最強の愛され系ボンゴレ♀は、今を全力で楽しみたい 作:時長凜祢@二次創作主力垢
正一君の提案により、彼が教えてくれたルートを歩いて乗馬体験などができるエリアへと向かい歩いていく。
途中、了平さんが熊と闘わせろと吠えていたり、ビアンキ姉さんが動物園にいる動物を見ては、どんな料理にしたら美味しいのだろうかと疑問を口にしていたり、京ちゃんとハルの2人がイーピンやフゥ太と一緒に周っているのを見かけたりと、カオスとほのぼのが混ざった道中だったけどね。
でも、リボーンに言われた通り、苦笑いをしながらも正一君と一緒に移動を続けた。
その間の道中では、見かけた動物達に関係する雑談や豆知識に対しての感想を口にしながら、なかなか楽しく過ごせていた。
「ん─────っ!はじめての乗馬体験楽しかった〜〜!まぁ、ちょっと足痛いけど……」
「僕もちょっと足と腰が痛いかも……。15分しか乗ってないはずなんだけど、割と馬の背中の幅が広くって、結構負担がきたね……。」
「本当それ。競馬の騎手さん達、よく長時間跨ってられるよね……。いや、まぁ、走り抜ける分、時間は短いのかもしれないけど、走り抜ける際の衝撃とかで結構負担がきそう……。」
「言えてるかも……。やっぱりそうならないように鍛えてるんだろうね。」
到着したエリアでの乗馬体験を終えた私と正一君は、少々足と腰にかかった負担に対して苦笑いをこぼしながら動物園巡りを再開する。
ちょっとだけ歩きにくいけど、まぁ、ある程度したら治るよね。それならまだ歩いても……。
「ナツさん。どっかでちょっと休もうか。このままじゃ、2人とも明日筋肉痛になっちゃいそうだしさ。」
「え?私は別に……」
「僕が休みたい……かな。だから、ちょっと休憩に付き合ってほしいんだけど……」
「………まぁ、そう言うことなら。」
正一君の提案に頷いて肯定すれば、彼は笑顔を見せて歩き始めた。
彼が向かっている先にはベンチと自販機があり、ちょっとした休憩を行えるようになっている。
正一君に手を引かれるままに歩みを進めると、正一君は私を先に座らせたのち、自販機の前に立った。
「ナツさんは何を飲む?」
「え?」
「飲み物。僕が奢るよ。」
「いや、それは悪いよ!!ちゃんと私もお金は持ってきて……」
「いいからいいから。僕が奢りたいんだ。ダメかな?」
「……じゃあ、お願いしようかな。カフェオレかミルクティーはある?」
「えっと……うん。どっちもあるよ。」
「じゃあ、カフェオレが飲みたいかな。コーヒーが好きなんだ。」
「わかった。」
断ろうとしたが、すぐに彼の「ダメかな?」と言う言葉と、首をかしげる仕草に言葉が止められる。
飲み物くらいは……と思っていたけど、その厚意を無碍にはしたくなくて、それならとカフェオレをお願いしたら、彼は笑顔を見せて頷いた。
そして、自販機にあるボタンを2回押し、2人分の飲み物を買ったのち、ペットボトルのカフェオレの方を手渡してきた。
「ありがとう。」
「どういたしまして。」
感謝の言葉を述べながらカフェオレを受け取った私は、すぐにキャップを外し、それを一口飲む。
ミルクによってまろやかな味わいになっているそれはとても甘くて、少しだけ渇いた喉を潤してくれた。
「ナツさんって、コーヒー好きだったんだね。」
その甘さに小さく笑みをこぼしていると、正一君からそう告げられる。
「うん。学校帰りとかにカフェに寄ってコーヒーを飲んだり、出先でコーヒーの専門店に寄ってコーヒーを飲んでゆっくりすることがよくあるってくらいにはコーヒーが好きだよ。
紅茶ももちろん好きなんだけど、どちらかと言うとコーヒー派。家でも毎日飲んでるよ。」
「すごいなぁ……。僕はまだちょっとコーヒーが飲めないんだよね。カフェオレはギリギリいけるんだけど……」
「そうなんだね。じゃあ、逆に質問しちゃおうかな。」
「ん?何?」
「正一君が好きな飲み物って何?」
「僕の好きな飲み物?そうだね……よく飲むのは炭酸飲料かな。冬場はちょっと寒いから、はちみつ入りのホットレモンとか、ココアも飲むことがあるよ。」
「そうなんだね。私はあまり炭酸飲料は飲まないかも。ジュースは飲むことあるけどね。」
「そうだったんだね。ナツさんがよく飲むジュースって?」
