最強の愛され系ボンゴレ♀は、今を全力で楽しみたい   作:時長凜祢@二次創作主力垢

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トマゾファミリーの8代目

 4月の初め。春休みと言う長い時間も終わり、学年も中1から中2へと上がる。

 今日は2年生に上がっての初めての登校日。クラス替えもされており、どのクラスに生徒が属するかなどが校舎の掲示板に貼り出される。

 

「ごめん、ちょっと通してもらえる?」

 

「ん?ってうわ、沢田だ!」

 

「マジか!?ちょ、全員避けてやれ!」

 

 自分のクラスを確認している生徒達が集まる中、自分も掲示板を見ようと思って生徒達に声をかけると、複数の男子生徒が慌てて道を開ける。

 

「ええ……?私までこんな扱いされんの……?確かに恭弥さんと行動取ってること多いけどさ……。別に私は群れとか気にしないんだけど……」

 

「確かに沢田は群れを気にしない生徒なのはわかってんだけど、ヒバリさんが目を光らせてるんだって!!

 近寄りすぎると鋭い視線を向けてくんだよあの人!!沢田には悪いけど!!」

 

「……何やってんの恭弥さん。」

 

 まさかの事態にショックを受けていると、男子達の反応は恭弥さんのせいであることを知り、思わず呆れてしまう。

 恭弥さん、私が想いに気づいてからいろいろフルスロットル過ぎないか?最近だと風紀委員の役員までちょっとびくついてるし……。

 どれだけあの人は私に近寄る人に嫉妬してんのさ……。

 

「沢田奈月は……あった。A組か。京ちゃんと花、隼人に武……よかった。みんな同じクラスだ。」

 

 そんなことを思いながら、クラスの名前を見て安堵する。

 友人達の名前がちゃんと並んでるのは本当に助かった。別にコミュ症ってわけじゃないし、やろうと思えばいくらでも友人を作る術は持ち合わせているけど、やっぱり慣れ親しんだメンバーがいる方が何倍も過ごしやすいからね。

 それにしても………

 

「……なんかデカデカと花輪盛られてる生徒いるんだけど、誰か知ってる?」

 

「え!?あ、ああ……内藤のことか?あいつと1年間同じクラスにいたけど、ちょっと変な奴でさ……。ほら、あそこ。」

 

「ん?」

 

 そんな中、やけに存在感を放ってる名前欄が同じクラスの欄にあることが気になり、近くにいた男子に声をかけると、その男子は背後の方へと指を差す。

 それに従うようにして視線を動かしてみれば、そこには4人程の集まりが……。

 

「ロンシャン君!!無事2年へと進級おめでとう!!」

 

「まーねまーね!ピースピース!!」

 

「………………。」

 

 うん……なんか、めちゃくちゃアホくさい連中がいる。

 背高のっぽの老け顔さんに、ゴスロリを着たメカクレレディ、それとめちゃくちゃ身長が低いギター持ちが、なぜか袖をテープらしきもので止めてる赤毛を胴上げしてるんだけど……。

 

「ええ……何あの人ら……」

 

「な。変な連中だろ……。」

 

 困惑しながら、側にいた男子生徒の言葉に同意していると、赤毛が私の姿に気づく。

 なんか、あまり関わりたくないけど近寄った方がいいと直感し、渋々近寄ってみると、胴上げされていた生徒が地面に降りる。

 

「よーし!胴上げ終了……ってことで!やほやほ〜!!沢田ちゃ〜〜ん!!同じクラスになったのも何かの縁だね!お互い頑張ろ〜!!」

 

「………賑やかだな。」

 

 手を振りながら近寄ってくる男子生徒に対して呆れながら言葉を返す。

 ここまで賑やかな生徒はちょっと初めてな気がする。武もどちらかと言うと賑やかで明るい分類に入るけど、あれは爽やかさもあって好青年といった感じのタイプ。

 だが、目の前にいる赤毛は完全なるお調子者……まぁ、ムードメーカーにはなりうると思うが、ちょいとウザさが混ざりそうな、そんなタイプの少年だ。

 未だに心は小学生……みたいな。言い過ぎかもしれないけど。

 

