱きしめておこう。
僕がいること……それに安心感を抱くのなら、いくらでも時間を作ってあげよう。
そう思いながら僕は、奈月を静かに抱きしめて頭を撫でる。
少しだけ、制服が濡れていく感覚を覚えながら。
沢田 奈月
道場破りの表情と、その暴力的な面を見て、前世でストーカーにあった時に感じた嫌悪感と恐怖を思い出して固まってしまったボンゴレ10代目。
動けなくなってしまったことを申し訳なく思い、雲雀に謝罪の言葉をかけていたが、すぐに怖かったんだろう?とその恐怖を指摘され、何も言えず頷いてた。
応接室に連れて行かれ、寄り添うように言葉をかけてきた雲雀に、前世を伏せながらも、過去に嫌な経験をしたことがある事を打ち明けたら、落ち着くまで抱きしめられた。
雲雀 恭弥
奈月の様子が尋常じゃないことをすぐに察し、彼女が落ち着くまで側に寄り添うことを告げた風紀委員長。
奈月に対しての思いを自覚するようになってから、自身の言動や考えが変わっていることを理解してはいるが、そのことに不快感は抱いておらず、奈月だけは特別だからと告げ、静かに抱きしめ続けた。
リボーン
奈月の様子に、道場破りを本気でどうにかしてやりたくなっていたヒットマンなお目付け役。
とりあえず、奈月が気づかないうちに何かしら手を打っとくかと考え、赤ん坊の姿をしている自分ではどうにもできない代わりに奈月を落ち着かせて欲しいと雲雀に預けた。
笹川 了平
最初は優勢だったが、背後から狙われたことにより一時的に気を失っていたボクシング部主将。
目を覚ましたら奈月の様子がおかしかったため、話を聞いたところ、タチの悪い道場破りだったせいで奈月が恐怖心を抱いていたことを知り、かなり後悔してしまった。
後日、菓子折りを持って土下座しにいくことを決意する。
道場破り達
見事に病院送りにされたが、その後の彼らを知るものは口を揃えて罵倒するが、行方までは知らないらしい。
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