「リンゴジュースやオレンジジュースみたいなフルーツ由来のものとか、いちごミルクとか、バナナオレとか飲むかな。
コーヒーや紅茶みたいな苦味のあるものも好きだけど、甘いものも好きでね。
まぁ……甘いものが好きでも、甘ったる過ぎるものはちょっと食べれないんだけど。」
「あ、なんかわかるかも。僕も、甘いものは食べることあるけど、甘ったる過ぎるのは食べれない。
だから、姉さんがホイップクリームがたっぷりで、アイスも乗ってて、フルーツもたくさん乗ってる上、ソースもめちゃくちゃかかってるパンケーキを店で食べてるのみて、うわ……ってなることがある。」
「それは私もうわってなるかもなぁ……。」
何気ない雑談に花を咲かせながら、もらったカフェオレを飲み進める。
飲み過ぎたらお手洗いに行きたくなっちゃうから、ほどほどにしないとね。
「よし。じゃあ、ナツさんも休めただろうし、動物園巡りを再開しようか。」
「え?」
私が休めたと言う言葉を聞き、思わず間抜けな声が漏れる。
すると正一君は、あ……と小さく呟いたのち、目を逸らして頬をかいたのち、苦笑いをこぼした。
「実は、僕はほとんど疲れてなかったんだ。まぁ、足とか腰が痛かったのは本当だったんだけど、多分、ナツさんは自分の疲労に気付きにくいんじゃないかと思って、僕が休む体で声をかけたんだ。
手を繋いで歩いていたから、少しだけナツさんの歩幅が変わってることに気づけたしね。」
“余計なお世話だったならごめん”……と謝罪の言葉を口にする正一君の姿に思わずキョトンとしてしまう。
しかし、すぐに歩きづらくなっていたことや、疲労が少しあったことに気づかれてしまったことを理解してしまい、正一君から視線を逸らしてしまう。
「………バレてた?」
「割とわかったかな。」
「そっかー……隠し通すつもりだったんだけどなぁ……。」
苦笑いをこぼしながら言葉を紡ぐと、正一君が小さく笑い声を漏らす。
そして、“なるほどね……”と小さく言葉を呟いた。
「なるほどって何さ。」
「うん?ああ……。リボーン君が、ナツさんは放っておくと無茶をし過ぎる傾向があって、自ら壊れにいきそうな危うさがあるって言ってた理由がわかったなって。
ナツさんって、些細なこと程度じゃ、これくらい問題ないって動き過ぎる癖があるんじゃないかな?
それで、少しずつ少しずつまだ大丈夫を増やし過ぎて、最終的には限界を越えてもこれくらいは大丈夫って考えてしまう……違う?」
「………それは……。」
「……違わないみたいだね。自身の疲労から目を逸らして、僕に合わせようとしていたからなんとなく察しはついたよ。
ナツさんは、周りを気遣える優しい女の子だけど、時にはワガママや自分の思いを優先にしないと、いつか限界がわからなくなって、危ない方に足を踏み外しちゃうよ?」
“その場合、選ぶ道はかなり限られてくるんじゃないかな?”と言われ、思わず無言になる。
正一君の指摘には、かなり思い当たるものがあった。それは、前世の“わたし”がたどった末路……目的を失って、限界を迎えて、完全に心が壊れ、みている世界も崩れていった自分の結末の果て。
「僕は頼りないかもしれないけど、こんな風に一緒に足を止めて休むことくらいはできるから、少しでもいいから頼ってほしいな。
君が無茶をし過ぎないように、話を聞くことくらいはできるし、一休みする場所になれると思うから。
「…………うん。」
今でも記憶に焼き付いている結末の記憶に、一時的に無言になる。
しかし、すぐに頭を切り替えて、正一君の言葉に小さく頷けば、彼は笑顔を見せて立ち上がった。
そして、手にしていた中身のない小さなペットボトルをゴミ箱に捨てて、座っていたベンチから立ち上がる。
「それじゃあ行こうか。何度も言うけど、ナツさんは無理をしないこと。
休みたい時や疲れた時、ちょっと体の調子が変かな?って時は我慢しないで言ってね。」
「……わかった。努力はしてみるよ。」
「努力かぁ……。できれば約束の方にしてほしかったな……。」
苦笑いをこぼしながらも、私に手を差し伸べる正一君の姿を少しだけ見つめた私は、約束と言う言葉に言及することなく、差し伸べられた手に自身の手を重ねて立ち上がる。