「……てか、私のこと知ってんだね。1年の時は、縁なんてなかったと思うんだけど。」

 

「まぁ、確かに接点は無かったけどさ!オレ達って共通点があんのよ!!」

 

「共通点?」

 

「そ!!だって沢田ちゃん、ボンゴレファミリーの10代目っしょ?オレも沢田ちゃんと同じでマフィアなのよ!!トマゾファミリーの8代目ってね!!」

 

「……………は?」

 

 突然のカミングアウトに思わず呆気に取られてしまう。

 マフィア……?トマゾファミリー……?8代目………?何の冗談だそれ……。

 

『……あれの子孫ですか。』

 

 混乱して動きを止めていると、隣から聞き慣れた声が聞こえてくる。

 すぐに視線を目の前の少年から視線を外し、声の方へと目を向ければ、そこにはDさんが立っており、マジマジと赤毛を見つめていた。

 

『……おっと、失礼。久々にトマゾの名前を聞いたもので。えっとですね。トマゾファミリーとは、ボンゴレとしょっちゅう衝突を起こしていたファミリーの名前ですよ。

 2代目……セコーンドとは互いに殺し合う程因縁がありまして。多分、この場にセコーンドがいたら、間違いなく彼の苛立ちに繋がります。』

 

「………。(いなくてよかった、2代目ファミリー。)」

 

 どうやら、赤毛が言ってる言葉は全て真実のようだ。しかも、過去のボンゴレとはなかなかバイオレンスな関係だったことが窺える。

 それが何で今は友好的なボスになってるのやら……。いや、まぁ、有効的なのは助かるけどさ。

 

「あ!?名前言うの忘れてた!!オレは内藤ロンシャンね!!よろしく!!」

 

「……ロンシャン……?」

 

「そそ!オレんとこのファミリーって、代々ロンシャンの名前を継いでいく家系なのよ!!だから、次期ボスは必ずロンシャンの名前になるって話!!うけるよねー?既にイタリアの血あるかわかんないのに!!」

 

「……言わんとしてることはわからなくもないけどさ。」

 

「でしょでしょー?沢田ちゃんは、ガッツリイタリアの血が残ってる感じっぽいね!?金髪に金眼ってなかなかないっしょ!!」

 

「……多分、先祖返りだけど。」

 

「先祖返り!?何それかっけー!!」

 

「………………。」

 

 うん、この、なんだ?何かちょっとうざい。何で常にハイテンションなんだよこいつ。逆に疲れるんだけど?

 私はどっちかって言うと、恭弥さんや骸みたいな静かな人の側にいるのが好きなタイプで、こんなウザさが強い人間は苦手なんだけど。

 

「あ、そーだ!!お近づきの印にオレのファミリー教えてあげるよ!!あっちに生えてんのがオレのファミリーで、右からルンガ、マングスタ、パンテーラ!みんな頭おかしーんだけどね!!」

 

「……自分のファミリーを頭おかしいって言っちゃうボスなんて初めて見たんだけど……?もうちょっと言い方あるだろ。」

 

「いやいや、これが事実でさ!!本当におかしいわけよ!!まぁ、その話は置いといて!!次は沢田ちゃんのファミリー紹介してよ!!」

 

「……………………。」

 

 か、帰りたい……!!めちゃくちゃ逃げたい!!

 なんか知らないけどこのテンションについていけないんだけど!!

