最強の愛され系ボンゴレ♀は、今を全力で楽しみたい 作:時長凜祢@二次創作主力垢
この子にもそれなりにナツとの時間を作りたかったので。
その日はなんの変哲もないお休みの日。
いつもより少しだけ遅めに目を覚まし、今日は何をして過ごそうかなんて考えながら自室から1階に降りてみると、そこにはリボーンだけがいた。
「あれ?なんか静かだと思ったらリボーンだけ?他のみんなは?」
「ん?みんななら出掛けてるぞ。」
「珍しいね。みんながいない日なんて。」
「まぁ、今回はオレが出払うようにしたんだけどな。」
「………え?」
どこに出掛けたんだろ、なんて考えながら飲み物を取り出そうとしていたら、まさかの事実を聞かされる。
何度か瞬きをして、そのことに疑問の声を上げていると、並盛新聞から視線を上げたリボーンに目を向けられた。
「雪合戦の時、どこかの休みの日に1日フリーの日を作るって話をしただろ?
でも、しばらくはその日が作れなかったからかなり遅れちまったからな。なんとか今日、その時間が作れそうだったから今日にしたんだ。」
「あー……なるほどね。まぁ、ここ数日は結構色々あったからゆっくり休めなかった記憶があるよ。」
「だろ。」
リボーンの言葉に納得しながら、パックのカフェオレを冷蔵庫から取り出して、それを口にする。
すると、リボーンはどこからか1枚のチケットを取り出して、私の前にずいっと寄越してきた。
「ん?並盛動物園じゃん。懐かしいな。」
「ナツって動物が好きだろ?レオンのことも可愛がってくれるし、小鳥とかも寄ってくるのを見たことがあるから誤魔化しは効かねーぞ。」
「あはは。まぁ、確かに動物は好きだね。小鳥とかが寄ってくるのはちょっと不思議だけど、まぁ、可愛いし別にいいかなってレベル。」
「たまにその姿を見かけるが、お前、本来は童話の人間かなんかだったんじゃねーか?」
「いや、違うけど。言いたい気持ちはわからなくもないけどさ。」
カフェオレを最後まで飲みきり、パックを洗ってゴミ箱へと入れる。
そのあと、私のために用意したであろう動物園のチケットを受け取り、そこに記されてる文字を見る。
「これ、ペアチケットみたいだね。1枚で2人分入れる奴。」
「ああ。本来なら、京子や獄寺達に声をかけるつもりだったんだが、たまには別の奴と過ごすのも一つの経験だからな。エスコート役の人選はしておいたぞ。」
「?」
こんなものよく取れたな……なんて思いながら眺めていると、リボーンからエスコート役は既に選んだと言われる。
不思議に思って首を傾げていると、玄関からチャイムの音が聞こえてきた。
「おはよう、ナツさん。」
「え?正一君?なんでここに?」
「うん。リボーン君から呼ばれてね。その、たまにはナツさんとゆっくり過ごしてみたくないかって聞かれて、二つ返事でその話に乗っちゃって……。」
あはは……と照れくさそうに笑いながら、ここにいる理由を教えてくれた正一君の姿に、何度か瞬きをする。
しかし、リボーンが呼んだエスコート役と言うのが彼であることは理解できたため、口元に小さく笑みを浮かべる。
「そうだったんだね。じゃあ、ちょっと待ってて。今部屋着だから、すぐに着替えてくるよ。」
「わかった。あ、急がなくてもいいからね。待つのは慣れてるから、ゆっくりでも大丈夫だし。」
「ありがとう。でも、動物園は私の好きな施設の一つだから、こっちも早く行きたいんだ。
まぁ、楽しみ過ぎて急いで空回り、そのまますってんころりんで怪我をしたら元も子もないから、急ぎ過ぎないようにはするけどさ。」
正一君に笑顔でそう伝えれば、彼は少しだけ顔を赤くしながらも、小さく頷いて微笑んだ。
そんな彼に微笑み返したあと、すぐに自室に向かうために階段を上がり、自室のクローゼットからお出かけ用の服を取り出す。
せっかくのお出かけに、あまり恥ずかしい格好はしたくないからね。動物園に合うコーディネートをしないといけないな。
「……はぁ〜〜〜……き、緊張したぁ………。」
「入江。男ならもうちとシャキッとしやがれ。好きな女に恥ずかしい思いさせんじゃねーぞ。」
「え!?なんで僕怒られてるの!?」
「お前があまりにもガチガチだから喝入れてやってるだけだぞ。好きな女の前だから緊張するってのは思春期にはよくある話だが、せっかくエスコート役に抜擢してやったんだから、ちゃんとナツのことを楽しませてやれよ。
もしも泣かせるようなことがあったら許さねーからな。」
「物騒だよリボーン君!?いくらモデルガンでも怖いから!!」
「これはモデルガンじゃ……いや、今はそれでいいか。またナツを怒らせちまいそうだしな。