“どこで甘えていいのかわからない。だからその約束は守れない。”……せっかく甘えていいと言ってくれているのに、どうしてもそれに踏み出すことができないため、心の中で謝罪する。
ごめんね、正一君。どうも私は、誰かに頼ることや、甘えることが苦手みたいだ。
でも、その言葉と思いは、口から出すことなく飲み込んで、もう大丈夫だよと一言告げる。
その言葉に対して正一君が、少しだけ困ったような……どこか寂しげな表情を見せていたけど、わざと気づかないフリをして。
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あれからと言うもの、正一君は、時折疲れてないか聞いてくるようになった。
何度も繰り返して聞くようなくどい真似はしてこないけど、ふと思い立ったら聞いてくる感じだ。
その際少しだけ考えて、疲労による体のだるさや足の重さを感じない時は大丈夫と返し、聞かれた際に少しだけ体や足がだるいと思ったら、ちょっと変かなと曖昧な言葉を口にしていた。
ただ、私が曖昧な言葉を口にすると、正一君はそれなら休もうと言って、ベンチや休めるスペースへと移動してくれた。
それを繰り返し行いながら、爬虫類館やラッコ館、カワウソ館などを周りつつ、動物園のなかを歩き回った。
正一君が休み時間とかを計算してくれたおかげで、ホークスフライトショーや、お猿のショー、ペンギンの散歩時間なども見ることができて、あっという間に夕方になっていた。
「ありがとう、正一君。これまで、自分の疲れとか不調の区切りがよくわからなかったから、問題ないって判断した時はずっとやることをひたすらこなしていたけど、今日、少しだけわかった気がするよ。」
「よかった。……ナツさんが、どうしてそこまで疲れや不調に気づけなかったのかよくわからないけど、少しでも微量の体調の変化わかるようになってくれたなら、度々休みを取っていた甲斐があったよ。」
「うん。」
「これからは、休憩時間を挟んだタイミングと同じタイミングで発生していた体調変化を目安にして、少しはSOSを出せるようにしてみて。
そうすればきっと、みんな助けてくれるはずだからさ。勉強とかは自分でやることだから、何とも言えないけど、それ以外の疲労と体の不調は無視をしないようにしてね。」
「……頑張ってみる。」
「うーん……やっぱり約束するとは言い切れないんだね……。」
正一君が苦笑いをするが、こればかりは何度言われても約束することができない。
だからこそ私は、これに関しては約束すると言い切るつもりがない。無理な約束は、二度としたくないから。
《お客様にお知らせします!!檻の鍵が閉まりきっていなかったことにより、園内へとライオンが逃げ出しました!!大変危険です!!速やかに園外へと避難してください!!》
「「え!?」」
そう思いながら口をつぐんでいると、とんでもない園内放送が辺りに響き渡った。
いったい飼育員は何をしてるんだと驚いていると、手を思い切り引っ張られる。
「ナツさん!!疲れているところ悪いんだけど、急いで園外の方に出るよ!!ここからゲートはかなり近いから、走ればすぐのはずだから!!」
「う、うん!!」
「ああ、もう!!飼育員さんは何をやってるんだよ!!」
正一君が私の手を引いてその場から走り出す。それに引っ張られるカタチで地面を蹴り上げて、急いでゲートの方へと逃げるお客さんの中へと紛れ込む。
「こちらです皆さん!!急いで外に出てください!!」
飼育員さんの誘導を聞きながら、正一君と動物園内を走り抜けていると、一瞬だけ遠くの方にライオンの姿が見えた。
でも、いくら動物園で飼育されていると言え、相手は肉食動物。正一君の手を振り払って死ぬ気モードで殴り込みに行った場合、正一君が追ってくる可能性は少なからずある。
そうなった場合、彼に迷惑をかけてしまうのは確定で、危ないことに巻き込んでしまうことは目に見えている。
「ハァ……ハァ……!!な、なんとか園外まで出ることができた……!!」
「だ、大丈夫?正一君……」
「あはは……う、うん……大丈夫……。ナツさんは……相変わらずフィジカルがすごいね………。」
「いろいろやってるからね……。」
ゼェゼェと肩で息をしてる正一君を休ませながらも、私は動物園に視線を向ける。
かなりの人数、お客さんが出ているけど……他のみんなは……?