 

「おはようございます!!10代目!!」

 

「よ!!ナツ!2年も同じクラスだったな!」

 

「おめーがいるのは気に食わねーけどな。」

 

「ひっでーな獄寺!!仲間はずれにしないでくれよ!」

 

 あまりにもついていけないタイプだったため、軽く涙目になりかけていると、背後から2人分の声が聞こえてきた。

 そっちに視線を向けてみれば、隼人と武の2人がおり、いつものように笑顔で挨拶をしてくれている。

 救世主!!と言わんばかりにダッシュで2人の元に向かった私は、隼人の左腕と、武の右腕を掴んだのち、そのまま2人の腕に抱きつきながら背後に逃げ込んだ。

 

「じ、10代目!?」

 

「な、ナツ!?急にどうしたんだ!?」

 

「……なんなのあいつテンションについていけないんだけどハイテンションが胃もたれレベルなんだけど私には無理だってあんなハイテンションについて行くの恭弥さんのところに逃げたい……。」

 

 早口+一息であれについていけないと嘆いていると、私が盾にしてしまってる2人が一瞬驚いたような表情を見せたあと、その視線を鋭くさせて、目の前にいるロンシャンへとそれを向ける。

 

「んだてめー。」

 

「ナツがこんな反応すんの、かなり珍しいんだぜ?なんかしたのか?」

 

「ええ!?ちょちょちょ、待って待って待って待って!!オレ達沢田ちゃんに挨拶しただけだって!!」

 

「じゃあ、何でナツが逃げるようにきたんだ?」

 

「場合によっちゃ、果たすぞ!!」

 

 凄むように隼人達に話しかけられ、ロンシャンが慌てた様子を見せる。

 あ、ちょっと待って。隼人と武がそれぞれ武器に手をかけてるんだけど……!?

 

「ふ、2人とも!武器には手をかけなくていいから!!でも、その、あのテンションについていけなくてェ……もう、どう反応したらいいかわからなくてェ……っ」

 

 どこかの精霊みたいな言葉を吐きながらも、隼人と武の腕を抱き締める腕に力を加えながら伝えれば、2人は武器に手をかけるのをやめてくれた。

 よかった……。こんな場所で死傷沙汰が発生しなくて……。流石に苦手な相手に対してであってもそれはダメである。

 

「だから本当に挨拶しただけなんだって!!あ、そうだ!!名前知らなかったら警戒するよね!?じゃあ自己紹介しよう!!ご紹介に与りませんでしたが、トマゾファミリー8代目ボス!内藤ロンシャンで〜〜〜す!!」

 

「何!?トマゾファミリーと言えば、マフィア創世紀にボンゴレと対立し、お互い2代目を殺し合った因縁ファミリー……!ボスの名前は代々ロンシャンを使い続けてる連中だな!!」

 

「何で隼人知ってんのそれ……」

 

「マフィア界じゃ有名な話っスよ!そんなてめーらがここで何してやがる!?」

 

 ガルルルと番犬よろしく睨みを効かせる隼人と、私の心配をするように視線を向けてくる武。

 2人の後ろに隠れながらも、ロンシャンの方に目を向けてみると、彼はにぱっと笑顔を見せる。

 

「何って学校生活に決まってんじゃん。ここ地元なんだから!そう思うとすげー偶然でしょ?ラッキーでしょ!思し召しって感じ!?仲良くしようよ!同じマフィアじゃーん!!」

 

「……無理。ハイテンションについていけない。早く鎮静化してよ頼むから。」

 

「その通りだ!!てめーみてーなボンクラボスと10代目を一緒にすんな!!」

 

「隼人違う。そう言う意味の無理じゃない。ハイテンションについていけなくて仲良くできる気がしないだけ………」

 

「それはこっちのセリフだーっ!!ロンシャン君はボンゴレのボスなんかに負けないぞぉ────っ!!」

 

「だからそう言う意味じゃないって言ってるでしょこっちは!!テンションが無理だって言ってるでしょうが!!聞いてないのか背高のっぽ!!」

 

 思わず涙目になりながら怒鳴りつけるようにツッコミを入れる。

 もうやだ……帰りたい……何でこんなハイテンション野郎と同じクラスになっちゃったの…………。

 