入江。普段、ナツと一緒にいる奴らを外して、真っ先に声をかけて時間を作ってやったんだから、ちったぁ、好きな女の気を引けるように男を磨けよ。
これから先の未来、多分、お前はナツに深く関わることになる。そんな時に緊張してまともに対応できねーとか言いやがったら承知しねーからな。
緊張をしたりせず、好きな女のヘルプやSOSに気付けるくらいには自分を磨いてこい。今回はその機会でもあるんだ。
……ナツは、放っとくと無茶をし過ぎて、自ら壊れにいっちまう危うさを持ってる可能性がある女なんだ。
だから1人でも多く、ナツの異変に気付ける人間を作っておきてーんだ。」
「………うん、わかったよ。最初は、緊張するかもしれないけど、少しでもナツさんのことを気にかけることができるように頑張ってみる。
バレンタインの時に、ナツさんから、いつか助けを求めるようなことがあったりしたら、その時は助けてほしいって言われて、その時は出来る限り助けるから、だから、必要な時は頼ってほしいって言ったから。」
……なんだか下が騒がしいような気がするけど、リボーン……正一君にマフィアのこととか話してないよね?
*:・゚*.+ ❀ *:・゚*.+ *:・゚*.+ ❀ *:・゚*.+ *:・゚*.+ ❀
「うわ〜〜っ!懐かしい〜〜!
バスと電車を乗り継いで、たどり着いた並盛動物園。
小学生の頃以来、きたことがなかったその場所に久々に来て、懐かしさに駆られる。
あの時は確か、母さんも父さんも一緒にいたんだよね。両方から手を繋がれて、いろんな動物を見て周ったっけ。
それで、動物のぬいぐるみが欲しくてお店を見ていたら、父さんがぬいぐるみを全種類一つずつ買おうとして、そんで母さんに怒られて……今思えば、こっちの世界でも、小学生の3、4年の時までは両親が揃っていたんだよね。
でも、こっちでは4年の半ばか、5年の頭くらいの時から父さんは仕事でいなくなって……前世では…………。
「……さん……ツ……さん……ナツさん!」
「!?え、あ、ご、ごめん。何だっけ?」
「何だっけじゃないって。急に俯いちゃったからびっくりしたよ。」
「……あはは……ごめん……。ちょっとボーッとしてた。」
「え?大丈夫?移動距離がちょっと長かったし、疲れちゃったのかな……。」
「んー……どうなんだろう。私は問題ないと思ってるんだけど……。」
「そう?それならいいけど……無理はしないでね。疲れたらすぐに言ってよ。休める場所に移動するから。」
「うん。ありがとう、正一君。」
心配そうに覗き込んできた正一君に、小さく笑って言葉を返し、動物園に入るためのチケットを荷物の中から取り出す。
そして、正一君と一緒に入園口へと向かい、それを提示すれば、受付の人がそれを切ってくれた。
「どこから見て回ろうかな〜……。ここにきたの、3年か4年ぶりだから園内のマップも変わってそうだし……。」
「だったら、まずは近場から回るのはどうかな?確か、園内マップが……あ、あったよ。」
「あ、本当だ。」
正一君のあとをついて歩き、並盛動物園の園内マップに近寄る。
……うん。やっぱりいくつかエリアが変わってる。ずっと同じって場所もあるけど、入れ替わりがいくらかあったのかな。
「ここから近いのは……アライグマのところかな。行ってみようか。」
「うん。何か洗っていたりしないかな。」
「そう言えばナツさんは、アライグマと綿菓子の動画見たことある?」
「あるよ。綿菓子がザラメの糸でできてるせいで、アライグマが水に溶かしちゃう動画だよね?」
「そうそれ!姉さんに観せられたことがあったんだけど、最初観た時思わず笑っちゃってさ。」
「私もあれには笑った。そりゃそうなる!って思わずツッコミ入れちゃったよね。」
「僕もだよ。でも、手洗い行動って飼育されてるアライグマしかしないらしいんだよね……。」
「らしいね。いくつか仮説があるらしいけど、結局どれが本当なんだろ?」
「確かに、どれが真実なんだろう……。」
マップを見て、アライグマが近いことを知り、正一君とアライグマに関する雑談をしながら園内を歩く。
すると、少しだけ水の音が聞こえてきた。ちょうど何か洗っているのかな?と思いながら、アライグマの柵の方へと目を向けてみると……
「ぐぴゃあっ!?」
「「え゛!?」」
そこにいたのはランボだった。なんでよりによってランボがそんなところにいるんだと声を漏らしていると、正一君と声が重なる。
「ナ、ナツさん……。あれってランボ君なんじゃ……?」
「……うん。目の錯覚だと思いたかったけどどう見てもランボだね。何やってんのあの子……!!」
思わず頭を抱えてしまう。休日に動物園にくるのは別に構わないけどね。なんで動物がいる柵の中に入り込んでるの!!