『ナツキ。』
「!」
京ちゃん達は外に出ているかと不安になっていると、背後から声をかけられる。
そこにはDさんが立っており、私の方へと視線を向けていた。
「……正一君。ちょっと私は、園外に友達がみんな逃げてるか見てくるよ。」
「ハァ……ハァ……う、うん。わかった……。絶対、園の中に戻ったりしたらダメだよ……?」
「そんなことしないよ、絶対に。これは約束できるから。」
Dさんの視線に自身の視線を向けたあと、私は正一君に一言声をかけてその場から離れる。
園外に出たお客さんは、道路の方にまでいるから、さりげなく離れることはできそうだ。
「……園内の様子は?一般人はもう逃げ切れてる?ちびっ子達や、京ちゃん達は?」
お客さんがいない場所まで移動した私は、誰もいないことをしっかり確認したのち、静かに言葉を紡ぐ。
その瞬間、私の周りに6色の炎が火柱を上げて燃え広がった。同時に現れたのは初代組。
Dさんは既に私の側にいたから、彼の色の炎はなかった。
『園内からは殆どの客が出払ってたぜ。』
『ただ、笹川京子、三浦ハル、獄寺隼人、山本武、ビアンキ、笹川了平、リボーン、ランボ、イーピン、フゥ太の以上10名はは未だに動物園の中だ。』
『山本武は笹川京子、三浦ハル、ランボ、イーピン、フゥ太の以上5名を連れて、動物園の外へと脱出を図っていて、私が見た時には既に
『しかし、獄寺隼人、リボーン、ビアンキ、笹川了平の以上4名は、園内を走り回っているようだぞ。』
『多分、戦闘慣れしてる3人と闘争心がひどいボクシングバカは、ライオンを捕獲するつもりなんじゃない?』
『無謀過ぎるし、正直止めた方がいい気もするけど、多分、外に出たら戻してもらえないものね。』
「……隼人やビアンキ姉さん、リボーンはともかく、了平さんはバカなわけ?人間が生身でライオンに挑むとか自殺行為も甚だしい。」
『あ、その3名はあまり心配しない感じなのですね。』
「ちゃんと心配はしてるけど、殺し屋3人組だから、隙をついてあれこれ済ませる可能性が高いから。」
『……究極に否定できんな。』
『『『『『『確かに………。』』』』』』
ナックルさんの一言に、初代組とDさんが口を揃えて納得する。
……納得しないでほしい気持ちはなくもないけど、あの3人だけはどうしても力でねじ伏せてしまいそうな印象しかなく、完全に否定することは私にもできない。
「でも、危ないことには変わりないか……」
『では、多少支援をして差し上げましょうか。ナツキなら、それくらいできるでしょう?
少々待っててください。支援態勢を整えてきます。ナツキは精神を幻術が使える貴女の方へと移行させて、私と精神を繋げられるように準備をしてください。』
「……何をするつもり?」
『それはやってからのお楽しみです。まぁ、私も初めて行うのですが、複数の精神構造を持つ貴女と、憑依する技術を持ち合わせている私だからこそ、理論上可能なことが一つだけあります。
私の気配に集中し、私の精神にしっかりと波長を合わせてください。微量の調整が必要なので、決して集中は途切らせてはなりませんよ。』
そう言ってDさんが死ぬ気の炎を利用して上空へと移動する。その姿を一度だけ向けたあと、意識を全て移動するDさんへと集中させる。
すると、彼の気配の中に特徴的な揺れが発生している波が存在していることがわかった。
それに合わせるようにして、自身の精神の主導権を“わたし”の方へと移行させ、その波長に自身の精神の波長を合わせる。
『ヌフフフ……やはり、私の考えは当たっていたようです。ナツキ。波長を私に合わせながら静かに目を開けてください。なかなか面白い景色が見えるはずですよ。』
Dさんに言われ、静かに瞼を開けてみると、視界に別の景色が映り込んでいた。
その景色は空撮のように上空から見下ろす動物園の景色だった。
「!?これって……!?」