 

 *:・゚*.+ ❀ *:・゚*.+ *:・゚*.+ ❀ *:・゚*.+ *:・゚*.+ ❀

 

 

「……ナツ、あんたどうしたわけ?」

 

「なっちゃん、なんだか疲れてるみたいだけど大丈夫?」

 

「……………。」

 

 隼人と武に隠れるようにして教室まで行くと、先に教室にいたらしい京ちゃんと花が心配そうに話しかけてきた。

 普段の私なら、彼女達になんでもないよと言ってるところだけど、今回ばかりは何も言えない。

 短時間の邂逅だけでロンシャンに気力を持っていかれてしまい、非常に疲れていた。

 

「実はさっき、内藤に下で会ってさ……」

 

「そいつのせいで、10代目が疲労しちまったんだ。」

 

「え?そうなの?」

 

「あー……でもわかるわ。ナツってロンシャンみたいなうるせーお調子者が苦手だったもんね。あいつ、またホラ吹いてるし。」

 

 花が呆れながら視線を向けた先にはロンシャンがいる。彼は同じクラスの生徒に向かって、自分は将来マフィアのボスになることになってると公言していた。

 バカじゃないのかと思った。トマゾファミリーがどれだけの規模を持つマフィアなのか知らないけど、それでも裏の世界にいずれは行かないといけなくなるのに、一般人減っ堂々と裏の世界の話をするなんてあり得ない。

 そのせいで巻き込まれて命を落としかねないってことがわからないのだろうか?だとしたら救いようがない。

 

「さあ、席につけよ。今日は担任に不幸があったので、代理のリボ山です。」

 

「………何やってんの。」

 

「気にしたら負けだぞ。」

 

 そんなことを思いながら目を逸らしていると、リボーンが謎の教師になってうちのクラスに入ってきた。

 そう言えば、1年の時の参観日があった日、あの姿で私がいた教室に入ろうとしたのを即刻引っ捕まえて追い出した記憶がある。

 マジで何やってんのこの人。担任に不幸がってどこまでが真実?わざと体調崩すように仕向けたりしてないよね?

 

「さっそくだが、今日はクラスの学級委員長を決めるぞ。誰かいねーか?」

 

 いろいろと不安に思いながら、リボーンを見つめていると、彼は学級委員長をやる生徒はいないかと声をかける。

 それに対して手を挙げる者はいない。ある1人を除いては。

 

「はーい!内藤ロンシャン君がいいと思います!」

 

 手を挙げたのは、ロンシャンからマングスタと呼ばれた背高のっぽだった。

 彼は生徒に紛れて返事を行い、学級委員長にロンシャンを選出する。

 

「えっ そう?マングスタ。悪い気しないよオレ!やっちゃおっかな学級委員長!やってしまいましょーか!?」

 

「内藤。行儀悪い。自分の席とは言え足を乗せるな。自身の立場を考えた行動を心がけろ。仲間全体の品性が疑われるよ。」

 

「へ?……あ、やべ。確かにこれは良くないね。」

 

 思わずちびっ子を注意するようにロンシャンに声をかければ、彼は自身の足元を見ては、そそくさと床に降りる。

 まぁ、マフィアであれ一般社会であれ、机の上に足を置くことは常識的に行儀が悪い行動とされているから、これくらいの注意はあっても問題ないだろ。

 

「沢田に注意されたあの元気な奴……誰?」

 

「元B組のひょうきん者、内藤だよ。」

 

「またバカやってる。」

 

 ヒソヒソと他の生徒がロンシャンに関して話す中、話題の真っ只中な本人は、ヘラヘラと笑ったままやっちゃおっかなー!?なんてまだ言っている。

 相手すんのめんどくさい……そう思いながら前を見ていると、携帯電話が軽く震える。

 この時間帯にメールを送ってくる人なんて1人しかいないためすぐに私は携帯を開く。

 

 

 from:恭弥さん

 題名:今から行くから

 ───────────────────

  今、色々と新学期の話をしていると思う

 けど、今年も奈月には風紀委員会を継続し

 てもらうから、他の委員会はダメだよ。

 

  そう言えば、昨日メールを送ったよね?