「と、とりあえず飼育員さんに連絡……」
「大丈夫だぞ。」
「うわ!?ってリボーン!!」
「ほ、本当にいつもいきなりやってくるな、リボーン君は……。」
「え゛!?ちょっとリボーン!!正一君にしょっちゅう接触してるとか言わないよね!?」
「そんなに頻繁に会ってねーぞ。たまに顔を合わす程度だ。」
リボーンの様子から、事実であることは把握する。でも、何のためにリボーンは正一君に関わろうとするのかはわからない。
変なことに巻き込もうと考えてるとかじゃないといいけど……そんなことを思いながら、少しだけ表情を曇らせる。
「えっと、リボーン君。どうして大丈夫って言ったのかな?どう見てもあれ、飼育員の人に伝えた方がいいと思うんだけど……。」
「ちゃんと保護者はつけてるからだぞ。ほら。」
「「ん?」」
リボーンに言われて視線をアライグマの方に目を向ける。するとそこには慌てて飼育員と話をしている様子の隼人と武の姿があった。
飼育員の人は、最初2人の容姿の良さに固まっていたが、話を聞いて慌てて関係者が入れる場所に足を運んでいた。
そして、関係者が入れる場所からランボと一緒に外に出てきては、彼を2人に渡していた。
「……確かに大丈夫だったみたいだけど、隼人達も動物園にきてたの?」
「ああ。他にもナツの知り合いは何人かきてるが、気にせず入江と動物園を周れよ。
雪合戦の時の宣言通り、ランボやイーピン、フゥ太達の面倒はオレ達が見といてやる。
本当はヒバリ辺りも呼びたかったんだが、多分、ナツが他の男と歩いてるのを見たら怒りそうだったから呼ばなかったぞ。」
「?なんで恭弥さんが怒るの?」
「………まぁ、ナツならそう言うと思ったぞ。」
「あははは………。」
「???」
呆れるリボーンと苦笑いをこぼす正一君の姿にクエスチョンマークを飛ばす。
確かに恭弥さんは群れてる人を嫌うけど、私が隼人達といる時は、特にそんな様子を見せないから、いまいちわからないな。
「とりあえず、他の奴らは2人を見ても話しかけないように伝えておいたからゆっくり過ごせよ。
今回のこれは、ナツと入江……お前達2人のために用意した機会だからな。
んじゃ、オレはランボから目を離しやがった獄寺達にちょっくら喝入れてくるか。
ナツだったら絶対にランボから目を離したりしねーぞってな。」
そう言ってリボーンは私達の前から立ち去っていく。
彼の背中を見送った私と正一君は、何度か瞬きを行ったあと顔を見合わせて首を傾げた。
「えっと……結局、私と正一君は2人で動物園を周ることになるのかな?」
「そうみたいだね。じゃあ、リボーン君もああ言ってるし、僕達も動物園を周るのを再開しようか。時間が勿体無いし。」
「そうだね。じゃあ行こうか。次はどこがいいかな。」
「うーん……動物のショーとかは時間が決まってるしなぁ……。いや、待って。確かこの時間帯は……」
正一君が荷物の中から動物園内のイベントプログラムやマップが記されているガイドマップと、受け付けで切ってもらったチケットを取り出す。
そしてすぐにれらに目を通し、腕時計へと目を向けたのち、やっぱりと言わんばかりに頷いた。
「ねぇ、ナツさん。馬やラクダに乗ることができるエリアに向かってみない?