『ええ。現在、私が見ている景色が貴女の目にも映り込んでいるはずです。ナツキが私に波長を合わせているため、私が見ているものが映るカタチになっているのですよ。
まぁ、簡単に言えば、憑依の基礎ですね。精神の器を入れ替えながら生活をしていたので、こちらの知識もそれなりにあるもので。
いくら精神の器があろうとも、それを完全に馴染ませるには自身の精神の波長を器に合わせる必要があります。
そして、精神の波長を合わせることができたら、器となっている人間本人の精神を深く眠らせ、そのまま体を奪い取る。これが、私が使っている憑依のメカニズムとなります。
無論、波長を合わせる側が逆であれば、今度は私がナツキの見ている景色を見るカタチになりますが、今はナツキの目ではなく、私の目が必要ですからね。
ナツキはそのまま波長を合わせ続けてください。しばらくの間、私の目を貸してあげますから。』
「……わかった。」
Dさんの指示を承諾すれば、彼は移動を始める。自分は動いていないのに、コロコロと景色が変わっていくと言うのも、なかなかに変な感覚だ。
憑依して体を利用させてもらう方だとしたら、ここまで違和感は覚えないのだろう。
いや、まぁ、男性の体を利用するとなると、しばらくは慣れないような気もするけどね。
……Dさん、よく異性の体を使いこなせるな。
集中を途切らせないようにしながら、そんなことを思っていると、動いていた景色が不意に止まる。
それにより見えたのは4頭のライオンの姿だった。
「……この動物園のライオンって4頭だけだっけ?」
『私の目を通して景色を見ているためわかると思いますが、現状は4頭のみ確認することができますね。』
「そっか。」
『さて、始めましょうか。ナツキ。私の波長を合わせながら幻術を展開してください。私の目を通してライオンのみに狙いを定めてください。』
「は!?いきなり高難易度のことやらせようとしないでくれない!?」
『ナツキならできますよ。私の目を通して、私が見ている景色を見ることができているので、憑依の基礎は身についてますから。
まぁ、今回は初めてやらせるようなものですからね。特別にリードはしてあげます。
しっかりと補助はしてあげますから、安心してください。』
「……わかったよ!!やってみればいいんだろ!!下手くそでも文句言ったり、からかってきたりしないでよ!?」
『ヌフフフ……そこら辺はご安心を。最初から完璧は求めていませんから。』
そう言ってDさんは手元にある大鎌に、藍色の死ぬ気の炎を灯す。それに合わせて自身の腰に提げていたスティックを手に取り、彼が持ってる大鎌と同じものへと展開したそれに、わたしも同じ炎を静かに灯す。
『少しだけ私の方からも精神を結びつけます。動きは私がしてあげますから、ナツキは幻術の展開に力を回してください。
貴女の術を私の精神を経由させてライオンへとぶつけます。行きますよ。』
そう告げられた瞬間、わたしの体が勝手に動き始める。さっきまではわたしが一方的にDさんへと精神を繋げていたから、特に何もなかったけど、Dさんからも精神を繋げられたことにより、一部体の制御権を奪われたらしい。
冷静に分析しながら、Dさんによるリードに従い、ライオンへと意識を収束させる。
その瞬間、わたしの体は勝手に手元の大鎌の柄についている刃を地面へと突き立てるかのような動きを取った。
刃が地面につくタイミングで、わたしは自身の幻術をその場に展開させる。
すると、こちらが放った幻術は、Dさんの目を通して見ることができる4頭のライオンの方へと放たれて、そのままライオンのみを幻術世界へと閉じ込めることができた。
その瞬間、ライオン達が混乱したように動きを止める。檻の外に出ていたはずなのに、景色が檻の中へと変わってしまったから理解できない状況になったようだ。