 今からお弁当を取りに行くから待ってて。

 

  あと、昨日送った指示通り、ちゃんとあれ

 は着けてきてる?

  これからの奈月の立場を示すものでもある

 んだから、忘れたらダメだよ。

 ───────────────────

 

 

「……………。」

 

 

 To:恭弥さん

 題名:了解しました

 ───────────────────

  おはようございます、恭弥さん。大丈夫で

 す。ちゃんと指示通りにあれはつけてきまし

 た。

 

  お弁当の件も了解です。お弁当はちゃんと

 用意してきたので安心してください。

 

  役員に関しては、少し、学級委員長に選出さ

 れてしまいそうな気配があるので、名を上げられ

 たらすぐにでも辞退します。

  一度引き受けたら最後までやるのがモットー

 のようなものなので、ちゃんと風紀委員会に

 属したままでいるつもりですので。

 ───────────────────

 

 

 from:恭弥さん

 題名:それならよかった

 ───────────────────

  奈月ならそう言うと思っていたけど、ちゃ

 んと聞けてよかったよ。

  じゃあ、あとは教室で待ってて。

 ───────────────────

 

 

 恭弥さんとメールのやり取りを済ませた私は、携帯電話を制服に収める。

 それと同時に“待ちな”と言う短い言葉と同時に、教室全体が静まり返った。

 生徒の視線は、すぐにある1人の生徒に向けられる。全員の視線を辿ってみれば、そこには隼人の姿があった。

 

「学級委員長は10代目の方が適任だ。オレは奈月さんを推薦するぜ。」

 

「おお!?」

 

「確かに沢田なら学級委員長に適任だよな!!」

 

「だな!毎回テストは100点満点!!学年トップの成績だし!!」

 

「オレ、前わからないところ沢田に教えてもらったけどめちゃくちゃわかりやすかったんだよね!!」

 

「私も奈月ちゃんにはめちゃくちゃ助けてもらってるから賛成!!」

 

「内藤と沢田だったら、間違いなく全員沢田に票を入れるよな!!」

 

 隼人が私の名前を出した瞬間、即行でクラス全員が私に票を入れ始める。

 そのことに呆れながら隼人の方へと視線を向けてみれば、彼は何度も頷いたのち、私の方へと目を向け、ニカッと笑顔を見せてきた。

 

「あれ?あれあれ!?クラスがほぼ一致で沢田ちゃん推し!?」

 

「ま、そうなるよな。オレもこの選出なら間違いなくナツを選ぶぞ。」

 

「うっそ〜!?そこまで!?」

 

「じゃあ聞くが、お前はテストや学校の成績はどれくらいなんだ?」

 

「テストは赤点ばっか!!」

 

「ダメじゃねーか。ナツなんて全教科100点だぞ。」

 

「うっはー!マジかー!!確かにみんな沢田ちゃんに行っちゃうなそれ!!」

 

「ロンシャン君!!ボンゴレに負けてどうするんですか!?ここはバシッとしっかりする場面……」

 

 周りがざわざわする中、私は深くため息を吐く。そして、現在の時間帯と、恭弥さんからメールを送られてきた時間帯を見比べたあと、そろそろかと思って席を立ち上がった。

 その瞬間、クラス全体の視線が私の方に向けられる。それに気づきながらも私は、机に提げていた紙袋を手に取り、廊下の方へと足を運ぶ。

 

「推薦してくれたところ申し訳ないけど、学級委員長はパス。内藤にやらせといて。やる気があるのはいいことだしね。」

 

「え゛!?10代目!?」

 

「よくわかってるじゃあないか!ボンゴレ!!ロンシャン君の方が優秀だと……」

 