並盛動物園が3年くらい前から始めたものなんだけど、競馬とかに出てる馬と同じ大きさの馬が2頭、ポニーが2頭、ラクダが2頭いるみたいなんだ。
このペアチケット、その体験も含まれている特別チケットみたいだから、僕達も参加することができるよ。」
「え?馬に乗ることができるの?」
「うん。ここから動物をゆっくり見ながら移動できるエリアにあるらしいんだ。今日は休日だから、15分間の時間制限があるけど、その15分を楽しんだあと、エリア先にある爬虫類館やラッコ館を周って、途中にある園内販売店でお昼を食べて、そのあと猛獣エリアを周って通り過ぎれば、ペンギンの散歩タイムとお猿のショーも見れるよ。
タイミングが合えば、ホークスフライトも見ることができそうだけど、これに関しては乗馬体験の待ち時間にかかってるから見れない可能性もあるかな。」
この動物園の周り方を笑顔で教えてくれる正一君を、何度か瞬きをしながら見つめる。
しかし、すぐに楽しそうなプランに胸が高鳴るのを感じ、期待に胸を膨らませる。
「それいいね!馬に乗ってみたい!」
「よし!決まりだね!じゃあ、行こうか。」
「うん!!」
笑顔で正一君に返事をすれば、彼は一瞬目を丸くして固まった。
だけど、すぐに笑顔を見せて頷く。
「じゃあ……その……」
「?」
「えっと……嫌じゃなければなんだけど、人も少しずつ増えてきたし、はぐれたらいけないから………。」
しかし、すぐに視線を辺りに泳がしたのち、おずおずと手を差し伸べてきた。
その手を見つめたあと、正一君に目を向けてみれば、彼はなんだか恥ずかしそうにしながら……
「手……繋いでいかない?大人も増えてきたし……さ。」
「!ありがとう。じゃあ、しっかりとエスコートをしてもらおうかな。」
正一君の言葉に一瞬だけ驚くが、すぐに小さく笑いながら、彼が差し伸べてくれた手に自分の手を重ねる。
私の手が触れた瞬間、正一君は頬を赤く染めたが、頭を左右に振ったのち、こちらの方へと視線を向ける。
「うん。任せてよナツさん。どれだけ上手くできるかはわからないけど、ナツさんが楽しかったって言ってくれるような休日にしてみせるから。
疲れたら言ってね。言うのが難しいようなら、軽く手を引っ張ってくるだけでもいいから。疲れちゃったり、体調を崩した状態じゃ、楽しめるものも楽しめなくなっちゃうし、絶対に教えてよ。」
照れ臭そうに笑いながら、私が楽しめる一日に必ずするからと宣言して、私の手をしっかりと握りしめながら、疲れた時は遠慮なく言ってほしい……正一君のその言葉に一つ頷いて答えれば、彼は安心したように笑顔を見せる。
そして、私の手をしっかりと繋ぎ直し、再び動物園内を歩き始めるのだった。
沢田 奈月
リボーンに言われ、正一と2人で動物園へとやってきたボンゴレ10代目。
繰り返し甘えてもいいし頼っていいと伝えられたことにより、正一にもちょっとしたことで甘えていいんだと認識し、疲れた時はちゃんと言うことを約束する。
入江 正一
前日のうちにリボーンに接触され、奈月と2人きりで動物園に行ってこいと言われた男の子。
最初はかなり戸惑ったが、リボーンから少しでも多く奈月を甘やかすことができる存在を作りたいと言う言葉を聞き、ころっと二つ返事を返してしまった。
承諾したのち、これってデートじゃん!!と頭を抱えたが、奈月の隣に並んでも問題はないように、必死に服を選んだところ、いつの間にかやってきたリボーンに指摘されながらコーディネートを完成させた。
リボーン
奈月がすぐに頼れるように、甘えられるようにと環境を整えることを始めたヒットマンなお目付役。
奈月に想いを寄せている正一のことは、そっちの面で助けることができるだろうと判断し、実は目をつけていた。
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