それを確認したのち、わたしは追加で幻術を発動する。ライオンの動きを止めるように、足と胴体に植物の蔦が巻きつく幻覚を使用して、完全に動きを固定した。
あとは、ここに何かしらの一手が加われば……そう思った矢先だった。
「極限!!」
『………は?』
「Oh……」
ライオンの姿に気づいた了平さんが、オスのライオンの顔面に見事なまでのストレートパンチを叩き込んだのは。
了平さんに殴り飛ばされたライオン……オスだから彼でいいかな……。彼は殴り飛ばされた瞬間、どうやら意識が吹っ飛んだらしい。
このままじゃ幻覚の蔦で体を締め付けてしまいそうだと判断したわたしは、殴り飛ばされたオスのライオンの幻覚だけを解除する。
その瞬間、オスのライオンは動物園の地面に倒れ込み、そのまま伸びてしまった。
「うむ。やはり動物園にきたらこのくらいせねば割があわん!今日からオレのリングネームは!!極限ライオンパンチニスト了平!!!」
「『いや、絶妙にネーミングがダサいな/ダサいですねこの人。』」
思わずDさんと同時にほぼ同じ言葉の列によるツッコミを入れてしまったのは、互いに半憑依状態であるがゆえか、それともそれくらい師弟で似てしまっているのか……なんにせよ、了平さんのネーミングには、少々物申したくなってしまう。
そう思っていると、Dさんの視界を通じて、オスとメスのライオンペアの方にダイナマイトが飛んでいくのが見えた。
すぐにその2頭の幻術を解除すると、ほぼ同時にダイナマイトが地面に着弾し、そのまま爆発を引き起こした。
辺りに煙がモクモクと上がる中、わずかにシルエットが映り込む。
「ったく……動物園ってのはうるせーぜ。捕まえりゃいいんだろ?10代目を危険に晒すわけにもいかねーしな。」
爆炎が空へと昇る中、やれやれと言うかのように隼人が姿を現す。
その両腕には気絶したライオン2頭がホールドされており、彼はその2頭を引き摺りながらため息を吐いた。
「ライオンって、1頭それなりに体重なかったっけ?」
『別に両腕に俵担ぎしてるわけでもありませんし、そこまで驚く必要はないかと思いますよ。マフィアなら、体重がそれなりにある対象を抱えることくらいは造作もありませんからね。』
軽く引きながら、隼人の様子をDさんの目を通して眺める。しかし、すぐにDさんの視線が移動し、新たな人物を映し込んだため、意識は自然とそちらへと移動した。
そこにはビアンキ姉さんが立っており、動けなくなっていたメスのライオン目掛けて注射器を振り下ろしていた。
注射器を刺されたメスのライオンの体がぐらぐらと軽く揺れる。何をされたんだと幻術を解除してみれば、メスのライオンは地面に倒れ込み、そのまま眠りに落ちてしまった。
『どうやら麻酔を直接打ち込まれたようですね。』
「なるほど。」
「……何にしたら美味しいかしら?」
「『ライオンを食べる気か/食べる気ですかこの人は……』」
「ぐはっ!?」
「あ、隼人が倒れた。」
『どれだけ実姉がトラウマになってるんですかね、この少年は……。』
「まぁ……小さい時から腹が下るような食べ物を食べさせられ過ぎたら……ね………。毒耐性はつきそうだけど……」
『……悲惨ではありますね。』
隼人に同情の眼差しを向けているDさんの感情を感じ取りながら、だよね……と苦笑いをこぼす。
多分、わたしも小さい時から実姉に毒盛られまくったらトラウマになる。
『あとは大人達がなんとかしてくれるでしょう。ナツキ。私との繋がりを外しても大丈夫ですよ。』
「わかった。」
Dさんに指示を出され、素直に従って精神の繋がりを外せば、視界が自分のものに戻る。
……あれが、憑依する時の基礎……ね。まぁ、わたしが憑依する必要性が発生する可能性はゼロだろうし、頭の片隅に留めておく程度にしておけばいいか。
ああ、でも、メカニズムさえわかれば、強制的に憑依されそうになった時の対処にはできるようになるかな?