「優劣はどうでもいいんだよ。私は学級委員長よりも優先しないといけないことがあるってだけ。

 騒ぎたいなら勝手に騒いどいたら?私は内藤より忙しいんだから。」

 

「なんだとぉ─────っ!?」

 

 背高のっぽが喧しくする中、教室の引き戸をあけ、廊下の方へと足を運ぶ。

 同時に一つの足音と感じ慣れた気配が私の方へと近寄ってきた。

 

「奈月。」

 

「あ、恭弥さん。」

 

「時間通りだったね。お弁当は?」

 

「これです。お仕事で手伝えることがあるようでしたら、手伝うつもりだったので、私のも一緒にありますが。」

 

「ありがとう。僕自身も奈月には仕事を手伝ってもらうつもりだったからよかったよ。ブレスレットは?」

 

「恭弥さんが誕生日にくださったブレスレットならちゃんと着けてきました。でも、アクセサリーは校則違反では……?」

 

「大丈夫だよ。今年からの奈月の立場を示すものだからね。あと、これも着けといて。」

 

「……風紀委員会の腕章……のようですが、色が違いますね。」

 

「今年から奈月には、風紀委員長補佐って役職をつけることになったからね。それをわかりやすくするため、桜色の腕章を作らせたんだ。

 名前の通り立場は僕の補佐で、組織内の立場は2番目……副委員長よりも上に分類されている。

 僕と同じで、風紀委員会を好きに動かせる立場でもあるから、何かあったら草壁にも指示を出していいからね。

 あと、これも。奈月は放っていたらすぐに別のところから話しかけられているから、予防するための首輪。」

 

「首輪って……私は犬じゃないんですけど……。」

 

 廊下で出会した恭弥さんと言葉を交わしながら、お弁当が入った紙袋を手渡せは、恭弥さんはそれを受け取り、私の制服の袖に桜色の風紀委員会腕章を着け、首にも一つ、ネックレスを着けてきた。

 首輪と言ってネックレスを渡してくる……って、新学期早々フルスロットルだなこの人。

 しかもネックレス、桜の花がモチーフになってるし。

 

「……これ、ディープローズクォーツでは?」

 

「そう言えばそんな名前だったね。」

 

「この色は確か、数が少ないため他の天然石に比べたら割高だったと思うのですが……」

 

「そこら辺は気にしてないよ。奈月に渡すなら何だってよかったしね。お弁当、ありがとう。応接室で待ってるからね。」

 

 ネックレスに触れていると、応接室で待ってると言う一言を残して恭弥さんが教室から離れていく。

 その背中をしばらく見つめた私は、やれやれと首を左右に振ったあと、教室の中へと戻る。

 教室の中にいた生徒達は、顔を青くして固まっていたり、頬を染めてキャッキャ話していたり、ニヤニヤと笑っていたり、イラっとした表情を見せていたりとさまざまな反応をしている。

 

「……言っとくけど、私は別に恭弥さんと付き合ってるわけじゃないからね。まぁ、彼から特別な感情を向けられていることは否定しないけどさ。

 あと、聞いての通り私は学級委員長にはなれない。どうやら、今年から風紀委員長補佐なんて言う大層な役職に就かせられるみたいだからね。

 恭弥さんの補佐となると、仕事は山積みになる未来しか見えないし、学級委員長なんてものをやってる暇はない。

 だから、学級委員長は内藤にやらせといて。どうあがいても私は、風紀委員会から離れることができないみたいだから。」

 

「「「「「お……おう………。」」」」」」

 

「「「「「奈月ちゃん頑張って!!」」」」」

 

「ヒバリさんって、かなり独占欲強いのね。」

 

「ヒバリさんのあんな反応、初めて見たかも!……なっちゃんてやっぱりモテるんだなぁ………。」

 

「あんたも頑張らないとね、京子。」

 

「ちょっと、花!!」

 

 十人十色の反応が広がる教室内に戻り、自分の席に座り直す。そして、首にかけられた桜モチーフのネックレスを触る。

 ……桜のモチーフのネックレスと、桜色の風紀委員会腕章……まるで桜づくしだな。

 

「まぁ、ヒバリに目をつけられてる時点で、結果はわかってたようなもんだな。

 にしても、風紀委員長補佐か。実質並盛を支配してる奴の補佐をするとなると、学級委員長なんて霞む格下役職だな。

 んじゃ、学級委員長は内藤ロンシャンにさせるか。ナツはそのまま風紀委員会に集中してくれ。」

 

「学級委員長が格下かどうかはわからないけど、言われなくてもそうするつもりだよ。恭弥さんからも言われてるしね。風紀委員会以外の役員になるなって。

 だから、学級委員長は内藤に譲ってあげるよ。首輪と言う名のネックレスも恭弥さんから着けられたし、こればかりはどうにもならないからね。」

 

「ええ……?」

 

「ぐぬぬぬ!!譲ってあげるなどと見下すような言葉を使いやがって……!!ロンシャン君は立派なボスなんだぞ!!」

 

「はいはい立派立派。て言うか本当にうるさいし頭痛くなってきた。なるべく話しかけないでもらえる?はっきり言って、私は内藤みたいな奴は苦手なんでね。」

 

「なんだとぉ─────っ!?」

 

「ええ!!沢田ちゃん!!同じマフィア同士仲良くしようよ─────っ!!」

 

「うるさい。吠えるな。叫ぶな。苦手なのは苦手なんだよ。諦めろ。」

 

 もう何を言われても無視してやると決め、桜モチーフのネックレスに触れる。

 これ、無くさないようにしないとな……。

 

 

 




 沢田 奈月
 喧し過ぎたり、ハイテンション過ぎる存在は全体的に苦手な分類としているボンゴレ10代目。
 雲雀の権力により、今年から風紀委員長補佐と言う実質No.2の立場を与えられ、ますます風紀委員会で頑張ることになってしまった。

 内藤 ロンシャン
 賑やかなトマゾファミリーの8代目。
 マフィアのボスと言う同じ立場を持つ奈月と仲良くしようと思ったら思いっきり拒絶された上、無視された。
 しかし、仲良くなることを諦めるつもりはない。

 雲雀 恭弥
 花見の時に奈月が自身の想いを理解したのを知り、フルスロットルで迫る風紀委員長。
 学級委員長?奈月にそんなものやってる暇なんてあるわけないだろと言わんばかりに、風紀委員長補佐と言う新たな役職を用意して彼女を就かせた。
 アクセサリーは本来校則違反だが、風紀委員長の補佐を視覚的にも周りに知らせることができるように、桜モチーフのネックレスを首輪代わりに与えて着けさせた。


 リボーン
 実は一年の時の参観日の時、リボ山として参戦しようとしてつまみ出されていたお目付役なヒットマン。
 今回はなんとか参戦し、獄寺とマングスタの行動を読んで学級委員長推薦勝負をさせようとした、別のところから掻っ攫われる流れとなった。
 後になって、そう言えば奈月には必ず雲雀がついて回るの忘れてたな、と思い出した。

 獄寺&マングスタ
 是非ともうちのボスに学級委員長を!!と推薦し、勝負になりかけたが、学級委員長よりも大役を授かることになった奈月が辞退したため、勝負は無効になる。
 なお、獄寺は学級委員長よりも上の大役を与えられた奈月の姿に勝った!!と一瞬思ったが、結局雲雀の一人勝ちであることを思い出して憤慨した。


IFとして読みたい話はありますか?

  • 継承済ナツがツナの世界線に飛ばされる話
  • ナツとファミリーがツナ世界側に飛ぶ話
  • もしもナツがツナの姉だったらIF
  • ナツと小説軸面子の個別恋愛ストーリー
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