余程のことがない限り、強制的に憑依されることはないと思いたいけど……。
そんなことを思いながら、大鎌をスティックに戻し、精神の主導権を“わたし”から“私”に戻して、さりげなく人混みの中にいる正一君の元に戻る。
すると、正一君の側には京ちゃんとハル、ちびっ子達と武の姿があった。
「なっちゃん!!」
「はひ〜〜〜〜!!よかったです!!」
「入江から聞いたぜ。オレ達がちゃんと外に出たか探してくれたんだってな。ありがとな、ナツ。」
「ナツ〜〜〜!!メガネとばっか遊んでズルいもんね!!オレっちとも遊べ〜〜〜!!」
「─────!!」
「ナツ姉も無事でよかった。あ、僕達も怪我はしてないよ。」
「そっか。みんな無事でよかったよ。隼人達は……まだ園内にいるのかな?」
「うん……。多分まだ中にいるんじゃないかな……。」
「獄寺さんやビアンキさんはかなり目立つ容姿をしているので、もし出ていたとしたらすぐに人混みから見つけることができると思うのですが、どう見ても銀髪ワイルドとウルトラビューティーお姉様は見つからないので……」
「笹川先輩も見つからないし、どうしたんだろうな……。ちゃんと出てりゃいいけど……」
「その3人なら、現在園内のスタッフから怒られてるぞ。」
「「「リボーン君!!/リボーンちゃん!!」」」
「うおっと!?はは……いつのまにオレの肩に乗ってたんだ?小僧。」
「オレは気配を消すのが得意だからな。まぁ、ナツにはあまり通用しねーけどな。」
「そんなことより、隼人達が怒られているってどう言うこと?」
「獄寺達なら、ライオンの捕獲を無断で行ったって理由から、飼育員達から大目玉を食らってるところだ。」
「はひ!?ライオンに立ち向かったんですか!?」
「なんつー無茶を……」
「も〜〜〜〜っ!!お兄ちゃんってば!!」
「それは怒られるね……。」
「捕獲できたとは言え、相手は肉食動物なのに何やってんの隼人達は……。」
苦笑いをこぼす武と正一君に、呆れながら怒る京ちゃん、ライオンに立ち向かったと言うまさかの事実を聞いて素っ頓狂な声をあげるハル……そんな4人に合わせるようにして、私は苦笑いをこぼす。
まぁ、本当は彼らのことはちゃんと見ていたから状況を知ってるけど、ここにいるみんなはそれがわからないわけだし、黙っておく方がいいだろう。
「あの、ナツさん。」
「ん?どうしたの、正一君。」
そんな中、正一君が私に話しかけてくる。すぐに彼に視線を向けてみれば、彼はちょっとだけ控えめな様子を見せながら、静かに口を開いた。
「その……まだトラブルの最中……と言うか、トラブルが完全に落ち着く前に聞くのはあれだと思うんだけど、少しは楽しんでくれたかな?」
正一君の言葉に思わずキョトンとする。
しかし、すぐに笑顔を彼に見せながら、その問いかけに対する答えを口にした。
「トラブルはあったけど、十分楽しめたよ。ありがとう、今日はエスコートしてくれて。
正一君が気遣ってくれたおかげで、そこまで疲労を感じることなく、有意義な一日を過ごすことができた。
もし、また機会があったら、どこかに一緒に出かけてほしいな。」
今日一日の感想を告げ、機会があったらまた出かけようと伝えれば、正一君は一瞬目を丸くする。
だけど、驚いたような表情はすぐになくなり、明るい笑顔と一緒に、承諾するような頷きを返された。
沢田 奈月
流れでDから憑依のメカニズムと基礎を教えられたボンゴレ10代目。
正一に言われたことにより、なんとなく頼るタイミングや甘えるタイミングを測れるようにはなったが、普段からそれを行うかどうかは別の話。
入江 正一
まだ奈月の立場は知らない一般人中学生。
頑張るとは言うが、これからも頼ったり甘えたりするタイミングを無視する可能性が高い奈月に苦笑いをこぼした。
D・スペード
奈月には進んで協力する長生きな初代の霧。
奈月の精神構造から彼女もやろうと思えば憑依能力を得ることができると判断し、憑依のメカニズムを教えた。
それを逆手に取り、強制的な憑依に抵抗する術を得る可能性は考えているが、それならそれで、隙を作ればいいと思っている。
初代組
情報収集がしやすいので、ドローンよろしく広範囲に移動しては情報を集めて奈月に伝える伝達役をしょっちゅうしている。
奈月からお願いされたら問答無用で動くチームと化しており、ボスはプリーモだが、それはそれとしてチームリーダーは奈月になっている。
山本、京子、ハル、ちびっ子組
ちゃんと避難していたメンバー。山本は戻ろうとしていたのだが、危ないからと正一に止められたため、大人に怒られずに済んだ。
獄寺、ビアンキ、了平
ライオンに挑みに行った蛮族メンバー。
10代目のためだったり自分のためだったりとひたすらやらかしたので大人達にこってり叱られた。
リボーン
基本的に傍観に徹していたが、その間も奈月に人に甘えることを効率的に教える方法を考えていたお目付役。
正一がふと思い出したように疲れてないか聞いた時に、奈月が考え込んでは、微妙な体調変化を伝えていた姿を見て、こう言う方法もあるのかと学んでいた。
IFとして読みたい話はありますか?
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継承済ナツがツナの世界線に飛ばされる話
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ナツとファミリーがツナ世界側に飛ぶ話
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もしもナツがツナの姉だったらIF
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ナツと小説軸面子の個別恋愛ストーリー